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皮膚の内側

※脱皮

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「無理じゃない。簡単な事だ。」
「むりだよッ…」
「そこに座って力を抜くだけで良い。簡単だ。すぐ出来る。」


簡単なわけがない。
首を振って拒否する。
でも、お腹が痛い状況は変わらない。
汗が酷い。
いたい、出したい。
解放されたい。
どうしよう。
どうしたら良いのかわからない。


「とりあえず座ったら?」


座るだけなら出来るだろ?と言われると、座るだけなら出来るかもと麻痺した頭は考え出す。
ゆっくり、震える身体をギリギリ制御しながら漏れないように座る。
さっき叩かれたお尻が痛むけど、そんなことに構ってられない。
普通に座ったら、良く見えるように座れと怒られ無理矢理足を開かれた。
恥ずかしすぎる。
座ってしまったら、より苦しくなってしまった。
条件反射なのか分からないが、お腹が今までで一番暴れ出した。
限界が近くて獣のような唸り声が出る。


「もう出したっ…」
「出せばいい。」
「ふっ…ぅ、っ、ここから出てってくださ…っ」
「泣いても出ていかない。見ないでほしいって言ったら出て行く。嘘じゃない。」


見ないで。
そのたった一言が、言えない。
言いたくない。
だって。
見ないで欲しいのに、本当は見て欲しいからだ。
でも嫌われたくないから見ないで欲しい。
でも本当は、本当の俺を見て欲しい。
なんて矛盾だ。
矛盾した気持ちと、下腹部の痛みから解放されたいのに出来ない苦しさとが頭を巡って、もう駄目だった。


「見ないの、いや…」
「じゃあ見る。」
「それもやだぁ…っ、ひどぃッ…」
「…あー可愛い…」


悶え泣いて鼻水も涎も垂れ流してグシャグシャな俺の喉をコロコロと触りながら、そんなことを言う。
こんな状態の俺でも可愛いっていうこの人は変だ。
そうか。
俺も変だけれど、朝日さんも変なんだ。
そう思ったら、足がガクガクして、お腹の力が抜けそうになった。


「…らない?」
「ん?」
「嫌いにならない?」


か細く小さな声しか出なかった。


「確かめてみたらいい。ほら。あとはお腹の力を抜くだけだ。」
「っ…」


簡単だろ。
楽にれる。
頑張れ。
見ててやるから。
大丈夫だから。


麻痺した頭に響く。


「ぁ、ぁ、も、でちゃ、だめ、でちゃ…っ、やぁ、ぁ、」


お尻の穴がパクパクしてる。
もう限界だ。


痛いもん。
しょうがないよ。
我慢できない。
俺のせいじゃない。


「陽太。」


あ、だめだ


「全部吐き出せ。」


出る


「あ、…ぁ、や、でるぅ、ぅううぅぅぅ…ぅッ」


出してしまった
止まらない
力が入らなくて揺れる頭部を朝日さんが支えてくれてる。
我慢していた分の開放感が襲ってる。
膝はガクガクするし鳥肌が落ち着かない。
身体中が弛緩しきっているからだろうかオシッコまで出てしまった。
両頬を包んで顔を持ち上げて、ずっと朝日さんが俺の顔を見てる。


「はっ、ぁ、、ひ…ふっぅ、…ふ、ぁ…っ」


全部出し切ったけど色々とショックで身体も頭も動かない。
口も目も閉じれない。
便器の水が流れた音がした。
流水音が遠くで聞こえるように感じるのは意識が遠のいているからだろうか。
朝日さんがお尻を拭いてくれたような気がするけれど、もう良く分からなかった。


全部曝け出して、脱皮した。
ただ涙が流れる。
それだけだ。

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