世界の秩序は僕次第

虎鶫

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プリジュドルート

メクタウの章:対峙編

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『ギャー!』
ダールエ族の悲鳴が聞こえてくる。

メクタウの章:対峙編

「メクタウ様、プリジュドに策を伝えたのですか?」
ウスタウさんが聞いてきた。
「いや、何も言ってない。アイツが勝手にやった」
「そうでしたか。でも結果的には策通りですね」
「・・・あぁ」
本当にこれでよかったのだろうか。
なんにしても、アイツを放置させておくのはマズイ。
悪気が無いだけにたちが悪い。

『おい、プリジュド』
『なんだ?』
『砦を奪うんじゃなかったのか?壊してどうする』
『奪えそうにないから壊した』
『壊した・・・って、どうするんだ』
『少なくとも背後から攻められる事はなくなっただろ?』
『まぁ、そうだが・・・』

シューッ!
森の中から矢が飛んできた。

『フッ』
ボッ!
プリジュドは魔法で矢を落とした。

ヒンヤリとした空気が森の中から溢れ出てくる。

『いよいよボスのお出ましだぞ』
僕がそういうとプリジュドは嬉しそうな顔をしている。
『矢の勢いだけか』
プリジュドは余裕を見せている。

シュパパパパッ!
矢を連射してきた。

「チッ!みんなさがれ!」
カキンッ!
僕は槍で矢をはじいた。
ボッ!
ボッ!
プリジュドは相変わらず魔法で矢を落としている。

ゴーッ!
魔法の矢が飛んできた。

『フッ、器用なヤツだな』
パーン!
魔法で相殺した。

『おい、プリジュド。このままだとキリがないぞ』
『そうだな、森に入るか』

「これからオレ達は森に入るが、みんなは矢に気をつけて待機しておいてください」
ウスタスさんに伝えてプリジュドと一緒に森に入っていった。

『プリジュド、迷い無く進んでいるが居場所はわかっているのか?』
『いや知らない。知らないがこっちの方から殺気を感じる』
こっちの方・・・大きな木・・・ではなく、そこから少し外れた方向だ。

『大きな木の方じゃないのか?』
僕は思わずプリジュドに聞いた。
『ほう、何故そう思う?』
さすがに、そこにプリジュドが居たのを見てるからとは言えない。

『ダールエ族が住処にしていると思ったのだが、間違っているか?』
『ふむ・・・半分正解といったところか』
『どういうことだ?』
『砦についた時は、その大きな木の辺りに居たが、今はこっちに移動している』
プリジュドはここについた時点でもう気配を感じていたのか。

パカッパカッパカッ!

しばらく進むと小屋が見えてきた。
『あそこか?』
『そうだな』
『移動しながら連射してきたってことか』
『フッ、やっぱり器用なヤツのようだな』
感心している場合ではない。

ガチャッ!
プリダルエが出てきた。
顔を見ただけで忌まわしい記憶が蘇った。

『メクタウ、殺気を抑えろ』
プリジュドに諭された。

『タウス族と・・・ドマシか?ジュマシか?』
『両方だ』
両方って・・・

『まぁいい、それで何のようだ』
『オマエを倒しに来た』
『威勢だけはいいタウスだな』
バカにされた。

『で、そっちのオマエは?』
『オレの名前はプリジュド、オマエと話をしにきた』
え、そうなの?

『人の砦を壊しておいて話し合いか。オマエら、言ってることとやってる事がちぐはぐだな』
プリダルエの言う通りだ。

『クックック、ここに来るのには邪魔だったからな』
『邪魔だと?ここは砦の場所とは反対側だろうが』

・・・

何の沈黙だ。
いや、それよりもプリダルエが僕の顔をジーッと見ている。

『タウス、オマエの名前は?』
『メクタウだ』
『ほう、メクタウというのか・・・で、本当の名はなんだ?』
『!』

『本当もなにも、オレの名前はメクタウだ』
プリダルエはどこまで掴んでいるのだ?
『まぁいい。それで何の話をしにきた』
『オマエ・・・えーっと、プリダルエだったか?』
『そうだが何故名前を知っている?』
まだ名乗っていないから当然の疑問か。

