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文化祭の思い出
文化祭の思い出
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文化祭を明日に控えて、ミステリー研究会の部員は部室で明日の文化祭の準備をしていた。
T高校の文化祭も他の高校の文化祭とさほど変わらないのだが、クラスごとの出し物、部活ごとの出し物と2種類の出し物があるということも例外ではない。ミステリー研究会は模造紙に推理小説を書いて、犯人を当ててもらうというごく簡単な出し物を考えており前日ではあったものの他の場所とは違い地味な飾り付けは終わり明日の本番を待つのみとなっていた。
ミステリー研究会と言っても、特に何かをしているわけでもない。
もちろん小説は書いているのだが……実質、書いているのは、優等生の関川純だけだった。ほかの部員はそれぞれ運動部と兼部していたりしており、ここに来るときはただ暇つぶしに話をしにくるような感じだった。
高校生ともなると中学と違い、男女が一緒に集まると自然、話も盛り上がったりもする。
『いや、マジな話だけど関川はすごいよ。オレなんかこんな風に話は書けないし』
西岡剛は野球部と兼部していたのだが、この春に引退してからはミステリー研究会に入り浸っていた。剛は野球も好きだが読書もそんなに嫌いではない。もともと野球でも捕手という頭を使うポジションだっただけに、こういう文化系の部活動もやってみたいと思っていたのは彼の偽らざる本音であった。
だから純のことを褒めたのは心からである。
そもそも剛はウソがつけない男であり、そんな性格が災いしてか、野球の方はレギュラーを獲れないでいた。バッティングは良かったのだが守備の方が、特に捕手として投手を引っ張っていくリードが正直すぎるがゆえにレギュラーは獲れないでおり、ついには膝の故障に泣いて夏の大会を前に引退になったのだ。
『オレは西岡もすごいと思うぞ』
そう言ったのは渡辺昭義だった。昭義は兼部はしておらずミステリー研究会一筋で3年間やってきた。
『そうか? いや……そうでもねえって』
照れながら剛は言った。
ミステリー研究会はぬるい関係の仲間が集まる場所だった。
それでも昭義と剛はタイプの違うものの、お互いを認め合うことのできる関係だった。
昭義は3年間、ぼんやりとミステリー研究会にいたから、レギュラーが獲れなくても腐ることなく最後まで野球を続けた剛を尊敬していた。引退したのも膝の故障が原因で、つい最近までは松葉づえで歩かなければいけないぐらいの重症だったのである。故障しても他のやり方で野球部を支えることができる、などという簡単な励ましを、この剛の姿を見てだれが言えるだろうか、昭義はそう思っていた。
そもそも二人はどこか似ている側面があった。
喜怒哀楽がはっきりしているし、正直すぎるぐらい正直で嘘がつけない。
剛がキャッチャーというポジションに向いていなかったのと同じく、昭義もまたミステリー研究会には向いていない男である。
『あんたはいつまで経っても今一つだけどね』
会話に入ってきたのは山口瞳だった。肩にかかるか、かからないかぐらいのさらさらした髪の毛を揺らしながら、両手を腰に当てて仁王立ちして話をするところは、瞳の自信の現れかもしれない。
二重まぶたにぱっちりした目が印象的な彼女には『瞳』という名前がぴったりだった。
瞳は空手部に所属していながら家は剣道の道場を経営しているという変わった経緯を持っている。身長150センチ前後の小柄な彼女だが、その可愛らしい外見とは裏腹に、怒らすと間違いなく怖いので剛も昭義も瞳には逆らわないようにしている。
純、瞳、剛、昭義の4人は不思議とうまが合う。
それぞれ普段はここには集まらないのだが、ミステリーが好きという共通点でここに集まってからは、折を見ては集まっては放課後の時間をたわいのない話をして過ごしていたのだ。
この日もそうだった。
文化祭の準備はそこそこにおのおのの好きな映画や本、漫画の話をして盛り上がっており、気が付けば時計の針は5時過ぎになっていた。
『何か……音しなかった??』
誰ともなく、誰かがつぶやいた。
夕方も5時になると秋が深まるこの時期は外は暗くなるし、校内にも人は少なくなる。
文化祭の前日ということで、何人かの人間はまだ残っているはずだが、校舎の一番外れに位置するミステリー研究会の部室には普段から人が近づくことはない。
『え……怖い……』
神妙な顔をして瞳がつぶやいた。
