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裏切られた女勇者は無様に踊る
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一体どれ程の時が経ったのか、気を失っていた私にはわからなかった。
埃臭い廃墟の中で、両手を上にして吊るされたまま、私はゆっくりと顔を持ち上げ辺りを見回す。
気絶する前と、大差なかった。
しかし、私の身体を陵辱していた魔族達は一体もおらず、辺りは静まりかえっている。
──何が起こったのだろうか?
魔族達が不在という事に気付いて張っていた気が緩んだのか、身体中が痛みで悲鳴をあげだした。
とりわけ、処女だったのにも関わらず、魔族の巨根で乱暴に犯された膣の痛みが酷い。
視線を再び下へやれば、太腿を流れる大量の子種に赤い血が混ざっているのが何となくわかる。
──身体から、下半身だけ切り取ってしまいたい程、おぞましい。
勇者の体液は、魔族の魔力となるらしい。
下っぱの魔族達は、私を殺してその血を啜ろうとしたが、上級魔族はそれを止めて言った。
『この女を殺してしまえば、我々が手にする魔力もその血を飲んでしまえばお仕舞いだ。……それよりも、生かして身体中の体液を啜り続けようではないか』
『この女を孕ませて子を産ませれば、上手くいけばその子からも魔力が手に入るやもしれん』
魔族達は、雄叫びをあげて賛同した。
私の首には、よりによって人間が魔族に対して開発した「隷属の首輪」が嵌められている。
魔族達に全身を切られては流れる血と汗を舐められる。
そうされながら、上級魔族達に代わる代わる犯された。
死ぬことも、逃げる事も許されない。
隷属の首輪をつけられれば何も出来ないというのに、今まで何千、何万という魔族を殺してきた私相手だからか魔族も慎重で、隷属の首輪を嵌めても尚、両手の拘束を緩める事はなかった。
──疲れた。
──風呂に入りたい。
国に祭り上げられ続け、常に命の危険に晒され続ける勇者でいる事にも、本当は疲れきっていた。
それでもここまで走り続ける事が出来たのは、いつも笑顔で送り出してくれる国民と、共に戦ってくれた仲間がいたからだ。
──そう、仲間。
仲間の一人が魔族に捕まって、私は他の仲間の言う事を聞かずに罠だらけの敵陣に乗り込んだ。
そして……
つう、と頬を涙が伝った。
私には、泣く権利などない。
私の判断が、仲間を壊滅に追いやったのだから。
カラン、と瓦礫が蹴られた音がして、反射的に私はそちらを見た。
「貴方は……」
こんな廃墟の中でも、その方が立つだけで一枚の絵の様だ。
魔族の城に攻め込む手前にある街の、神殿で加護を授けて下さった聖職者だった筈だ。
「勇者様がご無事で何よりです」
ふわりと、蝶が舞うように笑む。
全く意識していなかったが、女性に人気のありそうな優男だった。
美しく整った眉に、切れ長の黒い瞳。スッと通った鼻梁に、薄目の艶やかな唇。
腰まで届くラベンダーカラーの髪を優雅に一房にまとめて、前に足らしている。
長い法衣を一切床に擦ることなく、名すら覚えていないその聖職者はゆっくりとした足取りで寄ってきた。
にこやかな笑顔の裏に感じる違和感。
「……仲間、が……」
「はい。誰一人生きてはいませんね」
夢なら良かった。
再びせりあがってきた慟哭を喉で押し止めて唇を噛み締めた。
「ひとまず、浄化致します」
その男が私に手を翳せば、清浄な空気……ではなく、むわりとサウナに入った時の様な感覚が身を包む。
それは一瞬の事で、その熱気が去ると共に全身がさっぱりとした気がした。
視線を落とせば、全身にこびりついていた魔族の精液と切り傷が綺麗さっぱり消えている。
「ありがとうござ──」
「貴女は、今後国から追われる事になりますね?」
私の礼を遮って、その男は逃げられない事実を突き付けてきた。
素っ裸の私の真ん前に転がる瓦礫の上に、ゆったりと腰をかけながら。
