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小説家になりたい人間と神様
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あるところに小説を書いている人間が居ました。
『プロの小説家になりたいなあ』
と常々考えていましたが、ある日、神様に会うことができました。
「神様、お願いです」
人間は『神様』に頭を下げて、言いました。
「私は『プロの小説家』になりたいです。
どうかこの願いを叶えて下さい」
神様は『うむ』と頷きました。
『お主を「プロの小説家」にしてやっても良いぞ』
人間は嬉しくなってキラキラした顔で神様を見ました。
「本当ですか、神様!」
『ただし条件がある』
神様が言うと、小説家になりたい人間は真剣に頷きました。
「はい。どんな条件でも! 受け入れます。
小説家になれるならば何でもします……!」
神様は『うむ』と頷くと、言いました。
『ではおぬし。
「毎日一万文字、文章を書くのを10年続ける」
これができるか?』
小説家になりたい人間は目を瞠りました。
日頃から文章を書いているので『1日1万文字書くこと』の大変さを知っていたのです。
その後、神様は少しだけ『条件』を和らげて、
『まあ、必ず「毎日」ではなくとも良い。
「ほぼ毎日」一万文字を書く、を十年間続ける。
これがワシがおぬしの望みを叶えて、おぬしを「プロの小説家」にする条件じゃ』
「わかりました!」
小説家になりたい人間は、真剣に頷きました。
「毎日は無理でも。
『ほぼ毎日』一万文字を書く努力をします!」
そして二人は、別れました。
――
それから10年後。
神様はかつて『プロの小説家になりたい』と神様に願った人間の様子を空から観察しました。
その人間は神様の『条件』を守り、『ほぼ毎日』、『一万文字』、『10年間』書き続けていました。
神様はその努力をさすがに感心しましたが……
(おかしいのぅ……)
神様は思いました。
(これだけ努力をしたならば、ワシの力など借りずとも、自分の力だけで『プロの小説家』になれるじゃろう。
……と思って、『望みを叶える条件』を言ったんじゃがのう……)
・10年間
・ほぼ毎日
・1日1万文字を書く
……これだけの努力をしていたら、神様の力なしでも、その人間の力で『プロの小説家』になれるだろう、と神様は考えていたのです。
しかし、今、小説家になりたい人間は、小説家になれていません。
コンテストなどにも応募していると言うのに……
そもそも小説を書く才能がないのか。
流行に合ったものが書けないのか。
時代を先取りし過ぎなのか。
わかりませんが、『10年間、ほぼ毎日1万文字を書く』を続けても自分の力では『プロの小説家』になれない様子の人間を見て……
神様は『うむ』と思いました。
人間はちゃんと『条件』を守ったのだから……
『約束は約束じゃ……』
――
神様は、『プロの小説家になりたい人間』を神様の力を使い、『プロの小説家』にしてあげました。
小説家になりたい人間は、小説家になれてとても喜びました。
――終――
『プロの小説家になりたいなあ』
と常々考えていましたが、ある日、神様に会うことができました。
「神様、お願いです」
人間は『神様』に頭を下げて、言いました。
「私は『プロの小説家』になりたいです。
どうかこの願いを叶えて下さい」
神様は『うむ』と頷きました。
『お主を「プロの小説家」にしてやっても良いぞ』
人間は嬉しくなってキラキラした顔で神様を見ました。
「本当ですか、神様!」
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神様が言うと、小説家になりたい人間は真剣に頷きました。
「はい。どんな条件でも! 受け入れます。
小説家になれるならば何でもします……!」
神様は『うむ』と頷くと、言いました。
『ではおぬし。
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これができるか?』
小説家になりたい人間は目を瞠りました。
日頃から文章を書いているので『1日1万文字書くこと』の大変さを知っていたのです。
その後、神様は少しだけ『条件』を和らげて、
『まあ、必ず「毎日」ではなくとも良い。
「ほぼ毎日」一万文字を書く、を十年間続ける。
これがワシがおぬしの望みを叶えて、おぬしを「プロの小説家」にする条件じゃ』
「わかりました!」
小説家になりたい人間は、真剣に頷きました。
「毎日は無理でも。
『ほぼ毎日』一万文字を書く努力をします!」
そして二人は、別れました。
――
それから10年後。
神様はかつて『プロの小説家になりたい』と神様に願った人間の様子を空から観察しました。
その人間は神様の『条件』を守り、『ほぼ毎日』、『一万文字』、『10年間』書き続けていました。
神様はその努力をさすがに感心しましたが……
(おかしいのぅ……)
神様は思いました。
(これだけ努力をしたならば、ワシの力など借りずとも、自分の力だけで『プロの小説家』になれるじゃろう。
……と思って、『望みを叶える条件』を言ったんじゃがのう……)
・10年間
・ほぼ毎日
・1日1万文字を書く
……これだけの努力をしていたら、神様の力なしでも、その人間の力で『プロの小説家』になれるだろう、と神様は考えていたのです。
しかし、今、小説家になりたい人間は、小説家になれていません。
コンテストなどにも応募していると言うのに……
そもそも小説を書く才能がないのか。
流行に合ったものが書けないのか。
時代を先取りし過ぎなのか。
わかりませんが、『10年間、ほぼ毎日1万文字を書く』を続けても自分の力では『プロの小説家』になれない様子の人間を見て……
神様は『うむ』と思いました。
人間はちゃんと『条件』を守ったのだから……
『約束は約束じゃ……』
――
神様は、『プロの小説家になりたい人間』を神様の力を使い、『プロの小説家』にしてあげました。
小説家になりたい人間は、小説家になれてとても喜びました。
――終――
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