『え?? 怖い??? 誰が????』
瞳のつぶやきに、剛も昭義も口をそろえて言ってしまう。瞳に怖いものなんかなさそうなものなのだが、それとこれとは違うのかもしれない。しかし、そんなことは頭では理解できてもいざ目の前でそんな普段とイメージの違うことを言われるとつい余計なことを言ってしまいがちなのである。
『怖いわよっ!』
『え? マジで??』
『失礼ねえ』
『いや……そういうことじゃなくてさ。オレは何かあったら山口に守ってもらおうかと……』
『おい……』
瞳は半分怒りながら、半分は冗談ながら昭義を見た。
すると部室の扉が大きく開かれた。そこには見たこともない覆面の大男がいた。
とんでもない光景に誰も動くことも声を発することもできなかった。
男は素早い動きで入り口近くにいた純を捕まえようとした。もちろん純は男の手をかわそうとした。このメンバーの中で一番弱くてつかまってしまいそうなのは純だった。男はそれを知ってか知らずか、純のその長い髪の毛をつかもうとした。
その瞬間、どすんという音がした。
男はこめかみあたりを両手で押さえてうずくまった。純が何かをやったのだが、そんなことを確認する間はなく、気が付けばほかの三人は同時に動いていた。
昭義と剛は男の両腕を抑え、瞳はみぞおちに何発か思いきり正拳をくらわせた。瓦割ができると噂される瞳の正拳を何度もみぞおちにくらう……。
考えただけでもぞっとする。
『うぐう……』男は悶絶しながら動かなくなった。おそらく気を失ったのだろう。
『誰なんだよ。こいつ』
声が震えているところを見ると、昭義はかなりビビっているのだろう。まあ、それも無理のない話だが……。
覆面をとっても男を知っているものはその場にはいなかった。
『関川、先生に言って警察を……』
剛は言った。この手は何があっても離さない、剛はそう思った。
『ガムテでしばっちゃおう』瞳は案外冷静に話す。やはり武道経験者は肝の据わり方が違う。
部室の備品からガムテープを出すと瞳は手際よく男の足をぐるぐる巻きにしばり上げた。こうなると気を失っている男を拘束するのに時間はかからない。
先生が来るまで、長い時間はかからなかったが、それでも3人にとっては何時間にも思えた。その間、3人は何一つ話せなかった。
男がその後、警察に引き渡されたのはその数時間後だった。
なぜあの男が学校のしかもミステリー研究会の部室に紛れ込んだのかは分からない。何か事件との関連性があるかどうかはこれから調べるらしい。
しかし、それ以上に昭義には分からないことがあった。
すべてのことが終わり、下校するとき、昭義は純に言った。
『なあ……関川……。お前、襲われたときに何したの?』
『あ……それ、あたしも気になった。あの時はとっさで何が何だか分からなかったけど、あの一撃があいつが気を失った直接的な原因だよね』
『うん……。これ』
純は鞄の中から靴下を出した。彼女が雨の日用にいつも持ち歩いている白い靴下だ。良く見ると内側に砂利がついている。
『これ? なに??』
『あたし、いつもあの部屋で一人で活動しているときは護身用に作っとくことにしてるの。これを。』
『これが武器??』
瞳は素っ頓狂な声を上げた。それはそうだ。剛も昭義も思いは瞳と同じである。どこからどうみてもただの靴下にすぎないものでどうやって身を守ったというのだ。
『これにね、砂利をつめておけばすごい武器になるの。』
純は靴下の口を広げながら説明した。
『へえ……』
3人は声をそろえて言った。
たしかに砂利は何かの袋に詰めればすごく固くなるだろうから、かなり強力な武器になりえるだろう。
『でも砂利はどこに行ったの??』
『どこに行ったと思う?』
純はいたずらっぽい笑顔で言った。3人は顔を見合わせた。そして声を合わせて言った。
『水槽!』
『そう!! 正解。どさくさにまぎれて返しておいたわ。こうすれば凶器はなくなっちゃうでしょ。』
純は得意気にメガネの位置を直しながら言った。
4人は顔を見合わせた。なんだかおもしろかった。怖い目にあったのになんだかおもしろかったのだ。
偶然ではあるものの、ミステリー研究会らしいことが実際にできたことに、かなりの興奮を覚えながら、4人はそれぞれの家路を帰っていった。
秋の風が冷たく吹いている夕方の出来事だった。
T高校の文化祭も他の高校の文化祭とさほど変わらないのだが、クラスごとの出し物、部活ごとの出し物と2種類の出し物があるということも例外ではない。ミステリー研究会は模造紙に推理小説を書いて、犯人を当ててもらうというごく簡単な出し物を考えており前日ではあったものの他の場所とは違い地味な飾り付けは終わり明日の本番を待つのみとなっていた。
