悪役令嬢のペットは殿下に囲われ溺愛される

白霧雪。

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1巻

1-1

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 第一章 白花の策謀


 僕には、僕じゃない男の子の記憶がある。果たしてそれは僕が僕となる前の記憶なのか、それとも僕の妄想、あるいは夢なのか。
 記憶の中の『ぼく』は、とても弱い子供だった。色白で、小枝みたいに細くて、いつも具合が悪そうだった。
 虐待に育児放棄。成長期に満足のいく食事を与えられず、栄養失調気味の痩躯そうく
 世間体を気にして、通っていた学校だけが安らぎだった。下校時間まで学校の図書館で時間を潰して、『ママ』が『お仕事』に出かけるまで近くの公園で過ごす。
 学校も『ママ』の『お仕事』も休みの日は、暗くて狭苦しい押し入れで、ひっそりと息をする。服の下は青痣が絶えず、いつもお腹を空かせてうずくまっていた。
 父親がいないかわりに、いつも違う男の人がいて、『ぼく』に暴力を振るってくる。
『ママ』は若い女の人で、『ママ』が望んで『ぼく』を産んだのではないとすぐに気づいた。

「あんたなんか生まなきゃよかった」

 ボロボロ涙をこぼしている。薄っぺらいワンピースから覗く手足は折れそうなくらい細く、目の下には色濃い隈が滲んでいる。
『ぼく』の存在は『ママ』にとって不必要で、ストレスの原因だった。
 幼いながらにさとかった『ぼく』は、『大好きなママ』のためにできることをしようと、学校から家に帰る時間をさらに遅くした。
 夜の公園にひとり、やつれているが顔立ちの整った子供に大人たちはみんな声をかけてきた。純粋に心配してくれる人もいれば、欲に塗れた顔で、強引に連れて行こうとする人もいた。
 大の大人に痩せぎすの子供がかなうはずもない。このまま『ぼく』がいなくなったら『ママ』は心配してくれるかな。
 抵抗をやめた『ぼく』を誘拐犯から助けてくれたのは、とっても綺麗で、冷たい冬を思わせる美貌の『おにいさん』だった。
『おにいさん』は『ぼく』にたくさんのことを教えてくれた。
 食べたことのないお菓子に、夢中になってしまうテレビアニメ。文字の読み書きが苦手だった『ぼく』に、勉強の一環としていろんな本を見せてくれた。図鑑や現代文学、歴史物語からラノベまで幅広く。
『ぼく』が思っていたよりもずっと、外の世界は楽しいんだと『おにいさん』が教えてくれた。
 服の下の青痣や骨の浮いた身体を見て、劣悪な家庭環境にあるのだと言葉にしなくてもわかってしまった『おにいさん』は、自身の家に『ぼく』を泊まらせることも多くなった。
『ママ』の顔を見ないで過ごして、ひと月が過ぎた頃。
 学校の帰り道、『おにいさん』の家に向かう途中に『ママ』がいた。

「あんたもわたしを捨てるのね……アイツみたいに、わたしを捨てて、自分だけ幸せになるのね! そんなの、そんなの許さないわ! 捨てられるなら、ひとりになるなら、一緒に死んだ方がマシよ……!」

 悲哀と憎悪に歪んだ顔は、泣いているように見えた。
 明らかに正気を失っているのに、『ぼく』は困ったように、仕方ないなぁと微笑わらって、『ママ』を受け入れた。
『ぼく』は最初から最期まで『ママ』が大好きだった。
 細い首に手がかかり、「ごめんね」と泣き笑う『ママ』を見たのが『ぼく』の最後の記憶。


