僕のお見合い相手が元クラスメイトのヤンキーだった

イセヤ レキ

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2 見合い相手

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最近のお見合いは、親抜きで当人同士で気楽に、というのが主流らしい。
釣書などの堅苦しいものを用意しないで良いことは助かった。

お見合い相手の名前は相楽さがら清流きよらさん。

これから一緒に食事をしなければならないし、なんなら数回はデートをすることもあるだろう。

どうせなら可愛い人がいいな、と思っていると、個室のドアがノックされた。

「はい」
「お連れ様がお越しになりました」

僕は立ち上がって、微笑みを浮かべる。

これから名前を名乗って、相楽さん、と清流さん、どうお呼びすれば? と尋ねて、素敵なお名前ですねと声を掛けながら椅子を引いて……いや、それはこの店のウェイターがやるか?

そんなことを笑顔の裏で考えていると、ウェイターのあとから僕より背が高く、彫りの深いイケメンが入室してきた。

入る個室を間違えたのだろう。


僕はにこやかな笑みを絶やさないまま「部屋が違いますよ」とウェイターに声を掛けようとした、のだが。

「天海さん、遅くなってすみません」

声を発するより先にイケメンに話し掛けられ、僕は口を開いたままピタリと止まる。
なんでこのイケメン、僕の名前を知っているんだろう。

「……ええと」
「どうぞ、座って話しましょう」

そのイケメンはウェイターの引いた椅子にスマートな動作で着席すると、僕にも座るよう勧める。
混乱しながら、思わず僕も、着席した。

「飲み物は何か頼まれましたか?」
「いいえ、まだです」

なんで僕は、お見合い相手じゃなくてイケメンと話しているのだろう?

「お酒は飲めますか?」
「ええ、好きですよ」

もしかして、清流さんのご兄弟だろうか。

「ここは食事にぴったりなワインを選んでくれるソムリエがいるので、お任せにしても構いませんか?」
「はい、勿論です」

笑顔はキープしたまま、彼が僕のお見合い相手とどんな関係なのか話し出すのを待ってみたが、イケメンはマイペースに「この度は、貴重なお時間を割いてくださり、ありがとうございます」と頭を下げた。

いや、だから。

僕が知りたいのは、清流さん本人がいつ到着するのかなんだってば。

いい加減痺れを切らし、仕方なく僕から清流さんの話題を振ることにした。

「あの、もしかして、清流さんのご都合が悪くなったのでしょうか?」
「……え?」

だから兄か弟、従兄弟や代理人? である貴方が来たのか、と遠回しに聞いたのだが、どうやらイケメンは察しが悪いらしい。

一度きょとん、というような顔をしたあと、「ああ、なるほど」と一人納得したようにクスクス笑った。

そして、意味のわからない僕が気分を害する前に、口を開く。

「失礼。天海さんのお父様は詳細を話さなかったようで、どうやら誤解をなさっているようですね」

確かに父から、見合い相手の詳しい情報は聞いていない。
どういう意味だろうと思った僕は、首を傾げた。

「私が貴方の見合い相手の、相楽清流です」

イケメンはにっこりと綺麗に笑って、そう言ったのだった。
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