ミステリー研究会と言っても、特に何かをしているわけでもない。
もちろん小説は書いているのだが……実質、書いているのは、優等生の関川純だけだった。ほかの部員はそれぞれ運動部と兼部していたりしており、ここに来るときはただ暇つぶしに話をしにくるような感じだった。
高校生ともなると中学と違い、男女が一緒に集まると自然、話も盛り上がったりもする。
『いや、マジな話だけど関川はすごいよ。オレなんかこんな風に話は書けないし』
西岡剛は野球部と兼部していたのだが、この春に引退してからはミステリー研究会に入り浸っていた。剛は野球も好きだが読書もそんなに嫌いではない。もともと野球でも捕手という頭を使うポジションだっただけに、こういう文化系の部活動もやってみたいと思っていたのは彼の偽らざる本音であった。
だから純のことを褒めたのは心からである。
そもそも剛はウソがつけない男であり、そんな性格が災いしてか、野球の方はレギュラーを獲れないでいた。バッティングは良かったのだが守備の方が、特に捕手として投手を引っ張っていくリードが正直すぎるがゆえにレギュラーは獲れないでおり、ついには膝の故障に泣いて夏の大会を前に引退になったのだ。
『オレは西岡もすごいと思うぞ』
そう言ったのは渡辺昭義だった。昭義は兼部はしておらずミステリー研究会一筋で3年間やってきた。
『そうか? いや……そうでもねえって』
照れながら剛は言った。
ミステリー研究会はぬるい関係の仲間が集まる場所だった。
それでも昭義と剛はタイプの違うものの、お互いを認め合うことのできる関係だった。
昭義は3年間、ぼんやりとミステリー研究会にいたから、レギュラーが獲れなくても腐ることなく最後まで野球を続けた剛を尊敬していた。引退したのも膝の故障が原因で、つい最近までは松葉づえで歩かなければいけないぐらいの重症だったのである。故障しても他のやり方で野球部を支えることができる、などという簡単な励ましを、この剛の姿を見てだれが言えるだろうか、昭義はそう思っていた。
そもそも二人はどこか似ている側面があった。
喜怒哀楽がはっきりしているし、正直すぎるぐらい正直で嘘がつけない。
剛がキャッチャーというポジションに向いていなかったのと同じく、昭義もまたミステリー研究会には向いていない男である。
『あんたはいつまで経っても今一つだけどね』
会話に入ってきたのは山口瞳だった。肩にかかるか、かからないかぐらいのさらさらした髪の毛を揺らしながら、両手を腰に当てて仁王立ちして話をするところは、瞳の自信の現れかもしれない。
二重まぶたにぱっちりした目が印象的な彼女には『瞳』という名前がぴったりだった。
瞳は空手部に所属していながら家は剣道の道場を経営しているという変わった経緯を持っている。身長150センチ前後の小柄な彼女だが、その可愛らしい外見とは裏腹に、怒らすと間違いなく怖いので剛も昭義も瞳には逆らわないようにしている。
純、瞳、剛、昭義の4人は不思議とうまが合う。
それぞれ普段はここには集まらないのだが、ミステリーが好きという共通点でここに集まってからは、折を見ては集まっては放課後の時間をたわいのない話をして過ごしていたのだ。
この日もそうだった。
文化祭の準備はそこそこにおのおのの好きな映画や本、漫画の話をして盛り上がっており、気が付けば時計の針は5時過ぎになっていた。
『何か……音しなかった??』
誰ともなく、誰かがつぶやいた。
夕方も5時になると秋が深まるこの時期は外は暗くなるし、校内にも人は少なくなる。
文化祭の前日ということで、何人かの人間はまだ残っているはずだが、校舎の一番外れに位置するミステリー研究会の部室には普段から人が近づくことはない。
『え……怖い……』
神妙な顔をして瞳がつぶやいた。
『え?? 怖い??? 誰が????』
瞳のつぶやきに、剛も昭義も口をそろえて言ってしまう。瞳に怖いものなんかなさそうなものなのだが、それとこれとは違うのかもしれない。しかし、そんなことは頭では理解できてもいざ目の前でそんな普段とイメージの違うことを言われるとつい余計なことを言ってしまいがちなのである。
『怖いわよっ!』
『え? マジで??』
『失礼ねえ』
『いや……そういうことじゃなくてさ。オレは何かあったら山口に守ってもらおうかと……』
『おい……』
瞳は半分怒りながら、半分は冗談ながら昭義を見た。
すると部室の扉が大きく開かれた。そこには見たこともない覆面の大男がいた。
