細胞がはじけた時が噛み頃です。

三角

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沼に落ちた

掌握したい

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新学期が始まり日中の寮は閑散としている。
こういった時間に自分の本業に勤しみたい所だが、今は人を待っている。
こちらから出向こうかとも考えた。
だが、すれ違うといけない。
つい先ほど陽太が風邪で熱を出したと保健室の鬼束から連絡があった。
此の所寒い日が続いていたので身体を冷やしたのかもしれない。


陽太との関係は進展はしていないが、年末から年始にかけて頻繁に管理人室を訪れてくれるようになった。
佐野が帰省し暇だったというのもあるだろう。
しかしながら出向いてくれるということは少なからず好意を持ってくれているのではと考えている。


「朝日さん。」


待ち構えていると弱々しい陽太の声。
熱のせいか顔が随分と赤らんでいる。
鬼束が出した処方箋を受け取ると陽太からは仕事を増やしたことへの謝罪があった。
熱で余裕はないだろうに。
そんな事にまで気を遣う陽太を今すぐ部屋に連れ帰り、水分を取らせ、冷えピタを貼り、ベットに寝かしつけたい。
元来の世話好きな性分を一番発揮したい相手に向ける事が出来ないのが非常にもどかしい。

思わず触れた額は熱かった。

何か必要な物は無いかと問うと熱で緩んだ顔で要らないと言う。
遠慮するなと頭を撫でくりまわしたい衝動に駆られたが、軽く触る程度に耐え陽太を部屋に送り出した。
ふらふら心もとない足取りで去っていく背中を見守る。


置いていた場所のバランスが悪かっただろうか。
陽太と話している最中に床落ちたのだろう、割れた鉢植えを急いで片す。
片しながら脳内では、近くの薬局へ行くまで車で10分弱、薬を受け取るまで約10分、寮のスーパーで買い物を済ませて陽太の部屋に行くまで10分と、最短ルートを検索する。
薬局が混んでいることを鑑みて1時間弱で済ませようと算段をつけた。






「まいったな。」


薬局で薬を受け取り寮に戻ってくるまではスムーズだったのだが、買い物の段階で躓いた。
喉に通りやすい冷たい物が欲しいだろうと、デザート系の陳列棚の前に居るのだがカゴに何も入れられない。
陽太の好みを知らないため何を買うか非常に迷う。
ゼリーが良いか、プリンが良いか、クリームが乗っている方が良いか、焼いているプリンが良いのか、果物が入っているものが良いのか。
それともヨーグルトが良いか。
はたまたアイスが良いのか。
こんなことも知らず時間を取られる己に腹が立ってきた。



ああ。本当に参る。
もっと陽太を掌握してしまいたい。
思い切り甘やかしたい。


自身への腹立たしさに任せて、目に入る物を全部カゴに放り込んだ。
結果的に大量になってしまったが、少ないよりは良いだろうと無理矢理自分を納得させた。


陽太の部屋を訪ねると、先程よりも更に弱っている様子が見て取れた。
部屋に1人で大丈夫か心配になったが早く寝させたいため早々に立ち去る。
途中エレベーターの前で佐野と擦れ違った。
陽太の部屋に入っていく佐野を確認し、ひとまず安心する。
いつか必ず掌握しよう。
部屋に入る佐野を見て腹を決めた。



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