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ほんへ
第9話:異変に気付く者、平然とした者
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これでようやく前菜が終了。次回から遂にほんへのほんへに入ります。
______
焼け野原。空にカラスが数羽ビュンビュンと飛び交う中、いつの間にか『Ka-50』の機内に戻っていた繋は、外のことなんて気にせず——
「……おぉ、おぉ!!!」
パンジャン印のPadを抱えて歓喜した。必ず、何者かにより手を加えられたかのPadの数々の新機能を試さねばならぬと決意したのだ。繋には、Padを更新せし者など誰かわからぬ。繋は、ただのロマン兵器を愛し凡人である。毎日パソコンの前で、四六時中ロマン兵器を漁って暮らして来た。だからこそロマン兵器の《実体化》が出来るPadの機能更新には、人百倍敏感であった。
……さて、以上で走れメ〇スリスペクト(?)は終了しまして。
前回“怖い人たち”を倒してこの地に降り立ち、何か護身用の武器を《実体化》しようと思ってPadを召喚。
すると何やらPadの機能が何者かの手で更新されていたわけで。そのPadに記載された文章を色々と読んでいたのだが、読み始めてまず繋の目を引いたものは何と言っても『人員の《実体化》機能を追加』との文章。これが事実なら、ワンマンアーミーを卒業し、挙げ句の果てには一国家も真っ青の大兵力を抱えることが可能に……
「……え」
は、ならなかった。その文章を目で追っていくと、後ろに『《実体化》可能数は、敵殺害数とイコールになる』と言う文章が書かれていたのだ。つまりこのPadの言うことが正しければ、人員を確保する為には必然的に虐殺をする必要がある、と言うことになる。……え?それ公認で良いの?法律で罰せられない?
しかも、《実体化》可能人員の種類は、『海軍』『空軍』『陸軍』の3つで区分けされている模様。全部出来る万能兵士じゃないじゃないか! これじゃぁ……
「まるで、殺害を強要してるみたいだぁ……」
こんなことを強要するなんて、余程タチの悪い運営チームですね間違いない。人殺しを強要するなんて酷すぎるわ!!!(建前)。
その他に追加された機能として、『軍事施設の《実体化》機能の追加』やら、『食料品の《実体化》機能の追加』と言ったものが見受けられた。両者とも本質的には《実体化》出来ると言う点では変わらないが、前者であれば『事前に用意された施設“のみ”《実体化》が可能』で、後者であれば『戦闘糧食“のみ”《実体化》が可能』とのこと。まぁこの時は『あー制限かかっちゃうかー』みたいに感じていたのだが、最後にポン付けされたかのような文章を見て、驚愕した。
「……え?」
Padの最下部。そこに書かれていた文章は——
『現有の《実体化》機能及び今回追加された3つの機能(人員・軍事施設・戦闘糧食)、即ち4つの機能の内、1日に使用できる機能は上限“2つ”までとする』
ぽかーんとした表情で、その文章を繋は脳内で復唱するのだった。
……——
_この世界のどこか 同時刻
海に面したとある街。どこかヨーロッパのそれを彷彿とさせるレンガ造りの建造物に、ガス灯と言った物が各所に置かれていて、近代チックな雰囲気を醸し出す。
平和な世の中なら人が行き交っていそうなものだが、今は違う。一般人の代わりに皿形のヘルメットを被った兵士が行き交い、石造りの道の脇には車の代わりに、Valentine歩兵戦車やCromwell巡行戦車に酷似した物が鎮座。そのすぐ側では、それら各種戦車の搭乗員であろう兵士たちがビール片手に談笑をしている。その背後には弾痕がいくつも刻まれ、場所によっては窓ガラスが破損、さらには焼け焦げた跡の残る家々が伺えた。空には数羽のカラスが、太陽の光に照らされながらゆっくりと弧を描いて飛んでいる。
誰一人、民間人と思しき人影の伺えない街。その光景は、日本人が見れば間違いなく“平和”と言う要素からかけ離れた場所と答えることだろう。
そんな街の、かつては広場とされていたのであろう場所。そこに所狭しと立ち並んだ幾つものテントの内の一つで、とある報告が行われていた。
「……“第27他民族処理部隊”との連絡が途絶えただと?」
