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1章 まずは小さな貧村から
16話 VS ウルフの群れ
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ファンたち村の人々が見守る中、狩りチームは村を出ると、ウルフの群れのいる場所へと向かい歩みを進めた。
偵察隊の功績により、ウルフの群れの場所は完璧に把握しており、現在それらは村から5分ほど歩いた箇所に集合していることがわかっている。
現状ウルフの群れに村を襲う素振りはない。しかし歩いて5分、つまり村から距離にして400mもない位置にいる以上、いずれ村へと食料を求めてやってくる可能性が高いと言えた。
そんな危機的状況に、狩りチームのリーダーであるボッケは危機感を覚えながらも、チームの士気を上げるために全力で声を上げる。
「てめぇら全力で食い止めるぞ!」
そこに呼応するように狩りチームの面々が「おう!」と返す。
こうして士気高く、しかしウルフに存在がバレないように近づくこと数分。程なくしてウルフの姿が狩りチームの目に入った。
「……ウルフ共は、よし油断しているな」
ボッケが呟くように声を漏らす。その声の通り、目先にいるウルフは休憩するかのように目を閉じ地に伏せていたり、大きなあくびをしていたりと完全にリラックスしているようであった。
「これは都合がいいな」
デルフの声にボッケが頷く。
「あぁ、弓矢で先制できるのは大きなアドバンテージだな。まぁ、当てることができればだが」
「そこは俺らの腕を信用してくれ。絶対に当てるさ」
「ははっ、心強いな」
「それに仮に弓矢が当たらずとも、俺らにはあの時とは違う利点がある。そうだろ?」
デルフはそう言うと、ポンと自身の剣を鞘の上から叩いた。ボッケはニヤリと笑う。
「そうだな。俺たちにはあの時とは違って質の良い武器がある。それも俺ら専用に調整された武器がな」
「……全くファンには頭が上がらないな」
「だな」
言ってボッケは小さく微笑んだ後、その表情を真剣なものへと変える。
「さて、そろそろやるか」
「あぁ」
「お前ら。最後に1つだけ伝える。村の皆を悲しませないためにも、武具を用意してくれたファンに報いるためにも、絶対に誰1人欠けることなくこの場を乗り切るぞ。いいな」
真剣な面持ちと共に上げられたボッケの声に、狩りチームの面々はうんと力強く頷いた後、早速弓隊が弓矢の準備を始めた。
弓に矢をつがえると、ジリジリと弓を引き絞る。そしてそれぞれが目標のウルフに対して狙いを定める。
こうして準備が整ったところで、ボッケが無言で、しかし力強く腕を振り下ろし──その合図に合わせ、複数の矢がウルフへと放たれた。
矢の音を受け、ウルフがピクリと反応を示す。しかしリラックスしていた状態では咄嗟に動くことができなかったようで、そのうちのいくつかがウルフに直撃した。
「よし! 武器を持ち替えろ!」
ボッケがそう声を上げるのと同時に、狩りチームの存在を認識したウルフの群れ、そのリーダーらしき存在が雄叫びを上げる。
それに呼応するかのように、ウルフたちは複雑なステップを踏みながら凄まじい速度で狩りチームへと向かってきた。
単体ではゴブリンと同等であるランクEの魔物であるウルフ。群れであっても基本的にはランクEに相当するが、しかしその中でも上位、つまりランクE上位という位置付けになるのが群れである。
そんなウルフの特徴はそのスピードと波状攻撃。
故に対応する人間側としては、ウルフと人間が多対一にならないようにすることがなによりも重要であった。
「お前ら陣形を崩すなよ! くるぞ!」
「うおおおおお!!!!」
狩りチームが声を上げるのと同時に、ウルフと彼らがぶつかる。
凄まじい勢いのまま噛みついてくるウルフ。それを1人の青年が盾で受け止めると、すぐさま剣で切り付けた。
瞬間、剣は抵抗少なくウルフを切り裂いた。
同時に各所でもウルフと対峙。各々の方法でウルフに少なくない傷を与えていく。
「ははっ! こりゃすげぇわ!」
