元公女の難儀な復讐

イセヤ レキ

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27 戦場より緊張する

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「エフィナと一度しか挨拶をしたことがなかったり、久しぶりに宮殿に来たりという者たちもいて、エフィナが彼らを淀みなく紹介したことに驚いたそうだ」
私が退場したあと、家臣がそう言ったのだろうか。
ロイアルバの言葉に、私は首を傾げる。

「久しぶりであっても、一度挨拶をしておりますから」
グシャナトの貴族の数なんて、その家族を含めても大した数ではない。
ロイアルバの部下たちや使用人の数のほうがずっと多いのに、何を言っているのかわからなかった。

「もしかして、全ての貴族の顔と名前を一致させているのか?」
「家臣ですから。それに、リンダンロフの貴族の方々も、ご挨拶をした方しかわかりませんよ」
リンダンロフの貴族よりは、ロイアルバの遠征に付き合った部下たちの方が長くいた分、全員わかると言えばロイアルバは少し目を見開く。

「君は、自己紹介をされれば覚えるものなのか? 私の部下でも?」
「勿論です。逆に、なんのための挨拶なのです? 名前と顔を一致させるためのものではないのですか?」
「なるほど、家臣たちが君を大事にする意味が、改めてわかった気がした」
私には全くわからず、目を瞬く。
それよりも、掌から伝わるロイアルバの鼓動が徐々に安定してきて、ほっとした。

「それではロイアルバ、もう休みましょう」
私がベッドに潜り込むと、ロイアルバは私に覆いかぶさって来た。
この重たさに慣れた自分に気付き、思わず苦笑する。

「エフィナ、そんな姿で私をにしておいて、休む気か?」
少し恨みがましく言うロイアルバ。
私の股に当たっていたロイアルバの下半身は、確かにとっても元気だった。

「世間話をしているくらいなら、疲れたので寝たいと思いまして」
「わかった。世間話は今すぐやめるから、今日は触れてもいいか?」
先日注意したことを律儀に守って尋ねてくるロイアルバに、私はくすくすと笑う。
「断ってもいいのですか?」
「駄目だ」
「では、いいですよ」
どうせここで断ったところで、ロイアルバの力があれば私に抵抗なんてできっこない。

「ありがとう。ああ、さっきから心臓から口が飛び出そうだ。戦場より緊張する」
「そうですか」
ロイアルバがそういう状態であることは知っていたが、動揺を悟らせるなと教えられているから隠しているだけで、私もいよいよ緊張してきた。

「初めてだから上手くないかもしれないが、精一杯優しくする」
「それは……是非、よろしくお願いします」
ロイアルバの力で力任せにされれば、痣や捻挫になりそうだ。
初めて同士で上手くいくものか心配ではあるが、多分男性のほうが色々閨について教わっているだろう。

しかし触れると言いながらも、私の上に覆いかぶさったまま微動だにしないロイアルバ。
私は「無理はしないでいいですよ」と言いながら横にコロンと転がって、目の前にあった太い血管が浮き上がる逞しい二の腕にちゅ、とキスをした。
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