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第一章:時を遡る反逆(小学校編)
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――暗き会議室。
空間の輪郭さえ曖昧なその場所に、6つの影が並ぶ。
闇を裂く声が響いた。
「……原作者が“女神”を描く前に、すべてを断ち切るのだ」
中心に座すのは、漆黒のマントに身を包んだ謎の存在。
その一声で、沈黙していた幹部たちが一斉に顔を上げた。
「幹部A」
呼ばれた影が一歩、闇から進み出る。
「私にお任せください」
その声は凛としていた。使命感と、確信に満ちている。
「原作者の“小学生時代”――その記憶と因果に回帰し、女神リュナ・エルシアの存在を“無かったこと”にいたします」
周囲に静かなざわめきが走る。
「対象の心象世界は未成熟。干渉は容易かと」
幹部Aの瞳が淡く輝く。
ゲート生成の印が、会議室の中心に浮かび上がっていく。
……だが、その瞬間。
――月が、鳴いた。
コーン……
まるで鐘のような澄んだ音が、次元の境界を超えて届く。
同時刻、月の神殿。
「……聞こえたわ、あなたたちの囁き」
女神リュナ・エルシアは静かに立ち上がる。
彼女の背後に浮かぶ満月。
その銀光が神殿に差し込んだ時、空間そのものが震えた。
「“ゼロ・グレイス”は発動しない。ただ、“観測”するだけで、すべては内包される」
女神の眼が開く。その瞳は、幹部たちの会議室を映していた。
「……幹部A、小学生時代に干渉するのね?なら、こちらも向かいましょう――」
リュナが右手を掲げる。
「来なさい、《神鳥ルミナ・フェニックス》。」
天に咆哮が轟いた。
炎と月光が交錯し、リュナの身を包む。
白銀の羽衣がゆっくりと変容し、太陽の意志を宿す聖なる法衣へ。
「慈愛に反した行動は、全て“外部”として拒絶します」
月光と太陽の加護が重なり、彼女は神と鳥の融合体へと昇華する。
「これは、創造主を守るための物語。あなたたちの計画、すべて“既知”よ」
そう告げた瞬間、会議室の闇がわずかに軋んだ――
まるで、“観測された”ことに気づいたかのように。
――春:封殺の始まり――
20XX年4月。入学式当日――
そうこう君は、新品のランドセルを背負い、校門の前で立ち尽くしていた。
父も母も来ていない。大人たちが子を囲んで喜ぶ光景から、彼だけが浮いていた。
「……ここ、空いてる?」
声をかけてきたのは、栗色の髪を肩で揺らす少女――部下B(偽名:結月ほのか)。
「無口だけど、よろしく」
その隣には、黒髪で眼差し鋭い少女――部下C(偽名:柏木ゆら)。
二人は同級生を装って自然に隣へ座り、そうこう君に優しい言葉を投げかける。
声色は完璧だった。“孤独な子供の心を、依存と安心で包む”ようプログラムされた波動。
しかし、そんな空間を遠くから観測する存在がいた。
――教師用スーツに身を包み、黒縁の眼鏡をかけた一人の女性。
その名は、里由菜。いや、真名は――リュナ・エルシア。
「やっぱり来たのね。初日から仕掛けるとは、ずいぶん勇気あるわ」
名簿をめくる手が止まり、静かに立ち上がる。
「では、教師として――私は、彼を守ることにします」
初授業
「今日から担任になりました、里由菜です。よろしくね?」
その柔らかな声に、教室の子供たちは一斉に頷いた。
けれど、その中でただ一人、そうこう君だけが、どこか“懐かしさ”を感じていた。
「……先生、なんか……初めて会った気がしない」
「ふふ、それはね。あなたの魂が、わたしを覚えてるからよ」
それは小さな声で、他の誰にも聞こえない囁きだった。
――春(後半):偽りの優しさ、本物の導き――