「貴女の周りにいた聖女も、魔術師も、騎士も、全てこの国の要人の子供達です。誰かに責任を負わせたいでしょうし、ただ一人助かった平民の貴女を労うとは思えません」
男は、そっと手を伸ばして私の……陰毛をやわやわと触った。
想像すらしなかった事への衝撃で、目を見開く。
普通、この状況であれば、私の手枷を外して身に纏う法衣を貸してくれても良さそうなものだが、目の前にいる親切そうな男にそんな様子は欠片もみられなかった。
「……許せません。貴女の為になるどころか……貴女よりよほど弱く、度胸も勇気もなく、ただ貴女に守られる身でありながら、称賛と畏敬の念を浴びるためだけに、仲間という言葉を用いて傍にいるなど」
「ひっ……っっ」
陰毛を軽く引っ張ってひとしきり戯れると、その手は羽の様な軽さで内太腿へと滑り降り、そこを上下する。
薄目の艶やかな唇から、朱い舌がチロリと顔を覗かせ、そのまま陰毛の生え際をペロペロと舐め出した。
「おやめくだ──」
「あの聖女、私が少し誘っただけで、まんまとこの城までホイホイ付いてきたのですよ」
上目遣いにこちらを見上げる漆黒の瞳と視線が絡み合った。
「……無能な上に、危機管理能力もなく……今までよく無事でいられましたよね、あの馬鹿王女は。……ああ、貴女がずっと守っていましたからね、本当にお疲れ様でした」
この男は、何を言っているのか……聖職者ではなかったのか。
「早く逃げないと、魔族が……」
「先程言いましたよ、誰一人生きていないと」
驚きに言葉を失う。
聖女を人質に取られた為に私達勇者のパーティーは太刀打ち出来なかったが、それにしても弱い敵ではなかった筈だ。
しかし、男が言うように誰の気配も感じなかった。
「魔術師も、騎士も、自分の身の可愛さに聖女をあっさり見限って。それでも貴女が助けにいけば自分達も着いていくしかなく、更に貴女の状況が不利になればやはり裏切って捨て置いて、貴女が囚われ犯されても自らの命乞いしかせずに」
──そして、捕らわれた私の目の前で、上級魔族達に千々に引き裂かれた。
「これからは、もう、頑張らなくて良いですよ」
その言葉は、私の胸にストンと落ちる。
「命なんて、張らなくて良いのです。……代わりに、私に貴女を下さい」
「……え……?」
「私が貴女を、誰の目にも触れさせずに一生可愛がりましょう。国が貴女を忘れる迄……いえ、忘れても、尚」
その男は、両手をするりと私の太腿に当てて、左右に割り開いた。
男性のものにしては線の細いそれは、滑らかな動きで確実に私の身体を持ち上げる。
この男の何処に、そんな力があると言うのか。
「ぁっ……!!」
魔族に散々見られたり舐められたりはしたが、流石に恥ずかしくて脚を閉じようとすれば、一瞬早く男の頭が近付き脚の中心にその舌を伸ばした。
「や、やめ……っっ!!」
「早く、貴女の中に埋めたい」
ぴちょ、ぴちょ、と水音をさせながらその男は舌先で陰毛を掻き分け、たどり着いた秘豆に吸い付くよう口に含んだ。
「ひゃうっ……」
「可愛い」
クリトリスが吸引されて、背中に痺れが走る。
背を仰け反らせて痺れを逃そうとすれば、自然と男に下半身を押し付ける格好となり、男はそれを喜んだ。
両手でお尻をしっかり支えながら、親指をつぷりと膣に差し込む。
「くぅっ……」
魔族達に散々突っ込まれた時の痛みを思い出して眉をしかめ、衝撃に備えたが、その指が痛みを伴う事はなかった。
「処女ではなくなったので、良い具合で勇者としての神気が薄れていますね。……これなら私も、問題なく貴女と繋がれそうです」
「な、何を……」
男が何をしようとしているのかを理解し、身体を捩る。
「とはいえ……初めて私達が繋がる場所として、この瓦礫の中は些かロマンがありませんね。移動しましょうか。勇者様、私から離れないで下さいね」
男はスッと立ち上がり、私の脚を降ろして手枷を外し、頭上で括られていた両手を自由にする。
未だに裸ではあるが、この男から離れなければ──!!
