史上最強の女騎士物語~強過ぎて本気で戦ったことがありません~

ハイブリッド・メガネっち

文字の大きさ
15 / 17
第一章

episode 15 事件終結

しおりを挟む
 時が経ち午後十時、帝都外壁の外側にヴァーミリオンたちが馬に乗っていた。その中には護送馬車もあった。

「これより行商人キャリーの救助と盗賊団全員を確保する。その際、敵の方で偵察をしていることを考慮し、こちらも偵察として一名先発してもらう。そのものには後で通信石を渡しておく。もし、敵が動いてないようであれば一気に突入する。いいな?」

 モブ隊長が作戦の詳細をひと通り説明し終わると一斉に「了解。」と返答した。

「よし、では出発するぞ。」

 一行は、盗賊団が潜んでいる可能性が高い遺跡へ出発した。
 出発してから一時間半が経過した。遺跡があるところより少し手前の場所で、一旦止まった。

「全員止まれ。ここから先は、偵察を行う。ケビン、偵察はお前に任せた。」

「了解。」

 モブ隊長に呼ばれたのは、騎士団の中でも偵察が得意なケビンである。呼ばれたケビンはモブ隊長から通信制を渡されると、馬から降り一人遺跡の方へ向かっていった。その間、他のメンバーも馬から降り、馬を一時的に護送馬車に繋ぎ止めた。

「キャリー無事だといいんだけど。ねぇヴァーミリオン。・・・ヴァーミリオン?」

「はっ!ごめんエリー。ちょっと集中しちゃってて。」

「貴女がそこまで真剣になるなんて珍しいわね。」

「なんかあまりいい予感がしなくて・・・。」

「あまり嫌な結末を考えたくないわ。」

 二人が喋っていると、モブ隊長が持っている通信石から声が聞こえた。

「こちらケビン。隊長聞こえますか。」

「あぁ、聞こえてるぞ。どうだ、敵の様子は?」

「遺跡の地下へ続く階段の入口に警備として一人います。間違いなく敵はここにいます。」

「わかった、引き続きお前は偵察を頼む。お前たち聞こえたな。敵は遺跡の地下にいる。これより突入を開始する。行くぞ!」

 モブ隊長の指示の元、全員が遺跡に向かい歩き出した。街道を外れ歩くこと五分、遺跡が見え始めた。

「着いた。ケビン、状況はどうだ?」

「未だ動きはありません。警備をしてる奴も寝ています。」

「分かった。よし、各人剣を抜け。なるべく殺さないようにしろ。では、突撃!」

 モブ隊長を先頭に突撃を敢行した。外で警備をしていた敵は、通信を終えたケビンが音を立てずに無力化していた。騎士たちは階段を降りると通路があり、左右の壁には部屋があった。しかし、それら部屋にも人はいなかった。

「通路沿いにある部屋には誰もいなかった。そうなると、一番奥にあるでかい扉の向こうにいるってことになるな。」

 一行は静かに忍び寄り、モブ隊長が扉に耳を当てた。宴をしているのだろう、大越で騒いでいる声が聞こえる。それを聞いて、モブ隊長はヴァーミリオンに指示を出した。

「この扉を細切れしろ。」

「了解。」

 ヴァーミリオンは扉の前に立つと、横に剣を振った。その瞬間、振った剣が歪んだかと思うと、扉がバラバラになった。扉の向こうで騒いでいた盗賊団は何が起こったのか分からずポカンとしていた。

