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7 新たな関係 *
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ノルディアスの分厚い舌がカルロの口内へ大胆に入り込み、貪り食われる、と思うほどぐちゃぐちゃに掻き混ぜお互いの劣情を昂らせる。
「ん、ふぅ……っ」
「これでやっと、俺のものだ」
つぅ、とカルロの顎まで溢れた糸を親指で拭いながら、ノルディアスは嬉しそうに笑う。
「カルロ、今日から俺が、お前の伴侶であり主人だ。俺の傍で俺のことだけを考え、俺のために動き、俺の幸せのために生きるんだ」
カルロは自分の頬を撫でるノルディアスの手を握りながら、こくりと頷く。
雷震の誘いが瑶鈴と出会う前であれば、きっと雷震が蘭雪の主人になっていた。
「ええ、わかりました。ただ、私の主人になるには、絶対に守っていただきたいことがございます」
「なんだ?」
「私を信じていただくことです。例えば今、私が短剣をくださいとお願いしたら、渡して欲しいのです」
「なんだ、そんなことか」
そんなこと、とノルディアスは軽く言うが、無防備な姿でいるにもかかわらずつい先日まで敵対していた相手に剣を渡すことは、そう簡単なことではない。
少なくともカルロの兄であれば、色々と理由をつけて、絶対に渡すことなどないであろう。
ノルディアスは「あとで剣や暗器の控え場所は伝えておかないとな」といいながら、バルコニーの一画から短剣を取り出しカルロに渡す。
ノルディアスもカルロと同じく、何度もその命を狙われたことがあるのだろう。
「ありがとうございます」
受け取るなり、カルロはバルコニーから二十メートルほど離れた木のほうへ向かってその短剣を投げた。
短い悲鳴とどさり、という何かが落ちた音がして、にわかに外が騒がしくなる。
「お見事」
「私のほうが狙いだったとは思いますが」
「そうだな。今日呼んだ貴族たちは俺の派閥だが、お前に手酷くやられたやつらも多いからな」
ノルディアスは愉快そうに笑って言った。
剣を交えた者同士であれば、憎く思うのはお互い様だ。
それは前世も今世も、そして来世でも変わらないだろう。
お互い立場が違うだけで、信じるものが違うだけで、時代が敵対させているだけで、元々個人が悪いわけではないのだ。
「カルロ。どんな状況に陥ろうとも、お前が主人と定めた相手を裏切らないことは、嫌でも知っている。俺はお前を信用しているし、お前も俺を信じて欲しい」
「はい。……よろしくお願いいたします」
カルロは、前世の世界で服従を意味する礼をノルディアスにとった。
主人を得たカルロはふわり、と嬉しそうに微笑み、ノルディアスは思わずその綺麗な顔と仕草に魅入った。
そして、尋ねる。
「お前は、俺の幸せが何かわかるか?」
「これから模索して参ります」
幼い瑶鈴は気分やなところもあり、蘭雪が振り回されることもあった。
しかしその度、より主人を深く理解しようと努力した。
「お前が離れていかないこと、笑うこと、怪我を負わないこと。それに、お前が楽しいと感じる日々を過ごすことだ」
「……かしこまりました」
「あ、お前の身体を他人に許さないこと」
「ということは、私の輪姦コースは……」
「あるわけないだろう!」
額に青筋をたてながら、ノルディアスは吠えるように叫んだ。
「お前は人質ではなく、俺の唯一の伴侶だ。お前にとって俺が絶対であるのと同時に、俺にとってもお前が絶対だ」
主人に唯一、と認められる喜びが、じわ、とカルロの胸に広がっていく。
「馬であろうと、俺以外とベタベタするな。お前の主人は結構心が狭くて嫉妬深いんだ」
「……わかりました」
以前黒馬と戯れていた時に怒られた原因は、嫉妬によるものだったらしい。
くすくす笑うカルロに、「知らなかったのか?」と言いながらノルディアスは再び口付けた。
知っていたかもしれない。
蘭雪が雷震以外と話していると、いつも不機嫌な顔で割り込んできたから。
