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現在の流れ
卒業
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桜の花びらが、風に乗り舞っている。
三月九日、まだ肌寒い風が吹いているが、陽射しは暖かく、春の陽気が近づいているのを感じさせている。
「明日から少しだけ休み入るし、カラオケ行こうぜ」
「いーねー!朝までオールな!」
「俺、大学の宿題大量に出されてキツイわー」
「大丈夫大丈夫。どうせ終わんねーよ。遊んだって変わらねーから」
「就職組はスーツさえありゃいいもんなー、楽でいいよなー」
なんて話がチラホラ聞こえ、石動 界斗はその場を通り過ぎる。
界斗も今日、高校を卒業して、県立大学に入学予定だ。
周りにいる卒業生とは真逆の暗い顔をしているが、確かに大学に入学予定だ
「一週間ちょいの休みが終われば、また学校。結局は変わらねーじゃんか」
などと呟きながら、卒業式の会場に足を運ぶ。
約二時間くらいの卒業式。
常に界斗が考えてたのは、「話長い、早く終われ、立つのダル」と、まぁ他の生徒でも思いそうなことを欠伸をかきながら思っていた。
式が終わり、教室に戻り、担任の泣き顔に他の一部生徒がもらい泣きし、最後の挨拶して終わった。
「・・・帰ろ」
まだ教室には卒業アルバムを見てゲラゲラ笑っている女子やら、明日からの予定を決めてる男子など多くいたが、席を立ち下駄箱に向かう。
時刻は昼12時。
昼飯はコンビニで買うか、など考えながら靴を履き校門を出る。
「さて飯は・・」
「ご飯はファミレス行きましょ!」
ドンッと肩を押され振り返るとポニーテールの女子が満面の笑みで立っていた。
「・・・さて飯買いに・・・痛っ!」
「ファミレス行きましょ!」
「くそっ、何すんだよ玲可!何度も土搗きやがって!」
「無視するからでしょ?さぁ、ファミレス行くわよ」
肩を掴まれ、反抗の声も届かず、無理やり連れて行かれる。
ファミレスに連行され、あれやこれやと注文しコーラを飲んでいるポニーテール女子、山科 玲可は、お腹空いたー!と叫びながら、イスにもたれかかっている。
「玲可、お前部活の連中と一緒じゃねーのか?」
さっさと食って、そっち行けと思いながら玲可に質問するが「どうせ大学でまた会うし、課題も大してないし、また今度ねって解散したわよ」
と言われ肩を落としてため息を吐いた。
「なによ、界斗だって同じ部活で同じ大学じゃない。もうちょっと皆で連んだらどーよ」
「俺は評価が上がるから部活に入っただけで、それ以外関わるつもりないし。大学もやりたいことないから選んだだけで大した理由ないしね」
「あーはいはい、わかってますよー」
玲可に軽くあしらわれたが、もういいやと話をやめる。
別に目的があるわけじゃない。
別に目標があるわけじゃない。
別に特別才能があるわけじゃない。
選択肢はいろいろ提示してあったが、何にも決まらなかった。
選択を先延ばしにするために、大学を受験した。
それ以外、彼は選択肢を選べなかった。
失敗作だから・・・
ファミレスで昼飯を食べ、特に多くを語ることなく店を出た。
ここら辺の街並みは、商店街を中心にマンションやら、一軒家やらが並ぶ東座町と言われている。
住宅街の奥には川が流れていて、向こう岸には工場やら、よく分からない建物が密集する西座町と言われている地域がある。
東座町と西座町は座間橋というデカイ橋1つでしか行き来できず、学生が行くことはほとんどない。
工場見学かなんかで2回くらい行ったが、あまり覚えてない。
「ねぇ、今後就職考えたら、この町から出る?」
と玲可は界斗の前を歩きながら聞いてきた。
「なんだよ急に。わからん、町出るのもダルいし、いるんじゃね」
適当に答えた言葉に、「そっか」と呟いた玲可は、「先帰るわー!」と急に走り出してしまった。
「・・・帰るか」
