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01 猫宮美弥
しおりを挟む容姿端麗成績優秀でカリスマ溢れる生徒会長の弟。
艶やかな黒髪、白い雪の肌。一年生の中でも一際目立つ綺麗な容姿。
それでいて独特な口調とキツイ性格。
高嶺の花と言われる猫宮美弥は、おせっかいなクラスメイトに付きまとわれて辟易としていた。
「ついてこないでちょうだいったら!」
「オレはきみと仲良くなりたいだけなんだよ。そんな怒らなくたっていいだろ」
語気を荒げてもなんのその。暖簾に腕押し、ぬかに釘だ。
パーソナルスペースが異様に狭いのか、どんどん距離を詰めてくるクラスメイト。愛川テオは、日本とイタリアのハーフで、金髪碧眼と彫りの深い整った顔立ちをしている。
「私に構わないで!」
パッと掴まれた腕を振り払い、眦を吊り上げてテオを睨みつける。
友達ごっこがしたくて学校に通っているんじゃない。将来のため、兄のため、この学び舎に通っているんだ。
クラスで孤立しようが噂されようが、美弥は一切興味がなかった。
四時間目の授業が自習になり、次の授業の予習でもしよう図書室に向かっているところを、テオに捕まったのだ。
しつこく後ろから話しかけられ、図書室までついてきそうな勢いで、苛立ちが募った。
海外の人は距離感が近いと言うが、テオは異様に近すぎるのだ。
元々イタリア暮らしで、留学生として学園にやってきたテオ。閉鎖的な学園では話題の的であった。
整った容姿、一年生にしては高い背。そして留学生という肩書き。周囲にはいつも人で溢れていたが、彼の目を引くのは窓際で静かに読書する綺麗な子だった。
美弥、と口の中で名前を噛み締め、振り払われた手は宙を漂う。
独りなのが気になって、声をかけるが向けられるのはいつも顰め面。眉間にシワを寄せて、難しそうな本を読んで、疲れないのだろうか。
一度だけ、美弥が笑みを浮かべているのを見かけたことがある。
淡い茶髪の――そう、美弥とよく似た綺麗な先輩と話をしているときだ。友人と通りがかりに見かけただけ。その時の美弥はとても幸せそうで、美しい花が綻んだ笑みを浮かべていた。
柔らかな微笑が忘れられない。脳裏に蘇っては胸が高鳴り、あの笑みを向けられたいと思ってしまう。
これは恋だ。
美弥を目で追いかけて、キツイ言葉をかけられるとわかっていても話しかけてしまう。
愛川テオは、猫宮美弥に恋をしている。
後ろから追いかけてくるクラスメイトに溜め息を吐き、このまま図書室へ行ってもついてくるのを想像して苛立ちが募った。
早足で廊下の角を曲がり、美術準備室とプレートに書かれた教室へとドアを開けて身体を滑り込ませる。
窓から差し込む光が埃を映し、視界が白くなる。埃っぽい空気に小さく咳き込んだ。
狭い室内は天井まである棚と、埃の積もったデスクとソファ、奥に扉があるだけ。
美術準備室と書かれているが、新しくできた実習棟に美術室が移ってから、長い間この準備室は放置されている。
「……なんだって言うのよ」
溜め息混じりの言葉は、埃の積もった床に小さく響いた。
彼には頭を悩まされている。教室に居れば話しかけられ、休み時間になれば隣に来て、移動授業になれば後ろを追いかけてくる。
ストレスしか溜まらなかった。
かすかにこめかみの辺りが痛み出し、今日はもう寮に帰ろうかとすら思ってしまう。
音を立てないように扉を開けて、廊下を覗く。――愛川の姿はない。ホッと、息を吐いた瞬間。
「ッ!?」
口元を大きな手で覆われて、準備室内に引きずり込まれた。
ガチャン、と鍵をかける音がやけに大きく耳に響いた。
「勝手に入ってきた悪い子はだぁれだ?」
甘ったるい、花の香りのような声だ。
ソファに引き摺り倒され、手首を頭の上で拘束される。
「なっ、なにするのよ」
「僕は、誰かって、聞いているんだけどなァ?」
真っ白い髪が光りに透けてキラキラと輝く。繊細な、硝子細工のような顔立ちの男だ。
有無を言わさぬ声色に、無意識に恐怖を感じて喉が引き攣った。
「綺麗なお人形さんは、一体誰なのかなァ?」
「ぃ、ち年の、猫宮美弥、」
「猫宮! もしかして、生徒会長の噂の弟君? へぇ、こんな綺麗な顔してたんだ。そりゃ、騒がれるわけだよねぇ」
おっとりした口調で、舐め回すように顔を見られる。
先祖にフランス人がいる美弥の瞳は、黒曜石のように見えて、光を受けると奥が青く見えるのだ。
深海の水底のように煌く瞳に、男はつい舌先で眼球を舐め上げた。
「ヒィッ……!?」
得体の知れぬ感覚に、ゾッと背筋が粟立ち、一拍置いてから目玉を舐められたのだと理解する。
「わ、やっと人間っぽい顔した。お人形さんはちゃんと人間?」
「意味わかんない……! いい加減離しなさいよ、変態!」
キッと睨みつける気丈の強さに、男は笑みを深めて言葉を紡ぐ。
「変態だなんて酷い。僕は鈴屋優牙だ」
「あなたなんて変態で十分よ! 私を押し倒して、ただで済むと思わないことね!」
