仮タイトル 異世界移動系

綺璃鵺 緋鷹

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第二章

最初の世界

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どすん、と尻から落ち、痛みを覚悟したが、大したことはない。そもそもそれほど高い場所から落ちたわけではないのだろう。
頭を振って余計な考えを振り払い、とりあえず周囲の様子を探ると、向こうからこちらに向かってくる人が見えた。
その服装は見慣れないものだが、元いた世界では修道服と呼ぶのが正しいのだろうか。飾り気はなく、質素だが、時代劇とかで見る市民の服とは違う気がする。
その人は僕の側まで来ると、戸惑うことなく膝をついた。
「あなた、ご両親は?」
その飾り気の無さから男かと思っていたが、発せられた声は女性のものだった。
「…ちょっと事情があって」
それよりも、日本語が通じるのはありがたい。その辺はあの少年がどうにかしてくれたみたいだ。
「そう。じゃあ、うちにいらっしゃい。ここは昼は大丈夫だけど、夜になると危ない」
女の人に連れられて行った場所は、やはり教会のようなところだった。孤児院、というのだろうか。
「ここには、あなたのような事情のある子がたくさんいるの。もう大丈夫だからね」
…と言われても、つい10分ほど前にこの世界に来たばかりなので、全然問題はないのだが。
それでも、今夜の宿と食べ物の心配がないのはありがたい。
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