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初恋
まあまあ。
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寮に戻ってきた。
冬休み期間中も寮の管理人は休みではないらしい。
あまり仕事は無いそうだが、管理人室で待機しているのだとか。
窓口のガラスをコンコンと叩き、ガラス越しに声をかける。
「朝日さん、こんにちは。」
「ああ陽太か。ちょうど暇だったんだ。寄ってくか?カステラ余ってるから食べてってくれると助かる。」
「カステラ!食べたい!」
ドアが開いて迎え入れてくれる。
ここ最近足しげく通ったおかげで管理人室に入れてくれるようになった。
中は広く、テレビ、冷蔵庫、ソファーなど大抵の物は揃っている。
ソファーは窓口からは見えない所にあり、窓口からの視線を気にせず寛げるように置かれている。
奥には3つのドアがあり、一つは直接外に出られる裏口、もう一つはトイレ、さらにもう一つは朝日の住居と繋がっていると教えてくれた。
てっきり朝日は寮の何処かの部屋を使っているのだろうと思っていたが専用の住居があるとは。
さすがマンモス金持ち高校。待遇が良い。
「さっき萱島先生にゴッホ展のお土産やっと渡せました。」
「あいつ喜んだだろ?」
「はい。ちょっとだけ生気が戻ってました。」
「あいつは昔から美術の事になると生き生きするからなあ。まあ、今度俺も声かけてみるよ。」
萱島先生、話題を提供してくれてありがとうございます。
カステラを緑茶で食しつつ心の中で拝み倒す。
「朝日さーん」
「居るー?」
窓口から複数人が呼ぶ声。
悪いと朝日が詫びる。
カステラが口いっぱいに溢れており、どうぞどうぞ、と言いたかったのにフゴフゴと謎の鼻息の荒い動物のような返事になってしまった。
何やら窓口から数人で、元気にはしゃぐ声がする。
「朝日さん、このSM診断やってみて!」
「なんだよ用件ってこれか?暇だなぁお前ら。」
「いいからいいから、やってみてよ。朝日さんの結果次第でジュース賭けてんだ!」
「あのなあ、俺を勝手に賭け事に使うなよ。しょうがないな。」
聞こえていた会話に思わずカステラを吹き出すところだった。
いや、正直少し吹き出た。
え?え?診断?結果は?
思わず静止して真剣に聞き耳を立てる。
「SよりのM!よっしゃ勝った!」
「だー!なんだよー、これ当たってんの?朝日さん本当の所はどっちなん?」
診断ではSよりのM?
本当は?
心臓が忙しい。
「まあまあS。」
答えを聞いて満足した彼らはキャッキャと戻って行った。
何その答え。
まあまあって何?
MよりのSって事かな。
どういうことなんだろう。
こういう時、表現豊かな日本語が恨めしい。
まあまあ
まあまあ
まあまあってなんだ。
頭の中でリフレインしてる。
戻ってきた朝日さんと何か話したのに、よく覚えてない。
表面上は取り繕えていたと思う。
そういうのは上手い方だ。
吹き出したカステラをコッソリ綺麗に拭き取って、上の空で管理人室を後にした。
冬休み期間中も寮の管理人は休みではないらしい。
あまり仕事は無いそうだが、管理人室で待機しているのだとか。
窓口のガラスをコンコンと叩き、ガラス越しに声をかける。
「朝日さん、こんにちは。」
「ああ陽太か。ちょうど暇だったんだ。寄ってくか?カステラ余ってるから食べてってくれると助かる。」
「カステラ!食べたい!」
ドアが開いて迎え入れてくれる。
ここ最近足しげく通ったおかげで管理人室に入れてくれるようになった。
中は広く、テレビ、冷蔵庫、ソファーなど大抵の物は揃っている。
ソファーは窓口からは見えない所にあり、窓口からの視線を気にせず寛げるように置かれている。
奥には3つのドアがあり、一つは直接外に出られる裏口、もう一つはトイレ、さらにもう一つは朝日の住居と繋がっていると教えてくれた。
てっきり朝日は寮の何処かの部屋を使っているのだろうと思っていたが専用の住居があるとは。
さすがマンモス金持ち高校。待遇が良い。
「さっき萱島先生にゴッホ展のお土産やっと渡せました。」
「あいつ喜んだだろ?」
「はい。ちょっとだけ生気が戻ってました。」
「あいつは昔から美術の事になると生き生きするからなあ。まあ、今度俺も声かけてみるよ。」
萱島先生、話題を提供してくれてありがとうございます。
カステラを緑茶で食しつつ心の中で拝み倒す。
「朝日さーん」
「居るー?」
窓口から複数人が呼ぶ声。
悪いと朝日が詫びる。
カステラが口いっぱいに溢れており、どうぞどうぞ、と言いたかったのにフゴフゴと謎の鼻息の荒い動物のような返事になってしまった。
何やら窓口から数人で、元気にはしゃぐ声がする。
「朝日さん、このSM診断やってみて!」
「なんだよ用件ってこれか?暇だなぁお前ら。」
「いいからいいから、やってみてよ。朝日さんの結果次第でジュース賭けてんだ!」
「あのなあ、俺を勝手に賭け事に使うなよ。しょうがないな。」
聞こえていた会話に思わずカステラを吹き出すところだった。
いや、正直少し吹き出た。
え?え?診断?結果は?
思わず静止して真剣に聞き耳を立てる。
「SよりのM!よっしゃ勝った!」
「だー!なんだよー、これ当たってんの?朝日さん本当の所はどっちなん?」
診断ではSよりのM?
本当は?
心臓が忙しい。
「まあまあS。」
答えを聞いて満足した彼らはキャッキャと戻って行った。
何その答え。
まあまあって何?
MよりのSって事かな。
どういうことなんだろう。
こういう時、表現豊かな日本語が恨めしい。
まあまあ
まあまあ
まあまあってなんだ。
頭の中でリフレインしてる。
戻ってきた朝日さんと何か話したのに、よく覚えてない。
表面上は取り繕えていたと思う。
そういうのは上手い方だ。
吹き出したカステラをコッソリ綺麗に拭き取って、上の空で管理人室を後にした。
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