85 / 166
秘密の部屋
秘密の部屋9
しおりを挟む
―― 気が付くと乙のベッドに横たわりシーツがかけられている。
纏うものもなく、シーツを体に巻きフラフラと壁伝いに力なく寝室からメインルームへ行くと、既にいつもの格好の乙がソファーで静かに紅茶を飲んでいる。
「乙…様…」
「!! 瀾…。
身体の方は、もう大丈夫なのか?」
「は、はい…」
返事をし終えるとカクンと腰に力が抜け、ズルズルと腰を床に付いた。
意外にも乙は冷静で、静かに瀾に近づくとひざまずき瀾に言葉を投げた。
「無理をするな。
どうやら、まだ大丈夫じゃなさそうだな。
あれだけ激しく何度もしたんだ、腰が立たなくなって同然だ。
もう少し横になっていろ」
「…はぃ…」
乙は瀾を抱き抱え、ベッドへと運んだ。
何故だろうか…。
乙が妙に冷たい気がする。
「どうした?」
「…ぃぇ…」
ベッドに瀾をそっと下ろすと、またベッドから離れようとする。
とっさに瀾は乙の手を掴んだ。
「?」
「…ぁ…」
瀾は、気まずそうにサッと手を離し俯いた。
そのまま見送れば、また…乙が遠くなってしまいそうな気がしたからだ。
乙は、顔色一つ変えず瀾の頭を撫でるとポツリと口を開いた。
「飲み物を持ってくるだけだ。
水分を取らないと回復するものもしないぞ。
すぐ戻ってくる」
「…はぃ…」
瀾の胸がズキンと音を鳴らした。
何故、こんなに違和感を感じるのだろうか?
乙が戻ってくるとスポーツ飲料っぽい物を瀾に手渡し、ベッドに腰を下ろしす。
グラスを両手に持つが、その中身は小刻みに波を打ってぶつかり合って居るのが解る。
乙はスルリとグラスを奪い、口に運ぶと瀾に口移しで渡した。
「ん…ふぁ~」
「1人で飲み物が飲めない程とは、よほど体力を失ってるみたいだな。
そんなに強くはないはずなんだが、瀾には強力過ぎたらしいな」
その後、何度か飲み物を口移しで受け取りベッドに横になる。
瀾は、聞きにくそうに乙に質問を投げた。
「乙様…、私…あれからどうしちゃったんでしょうか…」
「憶えてないのか?」
「…途中から記憶が途切れ途切れになっていて…」
「まぁ…無理もないだろうな」
「あの…私…何か変な事をしてしまったんでしょうか…?」
「何故、そう思うんだ?」
「……」
途端に瀾は、口をつぐみ寂しそうに俯いてしまった。
瀾の口から【冷たい気がする】とは言えなかったからだ。
乙が瀾の質問に答えるため、口を開いた。
「あの後、何度も快楽を求めて最後に気を失ったんだ。
……瀾」
「…はい?」
「瀾は、俺の事が好きか?」
「え…」
乙の唐突な質問に、困惑を隠せなかった。
しかし、質問をした乙は不思議と淡々としていた。
瀾は、小さくうなずく。
「そうか…」
乙は、それだけ言うと静かになる。
瀾は、乙の雰囲気に違和感が抜けないまま乙に質問を投げた。
「き、乙様は…?」
「え?」
「わ、私の事…///」
「愚問だな。
…好みじゃない女を抱くほど飢えてはいない」
普通この質問を投げれば、返ってくる言葉はたいてい想像がつくが、乙が返した言葉はそれではなかった。
「乙様は…言ってくれないんですね…」
「何をだ?」
「私の事…どう思っているのか…」
「クス、今さっき答えただろう?」
「そうではなくて…もっと他の…」
「他の…何だ?」
笑顔を作っているが、ソレは乙から放たれていたのが解る。
何だろうか…違和感があるまま瀾は続けた。
「…好き…とか…」
「言葉なんてものは軽いものだ」
「でも…もうすぐ乙様、寮制の学校に編入してしまうし…好きな人の言葉なら!!
私、聞きたいんです…。
軽くなんかない…私は…乙様の事、愛し…」
途端に瀾のトリップ中の記憶が、物凄いスピードでフラッシュバックした。
───激しく刺激を求めながら、乙に言った言葉…。
「ア・ア!!乙様…私、乙様の事愛してますぅ…アアン//」
「…そうか…」
「乙様は…言ってくれないんですか///私の事…」
途端に乙の動きは激しさを増す。
「ハァアア!!あ・ア・ア・////ダ…ダメッ!!アアン//
そんなに…したら私…アア、壊れちゃう////」
絶頂と共に瀾の意識は、遠く離れていったのだった。
「…憶えてたら…言ってやるよ…」
乙は静かに耳元で囁いた───
「…て…ます。だから…」
ヒヤリ…
一瞬、冷たい風が吹いたような気がする。
しかし、それは乙から放たれていたのがすぐに解る。
瀾の言葉に乙の眉間がピクリと動いた。
「…だから?」
「あの…」
乙は、冷ややかな雰囲気をかもしつつその後、何も言わずスッとベッドから離れ寝室を出ていった。
瀾は思わず体を起こしたが、乙に声をかけることすら出来ず、寝室を出ていく乙をただ見つめるしか出来なかった。
纏うものもなく、シーツを体に巻きフラフラと壁伝いに力なく寝室からメインルームへ行くと、既にいつもの格好の乙がソファーで静かに紅茶を飲んでいる。
「乙…様…」
「!! 瀾…。
身体の方は、もう大丈夫なのか?」
「は、はい…」
返事をし終えるとカクンと腰に力が抜け、ズルズルと腰を床に付いた。
意外にも乙は冷静で、静かに瀾に近づくとひざまずき瀾に言葉を投げた。
「無理をするな。
どうやら、まだ大丈夫じゃなさそうだな。
あれだけ激しく何度もしたんだ、腰が立たなくなって同然だ。
もう少し横になっていろ」
「…はぃ…」
乙は瀾を抱き抱え、ベッドへと運んだ。
何故だろうか…。
乙が妙に冷たい気がする。
「どうした?」
「…ぃぇ…」
ベッドに瀾をそっと下ろすと、またベッドから離れようとする。
とっさに瀾は乙の手を掴んだ。
「?」
「…ぁ…」
瀾は、気まずそうにサッと手を離し俯いた。
そのまま見送れば、また…乙が遠くなってしまいそうな気がしたからだ。
乙は、顔色一つ変えず瀾の頭を撫でるとポツリと口を開いた。
「飲み物を持ってくるだけだ。
水分を取らないと回復するものもしないぞ。
すぐ戻ってくる」
「…はぃ…」
瀾の胸がズキンと音を鳴らした。
何故、こんなに違和感を感じるのだろうか?
