13 / 30
13 甘ったるい朝
しおりを挟む
「世那、おはよう」
翌朝僕が起きると、甘ったるい表情をした清流にキスを落とされた。
「清流……?」
「うん、どうした?」
清流の顔にはやや疲れがうかがえて、目の下には隈ができている。
疲れていても、それが妙な色っぽさにしかならないイケメンで何よりだ。
男二人でも余裕で並んで寝られそうなベッドだけど、もしかして僕が占領してしまって寝られなかったのかなと思い、尋ねようとしたが声が掠れて出ない。
僕がケホコホむせていると、清流は慌てて水を持って来てくれた。
うーん、男に尽くされるとか全く慣れないし照れてしまうけど、なんだか悪い気はしない。
「大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫。お水ありがとう」
清流は僕の手からコップを取り上げると、「身体の調子は?」と尋ねてきた。
直ぐに昨日の醜態を思い出して、火がついたようにぼっと顔が熱くなる。
「も、問題ないよ。それより、清流のほうが体調悪くない? 寝不足みたいだけど……」
ベッドを占領していたであろう僕が聞くのも憚られるなぁと思いながら、立ったままの清流を見上げる。
清流は僕が残した水をぐいっと飲み干すと、嬉しそうに笑って言った。
「いや……俺が寝て目が覚めたら、世那がいなくなっているんじゃないかと思って。そう考えたら寝られなくなっただけ」
「なにそれ」
「自分に都合の良い夢だったって、いつもがっかりするからさ」
……いつも?
僕が口を開く前に、清流はコップを横に置くと僕に覆いかぶさってくる。
「重たいよ、清流……あ! それより今、何時?」
我に返った僕は、キスを仕掛けようとする清流の口を抑えて目を動かし、部屋の時計を探す。
今日は月曜のはずで、普通に出勤日だ。
「今は九時。世那のお父さんに今日は仕事を休むって伝えておいたからゆっくりして大丈夫だ」
「え?」
「ひとまず、腹ごしらえでもしようか。朝はパン派だったよな?」
「えと、うん。……うん?」
会社へ本当に連絡したんだろうか、とか、なんでパン派だって知ってるんだろうか、とか色々な疑問を抱えつつも、僕は清流の案内でリビングへと移動しようとした、のだが。
「……清流、シャワーを先に使わせて貰ってもいい?」
ベッドから立ち上がった瞬間、お尻からドロッとしたものが滴り落ちて身体が硬直した。
本番まではしていないからローションだろうが、慣れない感覚にびっくりする。
「勿論かまわないが……ああ、まだナカに残ってた?」
いつ着たのだか覚えていないバスローブを捲り上げられ、僕はまるで女の子のようにそれを抑える。
「ちょっと、清流!」
「恥じらわれても、興奮するだけなんだけど。昨日しっかり拭いたつもりだったが、もっとしっかり掻き出さないと駄目だったな」
「~~っっ」
恥ずかしくて、何も言えない。
どうやら僕が寝ている間に、清流が僕の身体を拭いたりバスローブを着せたりしてくれたらしい。
僕は女の子相手にそんなことをしたことがないのだけど、清流はこれが通常運転なのだろうか。
だとしたら僕には、やはり男子力というものが足りなかったのかもしれない。
「風呂はこっち。おいで」
自然と差し出される手に視線を落とす。
え、家の中でエスコートされるの? 僕。
しかし男だからこそ知っている。
無視された手は行き場を無くして、男は悲しい思いをするのだと……!
「……うん」
仕方なく、僕はその手に自分の手をのせ、風呂場へ案内された。
翌朝僕が起きると、甘ったるい表情をした清流にキスを落とされた。
「清流……?」
「うん、どうした?」
清流の顔にはやや疲れがうかがえて、目の下には隈ができている。
疲れていても、それが妙な色っぽさにしかならないイケメンで何よりだ。
男二人でも余裕で並んで寝られそうなベッドだけど、もしかして僕が占領してしまって寝られなかったのかなと思い、尋ねようとしたが声が掠れて出ない。
僕がケホコホむせていると、清流は慌てて水を持って来てくれた。
うーん、男に尽くされるとか全く慣れないし照れてしまうけど、なんだか悪い気はしない。
「大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫。お水ありがとう」
清流は僕の手からコップを取り上げると、「身体の調子は?」と尋ねてきた。
直ぐに昨日の醜態を思い出して、火がついたようにぼっと顔が熱くなる。
「も、問題ないよ。それより、清流のほうが体調悪くない? 寝不足みたいだけど……」
ベッドを占領していたであろう僕が聞くのも憚られるなぁと思いながら、立ったままの清流を見上げる。
清流は僕が残した水をぐいっと飲み干すと、嬉しそうに笑って言った。
「いや……俺が寝て目が覚めたら、世那がいなくなっているんじゃないかと思って。そう考えたら寝られなくなっただけ」
「なにそれ」
「自分に都合の良い夢だったって、いつもがっかりするからさ」
……いつも?
僕が口を開く前に、清流はコップを横に置くと僕に覆いかぶさってくる。
「重たいよ、清流……あ! それより今、何時?」
我に返った僕は、キスを仕掛けようとする清流の口を抑えて目を動かし、部屋の時計を探す。
今日は月曜のはずで、普通に出勤日だ。
「今は九時。世那のお父さんに今日は仕事を休むって伝えておいたからゆっくりして大丈夫だ」
「え?」
「ひとまず、腹ごしらえでもしようか。朝はパン派だったよな?」
「えと、うん。……うん?」
会社へ本当に連絡したんだろうか、とか、なんでパン派だって知ってるんだろうか、とか色々な疑問を抱えつつも、僕は清流の案内でリビングへと移動しようとした、のだが。
「……清流、シャワーを先に使わせて貰ってもいい?」
ベッドから立ち上がった瞬間、お尻からドロッとしたものが滴り落ちて身体が硬直した。
本番まではしていないからローションだろうが、慣れない感覚にびっくりする。
「勿論かまわないが……ああ、まだナカに残ってた?」
いつ着たのだか覚えていないバスローブを捲り上げられ、僕はまるで女の子のようにそれを抑える。
「ちょっと、清流!」
「恥じらわれても、興奮するだけなんだけど。昨日しっかり拭いたつもりだったが、もっとしっかり掻き出さないと駄目だったな」
「~~っっ」
恥ずかしくて、何も言えない。
どうやら僕が寝ている間に、清流が僕の身体を拭いたりバスローブを着せたりしてくれたらしい。
僕は女の子相手にそんなことをしたことがないのだけど、清流はこれが通常運転なのだろうか。
だとしたら僕には、やはり男子力というものが足りなかったのかもしれない。
「風呂はこっち。おいで」
自然と差し出される手に視線を落とす。
え、家の中でエスコートされるの? 僕。
しかし男だからこそ知っている。
無視された手は行き場を無くして、男は悲しい思いをするのだと……!
「……うん」
仕方なく、僕はその手に自分の手をのせ、風呂場へ案内された。
357
あなたにおすすめの小説
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談?本気?二人の結末は?
美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された
あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると…
「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」
気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
初めましてです。お手柔らかにお願いします。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
人気アイドルが義理の兄になりまして
三栖やよい
BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる