この家には一人変態がいる。

みそぎことのは

文字の大きさ
3 / 7

3話 異国料理、日本で食べる方が現地より美味しい説

しおりを挟む
姉の自慰を目撃してしまったことで、精神的にも大人に成長できたと思うしかない…。ポジティブに考えよう。年齢も一つ大きくなるようで、僕は誕生日を迎えることになった。例年、姉はどこで稼いだのか、高価な物を渡されるのが通例なのだが、今年はどうなることやら…。

「「「お誕生日おめでとう~~~」」♡♡」

階段を降りると家族のみんなからの祝いの声がして来た。成人を迎える誕生日ということでかなり盛大に祝ってくれるようで、朝からマグロの漬け丼を食べることになった。両親からの小さい頃はどうだったのエピソードが始まった。またいつもの長いのが始まったよと軽く呆れながらも聞いていると、

「ぅ..........弟君.....ほんとに、、ほんとに生まれてくれてありがとねぇぇ……」

両の手を祈るように固く握り、目線の高さまで持っていくと祈るようにさめざめと涙を流し始めた。我が姉は今日もぶっ飛んでいるようだ。僕も両親も完全に慣れ切ってしまっているので、もう椅子からも降り、神に祈りを捧げるような格好で泣きじゃくる姉を完全に空気のように扱い、食事を進める。朝食が終わり、学校に向かう準備が終わったころまだ姉は号泣している。だんだん勢いが増してきているのは気のせいだろうか。家を出てからしばらく歩いていると、トタトタと走ってこちらに向かってくる音が聞こえてきた。振り返るとそこには姉が。

「すげーな、ねーちゃん。なんで追いつけるんだよ。」

「18歳の弟君と過ごせるのは1年だけだからね♡♡片時も無駄にしたくないのよ♡♡」

「19になっても姉弟なのは変わらないだろ?」

「”18歳”の弟君ってのが大事なの♡♡合法dkなのよ♡♡合法よ♡♡」

「ねーちゃんってしゃべんなきゃ最高の姉なのに。」

「ふぅ♡私への罵倒はむしろご褒美なのを知らないのね♡」

「本当にしゃべらんでくれ。」

「はぁ♡♡今日の弟君もかっこいいわぁ♡私は君のためだけに生まれてきたの♡♡」

「おとーとくん、えちしよぉぉ♡♡おねーさんがホテル代払うし、おこずかいもあげるからぁぁ♡♡」

「はぁぁぁ♡♡おしりかわいいぃ♡」

度重なるセクハラに耐え、無事に学校に着いた。どうやら18歳になった僕への売春はOKだと勘違いしているらしく、教室に入っても値段を交渉してくるL○NEが止まらなかった。

「ホ別10までならいいよ?♡♡」

もちろん既読無視し、新たな1日を始める。
そして放課後、チャイムと同時の帰宅ラッシュに負ける事なく最速を目指す。これが帰宅部の流儀!!…というよりも誕生日のご飯とプレゼントが楽しみすぎるのだ。両親からのプレゼントが無くなってからしばらくたつのだが、姉だけは18年間欠かすことなくプレゼントを送ってくれるのだ。今日の晩御飯は何だろうかと玄関をあけると、洋風な香りでシーフードを感じる。我が家では記念日の時にはパエリアが通例となっているので、今日もパエリアで間違いないだろう。パエリアはスペインの料理なのだが、きっとスペインで食べるより日本で食べるほうが美味しいだろう。すべての異国料理においても言えることだと僕は思っているのだが…。完成まではしばらく時間がかかるようなので部屋で暇でもつぶそうかとスマホをいじっていると、隣の部屋から姉がドタバタと忙しそうに動き回る音が聞こえてきた。すると、ガチャ、と目の前のドアが開き、土下座姿の姉が参上して来た。まあ、いつもの事なので軽く流してやろうか…。