 これが正しく僕が僕となる前の記憶であるなら、流行りの転生というやつだった。
 妄想でも夢でも走馬灯でもなければ、僕――ヴィンセントは生まれなおしたのだろう。しかも異世界転生!
 気が付いた時はテンションが上がった。マンガやアニメの中の存在だった魔法やモンスターが存在していて、興奮しないわけがない。
 せっかくの魔法の世界だもの、満喫しなければもったいない――と思った僕だけれど、残念ながら魔法の才能はゼロに等しかった。唯一使える治癒魔法は父に使うことを禁止されている。ファンタジーな雰囲気を楽しむことしかできないが、『ぼく』の環境を思えば十分満足だ。

「ポチ、クッキーが食べたいわ」
「ちょうど、西方から取り寄せたクッキーがあるんだ」
「そう。もちろん紅茶はティアラティア堂の物よね?」
「うん。新発売のブロッサムティーと、ベティが好きなダージリンも用意しているよ」

 ご機嫌に頬を緩ませたお嬢様が「うふふ。いい子ね」と片手を持ち上げた。少し背を丸めて屈めば、白金髪プラチナブロンドをさらさらと撫でてくれる。
 幼馴染みのベアトリーチェ――ベティは薔薇薫るような美少女だ。
 太陽の輝きを映した金髪ブロンドに、澄み渡る空色の瞳。目尻のつり上がった瞳は、勝ち気で高慢な御令嬢と印象付ける。彼女の人となりを知っていれば、ただプライドの高いお嬢様とは判断しないだろう。
 王族の血縁親族であるローザクロス家の直系息女で、第二王子の婚約者。
 魔力を四属性扱える天才で、僕の大好きな幼馴染み。『ポチ』と呼ばれると、彼女の特別になれた気がしてとても嬉しくなる。犬につけることが多い呼び名ではあるけど、そこに蔑みがないことを知っているから。
 前の『ぼく』がとても辛い人生だったから、今の『僕』は何があっても耐えられる自信があった。
 それに、大好きなベティがいるんだもの。毎日が楽しくないはずがない。ベティのお世話をして、僕だけの特別な愛称で呼ばれて、頭を撫でられる。たったそれだけで、僕は幸せになれる。

「次代の聖女様が選ばれたらしいわね」
「聖女……あぁ、三学年に編入するって噂の」
「マリベル様にはわたくしもお世話になったわ。次期聖女様もきっと素晴らしい御方に違いないわね」

 お会いするのが楽しみね、と笑みをこぼしたベティに頷いた。
 穏やかな日常。幸せな毎日。僕はそれがずっと続くのだと信じて疑わなかった。


   * * *


 世界各国から子息令嬢が通う全寮制マンモス校――セントラル魔法騎士学校。
 四寮に組み分けられた生徒たちは、総勢五百名を超える。いくつも存在するスクールカーストに僕も所属していた。
 カーストトップグループの『フルール』は、花の名と家紋を持つ生徒たちで構成されている。幼馴染みのベティもフルール所属で、それも最上級の『赤薔薇』の称号を得ていた。
 フルールの少女たちが集まるサロンは、常であれば花のわらう空間である。ここ最近は、まるで葬式のように、暗い雰囲気に包まれていた。
 ベティもカウチソファに上半身を預け、美しい顔を涙で濡らしている。
 ボロボロと涙をこぼして茫然自失とするベティに、『ママ』の姿が重なって見えた。手の震えを、強く握りしめてごまかした。
 ハッとして、ポケットから取り出した絹のハンカチを彼女の目の下に優しく押し当てる。
 泣き崩れているのはベティだけではない。先輩も後輩も泣いている。みんな、婚約者に手酷く追い払われ、そしてその側には次期聖女がいたという。
 季節外れの編入生である次期聖女様は、とても親しみやすく可愛らしい少女――らしい。寮も学年も違えば早々出会うこともなく、僕は未だにご尊顔を拝見できていないが、誰もが「可愛い人」と次期聖女様のことを評価した。
 閉鎖的な学園では噂が出回るのも早い。興味はなくとも自然と『次期聖女様のお噂』は耳に入ってくる。
 市井育ちの次期聖女様は、亜麻色の髪に緑の瞳をした可愛らしい少女だそうだ。
 よく言えば親しみやすく、悪く言えば貴族の子供が通うこの学校には相応ふさわしくない。しかし、お坊ちゃんたちは毛色の違う市井育ちの娘が気になるらしい。