一週間が経ち、そうこう君はすっかりほのかとゆらに囲まれる日々を過ごしていた。
「昨日、ひとりでお昼食べてたんでしょ? 今日からは一緒ね!」
「ねぇ、明日も図工の時間に隣いい?」
自然体に見える会話。けれど全ては設計された“干渉”。
そうこう君に“居場所”を与え、依存させることで女神を否定させるための布石。
だが――
「そうこう君、このテスト、ちょっと点数が……」
放課後、教室に残る彼に、里由菜先生が微笑んで声をかける。
「今日の放課後、先生と一緒に図書館でお勉強しましょう?」
その声は、優しさでありながら、逃げ場のない確定した慈愛だった。
「……はい」
図書館
窓から入る光、古びた木の香り、静けさに包まれた空間。
「ここはね、“誰にも見られたくない心”をそっと開く場所なの」
里由菜先生は、そうこう君の横で、鉛筆の持ち方をそっと整える。
「……先生。なんでそんなに優しいの?」
「それはね――あなたが、優しくされる資格を持ってるからよ」
心が温まる。満たされる。
ほのかやゆらの声が霞んでいく。
“この人がいればいい”――そんな感覚が、心に灯った。
夏――侵食の再開
ほのかとゆらは焦りを見せ始めた。
「最近、先生とばかりだね」
「……ねぇ、たまには遊ぼ?」
二人は“純粋な友達”としての立場を強める。
でも、そうこう君はもう、気づき始めていた。
「……ごめん。今日は、先生と約束があるんだ」
「そっか……」
その日、二人は幹部Aのもとに戻り報告した。
「感情の遮断に失敗しました。むしろ“満たされて”しまっています」
幹部Aは静かに唇を噛んだ。
「……ならば、直接出るしかないわね。私が“お姉さん”として彼に接触する」
夏祭りの夜
校区外の小さな神社。
そうこう君は、浴衣姿の上級生――“幹部A”と出会った。
「やっと二人きりになれたね、そうこう君」
手を引かれ、輪投げや金魚すくいへ誘導される。
優しさ。笑顔。温もり。
けれど――
「遅くまでありがとう、そうこう君。……でも、そろそろ帰らなきゃ」
その声とともに現れたのは、白の浴衣姿の里由菜先生。
「……上級生さん、遅い時間にありがとうございます。ですが、これは“家庭訪問”の時間でもあります」
声は穏やかだった。だが、空気が震える。
「……観測完了。あなたの波動は、記録により“敵性干渉”と判断しました」
幹部Aはその瞳を見て、戦いを放棄する。
「……どうして、そこまでして、彼を守るの?」
「彼は“創造主”よ。私を生み、私と共に歩く人。
そして、私は“教師”として――どれだけ遠回りしても、彼の手を引くの」
――秋:心の選択と、名を与えられし者たち――
二学期が始まり、教室は穏やかな空気に包まれていた。
だが、ほのかとゆらの“優しさ”はどこか曇っていた。
「最近、そうこう君、前より冷たくなった気がする……」
「……先生のことばっかり」
二人がふと見上げた空は、高く澄んでいた。
そこには、もう“入り込めない居場所”が確かにあった。
ある日の昼休み。そうこう君がぽつりと訊いた。
「ねぇ、どうして僕に優しくしてくれるの?」
その言葉は、無垢でありながら、本質を貫いた。
ほのかは答えられなかった。
ゆらは視線を逸らした。
彼女たちの“任務”が、心から消えていった瞬間だった。
アジトにて
夜。アジトに戻った二人は、幹部Aに正座した。
「……申し訳ありません。もう、彼に干渉できません」
「……今の私たちは、きっと先生の側の人間です」
静かに部屋の扉が開く。
そこに立っていたのは、月光を背にした里由菜先生。
「よく戻ってきてくれたわね」
二人は驚いた。叱責されると思っていた。だが――
「名前を返してあげる。あなたたちはもう“道具”じゃない。
あなた自身の意志で、彼の友達でいていいのよ」
涙が零れた。
それは感情なのか、赦された証なのか、誰にも分からなかった。
