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秘密の部屋
秘密の部屋6
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乙の部屋のドアをノックしたが、反応がなかった。
しかし、ティータイムに乙が何も言わずに出掛ける事は考えにくい。
瀾は遠慮がちに、そっとドアを覗くと忍ぶように中に入った。
「乙…様?」
中は静まり返り、瀾の声が虚しく響いただけだ。
どうする事も出来ず瀾が少したたずんでいると、部屋の何処からかカチャカチャと物音がする。
程なくして眼鏡を掛け、白衣を纏った乙が部屋の奥ばった小さな廊下から出て来た。
確か、あそこは瀾が乙に初めて会って足をひねった時に乙が消えていった場所だ。
「ッ!!…な、瀾!!」
瀾を見るなり驚いた顔をした。
どうやら部屋に瀾が入ってきた事すら気が付かなかったらしい。
「ど、どうしたんだ?こんな所で」
何やら乙の様子がおかしい。
瀾は、少し不思議そうに口を開いた。
「お茶のお時間でしたから…」
「あ、ああ、もうそんな時間か」
「あの…私、お邪魔でしたでしょうか…?」
瀾は、少し俯いた。
「いや、そんな事はない。
せっかく瀾が持ってきてくれた紅茶だ。
冷めない内に頂くよ」
俯いている瀾に近づくと眼鏡を外し、唇を重ねた。
「ん///」
「どうしたんだ?
元気がないみたいだが?」
「あ…いえ、ただお邪魔だったかなって思ってしまって…。
乙様、私を見てビックリなさっていたので…」
「フッ…そんな事か」
「それにその格好…」
「ああ、これか?ちょっとな…」
言葉を濁した乙に瀾は、また目を伏せた。
乙にだって話したくない事の一つや二つあって当然だろう。
でも、何処か寂しさが瀾の胸を撫でていく。
乙は、そんな瀾を抱き寄せると優しく口を開いた。
「心配しなくても、ティータイムが終わったら教えてやるよ」
「…え?」
「気になるんだろう?
俺が何をしていたのか」
瀾は俯いたまま、少し遠慮がちにコクンと頷いた。
「さ、その前にひと休憩だ。
瀾も付き合えよ」
「は、はい…///」
瀾は、アップルパイと紅茶を乙の前に用意し、自分の分も入れた。
主人専属のメイドは、乙と聖慈の場合、大抵ティータイムに一緒に過ごす為、カップは二つ用意する。
ケーキも小さいとはいえワンホールあるので、2人で食べるにはちょうど良い。
アップルパイは控えめの甘さだったがサクサクとしたパイと甘酸っぱいリンゴの歯応えに瀾は、幸せそうにティータイムを楽しんでいる。
乙もそんな瀾を横目に微笑みがこぼれた。
「本当に美味そうに食べるんだな」
「え…」
「クス…」
「わ、私!!そんなに乙様に笑われる程、はしたない食べ方をしていたんでしょうか!?」
「そういう意味じゃない。
瀾は、見ている方が食べさせて良かったと思うような食べ方をするって事だ♪」
「…///」
「クス…ほら、シロップがついてるぞ」
乙は瀾の口の端についたシロップをペロリと舐めた。
「///」
「可愛いな…」
乙の笑顔に恥ずかしくなった瀾は、慌てて話をそらした。
「そ、そう言えば!!
もうすぐですよねっ!!」
そこまで言うと瀾は墓穴を掘った事にハッとして、少し淋しそうに微笑みながら静かに続けた。
「…編入…」
「そうだなぁ」
乙は何気なく答える。
瀾は、わざと明るく話を続けた。
「な、何か楽しみですね?