「ただで済まない? どんなことされるんだ?」
「股にぶら下がったブツを切り取ってやる」
中々に苛烈で刺激的なことを綺麗な顔で喋るものだから、鈴屋優牙は思わず喉から笑いが零れてしまった。
「何がおかしいの」とでも言いたげに睨みつけてくる美弥に興味がそそられる。生徒会長の噂の弟がこんなにも面白いだなんて思わなかった。
「なんだっけ、ねこみやみや? みゃーちゃんでいっか。みゃーちゃんおもしろぉい」
にぃんまり、と瞳を弓形に描いた鈴屋に嫌な予感がする。
ひとまとめにされた細い両手首がギリ、と強い力で押さえつけられる。抵抗しようにも、ふとももの上に乗っかられては身をよじるくらいしかできない。
冷や汗が額を伝い、何を考えているのか分からない男に寒気がした。
「勝手にテリトリーに入ってきたみゃーちゃんが行けないんだよぉ?」
かぷ、と唇を食べられる。
「んぅ!?」
目を見開いて、至近距離にある色素の薄い目を見つめる。
「ん、う、ふぅッ」
横に引き結んだ唇を舌先が割って、口内に侵入する。
人よりも長い下が口内を蹂躙していく。上顎をなぞられると脊髄から痺れて、腰が震えた。
美弥がキスに夢中になっている隙に、手早くベルトを外して、下着に指を引っ掛ける。気づいた頃にはもう遅く、どこから取り出したのかローションで濡らした指先を後ろに窄まりに押し当てられていた。
「や、らッ、んぁ、あ!」
声にならない拒否をしても、鈴屋は笑みを深めるばかり。
ぐち、と思ったよりすんなり人差し指が入ったことに首を傾げた。
ぐち、ぐちゅ、ずる、と人差し指を根本まで入れて、抜いて、もう一本指を増やす。
ズ、とやはりすんなり入っていくことにほんの少しの不快感を覚えた。
「処女じゃないじゃーん。ま、ガバガバってわけじゃないし、いっか」
カッと、目元を赤くした美弥はすぐに否定できなかった。
「ほら、ここ。前立腺。もっともぉっと気持ちよくなろうねぇ」
ぐ、ぐ、ぐぷ、とむしろ気持ちよいところを責められて、快楽に素直な身体はすぐに反応をし出した。
手首はとっくに離されていて、押さえていた手で半ば起ち上がっていた竿をゆるく扱かれる。
気持ちい、が頭の中を支配して、いつもと違う気持ちよさに意識を持っていかれる。
二本から三本、じゅる、と水音を立てながら指を抜かれて、ハッと息が詰まった。
「こんだけバラしたら平気だよね」
熱いモノが後孔に当てられて、ヤりかけていた気が戻ってくる。
「うっ、うそっ、うそウソ嘘! やだっ、やめてよっ! イヤッ、嫌よ、やだぁ!」
「ほーら、入っちゃった♡」
今更否定したって、抵抗したって遅い。
くぷ、ぐぷっ、と淫猥な粘着質な音が下腹部から聞こえてくる。ゆっくりとナカに入ってくる熱いモノは大きいし太いし、最悪だった。
「んぐっ、ぁ、あ、入ってる……!」
「わぁ、みゃーちゃん薄っぺらいからどこに僕のチンポがあるかすぐにわかるねぇ♡」
腰を押し付けられて、胎の中を抉られる。ごり、とシコリを竿が抉るととてつもない快感が全身に走った。
平らな下腹部を大きな手のひらが撫でる。皮膚一枚挟んで撫でられると、余計に体内を抉る肉の感覚を感じ取ってしまい、深い快感に意識が堕ちていく。
「~~~~~ッ♡」
顎を逸らして、半開きの口から唾液が垂れる。
ちゅ、ちゅ、と唇を啄ばまれて無意識のうちに腕を鈴屋の首に回していた。
ぐちゅ、と深く腰を押し付け、密着させると入っちゃいけないところにまで入ってしまいそうだった。
「ふはッ最っ高」
「ん、ぁ、アッ、あぁ、イくっ、イッちゃう……!」
「僕もっ」
前立腺を抉られ、ペニスを手のひらで扱かれる。強く押し付けられた腰が震え、体内に熱いものが広がった。
同時に、ペニスの先を指先が抉り、直接的な快感に背中を反らして果ててしまう。
「ッはぁ、はぁ、」
荒く乱れた呼吸が重なり、ゆるゆると腰を動かされると胎の中でたぷたぷと音がした。
ずる、と抜かれると名残惜しげに後孔がくぱくぱと開閉して、白濁液を溢れさせた。
「――……は、さぃあく」
「僕は最高だった。ふはっ、僕たち、身体の相性バッチリじゃん」
ソファに力なく横たわる美弥を抱き起こした鈴屋に嫌気がする。
何が相性バッチリだ。何が最高だっただ。こっちは最悪だ。ナカに出されるし、腰は痛いし。ソファは硬いし。
「でも、キモチよかったでしょ?」
ぎり、と歯を食いしばり、キツく男を睨みつけるが小柄な美弥はされるがままだ。
「しねっ!」
「死ななーい。ね、みゃーちゃん、僕の部屋行こうぜ。もっと気持ちよくしてあげる♡」
「っ……!」
首筋を辿る唇に、再び快感が呼び覚まされそうだ。
頭を撫でられ、顎下を擽られ、本当の猫扱いをしてくる鈴屋に顔が熱くなる。これでセックスが下手だったら、ほんとにブツを切り取ってやったのに!
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