とは思っているのに、身体は微動だにしなかった。
男はやっと、自らの法衣を脱いで、私の身体をそれで包み隠し、膝裏に片腕を差し入れて軽々と抱き上げる。
「隷属の首輪は、本当に便利ですね」
男の一言で、私の主人権はこの男にあるのだと理解した。
さっき男がわざわざ自分から離れるな、と言ったのはその為だったのか。
「折角ですから、貴女に初めて触れる事が出来た神殿を住まいがわりにしましょうか。貴女が寄った街の住人は全て死人ですが、便利なもので私達の身の回りの世話は全て任せられますしね」
「な……!!」
だから、あの街は異様な気配がしていたのか、と今ならわかる。
魔族の城の障気にあてられたんじゃないかと魔導師が言うのを鵜呑みにしてしまったのが大きなミスだった。
「こんな小さな身体で、今までよく頑張ってきましたね。もう、何も心配しなくて大丈夫ですよ」
その男は、私のおでこにキスを落とす。
「疲れたでしょう。私が良いというまで、眠りなさい──」
「待っ……」
私の意識は、真っ暗闇に落とされた。
「おはよう。そろそろ起きましょうか、私の勇者様」
甘く甘く響くそんな声色に、闇に落ちていた意識が掬い上げられる。
瞼を開ければ、男の胸板が目に飛び込んできた。
陶磁器の様に傷ひとつない身体は古傷だらけの私の身体とは真逆で、ついその曲線を撫でたくなり指先を滑らせる。
「こーら、朝から悪戯しないよ?」
顔を持ち上げれば、寝そべった男が優しい眼差しで私を見つめていた。
「……そっちだって、朝から私に悪戯してますよね?」
私の膣には、朝から元気な男の剛直が捩じ込まれていた。
昨日の夜は、何度も睦み合った後、一緒に風呂で身を清めてからベッドに入った筈だ。
私は男の胸板にそっと手を当てて上半身を起こした。
埋め込まれた男根が、ビクリビクリと脈打っている。
「ふふ。朝の光の中で、私に見せつける様に淫らに踊って頂けますか?」
男の指は、そっと私の胸の頂をきゅきゅ、と優しく潰した。
「……ん」
頬が染まる。
しかし、私は快楽を求めて腰を振った。
女勇者の首にあった隷属の首輪は、とっくの昔に外され、引き出しの奥深くにしまいこまれたままである。
国に忘れ去られた女勇者は、今日も男から愛を囁かれ、また女勇者も愛を囁くのであった。
埃臭い廃墟の中で、両手を上にして吊るされたまま、私はゆっくりと顔を持ち上げ辺りを見回す。
気絶する前と、大差なかった。
しかし、私の身体を陵辱していた魔族達は一体もおらず、辺りは静まりかえっている。
──何が起こったのだろうか?
魔族達が不在という事に気付いて張っていた気が緩んだのか、身体中が痛みで悲鳴をあげだした。
とりわけ、処女だったのにも関わらず、魔族の巨根で乱暴に犯された膣の痛みが酷い。
視線を再び下へやれば、太腿を流れる大量の子種に赤い血が混ざっているのが何となくわかる。
──身体から、下半身だけ切り取ってしまいたい程、おぞましい。
勇者の体液は、魔族の魔力となるらしい。
下っぱの魔族達は、私を殺してその血を啜ろうとしたが、上級魔族はそれを止めて言った。
『この女を殺してしまえば、我々が手にする魔力もその血を飲んでしまえばお仕舞いだ。……それよりも、生かして身体中の体液を啜り続けようではないか』
『この女を孕ませて子を産ませれば、上手くいけばその子からも魔力が手に入るやもしれん』
魔族達は、雄叫びをあげて賛同した。
私の首には、よりによって人間が魔族に対して開発した「隷属の首輪」が嵌められている。
魔族達に全身を切られては流れる血と汗を舐められる。
そうされながら、上級魔族達に代わる代わる犯された。
死ぬことも、逃げる事も許されない。
隷属の首輪をつけられれば何も出来ないというのに、今まで何千、何万という魔族を殺してきた私相手だからか魔族も慎重で、隷属の首輪を嵌めても尚、両手の拘束を緩める事はなかった。
──疲れた。
──風呂に入りたい。
国に祭り上げられ続け、常に命の危険に晒され続ける勇者でいる事にも、本当は疲れきっていた。
