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出会いと学生生活
大好きな阪神タイガース
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人は生きていてこよなく愛しているものがいくつかあるだろう。
例えばそれは妻かもしれないし、家族かもしれない。そういったものは愛しているのは当たり前なのだからいちいちそうは言わないにしても趣味的なものでこよなく愛しているものはあるだろう。
ボクが今までの人生の中でこよなく愛し続けてきたものの一つに阪神タイガースがある。
なんで阪神が好きなのか……と言われれば非常に難しい。きっかけはいろいろあるのだろうけど、そのきっかけの最たる要因としては父親が阪神ファンだったということと、小学校4年生まではボクは兵庫県の西宮市に在住していたという事実をあげることができるだろう。
たったそれだけの理由で……と我ながら思う。まあ、好きになるというのはそう言うものだろう。そこに明確な理由など設けてはいけないような気がする。
説明は不要かと思うが……
阪神タイガースというチームは伝統ある球団である割に非常に勝負弱い球団であり、基本的に勝たなくてはいけない試合では勝てず、いつも優勝できない。優勝できないだけでAクラスにいつもいるならいいが、基本的にはBクラス。いつも勝てない、万年Bクラスというイメージの強い球団なのである。
ボクの今を知る人間は信じられないかもしれないが、あまりに弱いタイガースを見て、何度かファンを辞めようかと思ったことがある。
特に80年代の後半から90年代にかけての暗黒期には本気で野球のやの字も見ないことも少なくなかった。小学4年生で横浜に引っ越してきたあとは、高校に入学するまでは友人と野球の話などしたことがなかった。
横浜では阪神ファンは少なかった。
いや……少ないというより、実は多かったのかもしれないが、暗黒期のタイガースの不甲斐なさに野球の話などしたくもないファンが多かったのだろうから、タイガースファンがいないというより、野球の話を率先してするタイガースファンが少なかったので、その存在があまり感じられなかったというのが事実だろう。
さて……1992年。
ボクが高校に入学した年。
セントラルリーグを制したのは名将、野村克也氏が率いるヤクルトスワローズだった。
ところが、この年、暗黒時代の阪神タイガースが一瞬の輝きを取り戻した。仲田、中込、湯舟などの先発投手陣が目覚ましい活躍をし、野手では亀山が気持ちを前面に出したヘッドスライディングで前半戦は白星を重ねた。
オールスターを挟み、後半戦から失速していったが、それでも例年のタイガースよりはがんばっていたので高校生だったボクは夢中になって野球を見続けていた。
スーパースターでもある新庄剛志が鮮烈なプレーをして甲子園を沸かしたのもこの年が最初だったとボクは記憶している。
結論から言えば、この年以降、2003年の優勝まで10年以上優勝がなかった……。
横浜スタジアムにもよく出かけた。
今でもちょくちょく野球観戦に行くが当時もなかなか面白かった。
ボクが行くと、先発は大抵、仲田か湯舟だった。1992年といえば小川洋子先生の『博士の愛した数式』の背景である。
一人で行動するのはそんなに好きではないボク。
基本的に寂しがり屋で誰かと一緒にいたいと思っているボクは野球に行く時もだれかと行く時の方が多かった。
それでボクは保田くんを誘うことにした。保田くんを球場に連れて行ったのは、野球の魅力を知ってもらいたいということが第一だった。
いつもは強引に誘わなければ来ない保田くんだが、今回はすんなり来た。
野球には関心がなかったのだが、それでも嫌ではなかったのだろう。
特に彼は生でみたホームランが忘れられなかったらしい。
分かる気はする。
ただ……残念なことにそのホームランは阪神の選手が打ったものではなかった。
確かその日の先発は湯舟だった。
7回に湯舟が投げた球がバッターに弾き返されてキレイな放物線を描いてレフトスタンドに入った。