乙が戻ってくるとスポーツ飲料っぽい物を瀾に手渡し、ベッドに腰を下ろしす。
グラスを両手に持つが、その中身は小刻みに波を打ってぶつかり合って居るのが解る。
乙はスルリとグラスを奪い、口に運ぶと瀾に口移しで渡した。
「ん…ふぁ~」
「1人で飲み物が飲めない程とは、よほど体力を失ってるみたいだな。
そんなに強くはないはずなんだが、瀾には強力過ぎたらしいな」
その後、何度か飲み物を口移しで受け取りベッドに横になる。
瀾は、聞きにくそうに乙に質問を投げた。
「乙様…、私…あれからどうしちゃったんでしょうか…」
「憶えてないのか?」
「…途中から記憶が途切れ途切れになっていて…」
「まぁ…無理もないだろうな」
「あの…私…何か変な事をしてしまったんでしょうか…?」
「何故、そう思うんだ?」
「……」
途端に瀾は、口をつぐみ寂しそうに俯いてしまった。
瀾の口から【冷たい気がする】とは言えなかったからだ。
乙が瀾の質問に答えるため、口を開いた。
「あの後、何度も快楽を求めて最後に気を失ったんだ。
……瀾」
「…はい?」
「瀾は、俺の事が好きか?」
「え…」
乙の唐突な質問に、困惑を隠せなかった。
しかし、質問をした乙は不思議と淡々としていた。
瀾は、小さくうなずく。
「そうか…」
乙は、それだけ言うと静かになる。
瀾は、乙の雰囲気に違和感が抜けないまま乙に質問を投げた。
「き、乙様は…?」
「え?」
「わ、私の事…///」
「愚問だな。
…好みじゃない女を抱くほど飢えてはいない」
普通この質問を投げれば、返ってくる言葉はたいてい想像がつくが、乙が返した言葉はそれではなかった。
「乙様は…言ってくれないんですね…」
「何をだ?」
「私の事…どう思っているのか…」
「クス、今さっき答えただろう?」
「そうではなくて…もっと他の…」
「他の…何だ?」
笑顔を作っているが、ソレは乙から放たれていたのが解る。
何だろうか…違和感があるまま瀾は続けた。
「…好き…とか…」
「言葉なんてものは軽いものだ」
「でも…もうすぐ乙様、寮制の学校に編入してしまうし…好きな人の言葉なら!!
私、聞きたいんです…。
軽くなんかない…私は…乙様の事、愛し…」
途端に瀾のトリップ中の記憶が、物凄いスピードでフラッシュバックした。
───激しく刺激を求めながら、乙に言った言葉…。
「ア・ア!!乙様…私、乙様の事愛してますぅ…アアン//」
「…そうか…」
「乙様は…言ってくれないんですか///私の事…」
途端に乙の動きは激しさを増す。
「ハァアア!!あ・ア・ア・////ダ…ダメッ!!アアン//
そんなに…したら私…アア、壊れちゃう////」
絶頂と共に瀾の意識は、遠く離れていったのだった。
「…憶えてたら…言ってやるよ…」
乙は静かに耳元で囁いた───
「…て…ます。だから…」
ヒヤリ…
一瞬、冷たい風が吹いたような気がする。
しかし、それは乙から放たれていたのがすぐに解る。
瀾の言葉に乙の眉間がピクリと動いた。
「…だから?」
「あの…」
乙は、冷ややかな雰囲気をかもしつつその後、何も言わずスッとベッドから離れ寝室を出ていった。
瀾は思わず体を起こしたが、乙に声をかけることすら出来ず、寝室を出ていく乙をただ見つめるしか出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
さくらと遥香(ショートストーリー)
youmery
恋愛
「さくらと遥香」46時間TV編で両想いになり、周りには内緒で付き合い始めたさくちゃんとかっきー。
その後のメインストーリーとはあまり関係してこない、単発で読めるショートストーリー集です。
※さくちゃん目線です。
※さくちゃんとかっきーは周りに内緒で付き合っています。メンバーにも事務所にも秘密にしています。
※メインストーリーの長編「さくらと遥香」を未読でも楽しめますが、46時間TV編だけでも読んでからお読みいただくことをおすすめします。
※ショートストーリーはpixivでもほぼ同内容で公開中です。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる