細胞がはじけた時が噛み頃です。

三角

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その仄暗い目に

※出ちゃう

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泣いて乞うと身体を起こして縄の結び目を解いてくれた。
押さえつけられていた圧から解放される。


「はぁぁ、ぁ…ッ」


身体が弛緩して血が巡る解放感が癖になりそうだ。
思わず物凄く気持ち良さそうな呼吸が口から漏れてしまって恥ずかしい。
お尻の痛みと開放感が綯い交ぜになって思考が現実に戻ってこない。
ゆっくりと解かれる縄の感触に酔っていると、ふと、腹部に違和感を覚える。


なんか、痛い。


「お腹痛い…気がする…」


特有の覚えのある痛さに飛んでいた思考が急に覚める。
何か変な物を食べただろうか。
朝日さんに訴えるも反応は薄い。
痛みを自覚すると、急激に症状が進んできた。


「すいません、朝日さん、トイレ借りていいですか?」
「どうぞ。でも、これ終わってからな。」
「え?」


解いたばかりの縄を再度手首に巻きつけてくる。
いやいや、ちょっと待って欲しい。


「え、ちょ、本当にお腹痛くてっ」
「大丈夫大丈夫。これ終わったら行っていいから。」


ほんとに困る。
何が大丈夫なんだろうか。
もう、お腹がギュルギュル鳴ってるのに。


「動くなよ。手首痛めるぞ。」
「だって、ッ…いたぃ…」


動くなと言われてもお腹が痛くて、どうしても前屈みになってしまう。
無理やり身体を起こされ辛い。
より下腹部が大暴れする。


「ぅぅ…ッ、」
「痛そうだな。」


痛そうだなと他人事のように言う非情な人に言い返すことも出来ないくらいに痛い。
もう出てしまいそうで必死に我慢する。
脂汗が止まらない。
どうやら縛るのは終わったらしく、朝日さんは悶える俺の顔を満足そうに見ている。
今度は後ろ手では無くて逮捕された時のような拘束。
更に肘が伸ばせないように曲げたまま固定されてしまった。


「さっき入れた水な、グリセリン浣腸剤なんだ。」
「…え?」
「もう効果が出てくる丁度いい頃合いだろうな。」


じゃあ、このお腹の痛さは変な物を食べたからではなくて、朝日さんが意図的に俺に施したってこと?
色々訴えたいが、それよりも今は。


「トイレっ…行きた、い。」
「痛い?」
「っ…うぅぅっ…もお、やだっ」


もうほんとにマズイ。
汗が止まらない。
団子虫のように丸まり波をやり過ごす。
そうしていたら、暴れると落ちるからジッとしてろと朝日さんが抱えてトイレに運んでくれる。
廊下を移動し、やっとトイレのドアの前に立たせてくれた。
制限された動きしか出来ない手首で、どうにかドアを開く。


早く、早く。
もう漏れそうだ。
限界。
痛い。
苦しい。
もうすぐ出せる。
出ちゃう。


早くドアを閉めて、出してしまいたい。
そう思ってドアを閉めようと振り向いた時に気づいた。
朝日さんが立っている。
開いたドアが閉まらないように、入り口に立って、こっちを見てる。


「あ、朝日さ、あの…ドアを…」
「ん?」
「ドア、閉めるから、退いてくださ…」


早く退いてくれないと出来ない。
お腹が痛くてたまらないのに。
早く、ドアを閉めて鍵をかけたい。
そう思って痛みに耐えつつ必死に言葉を紡いだ俺に帰ってきたのは、前にも聞いたことがあるようなものだった。


「このままして。見ててやるから。」


信じられない。
見ててやるからと言われた途端に止まっていた涙が再び溢れだす。
心と頭が要求された事実を処理しきれない。


「むりぃ…や、やだっ、」


子供のように泣きじゃくり頭を振る。
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