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(2)天才子役〈幼女〉
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『天才赤ちゃん女優』として映画、ドラマと引っ張りだことなった小さな女優は、名を『佐々木 華』と言う。
華は『赤ちゃん女優』から『子役』となった。
映画撮影スタジオ。
「ママ……
死んじゃ、いやだよお……」
子役の華は顔をゆがめて言った。
「ママ……
ユナ、ひとりぼっち、いやだよお……」
ユナとは華が映画で演じる子どもの名前である。
「ユナちゃん……」
母親が弱々しい笑みを浮かべながら言う。
「ユナちゃん……
おかあさん、頑張るからね」
母の『強がり』を真に受けるようにパッと笑顔になるユナ(役柄)。
「うんっ!」
我が娘を哀れに思い、母親は涙ぐむ……
「ユナ……」
つぶやく。
「はいっ。OKです!」
監督が言った。
ベッドに寝ていた母親役女優が起き上がり、娘ユナ役の華の頭を『良い子良い子』する。
「華ちゃん、スゴーい、良かったよぉ……!」
目を拭う――ホントに『ウルッ』と来てしまったのだ。
「ほんと、良かった!」
監督も華に向かって両手を広げ、賞賛のポーズ。
「すばらしい演技だよ!」
「私が4歳の時って。
こんな演技、できたとは思えない。
と言うか、もっと『ボーッ』と生きていたと思うわ」
女優が言うのに、監督も頷き、
「こんな演技の上手い、4歳は……
ホントなかなかいないですよ!」
「まさしく『天才子役』ですね」
「ほんと」
監督と女優が褒めるのに、『よくわかっていない』ような曖昧な笑顔を返しつつ……
(何、天才じゃあないで)
華は内心ひとりごちていた。
(『努力』の方じゃて)
そのとき母親が撮影スタジオに顔を出した。
華は母親が撮影スタジオに来たと認めると、
「ママー!」
駆け寄り、母に抱きつく。
「華ちゃん。お疲れ様」
「うん」
「上手くできたかな?」
華は首をかしげて、『分からない』と言う表情をする。
「うふふ」
母は娘の表情に笑う。
「えへへ」
母に笑い返しながら、華は内心ひとりごちる……
(こう言う風に、ワシは24時間『子ども』の演技をしているんじゃて。
だから『子ども役』の演技も上手くできるんじゃないかと思うんだわ)
華は自分の演技は『天才』ではなく『努力』のたまものと結論付けた。
母親の元に監督とスタッフがやってきて、母の前で華を褒めた。
「華ちゃんはホント、すごいですよ~」
「あ、私、ネットで華ちゃんのウワサを見たんですけど」
スタッフが思い出したように話し出す。
「華ちゃんって、
『人生二度目なんじゃね?』
『コ〇ンと同じ薬、飲んだんじゃね?』
とか言われているんですよ!」
『えっ』と不思議そうな顔をする母親に、スタッフが説明する。
「ほら。
華ちゃんて、演技がめちゃくちゃ上手いし、普段から何か、賢そうで、落ち着いているでしょう?
だからコ〇ンくんみたいに、『身体は子ども、中身は大人』なんじゃないか?
って思われているんですよ!」
「わかるなあ」
監督が笑って、同意した。
母親も照れくさそうに笑う。
そんな中……
(何……『中身が大人』とバレているじゃて……)
華は内心ひとりごちていた。
(まだまだ『子ども』の演技が上手くできてないと言うことじゃて。
24時間『子ども』の演技をしていると言うのに、この程度じゃわ)
『やはりワシは「天才」じゃないわな』
そう思う『天才子役』華であった……
――――――――――
※
『人生二度目』
『コ〇ンと同じ薬飲んだの?』
は、某『〇モリ』子役さんが、実際にネットで言われていたことを参考にさせて頂きました。
華は『赤ちゃん女優』から『子役』となった。
映画撮影スタジオ。
「ママ……
死んじゃ、いやだよお……」
子役の華は顔をゆがめて言った。
「ママ……
ユナ、ひとりぼっち、いやだよお……」
ユナとは華が映画で演じる子どもの名前である。
「ユナちゃん……」
母親が弱々しい笑みを浮かべながら言う。
「ユナちゃん……
おかあさん、頑張るからね」
母の『強がり』を真に受けるようにパッと笑顔になるユナ(役柄)。
「うんっ!」
我が娘を哀れに思い、母親は涙ぐむ……
「ユナ……」
つぶやく。
「はいっ。OKです!」
監督が言った。
ベッドに寝ていた母親役女優が起き上がり、娘ユナ役の華の頭を『良い子良い子』する。
「華ちゃん、スゴーい、良かったよぉ……!」
目を拭う――ホントに『ウルッ』と来てしまったのだ。
「ほんと、良かった!」
監督も華に向かって両手を広げ、賞賛のポーズ。
「すばらしい演技だよ!」
「私が4歳の時って。
こんな演技、できたとは思えない。
と言うか、もっと『ボーッ』と生きていたと思うわ」
女優が言うのに、監督も頷き、
「こんな演技の上手い、4歳は……
ホントなかなかいないですよ!」
「まさしく『天才子役』ですね」
「ほんと」
監督と女優が褒めるのに、『よくわかっていない』ような曖昧な笑顔を返しつつ……
(何、天才じゃあないで)
華は内心ひとりごちていた。
(『努力』の方じゃて)
そのとき母親が撮影スタジオに顔を出した。
華は母親が撮影スタジオに来たと認めると、
「ママー!」
駆け寄り、母に抱きつく。
「華ちゃん。お疲れ様」
「うん」
「上手くできたかな?」
華は首をかしげて、『分からない』と言う表情をする。
「うふふ」
母は娘の表情に笑う。
「えへへ」
母に笑い返しながら、華は内心ひとりごちる……
(こう言う風に、ワシは24時間『子ども』の演技をしているんじゃて。
だから『子ども役』の演技も上手くできるんじゃないかと思うんだわ)
華は自分の演技は『天才』ではなく『努力』のたまものと結論付けた。
母親の元に監督とスタッフがやってきて、母の前で華を褒めた。
「華ちゃんはホント、すごいですよ~」
「あ、私、ネットで華ちゃんのウワサを見たんですけど」
スタッフが思い出したように話し出す。
「華ちゃんって、
『人生二度目なんじゃね?』
『コ〇ンと同じ薬、飲んだんじゃね?』
とか言われているんですよ!」
『えっ』と不思議そうな顔をする母親に、スタッフが説明する。
「ほら。
華ちゃんて、演技がめちゃくちゃ上手いし、普段から何か、賢そうで、落ち着いているでしょう?
だからコ〇ンくんみたいに、『身体は子ども、中身は大人』なんじゃないか?
って思われているんですよ!」
「わかるなあ」
監督が笑って、同意した。
母親も照れくさそうに笑う。
そんな中……
(何……『中身が大人』とバレているじゃて……)
華は内心ひとりごちていた。
(まだまだ『子ども』の演技が上手くできてないと言うことじゃて。
24時間『子ども』の演技をしていると言うのに、この程度じゃわ)
『やはりワシは「天才」じゃないわな』
そう思う『天才子役』華であった……
――――――――――
※
『人生二度目』
『コ〇ンと同じ薬飲んだの?』
は、某『〇モリ』子役さんが、実際にネットで言われていたことを参考にさせて頂きました。
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