夢結び

石蕗

文字の大きさ
4 / 11

05 至高のたこ焼き

しおりを挟む
05

「たこ焼きか…」
 
 小麦粉の生地にタコと薬味を入れ、球形に焼き上げた大阪の郷土料理。
数ある屋台の中で、最初に目についたのがたこ焼きだった。

 僕はたこ焼きが大好きなのだ。
目の前で真っ黒に日焼けしたおじさんが、
素早いピックさばきを披露している。
瞬く間に生地が裏返っていく。        
表面がきつね色に焼き上がり、たこ焼き達が器に乗せられた。
その上にソースとマヨネーズ、青海苔、かつお節がかけられる。
一番上のかつお節は楽しそうに踊っている様だ。

 たこ焼きを眺めてにやけている今の僕は、
端から見ればさぞかし気持ち悪いことだろう。
いや…待てよ…今は5・6歳の姿だから大丈夫なのか?
 ―――そんなことより! 早くこの出来立てのたこ焼きを食べなければ!
 さてさて~、このたこ焼きがどれ程のものなのか、この僕が確かめてやろう。
覚悟しろ! たこ焼き! お前達に逃げ場はないのだ!

「フーフー。ハムッ……ん~~~っ!」

 美味しい。美味しいと言ってもただの美味しいではない。
最上級の美味しいだ。
表面はしっかりと焼き上がっており、それでいて中はトロトロのまま。
絶妙な焼き加減だ。生地は出汁の旨味がしっかりついている。
食べ応えのある大きさに切られたタコは、甘みが強く柔らかい。
他にも紅ショウガやネギがみじん切りで入っている。

「あっ」

 もうない。あっという間に全部食べきってしまった。恐ろしいたこ焼きだ。
 うむ、このたこ焼きは…星三つ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...