如何にも指揮官らしき見た目をした男は、伝令兵から伝えられた『第27他民族処理部隊との通信途絶』との報告を聞いて、驚愕の表情と共に『間違いではないか?』と聞き直した。その質問に、伝令兵は無表情に切り返す。
「間違いではありません。“第27他民族処理部隊”とは他と同様、2時間間隔で定期的に通信を実施していました」
『ですが』と言い、続ける。
「現在は定時交信が不通。再三通信を試みましたが……」
伝令兵は尚も無表情のままで、そう告げる。一方の指揮官らしき男は、何も言わずとも伝令兵の言いたいことを感受する。
指揮官らしき男は、裾を捲り上げて腕時計を確認した。それの針は12時16分を指している。
「……通信の途絶、か。
流石に、通信機の故障を願いたいが……」
現状全軍に配備されている通信機の性能や信頼性は、即座に『高い』だなんて答えられる代物ではない。尤も、それを軍上層部は知っているので、こういった事態が起きた場合の対処に関してのマニュアルが存在する。
「……ひとまず、マニュアル通り2時間後に交信を試行。それでダメであれば、偵察部隊を派遣……だな」
『まぁ、十中八九通信機器の故障だろう』と楽観的に考えて、伝令兵に退出を促す。
伝令兵は『失礼しました』とだけ威勢の良い声で告げて、テントから退出。テント内にはただ一人、指揮官らしき男のみがポツンと残っている。
彼は、テント中央にドンと置かれた机……その上に敷かれた一枚の大きな地図を見る。
そこには手書きの文字や矢印、飛行場と言った施設が描かれて居て、彼はその中の一つ……『メタスタード』と書かれた地名を指でなぞる。そここそが、“第27他民族処理部隊”の展開する場所……既に“平和”に導いた街だ。
「……現在の我が軍は、無敵だ」
彼は思い出すように呟く。
その思い出しているものと言えば、前線部隊の戦闘報告。それによれば、『敵軍は30年近く前の兵器を使用』だとか、『何やら奇妙な攻撃を使うなれど、脅威能わず』などと言った報告が上がっているのだ。それを裏付けるように、予想以上に戦力の消耗が少ないおかげで、この港湾都市へ本国から日々送られてくる備品や兵器は、不足しているどころか、余っている有様。
連戦連勝を重ねているこの現状、敵が後方にいるとしても、それは結局が非力なパルチザンや、敗残兵のみ。そんな小戦力、簡単に捻り潰せる。
「それに……仮に後方部隊の一つや二つが潰れたところで、換えはいくらでも存在する」
続けざまに一つ、捻れた笑顔で小さく呟いた。
「『真の世界平和』が実現する日は、近いな」
——……
______
今回は走れメ〇スリスペクト(大嘘)。
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焼け野原。空にカラスが数羽ビュンビュンと飛び交う中、いつの間にか『Ka-50』の機内に戻っていた繋は、外のことなんて気にせず——
「……おぉ、おぉ!!!」
パンジャン印のPadを抱えて歓喜した。必ず、何者かにより手を加えられたかのPadの数々の新機能を試さねばならぬと決意したのだ。繋には、Padを更新せし者など誰かわからぬ。繋は、ただのロマン兵器を愛し凡人である。毎日パソコンの前で、四六時中ロマン兵器を漁って暮らして来た。だからこそロマン兵器の《実体化》が出来るPadの機能更新には、人百倍敏感であった。
……さて、以上で走れメ〇スリスペクト(?)は終了しまして。
前回“怖い人たち”を倒してこの地に降り立ち、何か護身用の武器を《実体化》しようと思ってPadを召喚。
すると何やらPadの機能が何者かの手で更新されていたわけで。そのPadに記載された文章を色々と読んでいたのだが、読み始めてまず繋の目を引いたものは何と言っても『人員の《実体化》機能を追加』との文章。これが事実なら、ワンマンアーミーを卒業し、挙げ句の果てには一国家も真っ青の大兵力を抱えることが可能に……
「……え」
は、ならなかった。その文章を目で追っていくと、後ろに『《実体化》可能数は、敵殺害数とイコールになる』と言う文章が書かれていたのだ。つまりこのPadの言うことが正しければ、人員を確保する為には必然的に虐殺をする必要がある、と言うことになる。……え?それ公認で良いの?法律で罰せられない?
