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大陸の覇者の没落 ー辺境の地の帝国の来訪編ー
第55話:第50回国家方針会議 v0.0
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中の人が投稿は一旦中断するって言ってます。……以前と違い、不定期投稿だそうですが。
______
_エルディアン共和国、首都エルディアン 大統領府
「それではこれより、第50回国家方針会議を始めさせていただきます」
司会が言う。
大統領府の一角、会議室では数ヶ月ぶりの国家方針会議に出席すべく集まった各担当府の大臣らが、ずらっと顔を居合せていた。
今回の議題は、ズバリ『戦争どうする?』である。
「まず現在の戦況ですが……軍務担当大臣、説明をよろしくお願いします」
「わかりました」
軍務担当大臣は、深く腰掛けていた椅子から立つと司会に変わり立つ。
「まず現状の戦況ですが、はっきり言えば『優勢』です」
大臣らは、フゥ、と腕をなでおろす。たかだか中世レベルの武器しか持たない軍相手に劣勢だ、と言われるとなると少しばかり軍務担当大臣の頭を疑うところだった。
「具体的には西部戦線……まぁ、海岸線ですが。そちらでは未だ少数の残存兵で構成された貧弱なゲリラが跋扈していますが、それに目をつむれば比較的良好です」
ですが、と軍務担当大臣は続ける。
「密林奥地への侵攻計画は現在のところ企画されていません……と言うより、棄却されました」
何でだよ!?と言う声があちこちから上がる。
「もちろん侵攻すべきなのは承知しています。ですが、当該地域には……」
軍務担当大臣はそう言いかけると、部下に目配せをする。
彼の部下は軍務担当大臣の目配せを確認すると、部屋から退出、しばらくして戻ってくると彼の手には数枚の写真が握られていた。
「これら……まぁ、『存在X』とでも言いましょうか。それらが存在している可能性が指摘されたためです」
彼の部下は手に握る数枚の写真を机に広げると、『どうぞご覧ください』と言い軍務担当大臣の立つ方向へ向かう。
大臣らはなんだなんだと詰めかけ、それら数枚の写真を手に掴みじっくりと凝視する。
「こ、これは一体?」
彼らは漠然とした顔で軍務担当大臣に問いかける。
「『存在X』……軍部では『未確認生物コード0-1』と名付けている……いわば『黒くテカテカして高速で移動する脂っこい台所の主婦の敵』、および『モグラ』です」
彼らが手に持つ写真には、敵帝都にそびえる王城へと潜入した第一陸戦隊、彼らの撮影した生物が映し出されていた。
「これら生物は、敵帝都に潜入、敵国国家元首確保という任務を受け出撃した第一陸戦隊が撮影したものです。『めっちゃはやかった!』、『きもちわるかった。もうおよめにいけない』等々、精神障害を負った隊員証言がありますが……それはまた、のちの機会に」
彼らは思わず尻込みする。写真に映し出された『黒くテカテカして高速で移動する脂っこい台所の主婦の敵』……いや、もう『G』としか言いようがないそれら。写真の端に映し出された隊員のサイズから比較するに、40センチはあるであろうそれが、あの密林に大量に生息していたら……。
「ぐ、軍務担当大臣。こ、この『存在X』とやらの性質は……?」
「現状なんとも言えませんが……第一陸戦隊が出会った『それら』の性質は極めて凶暴であったとのことです」
彼らの脳裏に、巨大な『G』により臓腑が撒き散らされ食いちぎられる多数の自国民《へいし》の姿が浮かび上がる。
「現在『存在X』に対する対策を考案中ではありますが……これ以外にどのような生物が生息するのかわからない以上、むやみやたらに侵攻できないのが現状です」
「そ、そうですか……」
大臣らは、半ば納得したかのような顔で軍務担当大臣を見る。
「って、待て」
と、そこにすかさず財務担当大臣が声を上げる。
「確かこの第一陸戦隊……国家元首確保のため帝都に向かったんだよな?……国家元首は確保できたのか?」
軍務担当大臣は彼からの質問に少し唸りを上げ、答える。
「その作戦は……失敗しました。どうやら敵は、国家元首の形をした人形を配置、本体はどこかに潜んでいるものと思われます」
なんてこった!という声があちこちから上がる。
「……つまりなんだ?こちらの作戦が漏洩していた、そう言いたいのか?」
「そうとしか……」
「……これじゃ、戦争の長期化もありえるのか……?」
「……まぁ、この作戦はそのために実施されたものですから」
軍務担当大臣は、「ですが、」と付け加える。
「偵察衛星の情報では……どうやら、どこぞやの国家が『帝国』に対する侵攻を開始したとのことです。もしこれが事実……援軍でないのであれば、『帝国』は工業地帯を全て失った状態で二正面作戦を行うことになります」
_第50回国家方針会議を終えた後、廊下では
「軍務担当大臣、ちょっといいかね」
第50回国家方針会議を終え、各大臣が会議室から退出する中大統領は軍務担当大臣に声をかける。
「はい、なんでしょうか?」
大統領は周囲に聞き耳をたてる大臣がいないことを確認すると、軍務担当大臣の耳元で囁く。
「『国家戦略防衛構想』……それと並行して、『ロンギヌス計画』を進行させることはできるか?」
軍務担当大臣は、大統領の放った『ロンギヌス計画』という単語を聞き目を丸くする。
「……大統領。あの計画は……あまりにも危険です。あれを使った際の被害は……通常の核兵器をはるかに超えます」
「わかっている。だが……いつどこから攻撃を受けるかわからない以上、あの計画は現在の我が国にとって必要なものだ。わかるだろう?」
「そ、それもそうですが……」
軍務担当大臣は少し悩んだ様子を見せると、再度口を開く。
「……わかりました。検討してみます」
「頼んだ」
大統領はそれだけ言うと、静かに会議室を退出していくのだった。