「僕が、レオナルド様に物申してこようか?」

 ベティにだけ聞こえる声音で囁く。
 レオナルド第二王子。ベティという素晴らしい婚約者がいながら、女遊びの噂が絶えない男だ。
 兄君の第一王子が「白百合の君」と呼ばれる一方、第二王子は「獅子の君」と呼ばれていた。
 男前で精悍な顔立ちは、同性の僕から見ても魅力的な青年だ。女遊びが激しいのですべてが台無しだけれど。あの容姿で、誠実な性格だったならベティの婚約も諸手を上げて喜べたのに。

「……ダメよ。ポチじゃあの方に敵いっこないわ」

 覇気のない声音に胸が痛む。ベティが悲しいと、僕も悲しい。うっすらと目の下に浮かぶ隈は、夜も眠れていない証拠だった。

「でも、ベティを無下にするなんて許せない」
「いいの。レオナルド様が、彼女を選んだのよ。……ねぇ、ポチ。わたくし、自分に自信があったわ。頭も悪くないし、スタイルだって維持するように努めていたの。ローザクロス家の娘として、レオナルド様の妻として相応ふさわしくなるために。なのに、レオナルド様は礼儀もマナーも知らない娘がいいんですって。わたくし、これ以上どうしたらいいのかしら」

 とうとう泣き崩れてしまったベティに、常日頃から穏やかな微笑を意識している顔をつい歪めてしまう。

「……ハーブティーを淹れてくるよ」

 緩やかなウェーブを描く金髪ブロンドを撫でた。
 サロンを出て、右側に給湯室がある。気落ちした少女たちだけにしてしまうのは心配だけれど、今動けるのは僕しかいない。
 溜め息を吐いて給湯室で茶葉やティーポットの用意をする。――不意に、背後からシンクに手をついた人影に覆いかぶさられた。

「ッ、」
「お、っと。すまない。驚かせてしまったかな」
「……王子、殿下?」

 咄嗟に人影を振り払おうとして、驚きに目を見開く。
 振り向いたそこにいたのは、この国で三番目に貴い御方――エドワード第一王子殿下だった。
 白く輝く繊細な白百合のようなかんばせ。蒼みがかった白銀髪ホワイトシルバーは艶やかで、緩やかにうなじでまとめられている。すらりとした長身に、次期剣聖と名高い彼の肉体は、細く見えるがしっかりと鍛えられていた。

「ぁ、ご、御無礼をお許しください!」

 いくらベアトリーチェ一筋な僕でも、喧嘩を売る相手は選んでいる。王子殿下なんて雲のさらに上の天上の人。もし僕が彼の機嫌を損ねてしまえば、損を被るのは飼い主のベティだった。
 すぐさま膝をつき、頭を垂れる。さらりと、白金が頬をくすぐり、カーテンとなって表情かおを隠した。

「そんなに畏まらないで。顔を上げて、ヴィンセント」

 王子殿下が気に留めるほどの家柄でもない僕の名前を、なぜ知っているんだ?
 訝しげに、そっと視線を持ち上げる。つい上目遣いになる僕に、殿下は笑みを緩めた。
 灰蒼の瞳が緩やかに弧を描く。どこまでも綺麗で美しい完璧な微笑を、僕は恐ろしいと感じた。
 ベティも人形ドールのように整った美貌だが、彼女は生命力にあふれている。同じ人形じみた美貌の殿下は人間らしさが薄く、壁を一枚挟んで対峙しているようだった。