打ったのは当時まだ若かった横浜大洋ホエールズの佐伯。
『あほーーーーーーーー!!!!!!』
『入るなーーーーー!!!』
『ファールじゃファール!!!』
ちなみに……ポール際ではなかったと記憶しているので間違いなくファールではない。
阪神ファンの怒号の中……。
保田くんは小さな声で歓喜の声を上げた。
『うわ~。』
プロ野球は生で見るに限る。
それは打つにしても守るにしても生の迫力はTVのものとは違うからである。
読者で少しでも野球に興味のある方がいるなら近所の球場に足を運んでほしい。TVとの違いに感動するはずである。
特に生で見るホームランはすごい迫力なのだ。
ピッチャーが投げたボールが、見ている場所から一番遠いバッターボックスで『カコン!』という乾いた打球音とともにはじき返され、自分のいるところにきれいな放物線をえがいて向かってくるあのときの迫力は筆舌しがたいものがある。
そんなこんなで野球が好きになり、高校時代はナイターもちょくちょくチェックするようになった保田くん。
実は彼は当時から斉藤隆投手が好きだった。
当時の斉藤は年間7勝ぐらいの若手ピッチャーだったが、とにかく148キロの早くてキレのあるストレートを投げ込むスタイルは魅力的だった。
斉藤の投げた試合の後は、保田くんは機嫌良く登校していたように記憶している。
1992年。
阪神タイガースは優勝を逃した。
横浜大洋ホエールズは、この年を最後に消滅し、横浜ベイスターズとなった。
ボクも保田くんも、この年……くだらないことはいつも考えていたが、大事なことは何一つ考えずに高校生活を送っていた。
この年を境に阪神も横浜も優勝からは遠ざかっていた。もともと横浜は優勝から遠いチームではあるものの、93年に『横浜ベイスターズ』として生まれ変わってからは、徐々にその存在は大きくなって行ってはいたものの、日本一になったのは1998年だったわけで、高校在学中にはボクらはその強さに触れることは一切なかった。
阪神に至っては2003年まで優勝がないわけだから、ボクがこの分野で高校生活をいかにさみしく送ったかは言うまでもないことであろう。
例えばそれは妻かもしれないし、家族かもしれない。そういったものは愛しているのは当たり前なのだからいちいちそうは言わないにしても趣味的なものでこよなく愛しているものはあるだろう。
ボクが今までの人生の中でこよなく愛し続けてきたものの一つに阪神タイガースがある。
なんで阪神が好きなのか……と言われれば非常に難しい。きっかけはいろいろあるのだろうけど、そのきっかけの最たる要因としては父親が阪神ファンだったということと、小学校4年生まではボクは兵庫県の西宮市に在住していたという事実をあげることができるだろう。
たったそれだけの理由で……と我ながら思う。まあ、好きになるというのはそう言うものだろう。そこに明確な理由など設けてはいけないような気がする。
説明は不要かと思うが……
阪神タイガースというチームは伝統ある球団である割に非常に勝負弱い球団であり、基本的に勝たなくてはいけない試合では勝てず、いつも優勝できない。優勝できないだけでAクラスにいつもいるならいいが、基本的にはBクラス。いつも勝てない、万年Bクラスというイメージの強い球団なのである。
ボクの今を知る人間は信じられないかもしれないが、あまりに弱いタイガースを見て、何度かファンを辞めようかと思ったことがある。
特に80年代の後半から90年代にかけての暗黒期には本気で野球のやの字も見ないことも少なくなかった。小学4年生で横浜に引っ越してきたあとは、高校に入学するまでは友人と野球の話などしたことがなかった。
横浜では阪神ファンは少なかった。
いや……少ないというより、実は多かったのかもしれないが、暗黒期のタイガースの不甲斐なさに野球の話などしたくもないファンが多かったのだろうから、タイガースファンがいないというより、野球の話を率先してするタイガースファンが少なかったので、その存在があまり感じられなかったというのが事実だろう。
さて……1992年。
