【完結】姉の彼氏がAV男優だった

白霧雪。

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本編

ドロドロとどこまでも甘い愛でした

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 強すぎる刺激に胸を反らし、喘ぐ口の端から唾液がこぼれた。
「ひ、ぐ、ぅうう、あ、は、いぃ、痛、い」
 目隠しをした布に涙が滲む。
「痛いの嫌いだもんね、めぐは。でも、姉さん姉さんって鳴現ちゃんのことばっかりなめぐが悪いんだからね。そうだな、次、姉さんって言ったら反対側もお仕置きかな」
「い、言わな、言わないかあっ、だから取ってぇ、痛い、いたぁ、い、やだあ」
「……うーん、疑似盲目性愛アムロフィリアの気はないんだけど……あはは、なんだか興奮するなぁ」
 ぢゅう、と滲んだ涙を吸うように布越しに目蓋に口づけをする。

 イヤだイヤだとうわ言に喘いで幼子のように振る頭を柔く撫でる。
 軽く汗ばみ、ぴったりと下半身にフィットしたボクサーパンツの中へ手を忍ばせた。触れた時点で気づいているのだから、忍ばせると言うのも可笑しいが、わざとらしくゆっくりゆっくりと手を入れていく。
 小さく体を震わせ、喉から嗚咽を漏らす恵夢がかわいくて困った。優しくしたいのに、つい酷くしてしまいそうになる。
「ッ……うぁ、ッ!」
「あはは、ちょっと硬くなってる」
「っ!」
 大きな手のひらで包んだ恵夢のそれをやわやわと揉みしだく。手のひら全体を使って根元からくびれを扱き、強弱をつけてゆっくりと、悪戯に早めたり。先の方からぬるりとしたもので濡れて、グレーの下着に濃い色のシミを作った。

「きもちい?」
「ぅる、さ、ぁ、ひ、い、イッちゃ、……ぁ、あ、あ!」
 口を開いた瞬間を狙って、先端のくぼみをぐりっと爪先で強く抉れば、大きな声を上げて性器からどぴゅっと精液を溢れさせる。シミの広がった下着から引き抜いた白く濡れた手を「イッちゃったね♡」と笑って恵夢の頬を撫で付ける。
「ッ、……っ、う、うぅ、なんで、なに、なんでぼくが、こんな、うぅ、ふっ、う」
 他人に与えられる快楽と、耐え難い羞恥にとうとう恵夢は泣き出してしまう。声を我慢した泣き声に困り顔の暁はひとつ考えてから溜め息を零した。
「……意地悪しすぎたかな。ごめんね、もうしないよ」

「うう、う、ふぅ、あっ、」可愛いなぁ、可哀想だな。拘束していた腕と目隠しを外せば、ぽろぽろと涙を零す瞳と目があった。
「……」
「……なんで、」
 なんで僕なの、とどことなくたどたどしい口調でとても小さい声音で訪ねた。

「なんで、かぁ。なんでだろうね。……はちみつみたいな、とろける笑顔を俺だけに向けてほしかった、のかな」
 どうしようもなく好きなんだ。ごめんね。好きになってごめんね。

「……もう、嫌なことしない?」
「しないよ」
「いたいことも?」
「しないって約束する」
 くたり、と横たわった恵夢を抱き起して、優しく優しく抱きしめた。頬を伝う涙を止めるように高等部を撫で付けて、ちゅ、ちゅ、とリップ音をたててキスを落とす。どうしようもなく、好きなんだ。ごめんね、嫉妬深い俺が好きになってしまって。
 好き、好き、好きだよ、とキスの雨を降らせる暁に、涙はやがておさまった。ささくれ立った心が優しく撫でられて、抱きしめられた胸に耳を当てるととくんとくんと早鳴る音が聞こえた。そっと、上目遣いに暁を見やれば、いろんな感情がごちゃまぜになった瞳で恵夢を見つめていた。

 ほんとに、好きなんだ、と息を吐く。なんだかどっと疲れた。ぐったりと体の力を抜いて暁にもたれた。一瞬、びくっと驚いたように息を詰まらせた暁が面白くてくすくすと笑いがこぼれる。
 あぁ、最悪だ。本当に最悪なのに、なんだかどうでも良くなってしまう。もともと自分のことには頓着しない性格の恵夢は半ば諦めを抱きつつ、もうどうにでもなれとゆっくり口を開いた。
「……やめなくても、いいよ」

「え、?」

 きっと、姉さんのことだから全部わかっていたのかもしれない。彼氏を家に上げておいて自分は外へ遊びにいくなんて馬鹿のすることだ。それに、ここ最近の姉さんはことあるごとに自分と暁を二人きりにしようとしていたし、『これ』も姉さんが謀ったんじゃないだろうかと、冷静になった今なら考えることができた。
「……姉さんでしょ、これ仕組んだの」
「………あはは、バレちゃった。そうだよ。最初っから鳴現ちゃんもグル」
「最初?」
「ここでめぐに紹介されたときからだね」
 本当に初めからだった。はぁ、と深く溜め息を吐く。
「………あんたのせいだからね。続き、シてよ」
「!?」

 バッと体を離して動揺を顕わにする暁に今度こそ声に出して笑ってしまった。
「ほんとに、あんたのせいなんだからね。同性にイかされるし、パンツの中はぐちょぐちょだし、……乳首は痛いし――ここまでしたんだったら、最後まで、するでしょ?」
 ごくん、と暁の喉が動くのを見た。あぁ、我慢してるんだろうなぁ、と悪戯心が沸いてきた。きっと、雰囲気に呑まれて自分まで頭がおかしくなっていたんだろう。……これで本当に姉さんが暁のことを好いており、暁が姉さんを裏切っていたのなら殺してしまう勢いで激怒していた。
「暁さんも、このままじゃ辛いだろ?」
 そっと、手を添えた。黒いスキニーを押し上げたそこを細い指がなぞる。

 嘘は吐いてないと思いたい。あの姉さんが認めた人だから、というのもある。
 絆されちゃったなぁ、と胸中で呟いた。
「……ごめんね、好きになって」
 泣きそうな笑顔だ。普段の甘くとろけた微笑みとは程遠い。
「……う、けいれるわけじゃない。この状況を、どうにかしたいから、合意するのはこれっきりだから、」

 ――僕を惚れさせてみてよ。
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