「フルールの御令嬢たちはどんな様子?」
「……皆様、婚約者の方から手酷い言葉と仕打ちを受けたようで、意気消沈しております。特にベティ――ベアトリーチェ様は夜も眠れていないご様子。他の御令嬢も、憔悴していらっしゃいます」
「そうか。ローザクロス嬢に関しては私の愚弟が申し訳ない」
「謝罪をするなら、僕ではなくベアトリーチェ様に直接お願い申し上げます。……いえ、王子殿下が謝る必要はございません。貴方様は何も悪くないのだから」

 感情のままに言葉を吐き出してから、ハッとする。そうだ、王太子殿下は何も悪くない。このサロンへ足を向けたのだって、婚約者から手酷く扱われた御令嬢たちの様子を見に来ただけ。
 ベティのことしか考えていない僕は自分が恥ずかしくなった。

「私に、何かできることはない?」
「王子殿下……?」
「学園の、今の状況は非常に良くない。雰囲気も悪く、下手をすれば大きな問題に発展しかねない。お前もそう思うだろう?」

 確かに、殿下の仰る通り。
 そもそも、ベティに、否、ローザクロス家に婚約を申し込んだのは王家からだ。
 ベティは家族から愛されて育った。彼女の父がこの現状を知ったなら烈火の如く怒り、殿下の言う通り間違いなく大問題に発展するだろう。ついでに、ローザクロス家の分家である僕の生家・ロズリア家も巻き込まれる。
 ベティが第二王子のことを、なんとも思っていなかったらよかったのに。女遊びの激しい王子なんて、ベティには相応ふさわしくないと何度も物申したのに、「彼の方には自由に生きて欲しいのよ」と淑やかに笑むベティはまるで聖女のように美しかった。

「――なんでも、よろしいのですか?」
「私にできることならね」
「それなら、噂の次期聖女様の行動をたしなめてはくださいませんか。聞くところによると、婚約者がいる相手にも関係なく度を越えて親しげに接しているとか。いくら次期聖女様とは言え、はしたない行動ではありませんか?」
「ふ、ふふっ」
「……僕、何かおかしいことでも言いました?」
「いいや。思っていたより、随分とはっきり喋るんだね」

 クスクスと喉を転がして笑う殿下に眉根が寄る。
 ベティの腰巾着。取り巻き。下僕。周囲の僕へのレッテルだ。
 ベティの側にはべり、一も二もなく彼女の言うことを聞く便利な下僕。にこにこと、彼女の側に相応ふさわしい綺麗な笑みを心掛けているから、余計そう思われるのだと理解している。
 周りが何を思おうと、僕はベティがいればそれでいい。彼女が幸せで、笑っていてくれるなら、なんだってよかった。

「僕は、ベティが悲しむのが許せない。彼女には笑顔が似合う。あんな女たらしのために流す涙なんてもったいない」
「……ふふ、一応私の弟なのだけれど、随分な言われようだ」
「ベティを泣かせるのなら、初めから姿なんて見せないでほしかった。そうすれば、彼女は恋なんてしなかったのに……」

 ずっと、僕のベティでいてくれたのに。
 俯いて、昏く影を落とした僕は、殿下がどんな表情かおで僕を見ているのか気づかなかった。

「私が、お前の大好きなローザクロス嬢を救ってあげようか?」
「……できるん、ですか?」
「婚約をなかったことにしてしまえばいいのさ。今のままなら、愚弟は婚約破棄だとか言い出すだろう。そうなれば、高潔なローザクロス嬢の経歴に傷がついてしまう。けれど、もともと婚約などなかったことにしてしまえば、君の大好きな彼女は傷つかない。美しく聡明なローザクロス嬢であれば次の婚約者もすぐに見つかるだろう」

 王家との婚約をなかったことにするなんて、無茶にもほどがある。
 ベアトリーチェ嬢をぜひ婚約者に、と願ったのは現王妃様だ。ベティの母とは遠縁の親戚にあたり姉妹同然に育った。国王陛下よりも王妃様を説得するほうが大変だろうに、いとも簡単に「白紙に戻す」と殿下は仰る。
 本当にそんなことができるのだろうか。つい、胡乱うろんな目で見てしまう。

