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19 予想外の結末
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「──エフィナ! 戻って来い、エフィナ!!」
「……」
ロイアルバ?
私は瞬きをする。
私はどれだけの時間、狂っていたのだろう??
悪夢の中で、ロイアルバに何度も殺された。
家族も殺された。
そして、ロイアルバの隣には絶世の美女がいて、その腰を抱きながら彼は私に「公女など必要ない」と言い放った。
「……ロイアルバ、私……」
てっきりベッドの中にいるのかと思ったのだが、何かおかしいことに気付く。
ここは……まだ、魔窟の中?
あれ? 何故? 時間があまり、経ってない??
最低、半年は狂ったままなのでは……もしかして、まだ悪夢の最中?
「ああ、良かった、無事で……!!」
「ロイアルバ様、公女様が戸惑われています。ひとまず馬車に戻りましょう。戻りながら、色々説明されては如何ですか」
「ああ、そうだな。そうしよう」
ロイアルバは私を抱きかかえると、そそくさと魔窟から出て、馬車に乗った。
精鋭部隊の騎士たちも一緒で、やはり時が経ったようには見えない。
「ロイアルバ、魔石はよろしいのですか?」
皇帝は、魔石の為に私を闇堕ちさせろと言っていたのに、目的を果たさないロイアルバに首を傾げる。
「ああ、魔石を生成していた悪魔は私が殺したからな。もう新しい魔石は作られない」
「……え??」
「やはり、思った通りだった。リンダンロフの王族と悪魔が手を組んだんだろう」
「どういうことか、説明して下さい」
人に何かを説明するのは苦手なんだが、とボヤくロイアルバを私は急かす。
狂う覚悟で悪夢に身を委ねた私の覚悟はなんだったのか。
一瞬で終了してしまった復讐に呆然としながらも、説明を受けなければ納得も先に進むことも出来ないと私は仏頂面になった。
そして私は、衝撃的な話を聞かされた。
魔石を作っていたのは魔窟に住まう悪魔であり、その悪魔は人々の闇を食べることで、力を増していたらしい。
皇帝は魔石欲しさで、悪魔の餌となり力となる闇を魔窟に捧げる。
悪魔は人間が抱える闇の力欲しさに、魔石という人間には生み出せない餌をぶら下げて、人間から力を得る。
悪魔に闇の力が満ちれば、魔窟から出て行ける。
あとに待つのは、帝国の破滅のみだ。
そしてそんな悪魔を、野望ごと粉砕したのがロイアルバ。
私が気を失っていたのは、僅か五分程らしい。
「ロイアルバは、なぜ魔窟に入ったにも関わらず、悪夢を見なかったのですか?」
「いや、悪夢は見た。何回も、君を殺された」
「自分が殺されたのではなく?」
「私が恐ろしいのは、君が私の手の届かないところへ行ってしまうことだからな」
「そうですか……」
「ただ、私は悪夢を見ても囚われなかったから、悪魔を倒せただけだ」
「悪魔を倒したのですか?」
「ああ」
これは賭けだった、とロイアルバは笑って言う。
悪魔と取引をした百年前の皇帝も、悪魔の力を恐れたはずだと。
だから、皇帝はその力に魅入られながらもひとつだけ条件を出していた。
皇帝の血を引く者は、悪魔の力の支配が及ばないという契約を結んでいたのだ。
「けれども……リンダンロフは国益をもたらした魔石を失い、再び不便な生活に戻って……国民も不満が募るのではないですか?」
「最初のうちは、そうだろうな」
しかし、その不便な中でも文明を発展させた国があるから、そこから知恵を借りれば良い、とロイアルバは笑う。
「まぁ、そんな国が……」
「はは、何を言ってるんだ。君の国だよ、公国だ」
「え?」
私は驚きに目を見張る。
「……」
ロイアルバ?
私は瞬きをする。
私はどれだけの時間、狂っていたのだろう??
悪夢の中で、ロイアルバに何度も殺された。
家族も殺された。
そして、ロイアルバの隣には絶世の美女がいて、その腰を抱きながら彼は私に「公女など必要ない」と言い放った。
「……ロイアルバ、私……」
てっきりベッドの中にいるのかと思ったのだが、何かおかしいことに気付く。
ここは……まだ、魔窟の中?
あれ? 何故? 時間があまり、経ってない??
最低、半年は狂ったままなのでは……もしかして、まだ悪夢の最中?
「ああ、良かった、無事で……!!」
「ロイアルバ様、公女様が戸惑われています。ひとまず馬車に戻りましょう。戻りながら、色々説明されては如何ですか」
「ああ、そうだな。そうしよう」
ロイアルバは私を抱きかかえると、そそくさと魔窟から出て、馬車に乗った。
精鋭部隊の騎士たちも一緒で、やはり時が経ったようには見えない。
「ロイアルバ、魔石はよろしいのですか?」
皇帝は、魔石の為に私を闇堕ちさせろと言っていたのに、目的を果たさないロイアルバに首を傾げる。
「ああ、魔石を生成していた悪魔は私が殺したからな。もう新しい魔石は作られない」
「……え??」
「やはり、思った通りだった。リンダンロフの王族と悪魔が手を組んだんだろう」
「どういうことか、説明して下さい」
人に何かを説明するのは苦手なんだが、とボヤくロイアルバを私は急かす。
狂う覚悟で悪夢に身を委ねた私の覚悟はなんだったのか。
一瞬で終了してしまった復讐に呆然としながらも、説明を受けなければ納得も先に進むことも出来ないと私は仏頂面になった。
そして私は、衝撃的な話を聞かされた。
魔石を作っていたのは魔窟に住まう悪魔であり、その悪魔は人々の闇を食べることで、力を増していたらしい。
皇帝は魔石欲しさで、悪魔の餌となり力となる闇を魔窟に捧げる。
悪魔は人間が抱える闇の力欲しさに、魔石という人間には生み出せない餌をぶら下げて、人間から力を得る。
悪魔に闇の力が満ちれば、魔窟から出て行ける。
あとに待つのは、帝国の破滅のみだ。
そしてそんな悪魔を、野望ごと粉砕したのがロイアルバ。
私が気を失っていたのは、僅か五分程らしい。
「ロイアルバは、なぜ魔窟に入ったにも関わらず、悪夢を見なかったのですか?」
「いや、悪夢は見た。何回も、君を殺された」
「自分が殺されたのではなく?」
「私が恐ろしいのは、君が私の手の届かないところへ行ってしまうことだからな」
「そうですか……」
「ただ、私は悪夢を見ても囚われなかったから、悪魔を倒せただけだ」
「悪魔を倒したのですか?」
「ああ」
これは賭けだった、とロイアルバは笑って言う。
悪魔と取引をした百年前の皇帝も、悪魔の力を恐れたはずだと。
だから、皇帝はその力に魅入られながらもひとつだけ条件を出していた。
皇帝の血を引く者は、悪魔の力の支配が及ばないという契約を結んでいたのだ。
「けれども……リンダンロフは国益をもたらした魔石を失い、再び不便な生活に戻って……国民も不満が募るのではないですか?」
「最初のうちは、そうだろうな」
しかし、その不便な中でも文明を発展させた国があるから、そこから知恵を借りれば良い、とロイアルバは笑う。
「まぁ、そんな国が……」
「はは、何を言ってるんだ。君の国だよ、公国だ」
「え?」
私は驚きに目を見張る。
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