世界一の鍛冶師を目指して!〜不遇スキル『鍛冶』と前世の知識の組み合わせが最強だった件〜

福寿草真@異世界エステ1巻12/25発売

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1章 まずは小さな貧村から

8話 修繕修繕また修繕

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 それから狩りと修繕を行う日々が続いた。

 狩りに関してはいまだみんなから守られている状態ではあるが、それでもいくつか役割を任せてもらえるようになった。

 そのうちの1つがツノウサギの剥ぎ取りである。もちろん毎回ではなく、1日のうちの1回か2回程度ではあるが、それでもやれることが増えていくのは貢献しているように思え、とてもうれしいことであった。

 ちなみに剥ぎ取りの際は修繕したあのナイフを使っている。やはり切れ味が良いため比較的綺麗に剥ぎ取ることができる。

 ……前世はかなり不器用だったはずだけど、今はこれだけ要領良くできるということは、ファンという今世の僕の身体がとても器用なんだろうな。

 そんな発見もあったりしながらとにかく剥ぎ取りをしていった。

 またゴブリンや他の魔物と遭遇した際、そのトドメをさすことも何度かあった。やはり魔物相手とはいえ、生き物を殺すということに抵抗があっては生きてはいけないというのもあるのだろう。

 そのおかげもあってか、数度の狩りの中でレベルを2つも上げることができた。

 修繕についてはデルフさんが組んでくれた順番の通りに行っていった。

 やはり当初の予想通り、修繕の優先順位は狩りチームのものや有事の際に使用する武器、防具が1番のようである。これを最初は1日に1回、レベルが上がって魔力が増えてからは1日に2回のペースで行っていった。

 これにより日増しに狩りチームの武具の質が上がっていき、結果として狩りの成果も日に日に向上していくのがとにかく僕のやりがいに繋がっていた。

 そんな生活を繰り返すことおよそ1ヶ月ほど。ついに僕は村全体の武器と防具の修繕を完了することができた。

 そのため本日より、僕は農具の修繕に取り掛かり始めることになっている。

 記念すべき1件目の修繕対象は、村で最も大きな畑を有しているボッケさんの奥さんが使用している農具である。

「ファン。これなんだけど直せるかねぇ」

 そう言いながら彼女が手渡してきたのは、なるほど金属でできた刃床部が錆だらけ刃こぼれだらけで、とにかく畑を耕す際に本来の機能を十分に発揮できなさそうなボロボロのクワであった。

「お預かりしますね」

 言葉の後、念のためクワの隅々まで目を通す。そしてそのサイズやボロボロ具合を把握し、必要な魔力量を概算する。

「うん、これなら問題なく修繕できそうです」

「本当かい! それじゃあよろしくねぇ」

「はい! お任せください!」

 僕はそう言うと、早速クワの金属部分を取り外す。次いで最近修繕の際に使用している台の上にそれを置くと金属へと魔力をじわじわ流していく。

 こうしてある程度魔力が行き渡ったところで、僕はハンマーを召喚する。そしてそれを振るい、まずは錆を無くしたり、全体の形を整える作業を行っていく。

「おぉ……みるみる輝きが増してるねぇ」

 奥さんの関心の声を背に、僕は同様の行動を繰り返す。こうしてある程度納得できる状態まで持っていったところで、続いてハンマーを砥石へと変える。

「まぁハンマーが砥石に! なんだい『鍛冶』ってすごく便利な能力じゃないか」

「そうなんですよ。きちんと扱うことができれば、かなり便利な能力なんですよ」

 彼女の言葉になんだか『鍛冶』が認められているような気分になり、上機嫌でそう言葉を返す。

 そう、実際『鍛冶』は使い勝手の良い能力だ。……ただ僕レベルの知識量やイメージ力が必要っていう、この世界の人にとっては大きなデメリットがあったり、そもそも貧村以外ではダンジョン産の農具が溢れるほどにあって、『鍛冶』の修繕を使う機会がないというだけでね。

 そこまで考えると先ほどの上機嫌だった心が少しだけささくれ始める。

 僕は被りを振り、すぐに考えるのをやめると、続いて研磨の作業へと移ることにした。

 再びクワを台に置き、必要な箇所に砥石を当て、適切な角度で滑らせていく。もちろんこの時も魔力を流し続けるのを忘れない。

 こうして何度か研いだところで、あらゆる角度からクワをチェックする。

「よし……こんなもんかな」

 目を通し、問題ないことを確認した僕は、クワの金属部分と柄の部分を再び組み合わせた。次いで軽く振り、組み付けに問題がないことを確認したところで、完成したクワを奥さんへと手渡した。

「こちらで修繕完了になります。いかがでしょうか」

 奥さんはその出来栄えに驚いたように目を丸くしながらクワを受け取る。そしてその表情のままにさまざまな角度からクワを眺めた後、クワを置き、僕に抱きついてきた。

「わわっ!」

「最高だよファン! ありがとうねぇ!」

「いえいえ。喜んでいただけたのなら何よりです」

「はい。これお礼のお金ね。そんなに多くないけど、本当にこれでいいのかい?」

「いいんです。いつも食事を分けてもらってるお礼でもありますから!」

「うぅ……あの人も言っていたけど、ファンちゃんは本当立派になったねぇ。おばちゃん感激だよ」

 言って奥さんが感慨深げに声を上げた後、続けるように口を開いた。

「さて、それじゃ早速ファンちゃんが修繕してくれたクワを使って畑の手入れをしてくるねぇ!」

「はい! また使い心地など感想を聞かせてくださいね!」

「はいねぇ」

 奥さんはそう言うと、意気揚々と自分の家へと帰っていった。
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