「――その代わりとは言ってなんだけど、ヴィンセントにもお願いがあるんだ」
「殿下が、僕に?」
「そう。君にしかできないことだよ」

 一貴族の次男坊に、王族が何を望むのか。
 僕のステータスは『ベアトリーチェ・ローザクロスの犬』くらいだ。
 魔法の才能は無いに等しく、剣の腕だってまぁまぁ。唯一の取り柄である治癒魔法も使用を禁止されている。座学は一通り『最優』の判定を戴いているけれど、それだけ。――それだけ、なんだ。

「一体、殿下は僕に何を望まれるのでしょうか?」

 殿下は美しい顔を一層笑みに深め、唾を呑んでひざまずいた僕の頬に手のひらを滑らせる。

「私の物におなりよ」

 一瞬、呼吸の仕方を忘れてしまった。

「――殿下も、お戯れを仰るんですね」

 王族ジョークと思いたい。そうでなければ、彼の高貴な方が仰っている意味がわからない。
 苦笑して、弧を描く瞳から目を逸らそうとした。

「冗談じゃあないよ。私はずっと、お前が欲しかった」
「なに、を?」

 添えられていた手が、頬をガツリと掴んで目を逸らすことを許してくれない。

「私はローザクロス嬢が羨ましかった。一目見たとき、こんなにも美しい人がいるのかと驚いた。月の輝きを秘めた白金髪プラチナブロンドに、アメシストをはめ込んだ紫玉の瞳は、まるでエデンに植えられたブドウのように甘そうで美味しそうだった。ローザクロス嬢の完璧な美貌に隠れているけれど、私にはヴィンセントが一番美しく光り輝いて見えたのさ。お前を見つけた時、心の奥底から湧き上がる歓喜と、私の手中に収めたいという渇望に駆られたね。御令嬢はよく上手に隠していたものだよ。時折、お前を見つめていると鋭い眼差しで牽制されていたんだ」

 長身を折り曲げて、かんばせを近づけられる。拒否することも、逃げることも許されない。
 ベティは華やかな薔薇の香りをまとっていた。匂いが混ざるのを嫌がるから、僕はパーティーや式典以外では香り物を付けないようにしていた。だからか、殿下の、爽やかな柑橘の中に隠れる甘やかな香りに気づいてしまい、ぐらり、と頭の奥が揺れる酩酊感に襲われる。
 いつだって僕は『おまけ』だった。
 ベアトリーチェの下僕。ロズリア家の次男。天才の兄と、落ちこぼれの僕。
 ベティに気に入られたのが僕だったから、僕はロズリアを名乗れている。
 ベティがいてくれたから、僕は僕でいられる。
 真っすぐに、熱に浮かされた瞳から熱が移って、全身が沸騰する。白い顔が真っ赤に染まった。言葉を紡げなかった唇を、かぱり、と開いた口に塞がれてしまう。
 アメシストの瞳を見開いて、糸の切れた人形のように体が固まる。
 見開いた目と殿下の瞳が交わって、与えられる口付けを享受することしかできなかった。

「――ん、」
「ッぁ、は、は、は、」

 呼吸の仕方なんてわからない。しっとりと濡れた唇が離れて、ぷつりと透明な糸が途切れる。酸素が足りず、顔が真っ赤になる。足から力が抜けて、すっかり尻餅をついてしまった僕に、殿下は舌なめずりをした。
 嗚呼、今までで一番、殿下に人間らしさを感じている。

「やっぱり、いつもの澄ました笑顔より、ずぅっと可愛らしいよ。私のヴィンセント」

 どうやら僕は、とんでもない御方に目を付けられてしまったらしい。

「……僕が、貴方のものになったら、ベティのことを救ってくださるんですね。本当に、婚約を白紙にできるんですね?」
「嗚呼、約束しよう。――なんだったら、契約でもかまわないよ。ローザクロス嬢のことを決して傷つけさせない。ローザクロス嬢にとっての最良の結果をもたらそう。そしてローザクロス嬢を傷つけずに救えた時、お前は私のものになる。そういう契約だよ」