「我々はレーヴォルフ騎士団だ!貴様らは業務キャリーを拉致した。間違いないな?」

 モブ隊長の質問に一番奥にいたガイルが近づき答えた。

「そうだ。よく分かったな。偽名を使っていたのだが。」

「あんたに幾つか聞きたいがあるわ。」

 ガイルがモブ隊長の質問に答えると、今度はエリーが質問しだした。

「まず、あんたとウィスとワイスは冒険者ギルドにも顔が割れているのにも関わらずどうやって冒険者登録ができたの?」

「簡単だ、以前襲った行商人が持っていた容姿を変える魔法石を使ったんだ。髪の色だけしか変えられないから不安だったんだか、案外何とかなったぜ。」

「そう言うことね。それじゃ、もう一つ。キャリーはどこにいるの?」

 少し声を低くしてガイルに質問した。

「あぁ、あの女か。楽しませてもらったよ。せっかくの女なんだから楽しまなきなぁ。」

「このゲスが。」

「因みに今も相手してもらってるぞ。まぁ、今は少し性癖が変なやつが相手しているから生きているかは分からねぇーけど。アヒャヒャヒャ」

「「「「「「「ギャハハ」」」」」」」

 あまりのクソ過ぎる話に怒りをあらわにする騎士たち。そんな中、ヴァーミリオンは気配を完全に殺し部屋の奥にある扉に歩いて向かった。扉の前に立つと静かに開けた。開けると、一人のデブ男が動かなくなったキャリーを犯していた。それを目撃したヴァーミリオンは、男の首を刎ねた。動かなくなったデブ男をどかし、キャリーの脈を測るが既に止まっていた。首元を見ると絞められた跡があった。キャリーの死亡を確認すると、モブ隊長へ大声で報告した。

「隊長!キャリーを発見しました。ですが、既に息を引き取っています。」

「ヴァーミリオン!それは本当か?」

「間違いありません。」

 その報告を聞き、隊長は部下に指示をした。

「全員、盗賊団を討伐せよ!」

 隊長の指示を聞き、討伐が始まった。エリーはヴァーミリオンの報告に完全にキレ、どんどん敵の下っ端を切りつけていった。

「クソっ!役に立たねぇ部下どもだ!俺が相手してやる!」

「待ちなさい。貴方の相手は私よ。」

 ガイルの後ろに静かに近づいたヴァーミリオンが声を発した。

「お前さんが俺の相手だと?笑わせるな。俺はこれまで何度もお前たち騎士を返り討ちにしてきたんだぞ。お前さんのような女が俺に勝てるとでも?」

 ヒュッ

 その質問の返答として、ヴァーミリオンはガイルの左腕を切った。あまりにも早すぎる剣速にガイルは腕を切られたことに気付かなかった。

「ん?おかしいな?なんか左腕の感覚に違和感があるぞ?」

 違和感に気付いたガイルが左腕を見ると、肩より先に腕が無かった。

「は?お、俺の腕は?・・・はっ!」

 急いでヴァーミリオンの方に顔を向けると、目にはハイライトが無く、殺気を放っていた。

「まっ待ってく」

 ガイルがなにか言おうとしたが、その前にヴァーミリオンが首を刎ねた。あまりにも一瞬すぎたため、その光景を見ていた盗賊団はポカンとしていた。その隙に、騎士たちが切りつけた。少しして盗賊団は討伐された。

「皆ご苦労だった。こいつらの死体は後日回収させる。ヴァーミリオン、キャリーの亡骸があるのはあの奥の部屋でいいんだな?」

「はい。」

「分かった。ケビンは馬に括りつけてある遺体袋を持ってこい。それ以外の者は、この遺跡の調査だ。」

 モブ隊長が指示を仰ぐと、他の者たちは行動を開始した。それから三十分後、キャリー以外の亡骸とかは確認されなかった。それからは、キャリーの亡骸を護送馬車に運び出し帝都へ帰還し始めた。

「今回の事件は、死人がでなければどれだけ良かったことか。ヴァーミリオンは大丈夫なの?その、えっと、キャリーが亡骸の状態で犯されているところを目撃したでしょ。」

「正直に言ってあまり大丈夫では無いわ。でも、あれ以上のことをされていたら、彼女が可哀想だと思ったのよ。だからあの太った男をすぐに刎ねたの。それがせめてもの私なりの謝罪。」

「そうなのね。私ねキャリーの亡骸責任もって家族の元に連れて行くことにするわ。それくらいしか私にはできないから。」

「分かったわ。」

 それから数日間は忙しい日々を過ごした二人。まず、騎士団長への報告。次に商会の元に行き、キャリーが無くなったことを報告した。そして、キャリーの家族への報告と帰宅。それが終わったあと、冒険者ギルドへの報告。冒険者ギルドではこのことを踏まえ、今まで任意であった鑑定水晶の導入が義務付けられた。二度と同じようなことが起きないようにするために。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...