追放された地味探索者、実は隠された伝説級スキルの持ち主でした~気付いたら無自覚に最強ハーレムを築いていた件~

fuwamofu

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第3話 鉱山で見つけた不思議な少女

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峡谷を越えて二人がたどり着いたのは、小さな鉱山町レフティアだった。街と呼ぶには寂れすぎているが、かつては金脈で栄えた場所だ。いまは鉱脈も尽き、住民の多くは職を求めて王都へ移ってしまったという。だがその分、人の目が少ない。それがアレンとエリナにとっては好都合だった。  
アレンは街外れの空き家を借り、しばらくそこで身を潜めることにした。壊れた屋根と朽ちた扉、けれど壁はしっかりしていて、寝泊まりには困らない。

「ここなら追手もしばらくは来ないはずだ。」

アレンがそう言うと、エリナは安堵した表情を見せた。彼女はまだ完全に体力が戻っておらず、封印の影響らしき発作にたびたび苦しんでいた。熱を出した夜など、アレンは何度も水を取りに走った。  
それでも、エリナは毎朝小さな祈りを捧げる。王家に伝わる古い祝詞のようなものだ。歌うような声に、アレンは時折聞き入ってしまう。彼女がただの王女ではなく、特別な存在であることを、そのたびに思い知らされた。

三日たったある朝、アレンは街の鉱山支部に用事で出かけた。数少ない日雇い仕事を斡旋してくれる場所で、彼は生活費を少しでも稼ごうとしていた。

「よう、新入りか?最近この町に来たのは珍しいな。」

受付の初老の男が笑いながら書類を差し出す。アレンは名を偽って“アレン・ストール”と記入した。王女と行動を共にしていると知られれば、命がいくつあっても足りないからだ。

「鉱山の第二坑道がまだ掘れるって話があってな。危険手当も付くぞ。どうする?」

「やります。」

アレンは即答した。装備は粗末でも、身体が動く限り働ける。そう思っていた。



第二坑道は、古びた採掘道具と崩れかけた壁に囲まれた暗い通路だった。人数は五人。全員ベテランらしく慣れた手つきで岩を砕いていく。  
アレンは補助役として通気孔の確認を任された。探索と構造把握は得意分野だ。だが、坑道の奥に進むごとに、彼の【探索眼】が奇妙な反応を示し始めた。

(……何だ?魔素の流れが歪んでる?)

地脈の流れが乱れ、壁の向こう側に淡い輝きが隠れている。危険を察知し、アレンは周囲の作業員に声をかけた。

「ここ、少し下がってください。壁の裏に妙な空洞があります。」

「空洞?何百年掘っても何も出ない場所だぞ、気のせいじゃねぇか?」

「いいから、離れて。」

その声に押され、男たちは訝しげに数歩下がった。アレンは短剣の柄の石突きを使い、壁を軽く叩く。すると鈍い音が返り、岩の一部が崩れ落ちた。粉塵の向こうから、淡く青白い光が漏れ出す。

「な……なんだありゃ!」

壁の穴の奥には、小さな空洞。中央に人の形をした透明な結晶が横たわっていた。まるで少女がガラスの棺に眠っているようだった。髪は水晶のように白く、閉じた瞳の周りには薄い紋章が輝いている。

アレンは嘘のように息を飲んだ。その瞬間、視界に言葉が浮かんだ。

【古代種 クリスタリアス・モデルβ 認証対象発見】

(俺のスキルが……反応してる?)

まるで何かが彼に語りかけているようだったが、それは他の誰にも見えていない。仲間の鉱夫が怖気づいた声を出した。

「お、おい、やばいもんじゃねぇか?封印系かもしれねぇ、こんなもん関わったら――」

「下がれ!」

アレンは咄嗟に叫んだ。その瞬間、結晶の少女が淡く光を放ち、空気が振動した。風が巻き起こり、爆音が坑道に轟く。

周囲の岩壁が崩れ始めた。アレンは仲間を押し出して出口へ向かう。「走れ!」と叫びながら土煙の中を進み、自分も飛び込むように外へ出た。

崩落の音が次第に遠ざかり、やがて静寂が戻る。  
膝をつくアレンの手には、掌ほどの透明な欠片が握られていた。崩落の瞬間、結晶が砕け、その一部が彼の足元まで転がってきたらしい。

欠片は微かに温かい。光が脈打つように明滅している。

(まさか……あの中の少女がまだ……?)

直感が警告を鳴らしていた。ただの鉱物ではない。この欠片には「何か」が生きている。

ほかの鉱夫たちは「もうやめておけ」と言って逃げ帰った。だがアレンはその欠片をそっと袋に入れた。奇妙に感じても、捨てることはできなかった。



夕方、レフティアへ戻ったアレンは、その欠片をポーチの中に隠したまま、そっとエリナの元へ帰った。  
家の前ではエリナが待っていた。彼女は心配そうに駆け寄る。

「遅かったですね。危険な仕事なのでしょう?」

「ちょっと面白いものを見つけてな。」

アレンは笑いながら荷物を下ろしたが、内心は落ち着かない。幻覚ではなかった、あの結晶の少女は確かに「生きていた」。

その夜、二人は簡素な夕食を済ませた。エリナが眠りについたころ、アレンは袋の中から例の欠片を取り出した。  
淡い光が再び揺らぎ、まるで心臓の鼓動のように規則的に瞬いている。  
【探索眼】を軽く起動すると、視界に薄い輪郭が浮かんだ。人型――やはり、少女の形をしている。そしてその輪郭の中心に、短い文字。

【再起動まで残り八時間】

(再起動……?)

アレンは眉をひそめた。その時、部屋の外から扉を叩く音がした。反射的に欠片を隠す。扉を開けると、三人の男が立っていた。  
鉱山ギルドの管理者と、その後ろに見覚えのある鎧姿。昨日の追手と似た文様が刻まれている。

「アレン・ストール殿。今日の坑道で“何か”見なかったか?」

「……何か、とは?」

「古代遺物だ。もし不審なものを持ち帰ったら、国家への反逆と見なす。」

淡々とした声の裏に、隠しきれない圧力があった。アレンはすぐに笑って首を振る。

「ただ崩落が起きただけです。命からがら逃げましたよ。」

男たちはしばし睨みつけた後、「そうか」とだけ言い残して去っていった。

扉を閉めたアレンは深く息を吐く。危うい橋を渡った気がしたが、直感的にこの欠片を渡してはいけないと感じていた。何か、大きな真実が隠されている。この欠片が、エリナの“封印”とも無関係ではない――。



夜中、ふと光に気づいて目を覚ました。袋の中の欠片が光を増している。部屋全体に柔らかな白光が満ちた。  
袋を開けると、欠片が宙に浮かび上がり、光の粒子が舞い始める。アレンは反射的に後退した。

「な……!」

光の中に人影が現れた。透き通る肌、白金の髪。まぎれもなく、あの鉱山の中にいた少女だった。彼女はゆっくりと目を開いた。虹色に輝く瞳がアレンを見つめる。

「……ここは……?」

声はまるで風の鈴の音のように響いた。アレンは息を呑み、固まった。夢なのか、それとも現実なのか。

「お前は……何者だ?」

少女は小さく首を傾げ、少し考えるように目を閉じた。

「わたしは……クリスティア。“護りの核”……あなたが、解放者ですか?」

アレンの心臓が大きく跳ねた。

再び、運命の歯車が音を立てて動き始めた。

(第3話 終)
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