特に気にとめることなく、そのまま帰路に着く。
彼女が少し嬉しそうに笑ったのもきづかずに。
三月九日、まだ肌寒い風が吹いているが、陽射しは暖かく、春の陽気が近づいているのを感じさせている。
「明日から少しだけ休み入るし、カラオケ行こうぜ」
「いーねー!朝までオールな!」
「俺、大学の宿題大量に出されてキツイわー」
「大丈夫大丈夫。どうせ終わんねーよ。遊んだって変わらねーから」
「就職組はスーツさえありゃいいもんなー、楽でいいよなー」
なんて話がチラホラ聞こえ、石動 界斗はその場を通り過ぎる。
界斗も今日、高校を卒業して、県立大学に入学予定だ。
周りにいる卒業生とは真逆の暗い顔をしているが、確かに大学に入学予定だ
「一週間ちょいの休みが終われば、また学校。結局は変わらねーじゃんか」
などと呟きながら、卒業式の会場に足を運ぶ。
約二時間くらいの卒業式。
常に界斗が考えてたのは、「話長い、早く終われ、立つのダル」と、まぁ他の生徒でも思いそうなことを欠伸をかきながら思っていた。
式が終わり、教室に戻り、担任の泣き顔に他の一部生徒がもらい泣きし、最後の挨拶して終わった。
「・・・帰ろ」
まだ教室には卒業アルバムを見てゲラゲラ笑っている女子やら、明日からの予定を決めてる男子など多くいたが、席を立ち下駄箱に向かう。
時刻は昼12時。
昼飯はコンビニで買うか、など考えながら靴を履き校門を出る。
「さて飯は・・」
「ご飯はファミレス行きましょ!」
ドンッと肩を押され振り返るとポニーテールの女子が満面の笑みで立っていた。
「・・・さて飯買いに・・・痛っ!」
「ファミレス行きましょ!」
「くそっ、何すんだよ玲可!何度も土搗きやがって!」
「無視するからでしょ?さぁ、ファミレス行くわよ」
肩を掴まれ、反抗の声も届かず、無理やり連れて行かれる。
ファミレスに連行され、あれやこれやと注文しコーラを飲んでいるポニーテール女子、山科 玲可は、お腹空いたー!と叫びながら、イスにもたれかかっている。
「玲可、お前部活の連中と一緒じゃねーのか?」
さっさと食って、そっち行けと思いながら玲可に質問するが「どうせ大学でまた会うし、課題も大してないし、また今度ねって解散したわよ」
と言われ肩を落としてため息を吐いた。
「なによ、界斗だって同じ部活で同じ大学じゃない。もうちょっと皆で連んだらどーよ」
「俺は評価が上がるから部活に入っただけで、それ以外関わるつもりないし。大学もやりたいことないから選んだだけで大した理由ないしね」
「あーはいはい、わかってますよー」
玲可に軽くあしらわれたが、もういいやと話をやめる。
別に目的があるわけじゃない。
別に目標があるわけじゃない。
別に特別才能があるわけじゃない。
選択肢はいろいろ提示してあったが、何にも決まらなかった。
選択を先延ばしにするために、大学を受験した。
それ以外、彼は選択肢を選べなかった。
失敗作だから・・・
ファミレスで昼飯を食べ、特に多くを語ることなく店を出た。
ここら辺の街並みは、商店街を中心にマンションやら、一軒家やらが並ぶ東座町と言われている。
住宅街の奥には川が流れていて、向こう岸には工場やら、よく分からない建物が密集する西座町と言われている地域がある。
東座町と西座町は座間橋というデカイ橋1つでしか行き来できず、学生が行くことはほとんどない。
工場見学かなんかで2回くらい行ったが、あまり覚えてない。
「ねぇ、今後就職考えたら、この町から出る?」
と玲可は界斗の前を歩きながら聞いてきた。
「なんだよ急に。わからん、町出るのもダルいし、いるんじゃね」
適当に答えた言葉に、「そっか」と呟いた玲可は、「先帰るわー!」と急に走り出してしまった。
「・・・帰るか」
特に気にとめることなく、そのまま帰路に着く。
彼女が少し嬉しそうに笑ったのもきづかずに。
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