 僕はベアトリーチェの犬だ。犬なら、飼い主のために忠実でなくてはいけない。忠実な犬は、飼い主がサインを出さずとも自分で思考できるくらい賢いのだ。
『契約』は、口約束よりも書類での締結よりも信用できる。お互いの魔力を元に、魔法を使って『契約』が行われる。魔法による『契約』は絶対。破ったり不履行だったりすると、それ相応の罰が下る。
 ここで契約の提案を僕が受け入れたら、ベアトリーチェは婚約を白紙に戻せて、婚約破棄という社交界での致命的な傷もつかず、次の婚約者を探せる。ベティのためなら、ベアトリーチェが傷つかないためなら僕はなんだってやってやろう。

「エドワード・ジュエラ・レギュラスはヴィンセント・ロズリアに白百合を捧げよう」
「ヴィンセント・ロズリアは、エドワード・ジュエラ・レギュラスに白薔薇を捧げます」

 契約に形も儀式も存在しない。そこに魔力と、契約を結ぶふたりがいれば行える。
 学園の給湯室で、ムードもなにもないけれど、この人との間にそんなもの必要ないだろう。
 体の中に入ってきた殿下の魔力はとても冷たくて、いつまで経っても慣れることなく背筋が粟立っていた。

「――契約は結ばれた。これで、お前と私は一心同体、運命共同体だ。私が呼んだらすぐ来るように。約束だよ?」
「…………」
「ほら、いつものお返事はどうしたの? 大好きなローザクロス嬢にするみたいに、〝ワン〟と鳴いてごらんよ」
「…………かしこまりました。第一王子殿下」

 あまりにも人間らしい意地悪な微笑を浮かべる殿下に、これが本性だったのかと思う。口先まで出かかった溜め息を無理やり飲み込んだ。


   * * *


「迎えに来たよ、ヴィンセント」

 フルール・サロンにて、いまだ活気の戻らぬ静かなお茶会を開いていたところ、招かれざる客人の訪れにざわめきが広がった。
 突然やって来た客人に、フルールの御令嬢たちは驚き、黄色い声を上げながら手櫛で髪を整え、手鏡でリップを直した。
 同じ制服を身にまとっているのに、どうしてこうも煌びやかさが違うのだろうか。やはり、顔が良いと煌めきもより一層増すのだろうか。

「ベティ、紅茶のおかわりはどう?」
「けっこうよ」
「ベティ、フルーツでも持ってこようか」
「まだおやつの時間には早いでしょう」
「それもそうだね。じゃあ、ベティ、」
「ポチ。あの御方は、貴方を呼んでいるようだわ」

 僕のささやかな現実逃避は、ほかならぬベティによって阻止された。細い眉根を寄せ合わせ、不機嫌をあらわにした表情を扇子で隠してしまう。

「彼の貴い御人をお待たせしてはいけないわ。ポチ、早くお行きなさい」
「……うん。ごめんね、ベティ。なるべく、すぐに戻るから」

 柔らかな金髪を一房掬い、口付けを落とす。
 ほんの少しだけベティの機嫌が上を向いたのと同時に、貴い御人の機嫌が地の底まで落ちるのを感じた。海の中を飛びたいなぁ、とファンタジックなことに想いを馳せて現実逃避する。
 お嬢様たちの視線を受けながら、高貴な御方にうやうやしくお辞儀をしてサロンをあとにする。
 パタン、と背中でガラス扉が閉じた瞬間、腕を引かれて給湯室へ連れ込まれた。

「――いけない子だね。ヴィンスは、こんなにも私のことを惑わせるのが上手なのだから。褒めてあげよう」

「いい子」と艶やかに耳元で囁かれる声音は言葉とは裏腹に非常に冷ややかで、ほとばしる嫉妬が滲んでいた。

「お前は誰のモノ?」
「僕は、ベティの」
「違うだろう。まったく、何度言ったらわかるんだい。ヴィンスは、もう私のモノなんだよ。そういう約束をしたじゃないか。それとも、ヴィンスは約束も守れない悪い子なのかな?」