しかも、《実体化》可能人員の種類は、『海軍』『空軍』『陸軍』の3つで区分けされている模様。全部出来る万能兵士じゃないじゃないか! これじゃぁ……
「まるで、殺害を強要してるみたいだぁ……」
こんなことを強要するなんて、余程タチの悪い運営チームですね間違いない。人殺しを強要するなんて酷すぎるわ!!!(建前)。
その他に追加された機能として、『軍事施設の《実体化》機能の追加』やら、『食料品の《実体化》機能の追加』と言ったものが見受けられた。両者とも本質的には《実体化》出来ると言う点では変わらないが、前者であれば『事前に用意された施設“のみ”《実体化》が可能』で、後者であれば『戦闘糧食“のみ”《実体化》が可能』とのこと。まぁこの時は『あー制限かかっちゃうかー』みたいに感じていたのだが、最後にポン付けされたかのような文章を見て、驚愕した。
「……え?」
Padの最下部。そこに書かれていた文章は——
『現有の《実体化》機能及び今回追加された3つの機能(人員・軍事施設・戦闘糧食)、即ち4つの機能の内、1日に使用できる機能は上限“2つ”までとする』
ぽかーんとした表情で、その文章を繋は脳内で復唱するのだった。
……——
_この世界のどこか 同時刻
海に面したとある街。どこかヨーロッパのそれを彷彿とさせるレンガ造りの建造物に、ガス灯と言った物が各所に置かれていて、近代チックな雰囲気を醸し出す。
平和な世の中なら人が行き交っていそうなものだが、今は違う。一般人の代わりに皿形のヘルメットを被った兵士が行き交い、石造りの道の脇には車の代わりに、Valentine歩兵戦車やCromwell巡行戦車に酷似した物が鎮座。そのすぐ側では、それら各種戦車の搭乗員であろう兵士たちがビール片手に談笑をしている。その背後には弾痕がいくつも刻まれ、場所によっては窓ガラスが破損、さらには焼け焦げた跡の残る家々が伺えた。空には数羽のカラスが、太陽の光に照らされながらゆっくりと弧を描いて飛んでいる。
誰一人、民間人と思しき人影の伺えない街。その光景は、日本人が見れば間違いなく“平和”と言う要素からかけ離れた場所と答えることだろう。
そんな街の、かつては広場とされていたのであろう場所。そこに所狭しと立ち並んだ幾つものテントの内の一つで、とある報告が行われていた。
「……“第27他民族処理部隊”との連絡が途絶えただと?」
如何にも指揮官らしき見た目をした男は、伝令兵から伝えられた『第27他民族処理部隊との通信途絶』との報告を聞いて、驚愕の表情と共に『間違いではないか?』と聞き直した。その質問に、伝令兵は無表情に切り返す。
「間違いではありません。“第27他民族処理部隊”とは他と同様、2時間間隔で定期的に通信を実施していました」
『ですが』と言い、続ける。
「現在は定時交信が不通。再三通信を試みましたが……」
伝令兵は尚も無表情のままで、そう告げる。一方の指揮官らしき男は、何も言わずとも伝令兵の言いたいことを感受する。
指揮官らしき男は、裾を捲り上げて腕時計を確認した。それの針は12時16分を指している。
「……通信の途絶、か。
流石に、通信機の故障を願いたいが……」
現状全軍に配備されている通信機の性能や信頼性は、即座に『高い』だなんて答えられる代物ではない。尤も、それを軍上層部は知っているので、こういった事態が起きた場合の対処に関してのマニュアルが存在する。
「……ひとまず、マニュアル通り2時間後に交信を試行。それでダメであれば、偵察部隊を派遣……だな」
『まぁ、十中八九通信機器の故障だろう』と楽観的に考えて、伝令兵に退出を促す。
伝令兵は『失礼しました』とだけ威勢の良い声で告げて、テントから退出。テント内にはただ一人、指揮官らしき男のみがポツンと残っている。
彼は、テント中央にドンと置かれた机……その上に敷かれた一枚の大きな地図を見る。
そこには手書きの文字や矢印、飛行場と言った施設が描かれて居て、彼はその中の一つ……『メタスタード』と書かれた地名を指でなぞる。そここそが、“第27他民族処理部隊”の展開する場所……既に“平和”に導いた街だ。
「……現在の我が軍は、無敵だ」
彼は思い出すように呟く。
その思い出しているものと言えば、前線部隊の戦闘報告。それによれば、『敵軍は30年近く前の兵器を使用』だとか、『何やら奇妙な攻撃を使うなれど、脅威能わず』などと言った報告が上がっているのだ。それを裏付けるように、予想以上に戦力の消耗が少ないおかげで、この港湾都市へ本国から日々送られてくる備品や兵器は、不足しているどころか、余っている有様。
連戦連勝を重ねているこの現状、敵が後方にいるとしても、それは結局が非力なパルチザンや、敗残兵のみ。そんな小戦力、簡単に捻り潰せる。
「それに……仮に後方部隊の一つや二つが潰れたところで、換えはいくらでも存在する」
続けざまに一つ、捻れた笑顔で小さく呟いた。
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