「さて。そろそろ限界だ。どうかその身体で、俺を癒してもらえないか?」
「最善を尽くします」
二人は身体を寄せ合いながら、寝室の中へ消えた。
「ん、ふぅ……っ」
「これでやっと、俺のものだ」
つぅ、とカルロの顎まで溢れた糸を親指で拭いながら、ノルディアスは嬉しそうに笑う。
「カルロ、今日から俺が、お前の伴侶であり主人だ。俺の傍で俺のことだけを考え、俺のために動き、俺の幸せのために生きるんだ」
カルロは自分の頬を撫でるノルディアスの手を握りながら、こくりと頷く。
雷震の誘いが瑶鈴と出会う前であれば、きっと雷震が蘭雪の主人になっていた。
「ええ、わかりました。ただ、私の主人になるには、絶対に守っていただきたいことがございます」
「なんだ?」
「私を信じていただくことです。例えば今、私が短剣をくださいとお願いしたら、渡して欲しいのです」
「なんだ、そんなことか」
そんなこと、とノルディアスは軽く言うが、無防備な姿でいるにもかかわらずつい先日まで敵対していた相手に剣を渡すことは、そう簡単なことではない。
少なくともカルロの兄であれば、色々と理由をつけて、絶対に渡すことなどないであろう。
ノルディアスは「あとで剣や暗器の控え場所は伝えておかないとな」といいながら、バルコニーの一画から短剣を取り出しカルロに渡す。
ノルディアスもカルロと同じく、何度もその命を狙われたことがあるのだろう。
「ありがとうございます」
受け取るなり、カルロはバルコニーから二十メートルほど離れた木のほうへ向かってその短剣を投げた。
短い悲鳴とどさり、という何かが落ちた音がして、にわかに外が騒がしくなる。
「お見事」
「私のほうが狙いだったとは思いますが」
「そうだな。今日呼んだ貴族たちは俺の派閥だが、お前に手酷くやられたやつらも多いからな」
ノルディアスは愉快そうに笑って言った。
剣を交えた者同士であれば、憎く思うのはお互い様だ。
それは前世も今世も、そして来世でも変わらないだろう。
お互い立場が違うだけで、信じるものが違うだけで、時代が敵対させているだけで、元々個人が悪いわけではないのだ。
「カルロ。どんな状況に陥ろうとも、お前が主人と定めた相手を裏切らないことは、嫌でも知っている。俺はお前を信用しているし、お前も俺を信じて欲しい」
「はい。……よろしくお願いいたします」
カルロは、前世の世界で服従を意味する礼をノルディアスにとった。
主人を得たカルロはふわり、と嬉しそうに微笑み、ノルディアスは思わずその綺麗な顔と仕草に魅入った。
そして、尋ねる。
「お前は、俺の幸せが何かわかるか?」
「これから模索して参ります」
幼い瑶鈴は気分やなところもあり、蘭雪が振り回されることもあった。
しかしその度、より主人を深く理解しようと努力した。
「お前が離れていかないこと、笑うこと、怪我を負わないこと。それに、お前が楽しいと感じる日々を過ごすことだ」
「……かしこまりました」
「あ、お前の身体を他人に許さないこと」
「ということは、私の輪姦コースは……」
「あるわけないだろう!」
額に青筋をたてながら、ノルディアスは吠えるように叫んだ。
「お前は人質ではなく、俺の唯一の伴侶だ。お前にとって俺が絶対であるのと同時に、俺にとってもお前が絶対だ」
主人に唯一、と認められる喜びが、じわ、とカルロの胸に広がっていく。
「馬であろうと、俺以外とベタベタするな。お前の主人は結構心が狭くて嫉妬深いんだ」
「……わかりました」
以前黒馬と戯れていた時に怒られた原因は、嫉妬によるものだったらしい。
くすくす笑うカルロに、「知らなかったのか?」と言いながらノルディアスは再び口付けた。
知っていたかもしれない。
蘭雪が雷震以外と話していると、いつも不機嫌な顔で割り込んできたから。
「さて。そろそろ限界だ。どうかその身体で、俺を癒してもらえないか?」
「最善を尽くします」
二人は身体を寄せ合いながら、寝室の中へ消えた。
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