ボクが高校に入学した年。
セントラルリーグを制したのは名将、野村克也氏が率いるヤクルトスワローズだった。
ところが、この年、暗黒時代の阪神タイガースが一瞬の輝きを取り戻した。仲田、中込、湯舟などの先発投手陣が目覚ましい活躍をし、野手では亀山が気持ちを前面に出したヘッドスライディングで前半戦は白星を重ねた。
オールスターを挟み、後半戦から失速していったが、それでも例年のタイガースよりはがんばっていたので高校生だったボクは夢中になって野球を見続けていた。
スーパースターでもある新庄剛志が鮮烈なプレーをして甲子園を沸かしたのもこの年が最初だったとボクは記憶している。
結論から言えば、この年以降、2003年の優勝まで10年以上優勝がなかった……。
横浜スタジアムにもよく出かけた。
今でもちょくちょく野球観戦に行くが当時もなかなか面白かった。
ボクが行くと、先発は大抵、仲田か湯舟だった。1992年といえば小川洋子先生の『博士の愛した数式』の背景である。
一人で行動するのはそんなに好きではないボク。
基本的に寂しがり屋で誰かと一緒にいたいと思っているボクは野球に行く時もだれかと行く時の方が多かった。
それでボクは保田くんを誘うことにした。保田くんを球場に連れて行ったのは、野球の魅力を知ってもらいたいということが第一だった。
いつもは強引に誘わなければ来ない保田くんだが、今回はすんなり来た。
野球には関心がなかったのだが、それでも嫌ではなかったのだろう。
特に彼は生でみたホームランが忘れられなかったらしい。
分かる気はする。
ただ……残念なことにそのホームランは阪神の選手が打ったものではなかった。
確かその日の先発は湯舟だった。
7回に湯舟が投げた球がバッターに弾き返されてキレイな放物線を描いてレフトスタンドに入った。
打ったのは当時まだ若かった横浜大洋ホエールズの佐伯。
『あほーーーーーーーー!!!!!!』
『入るなーーーーー!!!』
『ファールじゃファール!!!』
ちなみに……ポール際ではなかったと記憶しているので間違いなくファールではない。
阪神ファンの怒号の中……。
保田くんは小さな声で歓喜の声を上げた。
『うわ~。』
プロ野球は生で見るに限る。
それは打つにしても守るにしても生の迫力はTVのものとは違うからである。
読者で少しでも野球に興味のある方がいるなら近所の球場に足を運んでほしい。TVとの違いに感動するはずである。
特に生で見るホームランはすごい迫力なのだ。
ピッチャーが投げたボールが、見ている場所から一番遠いバッターボックスで『カコン!』という乾いた打球音とともにはじき返され、自分のいるところにきれいな放物線をえがいて向かってくるあのときの迫力は筆舌しがたいものがある。
そんなこんなで野球が好きになり、高校時代はナイターもちょくちょくチェックするようになった保田くん。
実は彼は当時から斉藤隆投手が好きだった。
当時の斉藤は年間7勝ぐらいの若手ピッチャーだったが、とにかく148キロの早くてキレのあるストレートを投げ込むスタイルは魅力的だった。
斉藤の投げた試合の後は、保田くんは機嫌良く登校していたように記憶している。
1992年。
阪神タイガースは優勝を逃した。
横浜大洋ホエールズは、この年を最後に消滅し、横浜ベイスターズとなった。
ボクも保田くんも、この年……くだらないことはいつも考えていたが、大事なことは何一つ考えずに高校生活を送っていた。
この年を境に阪神も横浜も優勝からは遠ざかっていた。もともと横浜は優勝から遠いチームではあるものの、93年に『横浜ベイスターズ』として生まれ変わってからは、徐々にその存在は大きくなって行ってはいたものの、日本一になったのは1998年だったわけで、高校在学中にはボクらはその強さに触れることは一切なかった。
阪神に至っては2003年まで優勝がないわけだから、ボクがこの分野で高校生活をいかにさみしく送ったかは言うまでもないことであろう。
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