隣の二階堂さん

阪上克利

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家で寝るのはベッドがいいのか否か

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 隣の二階堂さんには変な癖がある。
 考え事をして煮詰まってくると部屋の壁を叩くのだ。
 最初はびっくりしたけど、変な癖だと知ってからは何も怖くはない。
 ちょっと変わっている二階堂さんは実は子供や動物が大好きだ。

 彼女が何かに煮詰まってきている時にお茶に誘って話を聞くのはとても楽しい。そんな時間をあたしも夕凪ゆうなも楽しみにしている。

 どんどんどんどん…

 あたしと夕凪ゆうなは顔を見合わせる。
 やっぱり壁を叩く音がする。
 あたしは夕凪ゆうなに言った。
 『お姉ちゃん、呼んできてくれる? 甘いものでも食べましょうって。』


 --------------


 家に帰ってくるとまず部屋着に着替える。

 部屋着と言ってもジャージとシャツなのだが、仕事に行く時はリクルートスーツを着ているし、履物もそれなりにヒールなので疲れて仕方ない。
 足がむくむのはヒールのせいではないか……ということに最近気づいたので、これに関してはあたしの不摂生は全く関係ないと結論づけることにした。

 とにかく……ヒールとリクルートスーツで1日中、締め付けられた身体は夕方になると悲鳴を上げだす。

 だから自宅に帰ると1にも2にもまずは着替え、そして靴下を脱いで、メイクを落とす。
 それからお風呂を沸かし、しばらく何もせずにベッドに横になる。

 不思議なもので会社帰りに呑みに行くことになると、身体からの悲鳴は嘘のように消える。
 病は気からという言葉はどうやら本当のようだ。

 そういえば……
 最近、ベッドを購入した。
 家具屋で購入した……と言いたいところだが、あたしが働いているのは家具のメーカーなので社員割引で購入したのだ。

 しかも少し奮発してモーターがついているものにしてみた。

 これがなかなか優れもので背上げと足上げ、高さ調整までついている。
 ベッドの周りに机などおいて、そこにお気に入りの本とメイク道具、そしてテレビのリモコンも置いた。
 トイレとお風呂以外はこれで動かなくて済む。
 奮発してベッドにして本当に良かった。
 家にいる時ぐらいはゆっくりとリラックスしたいものである。

『ふううう』と深呼吸してベッドに寝転び天井を眺める。

 良い眺めだ。このまま眠ってしまいそうだ。
 ご飯食べてないけど、まあ……眠いならいいかな?
 いや。食べとかないと夜中にお腹がすいてえらいことになりそうだ。

 あたしはすぐにベッドから飛び起きて、お風呂のガスを止めに行った。

 それにしても一人暮らしにはやはりベッドが最適なような気がする。
 もう、家に帰ってきたときのリラックス感がまったく違う。

 布団に占領されていた押し入れにも他のものを入れることができるし、上げたり引いたりの手間はなくなるし……。

 でもなあ……
 こんなに動かなくてもいいものなのだろうか。
 下手したら仕事終わって、自宅に帰ってきて、ベッドにごろんとしてそのまま起きたら翌朝だった……なんてことも無きにしも非ずあらずというところではないだろうか。
 それは些かいささか困る。

 起きるのが翌朝ならまだいいが、夜中とかだったらそこからいろんなことをしなくてはならないし、お腹もすくから夜中に何かを食べることになる。これは非常にまずい。

 まあ……
 よくよく考えれば、まずいも何も……ただ単に自制心を養えばいいだけの話なのだが……。
 それが難しかったりもする。

 うーーん……

 考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。

 どうやらあたしはまたやってしまったらしい。
 やはりベッドで寝転んでばかりいないで、少しは動くように心がけることにしよう。
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