 うっとりと、独占欲と執着心を隠すことなく甘ったるい吐息とともに言葉を吐き出す。それが堪らなく恐ろしかった。ベティだけで構築されていたはずの僕の世界に、無遠慮に土足で踏み込んでくる。
 色褪せた世界にぽつりとひとり。
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 あれも、これも、欲しいものすべてに手を伸ばしても、全部は手に入らない。だから、初めから望まなければいい。ベティの気まぐれで側にはべることを許されているけれど、それもいつまでかわからない。
 ベティが結婚してしまえば、僕は当然、今までのようについてはいけない。また、ひとりぼっちになってしまうのが嫌だった。
 ひとりぼっちは、寒くて冷たくて、息ができなくなる。

「私を、君の世界に入れておくれよ」

 熱烈な、身も心も燃えてしまうほど情熱的な言葉に揺さぶられる。
 ――僕は、溺れるほど深い愛を求めていた。
 頭の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられる。求めているものを理解していながらも、認めたくなかった。だって、僕はこんなにも恵まれている。幸せなんだ。
 綺麗なお洋服に温かい食事。夜は柔らかなベッドでぐっすりと眠れる。これのどこに不満があるというの。
 太陽に近づきすぎたイカロスは、蜜蝋で固めた翼が溶けて墜ちてしまった。
 傲慢が導く先には破滅しかない。花も折らず、実も取らず。欲張れば何一つとして手に入れられない。

「私なら、お前をひとりにしない。名を呼んで、手を引いて、抱きしめてあげられる。――お前のベティは、名前を呼んで、抱きしめてくれた?」
「っ、べてぃ、ベティは……あ、頭を撫でてくれるし、褒めてくれる、から」
「ヴィンスはそれだけでいいの?」

 息が、止まった。
 本当は、名前で呼んでほしかった。もっと、たくさん褒めてほしかった。
 ベティの側にいると、息をすることができた。だけどそれは、ベティに常に側にいることを望まれているわけではなかった。
 さながら、僕は孤高の薔薇へ水をやる特別な庭師。
 ベティが喜ぶからネイルケアやヘアケアの仕方を覚えたし、紅茶を淹れるのにも自信がある。けれど、ベティのメイドたちはもっと完璧に丁寧に、要望に応えられる。僕はいてもいなくても変わらない。独りよがりの渇望だった。

「ヴィンスはよく頑張っているね。座学も学年では上位の成績を維持しているんだろう?」
「でも、それは、僕は魔法も、剣術もイマイチだから」
「そんなの、人それぞれだろう。魔力はあっても、魔法を使える方が稀なんだよ。――私の秘密を、お前だけに、特別に教えてあげる」

 ぎゅうぎゅうと、痛いくらいに抱きしめられて、耳元で囁かれる声が一層潜められる。
 殿下の、秘密?
 訝しげに首を傾げ、ソッと顔色を窺う。目が合うと穏やかに微笑まれて、彼が怒っていないことにホッと安堵してしまう。

