[R-18] 火消しの火遊び:おっさん消防士はイケメン俳優に火をつける

山葉らわん

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第四章 週明けからドタバタと

見られていない、見られている?

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 リビングではテレビの音が流れている。時計代わりの朝の情報番組だ。週明けの月曜日は、世間の常識では晴々しい一週間のスタートらしく、出演者の声のトーンもBGMも、人々を明るく外の世界に送り出そうとするかのように賑やかだ。
 健悟は洗面台の前に立ち、鏡を覗き込みながら片手で無精ひげをさすっていた。鉄条網が張り巡らされているようだ。それに自分で見ても、ワイルドな男の魅力を通り越して、ただむさ苦しいだけだった。健吾は、洗面台から安全カミソリを手に取り、試しに頬のうえを軽く滑らせた。そしてすぐに刃を取り換えた。
 健悟はもう一度鏡を見た。すでに全裸だ。寝汗で濡れた剛毛が腕に、胸に、腹にびっしりと張りついている。とっととシャワーを浴びよう。ついでに、おまえも何とかしなきゃな。健悟は、痛いほど勃起している相棒を見下ろした。
 安全カミソリとフリーザーバッグに入れた小雪用のスマホを棚に置き、シャワーのコックをひねる。水が湯に変わるまでのあいだ、相棒にシャワーを浴びせて落ち着かせ、湯が出はじめるとざっと全身に浴びてから回れ右をする。湯を背中に打ちつけながらシャンプーで髪を洗い、石鹸を顔に塗りたくって洗顔と同時に髭を剃り、最後に股間の剛毛で石鹸を十分に泡立てて全身を洗う。これを一分で済ませ、また回れ右をして熱いシャワーを一分、冷たいシャワーを一分浴びる。凡てを三分以内に済ませるのが健悟のルールだ。
 シャワーを了えると、健悟は腰にタオルを巻いてリビングに這入った。テレビからは相変わらず鼓舞するような明るい音声が流れている。健悟は、それを尻目に小雪用のスマホをフリーザーバッグから取り出してテーブルにそっと置き、ホープとジッポを鷲掴みにしてベランダに出た。
「今日も暑くなりそうだな……」
 健悟はホープに火をつけ、壁にもたれた。
 胸毛からぽたぽたと垂れる拭き残しの水滴が、胸から腹へ、腹から腰のタオルへと落ちてゆく。健悟はタオルを外し、銜えタバコで全身を拭い、物干し竿にタオルをかけた。ここは八階の角部屋で周囲に高い建物はなく、日除けの竹すだれもある。誰からも見られる心配はない。
 健悟は、ベランダの隅にある水を張った小さなバケツに吸いさしを放りなげ、もう一本取りだして火をつけた。
「久しぶりの日勤だ。おまえも今日は出動しなくて好いぞ」
 健悟は股間の相棒にこう語りかけ、ベランダをのっしのっしと歩きまわった。素っ裸かでむタバコの味は格別だ。何よりもその開放感がたまらない。
 今朝も目覚ましより五分早く目が覚めた。五時五十五分だった。相棒も朝勃ちしていた。だがこれはいつものことだ。せんりを覚えた頃から変わっていない。しかし今朝はぐっしょりと濡れたシーツのうえで目が覚めたのだった。しかも素っ裸かだった。雄のフェロモンを撒き散らしているらしく、健悟のぐるりはセックスの匂いに包まれていた。
 天井に鏡はなかった。寝ているのは回転ベッドではなかったし、隣りには誰もいなかった。健悟は、徐々に、エアコンのタイマーが切れて寝汗をかいただけだということ、寝苦しくて無意識のうちに素っ裸かになっただけだということを理解した。
 女遊びさえしなければ、目覚めの悪い朝を迎えることなどなかった。小雪とLINE交換をしたのだから、週末は小雪とチャットをしていれば良かったのだ。
 三本目に火をつけようとしたときだった。
「時刻は午前七時になりました。それでは最新のニュースです」
 リビングのテレビから男性アナウンサーがニュースを読む声が聞こえた。五分ほどの短いコーナーで、このつぎには生活情報を紹介するコーナーが控えている。生活情報に大して興味はないが、小雪にちょっと似た女性アナウンサーが担当しているので、見逃さないようにしている。
 健悟は部屋に戻って着替えの準備をした。すぐにリビングのテーブルのうえに背広、ズボン、シャツ、ネクタイ、靴下が並べられた。今日は日勤なので出動も宿直もない。下着を穿くか下帯を締めるかは、女性アナウンサーの出番が来たら直感で決めることにした。
 男性アナウンサーの出番はまだ終わらない。
「朝メシはどうすっかな……」
 それほど腹は減っていない。それでもとりあえずキッチンからプロテインバーと栄養ドリンクを持ってきて、テーブルに置いた。
「これで良し、と……」
 健悟は右手に下帯、左手に下着を掴み、テレビの前で仁王立ちになって女性アナウンサーの出番を待った。男性アナウンサーが口をパクパクさせながらニュースを読んでいる。早く引っ込め。てめえの口に俺の相棒を突っ込むぞ。悪態をついたつぎの瞬間、画面が切り替わった。
「初めまして。今日からこのコーナーを担当します、レポーターの――」
 聞き覚えのある声の女が、画面に現れた。まさか……。記憶が正しければ、三年前に一度だけ遊んだ女だ。地方局のアナウンサーになったと風の噂に聞いたが、結局、東京に舞い戻って来ていたらしい。間違いなくあの女だ。髪を切って、化粧して、二重にしたからと云って別人になれるわけではない。声は変わっていないし、それに……。
 相棒が反応している。自慢じゃないが、一度でもなかに這入った女を忘れるようなヤツではない。健悟は相棒を強引に下向きにして貞操帯を巻くように下帯をきつく締めた。
「まったく驚かせやがって」
 そこへ突然、LINEの着信音が鳴った。小雪からだ。健悟は、過去の女たちとの火遊びが、もうすでに小雪にバレているような気がした。
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