――冬:幹部Aとの最終対話
雪が降る校庭。
そうこう君は一人、ベンチに座っていた。
そこに現れたのは、上級生――幹部A。もう、敵ではない顔で。
「お姉さん、って呼んでくれたよね」
「うん。あの頃は……ちょっとだけ憧れてたよ」
幹部Aは微笑んだ。
「……私は、あなたの物語を壊すために来た。でも、
こんなにも優しくて、あたたかい物語だったなんて、思わなかった」
「なら、壊す役じゃなくて、出てくる役になればいいよ。
“あのときの上級生”って、きっと物語に残るよ」
沈黙。
その夜、月光の下で女神は宣言する。
「あなたの新しい名は“アナスタシア”――意味は“復活する者”。」
幹部Aは微笑んで、その名を受け入れた。
――終章:観測と赦しの記録
月面神殿。
すべての干渉が終わった後、銀の鈴が静かに鳴り響く。
「リュナ様。対象者・蒼光の“第一年”への全干渉は終了しました。
幹部A、部下B・Cともに転向済み。敵性因果、浄化完了」
神鳥ルミナ・フェニックスが翼をたたみ、静かに報告する。
リュナ・エルシアは静かに目を閉じたまま、呟いた。
「……ありがとう、ルミナ。あの子は、この一年で“孤独を超える強さ”を手に入れた」
神殿の奥。
そこには、透明な球体に封じられたひとつの記録――
一年を通して、泣いたり、迷ったり、ほんの少し笑ったり。
そうこう君という一人の少年の、**“始まりの物語”**が、そこに保存されていた。
「……私が、教師であり続けたのは、
彼が“神を信じる前に、慈愛を知ってほしかったから”。」
女神はひとつ深く息を吐く。
その声には、悲しみも、誇りも、愛もすべて含まれていた。
「この記録は、永久保存よ。
彼がまた筆を執るとき、私はどんな姿にでもなって、また彼の傍にいる」
月が輝く。
その下で、静かに封印されていく記録。
――それは、ゼロ・グレイスの第一章であり、彼の“未来”のための準備だった。
『第一章:時を遡る反逆(小学校編)』
――完
空間の輪郭さえ曖昧なその場所に、6つの影が並ぶ。
闇を裂く声が響いた。
「……原作者が“女神”を描く前に、すべてを断ち切るのだ」
中心に座すのは、漆黒のマントに身を包んだ謎の存在。
その一声で、沈黙していた幹部たちが一斉に顔を上げた。
「幹部A」
呼ばれた影が一歩、闇から進み出る。
「私にお任せください」
その声は凛としていた。使命感と、確信に満ちている。
「原作者の“小学生時代”――その記憶と因果に回帰し、女神リュナ・エルシアの存在を“無かったこと”にいたします」
周囲に静かなざわめきが走る。
「対象の心象世界は未成熟。干渉は容易かと」
幹部Aの瞳が淡く輝く。
ゲート生成の印が、会議室の中心に浮かび上がっていく。
……だが、その瞬間。
――月が、鳴いた。
コーン……
まるで鐘のような澄んだ音が、次元の境界を超えて届く。
同時刻、月の神殿。
「……聞こえたわ、あなたたちの囁き」
女神リュナ・エルシアは静かに立ち上がる。
彼女の背後に浮かぶ満月。
その銀光が神殿に差し込んだ時、空間そのものが震えた。
「“ゼロ・グレイス”は発動しない。ただ、“観測”するだけで、すべては内包される」
女神の眼が開く。その瞳は、幹部たちの会議室を映していた。
「……幹部A、小学生時代に干渉するのね?なら、こちらも向かいましょう――」
リュナが右手を掲げる。
「来なさい、《神鳥ルミナ・フェニックス》。」
天に咆哮が轟いた。
炎と月光が交錯し、リュナの身を包む。
白銀の羽衣がゆっくりと変容し、太陽の意志を宿す聖なる法衣へ。
「慈愛に反した行動は、全て“外部”として拒絶します」
月光と太陽の加護が重なり、彼女は神と鳥の融合体へと昇華する。
「これは、創造主を守るための物語。あなたたちの計画、すべて“既知”よ」