「ひみつ、ですか」
「そう。私と、ヴィンスだけの秘密」

 ゆるりと、唇が美しい三日月を描く。
 つるりと柔らかな唇だった。薄紅に色付いた唇が、想像よりも冷たかったのを思い出し、喉奥がおかしな音を鳴らした。

「私はね、じつは魔力をうまく循環させられないんだ」

 魔力を保有する人間にとって、それは致命的な欠陥だった。
 血液に含有される魔力は体内で精製されない。大地、自然、大気から魔力素マナを体内に吸収して、魔力に変換して、魔法として発散・放出する。
 魔法は使えなくとも、ただ魔力を放出するだけなら誰でもできる。それこそ、赤ん坊ですら。魔力保有者にとって、魔力素マナの循環は呼吸と同義であった。
 文字通り、呼吸なのだ。人は呼吸ができなければ死んでしまう。
 国内でたびたび話題に上がる社会問題がある。
 干からびた死体が見つかっただとか、人の身体が内部から膨張して破裂しただとか。これらはすべて、魔力の循環ができなくなった魔力保有者の行く末だ。
魔力低換気症候群まりょくていかんきしょうこうぐん』と呼ばれ、難病指定されている。今現在、原因も治療法もわかっていない。
 次期剣聖と名高く、魔法コントロールも学園随一の実力者で、次代の国を担う王子殿下がまさか疾患患者だとは思いもしなかった。
 けれどある意味、納得した。
 剣術に優れていれば、騎士王として国を治められる。魔力のコントロールが優れているのも、体内の魔力を一ミリも無駄遣いできないからだ。無意識下で魔力を循環出来ないから、意識して魔力をコントロールするしかないのだ。

「これを知っているのは、両親と私の主治医だけ。だからもし、ヴィンスがこの秘密を誰かに、」
「言うわけがありません! こんなの、もし、もしどこかに漏れたら国勢が一気に傾いて、下手をすれば国落としをしようとする輩まで現れかねません。……本当に、どうして、なんで僕にこの秘密を明かしたんですか……」

 脱力して、殿下の肩に額を押し付けた。
 キャパオーバーだ。考えるのも面倒臭くなってきた。

「誰もが私のことを完璧だ、天才だ、と褒め称えるけれど、本当の私は魔法使いになり得ない欠陥品で、どこへ行っても、私は息苦しかった」
「精神的にでしょうか。それとも、物理的にでしょうか」
「どちらも、だね。私の努力も知らずに上辺だけを褒め称える周囲に息が詰まったし、常に私の周りだけ酸素が薄くて、ちょっと走れば息切れてしまうような感覚に呼吸もままならなかった。けれど、ヴィンスの側にいるととても息がしやすくなるんだよ。流れの悪い管の中を、さらさらの水が流れていく清涼感と、モヤがかかっていた頭の中がさっぱりしていくんだ」

 思い当たる節はある。僕の、唯一の取り柄でもある治癒魔法だ。
 魔力属性は、魔力素マナの割合によって決まり、海や川など水辺から取り入れた魔力素マナが多ければ水の属性。他にも火の属性、風の属性、大地の属性、ごく稀に光や闇の属性を持つ者もいるが、本当にごくわずかだ。広大な砂漠から一粒のダイヤモンドを見つけるようなもの。
 殿下は光の属性持ちだ。
 僕の治癒魔法は、どれにも属していない。怪我した箇所を再生・治療できる治癒魔法はかつて失われた古代魔法のひとつだった。あえて振り分けるなら光の属性だが、無属性というのが正しい。
 現在治癒魔法を使える魔法使いは僕以外では国内に二人しかいない。ひとりは王族専任治癒師で、もうひとりは国で一番の医療機関に勤めている。

「きっと、同じ光の属性なので循環がうまくいっているんじゃないでしょうか」
「……ふぅん。そうなのかな」

 あぁ、疑われている。
 同属性だから魔力循環を補助するなんて聞いたこともなければあるわけがない。そんなことが実際に可能であったなら、難病指定なんてされていない。

「はぁ……ほんとうに、ヴィンスの側は心地よい。私はお前がいないと生きていけないよ」

 僕がいないと、生きていけない。
 腹の奥がぎゅるりと疼いて、つい手を伸ばしてしまいそうになる。

「……ねぇ、ヴィンス。私の背に手を回して」
「え」
「そうしてくれたら、私はもっと息がしやすくなれると思うんだ」

 ほら、と促されて、重たい腕を、広い背中へと伸ばす。薄いように見えて、がっしりと厚みのある体だ。背中は広くて逞しい。ぎゅっと腕を伸ばして抱え込んだ。

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目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

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