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一章
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…で、何故か私はその世界に転生してしまったわけだが。
前々から、なんか違和感あるなー、と思いながら特に気にせず、4歳の誕生日を迎えた。
そして、誕生日を迎えた今日、唐突に違和感の正体がわかった。
私は前世の記憶を持つ、転生者だということに思い至ったのだ。
というより、これは転生なのだろうか。前世ではそう呼ばれていたから、それでいいか。
私はベッドから起き上がり、鏡台の鏡に映る自分を覗く。
「転生したことより、問題は…」
鏡に映る自分の顔には見覚えがある。
二人いる主人公のうちの片割れ、闇の属性を持つヒロインの幼い頃。
確か、限定特典だか何かで見た気がする。
「悪役令嬢か、私が」
光側のヒロインはだいたいハッピーエンドを迎えるが、闇側のヒロインはだいたいバッドエンドを迎える。
特に何か悪いことをして罰せられたとかそういうことではない。光のヒロインがこの世界を幸福と平和で包もうと努力すると、何もしてなくてもバッドエンド。即ち、死亡エンドをくらうのがこのゲームの特性だ。
プレイヤーがどっちを選んでいても変化はない。光を選べばハッピーエンド、闇を選べばバッドエンド。
しかし、「闇ヒロインにも幸せを!」とか騒ぐ人がいたらしく、あとから隠しエンドが足されたと聞く。
隠しエンドは、闇ヒロインが幸せになって終わるらしいのだが、この隠しエンドの発動条件が光のヒロインの死亡だという。
死の原因はなんでもいいが、とにかく光のヒロインを殺すこと。
それが今わかっている、私がバッドエンドにならずに済む唯一の方法だった。
しかし、ここに一つ。とても困る事実がある。とてもとても重大で、どうしようもなく、絶望するしかない事実。本作において、闇のヒロインと光のヒロインは、子供時代に親友だった。そして、私の親友となる光のヒロインも、転生者だった。それもなんと、前世の親友が、何故か光のヒロインの中に入っていた。知り合いが一緒なのは心強い。私たちは、近い時期に産まれ、親同士が仲良かったこともあって、よく引き合わされていた。おかげで、まともに一人で歩けるようになる頃には、すっかり仲良くなっていた。所謂、幼馴染というやつだ。お互いの秘密は何でも教えあった。それが結果的に、お互いぼんやりとしか覚えていなかった前世の記憶を思い出すための鍵となり、まず初めにお互いのことを思い出した。
前々から、なんか違和感あるなー、と思いながら特に気にせず、4歳の誕生日を迎えた。
そして、誕生日を迎えた今日、唐突に違和感の正体がわかった。
私は前世の記憶を持つ、転生者だということに思い至ったのだ。
というより、これは転生なのだろうか。前世ではそう呼ばれていたから、それでいいか。
私はベッドから起き上がり、鏡台の鏡に映る自分を覗く。
「転生したことより、問題は…」
鏡に映る自分の顔には見覚えがある。
二人いる主人公のうちの片割れ、闇の属性を持つヒロインの幼い頃。
確か、限定特典だか何かで見た気がする。
「悪役令嬢か、私が」
光側のヒロインはだいたいハッピーエンドを迎えるが、闇側のヒロインはだいたいバッドエンドを迎える。
特に何か悪いことをして罰せられたとかそういうことではない。光のヒロインがこの世界を幸福と平和で包もうと努力すると、何もしてなくてもバッドエンド。即ち、死亡エンドをくらうのがこのゲームの特性だ。
プレイヤーがどっちを選んでいても変化はない。光を選べばハッピーエンド、闇を選べばバッドエンド。
しかし、「闇ヒロインにも幸せを!」とか騒ぐ人がいたらしく、あとから隠しエンドが足されたと聞く。
隠しエンドは、闇ヒロインが幸せになって終わるらしいのだが、この隠しエンドの発動条件が光のヒロインの死亡だという。
死の原因はなんでもいいが、とにかく光のヒロインを殺すこと。
それが今わかっている、私がバッドエンドにならずに済む唯一の方法だった。
しかし、ここに一つ。とても困る事実がある。とてもとても重大で、どうしようもなく、絶望するしかない事実。本作において、闇のヒロインと光のヒロインは、子供時代に親友だった。そして、私の親友となる光のヒロインも、転生者だった。それもなんと、前世の親友が、何故か光のヒロインの中に入っていた。知り合いが一緒なのは心強い。私たちは、近い時期に産まれ、親同士が仲良かったこともあって、よく引き合わされていた。おかげで、まともに一人で歩けるようになる頃には、すっかり仲良くなっていた。所謂、幼馴染というやつだ。お互いの秘密は何でも教えあった。それが結果的に、お互いぼんやりとしか覚えていなかった前世の記憶を思い出すための鍵となり、まず初めにお互いのことを思い出した。
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