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悪役令嬢はなりたくてなったわけじゃない。
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ヴィオレティーナ・ナイトレイは魔法学園の高等部第二学年に無事進級した。
高嶺の薔薇、孤高の紫水晶、なんて呼ばれているのはいざ知らず、透き通った純度の高い紫の瞳は身のうちに秘める魔力の高さを表した。
白く透ける肌、口紅いらずのぷるんと果実みたいな唇、人ならざるモノを視る紫の瞳、横顔は憂いを帯び、所属寮を示す漆黒の制服はヴィオラによく似合っていた。
母譲りのふわりと緩やかなウェーブを描く黒髪を背中で揺らしながら、足早に廊下を突き進む。後ろから「お姉さま、どこー!?」と喧しい声が聞こえた。
高嶺の花と呼ばれるにふさわしい美貌を嫌悪に歪め、荒々しくヒールを鳴らした。
どこか隠れられる場所はないかと、首を巡らせるヴィオラの腰を大きな手のひらが掴んで引き寄せた。
――薄暗い密室。細い腰を引き寄せられ、頭を抱きしめられる。制服越しに、相手の心臓の音が聞こえた。
とくん、とくん、と一定で鳴る音は早っていたヴィオラの昂りを落ち着かせる。
彼の顔を見上げようとしたら「しぃ」と、窘められてしまった。口を噤んで、彼の心音に耳を傾けていると足音と喧しいキンキン声が近づいてくる。
「ここら辺にいたと思ったんだけど……」
「次の授業に向かったんだろ。俺たちもそろそろ教室に行かないと遅刻しちまうぜ」
「……そうよね。遅刻なんてしたらお姉さまったらますます口をきいてくれなくなっちゃう! 早く戻りましょ、ジュキア、クリス!」
二言、三言、言葉を交わして遠ざかっていく足音に安堵の溜息を零した。
「――……助かったわ、ユリア」
「毎日大変だね、僕のお姫様」
高嶺の薔薇、孤高の紫水晶、なんて呼ばれているのはいざ知らず、透き通った純度の高い紫の瞳は身のうちに秘める魔力の高さを表した。
白く透ける肌、口紅いらずのぷるんと果実みたいな唇、人ならざるモノを視る紫の瞳、横顔は憂いを帯び、所属寮を示す漆黒の制服はヴィオラによく似合っていた。
母譲りのふわりと緩やかなウェーブを描く黒髪を背中で揺らしながら、足早に廊下を突き進む。後ろから「お姉さま、どこー!?」と喧しい声が聞こえた。
高嶺の花と呼ばれるにふさわしい美貌を嫌悪に歪め、荒々しくヒールを鳴らした。
どこか隠れられる場所はないかと、首を巡らせるヴィオラの腰を大きな手のひらが掴んで引き寄せた。
――薄暗い密室。細い腰を引き寄せられ、頭を抱きしめられる。制服越しに、相手の心臓の音が聞こえた。
とくん、とくん、と一定で鳴る音は早っていたヴィオラの昂りを落ち着かせる。
彼の顔を見上げようとしたら「しぃ」と、窘められてしまった。口を噤んで、彼の心音に耳を傾けていると足音と喧しいキンキン声が近づいてくる。
「ここら辺にいたと思ったんだけど……」
「次の授業に向かったんだろ。俺たちもそろそろ教室に行かないと遅刻しちまうぜ」
「……そうよね。遅刻なんてしたらお姉さまったらますます口をきいてくれなくなっちゃう! 早く戻りましょ、ジュキア、クリス!」
二言、三言、言葉を交わして遠ざかっていく足音に安堵の溜息を零した。
「――……助かったわ、ユリア」
「毎日大変だね、僕のお姫様」
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