僕のお見合い相手が元クラスメイトのヤンキーだった

イセヤ レキ

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26 たぶんこれが、好きってこと

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状況が理解できた僕は通話を切ると、清流に尋ねる。

「話はわかったけど、清流がこの人の依頼を受けたのはどうして?」
「そいつには昔、世話になったんだ」
「昔……?」

清流は観念したように、溜息を吐く。

「高校三年の時。足を洗うっつうか、少し絡みのあったとあるグループと縁を切る時、俺ひとりじゃどうにも話にならなくて、難しかった時があって。そん時、かなりお世話になったんだよ。だから今回、向こうが俺を頼ってきた時、引き受けちまったんだ」
「守秘義務があるのはわかるけど、一般人なんだし僕には話してくれれば良かったのに」

心からそう思いながら首を傾げると、清流は顔を赤くしながら視線を逸らした。

「恥ずかしくて、言えるわけがないだろ……」
「警察に協力することの、どこが恥ずかしいの?」
「協力すること自体じゃなくて、協力する羽目になった理由が恥ずかしいんだって」

つまり、清流にとって、高校時代は黒歴史なのかな。

「けど、反省してる。今回が最後だし恥ずかしいからって理由で話さなかったせいで、世那が俺のところからいなくなったら一生後悔するところだった」

ぐっと眉根を寄せて、清流はこちらに手を伸ばす。
僕はわざとその手をふいと避けて、傷ついたような顔をした清流に苦笑しながらタオルを渡した。

「ほら、タオル。コートも足元も濡れてるよ」
「あ、ああ、ごめん」

ポタポタ、と防水コートの端から雨の雫が垂れて、床を濡らしていた。
それはスマートで几帳面な清流らしくない振る舞いだ。
きっと濡れていることにも気付かずに、夢中でここへ駆け付けてくれたのだろう。

タオルで水滴を拭う清流を見ながら、僕は口を開く。

「ねぇ清流、今回のことで気付いたんだけど」
「ん?」

気付いたというより、改めて自覚した、のほうが正しいかもしれない。

「僕はね、さっきの女性と清流の仲を勘違いしていないにも関わらず、嫌だって思ったんだよね。誰かが清流と腕を組んで、歩いていることがさ」

清流の腕に、ぎゅっとしがみついた。
男同士の僕たちは、外でこんなふうにして歩くことはできない。
多分、これから先も、ない。

「たぶんこれ、僕が清流を好きだってことなんだよね」
「……さっき、世那の背中を追い掛けられなかった時。マジで終わったって思って、目の前が真っ暗になった。地獄みたいだった」
「うん。清流も少しは、僕に話さなかったこと、後悔したでしょう?」
「した。滅茶苦茶した」
「じゃあ、仲直りしようか」

僕は清流の首に自分の両手を引っ掛けると、グイッと引っ張って、その冷たい唇に自分の唇を押し付けた。
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