『コイツから聞いた。コイツは物知りだからな』
『ほう・・・。確かにいろいろと知ってそうだな』
プリダルエは僕の方を見てニヤリとした。

『それで用件はなんだ』
『プリダルエ、オレの手下になれ』
『ククク、いきなりやってきて手下になれと』
『あぁ』
『なると思うか?』
『あぁ』
『ククク、面白い事を言うヤツだ』
プリダルエが殺気立った。

『オレはオレより弱いやつの下にはつかん!』
そういうと、プリダルエは魔法の矢を同時に何本も放ってきた。

シュパパパパッ!

サッ!
かろうじて避ける事はできたがなんて技だ。
弓を持っている感じでもないのに何故矢を撃てる?

って、えっ!?
プリジュドの方を見るとお腹に矢が刺さっていた。
さっきは魔法で弾いていたのに何故だ?

『プリジュドとかいったか、その程度でよく手下になれと言えたな。オマエの方こそオレの手下になれ』
『クックック・・・オマエの力はこの程度か?』
プリジュドに刺さっていた魔法の矢が身体の中に入っていった。
どういうことだ?

『本当の魔法の矢というのを見せてやろう!』
そういうとプリジュドは魔法の矢を放った。

シューッ!

『なんだ?それが本当の魔法の矢だと?ビビーも止まることができる速度ではないか』
確かにプリダルエの魔法の矢よりも速度は遅いし1本しか放っていない。

サッ!
プリダルエは軽々と避けた・・・ように見えた。

ドゴーンッ!
『グアァ!』

えっ?
『だから言っただろう、本当の魔法の矢だと』

プリダルエは確かに避けたはず・・・なのに魔法の矢が当たった?

『ククク、面白い物を見せてもらった礼をせねばな』
さすがにダメージはあったようで、若干ふらつきながらも、そういうとプリダルエは弓を構えて矢を放った。

シューッ!

なんの変哲も無い矢がプリジュドに向けて飛んでくる。
『フッ、その矢こそビビーが止まる速度ではないか』

ザクッ!
『グアァ!』
プリジュドが膝をついた。

えっ?
プリダルエが放った矢がプリジュドの背中に刺さっている。
どういう事だ?

『だから言っただろう、礼をせねばと』
ひざまずいているプリジュドの元にプリダルエが近寄っていった。
『プリジュド、オマエの方こそオレの手下になれ』
『クックック・・・面白い技を使うやつだな』

2人とも笑っている。
僕は完全に蚊帳の外だ。

ボッ!
プリジュドは身体に刺さった矢を魔法で焼き払って立ち上がった。

お互い顔を見合っている。
この距離だと勝負は一瞬で終わる!?

そう思って居たら2人揃ってこっちを見た。
え?え?
いや、正確にいえば、僕の後ろを見ている。

『プリダルエ、オマエの客か?』
『オマエの客じゃないのか?』
どういうことだ?

そう思いながら僕が振り返ると、視線の先にオオカさんとドンリンさんが居た。
ギノツの様子を見に行った帰りに森にも寄ったのか。

「おー、おー、えらい殺気がしたと思ったら、ごっついのが2体と、おもろいのが1体おるなぁ」
おもろいってのは僕のことだろう。

「で、どっちが遊んでくれるんや?」
オオカさんは2人に向ってそういった。
またもや僕は蚊帳の外だ・・・でも、今回はその方が助かる。

『クックック・・・』
『ククク・・・』
2人とも笑っている。

『メクタウ、帰るぞ』
プリジュドが僕に向ってそう言ってきた。
『あ、あぁ』

「なんや、そっちは帰ってまうんかいな」
オオカさんがつまらなさそうに言ってきた。

「じゃぁ、もう1体の方と・・・って、もうおらんやんけー!」
遠くでオオカさんが叫んでいる。
プリダルエも立ち去っていたようだ。

『さて、メクタウ。聞かせてもらおうか』
『な、なにを?』
『オマエとプリダルエの関係をだ』
『!』

中途半端な嘘はコイツには通用しない、さてどうしたものやら。

メクタウの章つづく
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