素敵な学校だといいですね!!」
「ああ」
「な、何か良いなぁ~」
乙は瀾の頭にポフンと置くと、フッと微笑んだ。
「解りやすい奴…」
「な、何がですかぁ!!」
「フッ…別に。
さ、ティータイムも終わったし行くか」
しかし、ティータイムに乙が何も言わずに出掛ける事は考えにくい。
瀾は遠慮がちに、そっとドアを覗くと忍ぶように中に入った。
「乙…様?」
中は静まり返り、瀾の声が虚しく響いただけだ。
どうする事も出来ず瀾が少したたずんでいると、部屋の何処からかカチャカチャと物音がする。
程なくして眼鏡を掛け、白衣を纏った乙が部屋の奥ばった小さな廊下から出て来た。
確か、あそこは瀾が乙に初めて会って足をひねった時に乙が消えていった場所だ。
「ッ!!…な、瀾!!」
瀾を見るなり驚いた顔をした。
どうやら部屋に瀾が入ってきた事すら気が付かなかったらしい。
「ど、どうしたんだ?こんな所で」
何やら乙の様子がおかしい。
瀾は、少し不思議そうに口を開いた。
「お茶のお時間でしたから…」
「あ、ああ、もうそんな時間か」
「あの…私、お邪魔でしたでしょうか…?」
瀾は、少し俯いた。
「いや、そんな事はない。
せっかく瀾が持ってきてくれた紅茶だ。
冷めない内に頂くよ」
俯いている瀾に近づくと眼鏡を外し、唇を重ねた。
「ん///」
「どうしたんだ?
元気がないみたいだが?」
「あ…いえ、ただお邪魔だったかなって思ってしまって…。
乙様、私を見てビックリなさっていたので…」
「フッ…そんな事か」
「それにその格好…」
「ああ、これか?ちょっとな…」
言葉を濁した乙に瀾は、また目を伏せた。
乙にだって話したくない事の一つや二つあって当然だろう。
でも、何処か寂しさが瀾の胸を撫でていく。
乙は、そんな瀾を抱き寄せると優しく口を開いた。
「心配しなくても、ティータイムが終わったら教えてやるよ」
「…え?」
「気になるんだろう?
俺が何をしていたのか」
瀾は俯いたまま、少し遠慮がちにコクンと頷いた。
「さ、その前にひと休憩だ。
瀾も付き合えよ」
「は、はい…///」
瀾は、アップルパイと紅茶を乙の前に用意し、自分の分も入れた。
主人専属のメイドは、乙と聖慈の場合、大抵ティータイムに一緒に過ごす為、カップは二つ用意する。
ケーキも小さいとはいえワンホールあるので、2人で食べるにはちょうど良い。
アップルパイは控えめの甘さだったがサクサクとしたパイと甘酸っぱいリンゴの歯応えに瀾は、幸せそうにティータイムを楽しんでいる。
乙もそんな瀾を横目に微笑みがこぼれた。
「本当に美味そうに食べるんだな」
「え…」
「クス…」
「わ、私!!そんなに乙様に笑われる程、はしたない食べ方をしていたんでしょうか!?」
「そういう意味じゃない。
瀾は、見ている方が食べさせて良かったと思うような食べ方をするって事だ♪」
「…///」
「クス…ほら、シロップがついてるぞ」
乙は瀾の口の端についたシロップをペロリと舐めた。
「///」
「可愛いな…」
乙の笑顔に恥ずかしくなった瀾は、慌てて話をそらした。
「そ、そう言えば!!
もうすぐですよねっ!!」
そこまで言うと瀾は墓穴を掘った事にハッとして、少し淋しそうに微笑みながら静かに続けた。
「…編入…」
「そうだなぁ」
乙は何気なく答える。
瀾は、わざと明るく話を続けた。
「な、何か楽しみですね?
素敵な学校だといいですね!!」
「ああ」
「な、何か良いなぁ~」
乙は瀾の頭にポフンと置くと、フッと微笑んだ。
「解りやすい奴…」
「な、何がですかぁ!!」
「フッ…別に。
さ、ティータイムも終わったし行くか」
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