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明日でストックしていた文は最後になります。
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_エルディアン共和国、首都エルディアン 大統領府
「それではこれより、第50回国家方針会議を始めさせていただきます」
司会が言う。
大統領府の一角、会議室では数ヶ月ぶりの国家方針会議に出席すべく集まった各担当府の大臣らが、ずらっと顔を居合せていた。
今回の議題は、ズバリ『戦争どうする?』である。
「まず現在の戦況ですが……軍務担当大臣、説明をよろしくお願いします」
「わかりました」
軍務担当大臣は、深く腰掛けていた椅子から立つと司会に変わり立つ。
「まず現状の戦況ですが、はっきり言えば『優勢』です」
大臣らは、フゥ、と腕をなでおろす。たかだか中世レベルの武器しか持たない軍相手に劣勢だ、と言われるとなると少しばかり軍務担当大臣の頭を疑うところだった。
「具体的には西部戦線……まぁ、海岸線ですが。そちらでは未だ少数の残存兵で構成された貧弱なゲリラが跋扈していますが、それに目をつむれば比較的良好です」
ですが、と軍務担当大臣は続ける。
「密林奥地への侵攻計画は現在のところ企画されていません……と言うより、棄却されました」
何でだよ!?と言う声があちこちから上がる。
「もちろん侵攻すべきなのは承知しています。ですが、当該地域には……」
軍務担当大臣はそう言いかけると、部下に目配せをする。
彼の部下は軍務担当大臣の目配せを確認すると、部屋から退出、しばらくして戻ってくると彼の手には数枚の写真が握られていた。
「これら……まぁ、『存在X』とでも言いましょうか。それらが存在している可能性が指摘されたためです」
彼の部下は手に握る数枚の写真を机に広げると、『どうぞご覧ください』と言い軍務担当大臣の立つ方向へ向かう。
大臣らはなんだなんだと詰めかけ、それら数枚の写真を手に掴みじっくりと凝視する。
「こ、これは一体?」
彼らは漠然とした顔で軍務担当大臣に問いかける。
「『存在X』……軍部では『未確認生物コード0-1』と名付けている……いわば『黒くテカテカして高速で移動する脂っこい台所の主婦の敵』、および『モグラ』です」
彼らが手に持つ写真には、敵帝都にそびえる王城へと潜入した第一陸戦隊、彼らの撮影した生物が映し出されていた。
「これら生物は、敵帝都に潜入、敵国国家元首確保という任務を受け出撃した第一陸戦隊が撮影したものです。『めっちゃはやかった!』、『きもちわるかった。もうおよめにいけない』等々、精神障害を負った隊員証言がありますが……それはまた、のちの機会に」
彼らは思わず尻込みする。写真に映し出された『黒くテカテカして高速で移動する脂っこい台所の主婦の敵』……いや、もう『G』としか言いようがないそれら。写真の端に映し出された隊員のサイズから比較するに、40センチはあるであろうそれが、あの密林に大量に生息していたら……。
「ぐ、軍務担当大臣。こ、この『存在X』とやらの性質は……?」
「現状なんとも言えませんが……第一陸戦隊が出会った『それら』の性質は極めて凶暴であったとのことです」
彼らの脳裏に、巨大な『G』により臓腑が撒き散らされ食いちぎられる多数の自国民《へいし》の姿が浮かび上がる。
「現在『存在X』に対する対策を考案中ではありますが……これ以外にどのような生物が生息するのかわからない以上、むやみやたらに侵攻できないのが現状です」
「そ、そうですか……」
大臣らは、半ば納得したかのような顔で軍務担当大臣を見る。
「って、待て」
と、そこにすかさず財務担当大臣が声を上げる。
「確かこの第一陸戦隊……国家元首確保のため帝都に向かったんだよな?……国家元首は確保できたのか?」
軍務担当大臣は彼からの質問に少し唸りを上げ、答える。
「その作戦は……失敗しました。どうやら敵は、国家元首の形をした人形を配置、本体はどこかに潜んでいるものと思われます」
なんてこった!という声があちこちから上がる。
「……つまりなんだ?こちらの作戦が漏洩していた、そう言いたいのか?」
「そうとしか……」
「……これじゃ、戦争の長期化もありえるのか……?」
「……まぁ、この作戦はそのために実施されたものですから」
軍務担当大臣は、「ですが、」と付け加える。
「偵察衛星の情報では……どうやら、どこぞやの国家が『帝国』に対する侵攻を開始したとのことです。もしこれが事実……援軍でないのであれば、『帝国』は工業地帯を全て失った状態で二正面作戦を行うことになります」
_第50回国家方針会議を終えた後、廊下では
「軍務担当大臣、ちょっといいかね」
第50回国家方針会議を終え、各大臣が会議室から退出する中大統領は軍務担当大臣に声をかける。
「はい、なんでしょうか?」
大統領は周囲に聞き耳をたてる大臣がいないことを確認すると、軍務担当大臣の耳元で囁く。
「『国家戦略防衛構想』……それと並行して、『ロンギヌス計画』を進行させることはできるか?」
軍務担当大臣は、大統領の放った『ロンギヌス計画』という単語を聞き目を丸くする。
「……大統領。あの計画は……あまりにも危険です。あれを使った際の被害は……通常の核兵器をはるかに超えます」
「わかっている。だが……いつどこから攻撃を受けるかわからない以上、あの計画は現在の我が国にとって必要なものだ。わかるだろう?」
「そ、それもそうですが……」
軍務担当大臣は少し悩んだ様子を見せると、再度口を開く。
「……わかりました。検討してみます」
「頼んだ」
大統領はそれだけ言うと、静かに会議室を退出していくのだった。
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