そう告げた瞬間、会議室の闇がわずかに軋んだ――
まるで、“観測された”ことに気づいたかのように。
――春:封殺の始まり――
20XX年4月。入学式当日――
そうこう君は、新品のランドセルを背負い、校門の前で立ち尽くしていた。
父も母も来ていない。大人たちが子を囲んで喜ぶ光景から、彼だけが浮いていた。
「……ここ、空いてる?」
声をかけてきたのは、栗色の髪を肩で揺らす少女――部下B(偽名:結月ほのか)。
「無口だけど、よろしく」
その隣には、黒髪で眼差し鋭い少女――部下C(偽名:柏木ゆら)。
二人は同級生を装って自然に隣へ座り、そうこう君に優しい言葉を投げかける。
声色は完璧だった。“孤独な子供の心を、依存と安心で包む”ようプログラムされた波動。
しかし、そんな空間を遠くから観測する存在がいた。
――教師用スーツに身を包み、黒縁の眼鏡をかけた一人の女性。
その名は、里由菜。いや、真名は――リュナ・エルシア。
「やっぱり来たのね。初日から仕掛けるとは、ずいぶん勇気あるわ」
名簿をめくる手が止まり、静かに立ち上がる。
「では、教師として――私は、彼を守ることにします」
初授業
「今日から担任になりました、里由菜です。よろしくね?」
その柔らかな声に、教室の子供たちは一斉に頷いた。
けれど、その中でただ一人、そうこう君だけが、どこか“懐かしさ”を感じていた。
「……先生、なんか……初めて会った気がしない」
「ふふ、それはね。あなたの魂が、わたしを覚えてるからよ」
それは小さな声で、他の誰にも聞こえない囁きだった。
――春(後半):偽りの優しさ、本物の導き――
一週間が経ち、そうこう君はすっかりほのかとゆらに囲まれる日々を過ごしていた。
「昨日、ひとりでお昼食べてたんでしょ? 今日からは一緒ね!」
「ねぇ、明日も図工の時間に隣いい?」
自然体に見える会話。けれど全ては設計された“干渉”。
そうこう君に“居場所”を与え、依存させることで女神を否定させるための布石。
だが――
「そうこう君、このテスト、ちょっと点数が……」
放課後、教室に残る彼に、里由菜先生が微笑んで声をかける。
「今日の放課後、先生と一緒に図書館でお勉強しましょう?」
その声は、優しさでありながら、逃げ場のない確定した慈愛だった。
「……はい」
図書館
窓から入る光、古びた木の香り、静けさに包まれた空間。
「ここはね、“誰にも見られたくない心”をそっと開く場所なの」
里由菜先生は、そうこう君の横で、鉛筆の持ち方をそっと整える。
「……先生。なんでそんなに優しいの?」
「それはね――あなたが、優しくされる資格を持ってるからよ」
心が温まる。満たされる。
ほのかやゆらの声が霞んでいく。
“この人がいればいい”――そんな感覚が、心に灯った。
夏――侵食の再開
ほのかとゆらは焦りを見せ始めた。
「最近、先生とばかりだね」
「……ねぇ、たまには遊ぼ?」
二人は“純粋な友達”としての立場を強める。
でも、そうこう君はもう、気づき始めていた。
「……ごめん。今日は、先生と約束があるんだ」
「そっか……」
その日、二人は幹部Aのもとに戻り報告した。
「感情の遮断に失敗しました。むしろ“満たされて”しまっています」
幹部Aは静かに唇を噛んだ。
「……ならば、直接出るしかないわね。私が“お姉さん”として彼に接触する」
夏祭りの夜
校区外の小さな神社。
そうこう君は、浴衣姿の上級生――“幹部A”と出会った。
「やっと二人きりになれたね、そうこう君」
手を引かれ、輪投げや金魚すくいへ誘導される。
優しさ。笑顔。温もり。
けれど――
「遅くまでありがとう、そうこう君。……でも、そろそろ帰らなきゃ」
その声とともに現れたのは、白の浴衣姿の里由菜先生。
