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「僕の家、更新が六ヶ月後なんだけど。それまで、お試しで一緒に住んでみるっていうのはどう?」
六ヶ月あれば、僕が普段どれだけだらしない人間か、十分わかって貰えるだろう。
それより前に追い出されても、今の家に戻ればいいだけの話だ。
そう思って、少しだけ胸が痛んだ。
意外と僕は、昨日再会したばかりの清流を気に入っているらしい。
お試しでと言った僕の返事に、清流が目を見開く。
「僕の家より清流の家のほうがずっと広いから、僕がこっちの家に間借りしてもいいかな? その間の余分にかかる光熱費は僕も負担するよ」
ああでも、僕の会社から遠すぎると無理か。
そう続けた僕の言葉に被せ気味にして、清流が食いついた。
「それは問題ない、俺の家は世那の会社から近いから……っああくそ、マジか、嬉しすぎる……!」
がば、と抱き締められ、ちゅ、ちゅ、と顔中にキスを落とされる。
恋は盲目と言うが、いったい何ケ月持つだろうか。
少し自嘲気味に笑って、僕は瞳を閉じた。
***
その後すぐ、清流は僕の、つまり父の会社に転職した。
父はもともと技術畑の人間だ。
三代目にして会社を潰してはならないと、経営ではなく現場を知ることも大事と考え、ここまで会社を大きく、成功させた人。
現場でのモノ作りを知らないと駄目だという考えで成功したから、当然のように僕にも現場に近く、会社の未来を大きく左右する開発部の課長というポジションを与えていた。
それが、清流が転職してきてから、僕は営業部課長へ異動となり、清流が開発部課長になった。
下請けと協力して進めていた新しい工法や技術は清流が担当してからあっという間に特許を申請するところまでトントン拍子に話が進み、営業部は僕が任されてから上手く回るようになってきた。
傾いていた経営は、そうした技術力と今までの実績を僕が営業するようになってから、直ぐにV字回復するようになった。
僕にはこの会社を良くするような力なんてない、と思い悩んでいたことが嘘のように、今は仕事が楽しくて仕方がなかった。
私生活も仕事も充実して、幸せだった。
――そう、恐ろしいほどに。
「ちょっと待って、きよらぁ♡」
「あいつら、何? 世那さぁ、やたら部下に懐かれすぎじゃない? あんなにベタベタ触らせて、俺を狂わせたいのか?」
「違、彼らは誰にでも、距離が、近くて……ぁあッ♡」
玄関のドアを閉めるなり服を脱がされ、首を強く吸われながら、ペニスを扱かれる。
「そういう清流だって、女の子たちに、囲まれてたくせに……っっ」
思い出して、少し胸がムカムカした。
今日は、会社の七十五周年記念の立食パーティーがあったのだ。
開発部は男性が圧倒的に多いから清流に近づく女性なんていないのだけど、今日は見事に輪ができていた。
当然のように会社社長令息である僕の周りにも輪ができるけど、どちらかというと会社の重鎮みたいな人たちが交互に挨拶にくるから、女性たちはこうした正式なパーティーでは逆に距離を取りたがる。
「……え? それってもしかして、世那のヤキモチ?」
「う~~」
恥ずかしくて、ぷいと横を向く。
すると清流は、僕の耳にぱくっと食いついた。
「あー、可愛い。こんな世那が見れるなら、我慢した甲斐があったな」
「あっ」
「世那、ベッド行こうか」
耳を舐められたままひょいと抱え上げられ、その先の快感を知ってしまった僕の身体は、期待に震えた。
六ヶ月あれば、僕が普段どれだけだらしない人間か、十分わかって貰えるだろう。
それより前に追い出されても、今の家に戻ればいいだけの話だ。
そう思って、少しだけ胸が痛んだ。
意外と僕は、昨日再会したばかりの清流を気に入っているらしい。
お試しでと言った僕の返事に、清流が目を見開く。
「僕の家より清流の家のほうがずっと広いから、僕がこっちの家に間借りしてもいいかな? その間の余分にかかる光熱費は僕も負担するよ」
ああでも、僕の会社から遠すぎると無理か。
そう続けた僕の言葉に被せ気味にして、清流が食いついた。
「それは問題ない、俺の家は世那の会社から近いから……っああくそ、マジか、嬉しすぎる……!」
がば、と抱き締められ、ちゅ、ちゅ、と顔中にキスを落とされる。
恋は盲目と言うが、いったい何ケ月持つだろうか。
少し自嘲気味に笑って、僕は瞳を閉じた。
***
その後すぐ、清流は僕の、つまり父の会社に転職した。
父はもともと技術畑の人間だ。
三代目にして会社を潰してはならないと、経営ではなく現場を知ることも大事と考え、ここまで会社を大きく、成功させた人。
現場でのモノ作りを知らないと駄目だという考えで成功したから、当然のように僕にも現場に近く、会社の未来を大きく左右する開発部の課長というポジションを与えていた。
それが、清流が転職してきてから、僕は営業部課長へ異動となり、清流が開発部課長になった。
下請けと協力して進めていた新しい工法や技術は清流が担当してからあっという間に特許を申請するところまでトントン拍子に話が進み、営業部は僕が任されてから上手く回るようになってきた。
傾いていた経営は、そうした技術力と今までの実績を僕が営業するようになってから、直ぐにV字回復するようになった。
僕にはこの会社を良くするような力なんてない、と思い悩んでいたことが嘘のように、今は仕事が楽しくて仕方がなかった。
私生活も仕事も充実して、幸せだった。
――そう、恐ろしいほどに。
「ちょっと待って、きよらぁ♡」
「あいつら、何? 世那さぁ、やたら部下に懐かれすぎじゃない? あんなにベタベタ触らせて、俺を狂わせたいのか?」
「違、彼らは誰にでも、距離が、近くて……ぁあッ♡」
玄関のドアを閉めるなり服を脱がされ、首を強く吸われながら、ペニスを扱かれる。
「そういう清流だって、女の子たちに、囲まれてたくせに……っっ」
思い出して、少し胸がムカムカした。
今日は、会社の七十五周年記念の立食パーティーがあったのだ。
開発部は男性が圧倒的に多いから清流に近づく女性なんていないのだけど、今日は見事に輪ができていた。
当然のように会社社長令息である僕の周りにも輪ができるけど、どちらかというと会社の重鎮みたいな人たちが交互に挨拶にくるから、女性たちはこうした正式なパーティーでは逆に距離を取りたがる。
「……え? それってもしかして、世那のヤキモチ?」
「う~~」
恥ずかしくて、ぷいと横を向く。
すると清流は、僕の耳にぱくっと食いついた。
「あー、可愛い。こんな世那が見れるなら、我慢した甲斐があったな」
「あっ」
「世那、ベッド行こうか」
耳を舐められたままひょいと抱え上げられ、その先の快感を知ってしまった僕の身体は、期待に震えた。
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