それでもここまで走り続ける事が出来たのは、いつも笑顔で送り出してくれる国民と、共に戦ってくれた仲間がいたからだ。
──そう、仲間。
仲間の一人が魔族に捕まって、私は他の仲間の言う事を聞かずに罠だらけの敵陣に乗り込んだ。
そして……
つう、と頬を涙が伝った。
私には、泣く権利などない。
私の判断が、仲間を壊滅に追いやったのだから。
カラン、と瓦礫が蹴られた音がして、反射的に私はそちらを見た。
「貴方は……」
こんな廃墟の中でも、その方が立つだけで一枚の絵の様だ。
魔族の城に攻め込む手前にある街の、神殿で加護を授けて下さった聖職者だった筈だ。
「勇者様がご無事で何よりです」
ふわりと、蝶が舞うように笑む。
全く意識していなかったが、女性に人気のありそうな優男だった。
美しく整った眉に、切れ長の黒い瞳。スッと通った鼻梁に、薄目の艶やかな唇。
腰まで届くラベンダーカラーの髪を優雅に一房にまとめて、前に足らしている。
長い法衣を一切床に擦ることなく、名すら覚えていないその聖職者はゆっくりとした足取りで寄ってきた。
にこやかな笑顔の裏に感じる違和感。
「……仲間、が……」
「はい。誰一人生きてはいませんね」
夢なら良かった。
再びせりあがってきた慟哭を喉で押し止めて唇を噛み締めた。
「ひとまず、浄化致します」
その男が私に手を翳せば、清浄な空気……ではなく、むわりとサウナに入った時の様な感覚が身を包む。
それは一瞬の事で、その熱気が去ると共に全身がさっぱりとした気がした。
視線を落とせば、全身にこびりついていた魔族の精液と切り傷が綺麗さっぱり消えている。
「ありがとうござ──」
「貴女は、今後国から追われる事になりますね?」
私の礼を遮って、その男は逃げられない事実を突き付けてきた。
素っ裸の私の真ん前に転がる瓦礫の上に、ゆったりと腰をかけながら。
「貴女の周りにいた聖女も、魔術師も、騎士も、全てこの国の要人の子供達です。誰かに責任を負わせたいでしょうし、ただ一人助かった平民の貴女を労うとは思えません」
男は、そっと手を伸ばして私の……陰毛をやわやわと触った。
想像すらしなかった事への衝撃で、目を見開く。
普通、この状況であれば、私の手枷を外して身に纏う法衣を貸してくれても良さそうなものだが、目の前にいる親切そうな男にそんな様子は欠片もみられなかった。
「……許せません。貴女の為になるどころか……貴女よりよほど弱く、度胸も勇気もなく、ただ貴女に守られる身でありながら、称賛と畏敬の念を浴びるためだけに、仲間という言葉を用いて傍にいるなど」
「ひっ……っっ」
陰毛を軽く引っ張ってひとしきり戯れると、その手は羽の様な軽さで内太腿へと滑り降り、そこを上下する。
薄目の艶やかな唇から、朱い舌がチロリと顔を覗かせ、そのまま陰毛の生え際をペロペロと舐め出した。
「おやめくだ──」
「あの聖女、私が少し誘っただけで、まんまとこの城までホイホイ付いてきたのですよ」
上目遣いにこちらを見上げる漆黒の瞳と視線が絡み合った。
「……無能な上に、危機管理能力もなく……今までよく無事でいられましたよね、あの馬鹿王女は。……ああ、貴女がずっと守っていましたからね、本当にお疲れ様でした」
この男は、何を言っているのか……聖職者ではなかったのか。
「早く逃げないと、魔族が……」
「先程言いましたよ、誰一人生きていないと」
驚きに言葉を失う。
聖女を人質に取られた為に私達勇者のパーティーは太刀打ち出来なかったが、それにしても弱い敵ではなかった筈だ。
しかし、男が言うように誰の気配も感じなかった。
「魔術師も、騎士も、自分の身の可愛さに聖女をあっさり見限って。それでも貴女が助けにいけば自分達も着いていくしかなく、更に貴女の状況が不利になればやはり裏切って捨て置いて、貴女が囚われ犯されても自らの命乞いしかせずに」
──そして、捕らわれた私の目の前で、上級魔族達に千々に引き裂かれた。
「これからは、もう、頑張らなくて良いですよ」
その言葉は、私の胸にストンと落ちる。
「命なんて、張らなくて良いのです。……代わりに、私に貴女を下さい」
「……え……?」
