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5 これから私を失う両親へ
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――いずれアルフェインは、聖女様と結ばれるはずなのだ。
でも、それまででいいから。
私はアルフェインと一緒にいたいと、願うようになってしまった。
「リュミナは覚えているかな。俺たちが召喚されてすぐ、聖女様探しが本格化した時のこと。俺が将来好きになる女の子が、聖女様だって言ってただろう? だから、気になる子がいたら、すぐに言えって」
「うん」
それが聖女様探しのひとつのヒントだったから、アルフェインにだけこそっと伝えた。
「だから俺には、すぐに本物の聖女様が誰か、わかってた」
「……ん?」
「リュミナ、お前だよ。お前が将来、俺の隣にいる相手だ」
「え? そんなわけな……」
そんなわけがない、と言おうとして、気づいた。
大々的に聖女様を探した時、全国にビラをまいた。
絶世の美少女、治癒能力を持った聖女様を探している、というビラを。
つまり今、国民の中の聖女様像というものは、それに固定されていて。
もし今後、私たちの活躍を描いた絵本や書籍がでようとも、きっとそこには絶世の美少女であり、治癒能力を持った聖女様が描かれるのだろう。
「……あれ?」
「はは、リュミナ。俺はお前に、求婚する。リュミナがどこへ行こうと、ずっと隣にいる」
「アルフェイン……っ」
ポロポロと、私の瞳から涙が零れる。
その時、私の心は決まったのだった。
***
「懐かしいなぁ……」
五十年後。
私はアルフェインと共に、セレスフォード伯爵領の大地を馬車で駆けていた。
ルーウェン陛下はとうに亡くなっており、私の曾祖父であり仲間だったエルディアも、やはり亡くなっている。
二人にはそれぞれ別れ際に、それぞれの死因である毒と落石に気を付けるよう言っておいた。
しかしルーウェン陛下は結局死因が毒ではなく酒の飲みすぎという話だったし、曾祖父はやはり領民を助けようとして亡くなった。
「もうすぐで会えるな」
「ええ」
私は馬車の中で、そっとベールのついた帽子を目深に被る。
今頃正門前で、私や兄や、そして両親が勢揃いして待っていることだろう。
「出会った頃のリュミナがいる。可愛いな」
「ふふ、あのあと、手紙が飛んでいくのよね」
五十年ぶりに会う両親は、私たちの子どもたちよりも若い。
これから私を失う両親に、なんと声を掛けようか。
まず、私と母親しか知らない手紙の内容と、生まれて初めてデザインしたサインをその場で書いて見せよう。
額に残った傷も見せて、それから信じて貰えるまで、何度でもたくさんの話をしよう。
――あなたたちの娘はずっと、楽しく幸せに暮らしている、という話を――。
でも、それまででいいから。
私はアルフェインと一緒にいたいと、願うようになってしまった。
「リュミナは覚えているかな。俺たちが召喚されてすぐ、聖女様探しが本格化した時のこと。俺が将来好きになる女の子が、聖女様だって言ってただろう? だから、気になる子がいたら、すぐに言えって」
「うん」
それが聖女様探しのひとつのヒントだったから、アルフェインにだけこそっと伝えた。
「だから俺には、すぐに本物の聖女様が誰か、わかってた」
「……ん?」
「リュミナ、お前だよ。お前が将来、俺の隣にいる相手だ」
「え? そんなわけな……」
そんなわけがない、と言おうとして、気づいた。
大々的に聖女様を探した時、全国にビラをまいた。
絶世の美少女、治癒能力を持った聖女様を探している、というビラを。
つまり今、国民の中の聖女様像というものは、それに固定されていて。
もし今後、私たちの活躍を描いた絵本や書籍がでようとも、きっとそこには絶世の美少女であり、治癒能力を持った聖女様が描かれるのだろう。
「……あれ?」
「はは、リュミナ。俺はお前に、求婚する。リュミナがどこへ行こうと、ずっと隣にいる」
「アルフェイン……っ」
ポロポロと、私の瞳から涙が零れる。
その時、私の心は決まったのだった。
***
「懐かしいなぁ……」
五十年後。
私はアルフェインと共に、セレスフォード伯爵領の大地を馬車で駆けていた。
ルーウェン陛下はとうに亡くなっており、私の曾祖父であり仲間だったエルディアも、やはり亡くなっている。
二人にはそれぞれ別れ際に、それぞれの死因である毒と落石に気を付けるよう言っておいた。
しかしルーウェン陛下は結局死因が毒ではなく酒の飲みすぎという話だったし、曾祖父はやはり領民を助けようとして亡くなった。
「もうすぐで会えるな」
「ええ」
私は馬車の中で、そっとベールのついた帽子を目深に被る。
今頃正門前で、私や兄や、そして両親が勢揃いして待っていることだろう。
「出会った頃のリュミナがいる。可愛いな」
「ふふ、あのあと、手紙が飛んでいくのよね」
五十年ぶりに会う両親は、私たちの子どもたちよりも若い。
これから私を失う両親に、なんと声を掛けようか。
まず、私と母親しか知らない手紙の内容と、生まれて初めてデザインしたサインをその場で書いて見せよう。
額に残った傷も見せて、それから信じて貰えるまで、何度でもたくさんの話をしよう。
――あなたたちの娘はずっと、楽しく幸せに暮らしている、という話を――。
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