「弟君♡どうか、どうか私を殺してください♡♡」

「なにいってんすか....。」

「私、考えたの....。人生最大の幸せって何かなって。結婚かなあって思ったんだけどね…。違うなって。私、心の底から弟君を崇拝して、遺伝子まで服従しちゃってるの♡♡殺してください♡♡」

「お引き取りください。」

取り敢えず、扉を閉めた。

「ちょっとまってよ!!」

ガバっと、再び開けられた。

「た、誕生日プレゼントあるから♡♡」

このタイミングらしい。今年はどんなぶっ飛んだものなのかと少々期待している。

「ふふふ♡♡目をつぶってね♡♡」

姉がキスする距離まで這い寄ってきたのを肌で感じる。ギュッと口を閉じて防御体制に入るが、予想とは裏腹に狙われたのは手だった。恋人繋ぎで両者の手が0距離で接しているはずなのだが、触覚は人肌とは思えない冷たさを感じている。どうやら、何か挟んでいるようだ。

「ねぇ♡開けてみて♡♡」

耳元でポソポソと囁かれる。ゆっくりと目を開けるのに合わせて、徐々に繋いだ手を放してくれる。そこには、1枚のカードが…。

「これ、クレジットカード何です♡ご主人様が好きに使っていいカードですよ♡♡」

「え、い、いや、いらないなあ。」

「ダメ♡♡絶対に使わないとダメですからね♡♡」

「わかった。わかったよ…。」

圧に押されて、しょうがないからもらっておこうかと財布に入れると、満足そうな表情を浮かべる。

「んじゃ、好きに使うからね。」

冗談で言ってみると、

「ハァァァァァ♡最高っ♡破滅させてくださいぃぃっ♡♡」

目の奥ハートを浮かべて、膝から崩れ落ちてしまった。
そんな姉を横目にご飯を食べに階段を降りる。お腹すいたなあ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

つかまえた 〜ヤンデレからは逃げられない〜

りん
恋愛
狩谷和兎には、三年前に別れた恋人がいる。

美人委員長、デレる。クールな学級委員長は僕の実況配信の「全肯定スパチャ」古参ファンだった件について

静内燕
恋愛
高校二年生の黒羽 竜牙(くろはねりゅうが) は、学校では黒縁メガネで目立たない地味な陰キャを装っている。しかし、その裏の顔は、多くのファンを持つ人気ゲーム実況者「クロ」。彼の人生は、誰にも秘密にしているこの二重生活(ダブルライフ)で成り立っている。 ある日、竜牙は、学校生活で最も近寄りがたい存在である花市 凜委員長に、秘密を悟られてしまう。成績優秀、品行方正、誰に対しても厳格な「学園の模範生」である花市委員長は、竜牙の地味な外見には興味を示さない。 しかし、彼女のもう一つの顔は、クロチャンネルの最古参にして最大のファン「ユキ」だった。彼女は、配信で桁外れのスパチャを投げ、クロを全力で「全肯定」する、熱狂的な推し活狂だったのだ。 「竜牙くん、私はあなたの秘密を守る。その代わり、私と**『推し活契約』**を結んでちょうだい」 委員長は、学校では周囲の目を欺くため、今まで以上に竜牙を無視し、冷淡に振る舞うことを要求する。しかし、放課後の旧校舎裏では一転、目を輝かせ「クロさん!昨日の配信最高でした!」と熱烈な愛をぶつけてくる。 誰も知らない秘密の「裏の顔」を共有した地味な僕と、完璧な仮面の下で推しを溺愛する委員長。 これは、二重生活が生み出す勘違いと、溺愛とツンデレが入り乱れる、甘くて内緒な学園ラブコメディ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

レンタル彼氏がヤンデレだった件について

名乃坂
恋愛
ネガティブ喪女な女の子がレンタル彼氏をレンタルしたら、相手がヤンデレ男子だったというヤンデレSSです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

処理中です...