「私が貴女を、誰の目にも触れさせずに一生可愛がりましょう。国が貴女を忘れる迄……いえ、忘れても、尚」
その男は、両手をするりと私の太腿に当てて、左右に割り開いた。
男性のものにしては線の細いそれは、滑らかな動きで確実に私の身体を持ち上げる。
この男の何処に、そんな力があると言うのか。
「ぁっ……!!」
魔族に散々見られたり舐められたりはしたが、流石に恥ずかしくて脚を閉じようとすれば、一瞬早く男の頭が近付き脚の中心にその舌を伸ばした。
「や、やめ……っっ!!」
「早く、貴女の中に埋めたい」
ぴちょ、ぴちょ、と水音をさせながらその男は舌先で陰毛を掻き分け、たどり着いた秘豆に吸い付くよう口に含んだ。
「ひゃうっ……」
「可愛い」
クリトリスが吸引されて、背中に痺れが走る。
背を仰け反らせて痺れを逃そうとすれば、自然と男に下半身を押し付ける格好となり、男はそれを喜んだ。
両手でお尻をしっかり支えながら、親指をつぷりと膣に差し込む。
「くぅっ……」
魔族達に散々突っ込まれた時の痛みを思い出して眉をしかめ、衝撃に備えたが、その指が痛みを伴う事はなかった。
「処女ではなくなったので、良い具合で勇者としての神気が薄れていますね。……これなら私も、問題なく貴女と繋がれそうです」
「な、何を……」
男が何をしようとしているのかを理解し、身体を捩る。
「とはいえ……初めて私達が繋がる場所として、この瓦礫の中は些かロマンがありませんね。移動しましょうか。勇者様、私から離れないで下さいね」
男はスッと立ち上がり、私の脚を降ろして手枷を外し、頭上で括られていた両手を自由にする。
未だに裸ではあるが、この男から離れなければ──!!
とは思っているのに、身体は微動だにしなかった。
男はやっと、自らの法衣を脱いで、私の身体をそれで包み隠し、膝裏に片腕を差し入れて軽々と抱き上げる。
「隷属の首輪は、本当に便利ですね」
男の一言で、私の主人権はこの男にあるのだと理解した。
さっき男がわざわざ自分から離れるな、と言ったのはその為だったのか。
「折角ですから、貴女に初めて触れる事が出来た神殿を住まいがわりにしましょうか。貴女が寄った街の住人は全て死人ですが、便利なもので私達の身の回りの世話は全て任せられますしね」
「な……!!」
だから、あの街は異様な気配がしていたのか、と今ならわかる。
魔族の城の障気にあてられたんじゃないかと魔導師が言うのを鵜呑みにしてしまったのが大きなミスだった。
「こんな小さな身体で、今までよく頑張ってきましたね。もう、何も心配しなくて大丈夫ですよ」
その男は、私のおでこにキスを落とす。
「疲れたでしょう。私が良いというまで、眠りなさい──」
「待っ……」
私の意識は、真っ暗闇に落とされた。
「おはよう。そろそろ起きましょうか、私の勇者様」
甘く甘く響くそんな声色に、闇に落ちていた意識が掬い上げられる。
瞼を開ければ、男の胸板が目に飛び込んできた。
陶磁器の様に傷ひとつない身体は古傷だらけの私の身体とは真逆で、ついその曲線を撫でたくなり指先を滑らせる。
「こーら、朝から悪戯しないよ?」
顔を持ち上げれば、寝そべった男が優しい眼差しで私を見つめていた。
「……そっちだって、朝から私に悪戯してますよね?」
私の膣には、朝から元気な男の剛直が捩じ込まれていた。
昨日の夜は、何度も睦み合った後、一緒に風呂で身を清めてからベッドに入った筈だ。
私は男の胸板にそっと手を当てて上半身を起こした。
埋め込まれた男根が、ビクリビクリと脈打っている。
「ふふ。朝の光の中で、私に見せつける様に淫らに踊って頂けますか?」
男の指は、そっと私の胸の頂をきゅきゅ、と優しく潰した。
「……ん」
頬が染まる。
しかし、私は快楽を求めて腰を振った。
女勇者の首にあった隷属の首輪は、とっくの昔に外され、引き出しの奥深くにしまいこまれたままである。
国に忘れ去られた女勇者は、今日も男から愛を囁かれ、また女勇者も愛を囁くのであった。
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