とんでもない光景に誰も動くことも声を発することもできなかった。
男は素早い動きで入り口近くにいた純を捕まえようとした。もちろん純は男の手をかわそうとした。このメンバーの中で一番弱くてつかまってしまいそうなのは純だった。男はそれを知ってか知らずか、純のその長い髪の毛をつかもうとした。
その瞬間、どすんという音がした。
男はこめかみあたりを両手で押さえてうずくまった。純が何かをやったのだが、そんなことを確認する間はなく、気が付けばほかの三人は同時に動いていた。
昭義と剛は男の両腕を抑え、瞳はみぞおちに何発か思いきり正拳をくらわせた。瓦割ができると噂される瞳の正拳を何度もみぞおちにくらう……。
考えただけでもぞっとする。
『うぐう……』男は悶絶しながら動かなくなった。おそらく気を失ったのだろう。
『誰なんだよ。こいつ』
声が震えているところを見ると、昭義はかなりビビっているのだろう。まあ、それも無理のない話だが……。
覆面をとっても男を知っているものはその場にはいなかった。
『関川、先生に言って警察を……』
剛は言った。この手は何があっても離さない、剛はそう思った。
『ガムテでしばっちゃおう』瞳は案外冷静に話す。やはり武道経験者は肝の据わり方が違う。
部室の備品からガムテープを出すと瞳は手際よく男の足をぐるぐる巻きにしばり上げた。こうなると気を失っている男を拘束するのに時間はかからない。
先生が来るまで、長い時間はかからなかったが、それでも3人にとっては何時間にも思えた。その間、3人は何一つ話せなかった。
男がその後、警察に引き渡されたのはその数時間後だった。
なぜあの男が学校のしかもミステリー研究会の部室に紛れ込んだのかは分からない。何か事件との関連性があるかどうかはこれから調べるらしい。
しかし、それ以上に昭義には分からないことがあった。
すべてのことが終わり、下校するとき、昭義は純に言った。
『なあ……関川……。お前、襲われたときに何したの?』
『あ……それ、あたしも気になった。あの時はとっさで何が何だか分からなかったけど、あの一撃があいつが気を失った直接的な原因だよね』
『うん……。これ』
純は鞄の中から靴下を出した。彼女が雨の日用にいつも持ち歩いている白い靴下だ。良く見ると内側に砂利がついている。
『これ? なに??』
『あたし、いつもあの部屋で一人で活動しているときは護身用に作っとくことにしてるの。これを。』
『これが武器??』
瞳は素っ頓狂な声を上げた。それはそうだ。剛も昭義も思いは瞳と同じである。どこからどうみてもただの靴下にすぎないものでどうやって身を守ったというのだ。
『これにね、砂利をつめておけばすごい武器になるの。』
純は靴下の口を広げながら説明した。
『へえ……』
3人は声をそろえて言った。
たしかに砂利は何かの袋に詰めればすごく固くなるだろうから、かなり強力な武器になりえるだろう。
『でも砂利はどこに行ったの??』
『どこに行ったと思う?』
純はいたずらっぽい笑顔で言った。3人は顔を見合わせた。そして声を合わせて言った。
『水槽!』
『そう!! 正解。どさくさにまぎれて返しておいたわ。こうすれば凶器はなくなっちゃうでしょ。』
純は得意気にメガネの位置を直しながら言った。
4人は顔を見合わせた。なんだかおもしろかった。怖い目にあったのになんだかおもしろかったのだ。
偶然ではあるものの、ミステリー研究会らしいことが実際にできたことに、かなりの興奮を覚えながら、4人はそれぞれの家路を帰っていった。
秋の風が冷たく吹いている夕方の出来事だった。
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スパークノークスさん
読んでいただいてありがとうございます。
がんばって書きますのでよろしくお願いいたします。
退会済ユーザのコメントです
黒輝やまとさん
読んでいただいてありがとうございます。
今後もよろしくお願いいたします。
はじめまして
マサユキ・Kと申します。
私も「FUNUKEの凪」という学園ミステリーでミステリー大賞にエントリーしていることもあり、同じ学園ものの御作を拝読させて頂きました。
個性的なメンバーが魅力的で、内容もほのぼのとしておりとても良かったです。
砂利の隠し場所が水槽……
いいですね。
マサユキ・Kさん
読んで頂いてありがとうございます。
実はこの小説、高校生の頃に書いたものを一生懸命記憶を呼び起こして加筆修正を加えたものです。
楽しんで頂けたのなら嬉しいです。