大衆娯楽、短編集

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マスクを洗う

　ウィルスが流行ったことで、ほとんどの人間はマスクを常時付けるようになった。

　マスクは品薄状態だ。
　手に入らないので手持ちのマスクで何とかせねばならない。

　それまで『使い捨てマスク』とはほとんどの者が『1回切り』または『1日切り』で捨てていたが。
　品薄状態により皆、マスクを洗い始めた。
『洗ったら、3回まで使ってもOK』などとまことしやかに言われ始め、皆マスクを洗うことで『4回』は身につけた。

　洗濯竿に『マスク』が干されている光景が、どの家庭でも見られるようになった。

　大勢の人がマスクを常に付けるようになったことを受けて、マスクは進化を始めた。

『どちらが表か裏か分かりにくい』と言う声に応え、マスクに『リボン』を付けるメーカーもあった。
『リボン』が付いている方が『表』と分かりやすくするためである。

　また『使い捨てせずに、洗って使う』と言うことで『誰が使ったマスクか』分かりやすいように、『柄ガラマスク』が販売されるようになった。花柄、ストライプ柄、星柄、ハート柄などなど……
『お父さんはストライプ柄、お母さんは花柄、お兄さんは青の無地、妹は水玉柄』と言った風に見分けが付くように。

　皆が色んなマスクでオシャレを始めたが……

　その頃から『干しマスク』が盗まれると言う盗難被害に遭う人が増えてきた。
　狙われるのは『女性もの』とされるマスクが多かった。

　マスクは

・「3回洗ったら捨てる」人が多い（使い捨てである）
・口を覆うものである
　
　……なので。
　どうやら『下着』よりも『盗むときの心理的ハードルが低い』のか、下着よりも盗難被害者数が多くなった。
　
　女性はマスクを盗まれるのがイヤで、『中性的な柄のマスク』（ストライプ柄など）を求めるようになった――明らかに『女性もの』のマスクは避けるようになったのだ。　


　――

　柄の方は『中性的な柄のマスク』で落ち着いたが。
　マスクはまだ進化し続けている。

　最新のマスクは『5回洗っても大丈夫』なのだそう。

『マスク用洗剤』、『マスク漂白剤』などのマスク関連商品も人気である。


　

　――終――


　

　うちの母親が実際に『マスクは3回まで洗っても良い』と言っていました（本当かどうかはわかりません……）
　ちょっと不謹慎ネタではあります……申し訳ありません。

　お読み下さりありがとうございました。