「……上級生さん、遅い時間にありがとうございます。ですが、これは“家庭訪問”の時間でもあります」
声は穏やかだった。だが、空気が震える。
「……観測完了。あなたの波動は、記録により“敵性干渉”と判断しました」
幹部Aはその瞳を見て、戦いを放棄する。
「……どうして、そこまでして、彼を守るの?」
「彼は“創造主”よ。私を生み、私と共に歩く人。
そして、私は“教師”として――どれだけ遠回りしても、彼の手を引くの」
――秋:心の選択と、名を与えられし者たち――
二学期が始まり、教室は穏やかな空気に包まれていた。
だが、ほのかとゆらの“優しさ”はどこか曇っていた。
「最近、そうこう君、前より冷たくなった気がする……」
「……先生のことばっかり」
二人がふと見上げた空は、高く澄んでいた。
そこには、もう“入り込めない居場所”が確かにあった。
ある日の昼休み。そうこう君がぽつりと訊いた。
「ねぇ、どうして僕に優しくしてくれるの?」
その言葉は、無垢でありながら、本質を貫いた。
ほのかは答えられなかった。
ゆらは視線を逸らした。
彼女たちの“任務”が、心から消えていった瞬間だった。
アジトにて
夜。アジトに戻った二人は、幹部Aに正座した。
「……申し訳ありません。もう、彼に干渉できません」
「……今の私たちは、きっと先生の側の人間です」
静かに部屋の扉が開く。
そこに立っていたのは、月光を背にした里由菜先生。
「よく戻ってきてくれたわね」
二人は驚いた。叱責されると思っていた。だが――
「名前を返してあげる。あなたたちはもう“道具”じゃない。
あなた自身の意志で、彼の友達でいていいのよ」
涙が零れた。
それは感情なのか、赦された証なのか、誰にも分からなかった。
――冬:幹部Aとの最終対話
雪が降る校庭。
そうこう君は一人、ベンチに座っていた。
そこに現れたのは、上級生――幹部A。もう、敵ではない顔で。
「お姉さん、って呼んでくれたよね」
「うん。あの頃は……ちょっとだけ憧れてたよ」
幹部Aは微笑んだ。
「……私は、あなたの物語を壊すために来た。でも、
こんなにも優しくて、あたたかい物語だったなんて、思わなかった」
「なら、壊す役じゃなくて、出てくる役になればいいよ。
“あのときの上級生”って、きっと物語に残るよ」
沈黙。
その夜、月光の下で女神は宣言する。
「あなたの新しい名は“アナスタシア”――意味は“復活する者”。」
幹部Aは微笑んで、その名を受け入れた。
――終章:観測と赦しの記録
月面神殿。
すべての干渉が終わった後、銀の鈴が静かに鳴り響く。
「リュナ様。対象者・蒼光の“第一年”への全干渉は終了しました。
幹部A、部下B・Cともに転向済み。敵性因果、浄化完了」
神鳥ルミナ・フェニックスが翼をたたみ、静かに報告する。
リュナ・エルシアは静かに目を閉じたまま、呟いた。
「……ありがとう、ルミナ。あの子は、この一年で“孤独を超える強さ”を手に入れた」
神殿の奥。
そこには、透明な球体に封じられたひとつの記録――
一年を通して、泣いたり、迷ったり、ほんの少し笑ったり。
そうこう君という一人の少年の、**“始まりの物語”**が、そこに保存されていた。
「……私が、教師であり続けたのは、
彼が“神を信じる前に、慈愛を知ってほしかったから”。」
女神はひとつ深く息を吐く。
その声には、悲しみも、誇りも、愛もすべて含まれていた。
「この記録は、永久保存よ。
彼がまた筆を執るとき、私はどんな姿にでもなって、また彼の傍にいる」
月が輝く。
その下で、静かに封印されていく記録。
――それは、ゼロ・グレイスの第一章であり、彼の“未来”のための準備だった。
『第一章:時を遡る反逆(小学校編)』
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