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デリカシーのない暗殺者

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トイレから出ると、暗殺者は腕組みをして私を待っていた。
女性のトイレを待つなんて、なんてデリカシーのない人なんでしょう!そんなだと、いつかヒーローにコテンパンにやられちゃうんだからね。
……コテンパンって、もう死語かな?

どうでも良い事をツラツラ考えながら、私は暗殺者を無視して廊下を歩く。暗殺者は、私の後を音もなく着いてきた。

コワイワー

自分が殺されたと気付かないうちに胴体と首がさよならしてそうで怖い。しかし、私はこのWeb小説のヒロインだ。流石にその仕打ちはないだろう。主人公の死にネタは、余程上手く書かないと我ら読者陣からマイナス評価で終わる恐れがある。どれ程途中過程が面白かろうと……いや、面白い程非難轟々なんである。

流石の作者様も、それは避ける筈。いやもう避けて下さい。お願いします!!

祈りながら、私は与えられた部屋に入る。当然の様に暗殺者も入ってきた。……はいはい、見張るのは勝手ですが、逃げませんよー。そろそろヒーロー達が助けに来てくれる……筈、です。……よね??

それにしても、豪華な部屋だ。私はぐるりと部屋を見回した。どうやら暗殺業は儲かるらしい。そりゃそうか。自分の命が掛かっているもんなぁ。
自分の部屋の三倍はある部屋のベッドに座ると、またお尻が痛む。
眉間に皺を寄せたのは一瞬なのに、暗殺者はしっかりと私の様子を観察していたらしい。
「……痛いのは臀部か?うつ伏せになってはどうだ」
「……はい」
ころりと、これまた豪華なベッドにうつ伏せる。

私がうつ伏せると同時に、スカートの裾がサラリと重力に逆らった。空気の様にふんわりシフォンスカート……ではない。むんずと握られ、持ち上げられたのだ。

ぎゃあああ!!変態っ!!
「……っっ、何を、なさっているのでしょうか?」

危ない、変態呼びしそうになった。私の首、まだくっついてるね?
よし、OKOK!
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