そのあまりの切れ味に、青年は思わずそう声を漏らす。そしてその勢いのままに、皆に発破をかけるように強く声を上げた。
「いける! いけるぞー!」
あるものは盾で、あるものは剣にてウルフの攻撃を防ぎ、隙を見ては切り付ける。
時には1人が防ぎ、1人が攻撃をするなど日頃の狩りで培った連携を発揮しながら、どんどんとウルフの数を減らしていく。
こうして戦闘開始からわずか15分。
ボッケの一撃により、ついにリーダーらしき最後の1匹を仕留め──こうしてウルフの群れと村人との戦いは村人の圧倒的勝利で幕を閉じた。
偵察隊の功績により、ウルフの群れの場所は完璧に把握しており、現在それらは村から5分ほど歩いた箇所に集合していることがわかっている。
現状ウルフの群れに村を襲う素振りはない。しかし歩いて5分、つまり村から距離にして400mもない位置にいる以上、いずれ村へと食料を求めてやってくる可能性が高いと言えた。
そんな危機的状況に、狩りチームのリーダーであるボッケは危機感を覚えながらも、チームの士気を上げるために全力で声を上げる。
「てめぇら全力で食い止めるぞ!」
そこに呼応するように狩りチームの面々が「おう!」と返す。
こうして士気高く、しかしウルフに存在がバレないように近づくこと数分。程なくしてウルフの姿が狩りチームの目に入った。
「……ウルフ共は、よし油断しているな」
ボッケが呟くように声を漏らす。その声の通り、目先にいるウルフは休憩するかのように目を閉じ地に伏せていたり、大きなあくびをしていたりと完全にリラックスしているようであった。
「これは都合がいいな」
デルフの声にボッケが頷く。
「あぁ、弓矢で先制できるのは大きなアドバンテージだな。まぁ、当てることができればだが」
「そこは俺らの腕を信用してくれ。絶対に当てるさ」
「ははっ、心強いな」
「それに仮に弓矢が当たらずとも、俺らにはあの時とは違う利点がある。そうだろ?」
デルフはそう言うと、ポンと自身の剣を鞘の上から叩いた。ボッケはニヤリと笑う。
「そうだな。俺たちにはあの時とは違って質の良い武器がある。それも俺ら専用に調整された武器がな」
「……全くファンには頭が上がらないな」
「だな」
言ってボッケは小さく微笑んだ後、その表情を真剣なものへと変える。
「さて、そろそろやるか」
「あぁ」
「お前ら。最後に1つだけ伝える。村の皆を悲しませないためにも、武具を用意してくれたファンに報いるためにも、絶対に誰1人欠けることなくこの場を乗り切るぞ。いいな」
真剣な面持ちと共に上げられたボッケの声に、狩りチームの面々はうんと力強く頷いた後、早速弓隊が弓矢の準備を始めた。
弓に矢をつがえると、ジリジリと弓を引き絞る。そしてそれぞれが目標のウルフに対して狙いを定める。
こうして準備が整ったところで、ボッケが無言で、しかし力強く腕を振り下ろし──その合図に合わせ、複数の矢がウルフへと放たれた。
矢の音を受け、ウルフがピクリと反応を示す。しかしリラックスしていた状態では咄嗟に動くことができなかったようで、そのうちのいくつかがウルフに直撃した。
「よし! 武器を持ち替えろ!」
ボッケがそう声を上げるのと同時に、狩りチームの存在を認識したウルフの群れ、そのリーダーらしき存在が雄叫びを上げる。
それに呼応するかのように、ウルフたちは複雑なステップを踏みながら凄まじい速度で狩りチームへと向かってきた。
単体ではゴブリンと同等であるランクEの魔物であるウルフ。群れであっても基本的にはランクEに相当するが、しかしその中でも上位、つまりランクE上位という位置付けになるのが群れである。
そんなウルフの特徴はそのスピードと波状攻撃。
故に対応する人間側としては、ウルフと人間が多対一にならないようにすることがなによりも重要であった。
「お前ら陣形を崩すなよ! くるぞ!」
「うおおおおお!!!!」
狩りチームが声を上げるのと同時に、ウルフと彼らがぶつかる。
凄まじい勢いのまま噛みついてくるウルフ。それを1人の青年が盾で受け止めると、すぐさま剣で切り付けた。
瞬間、剣は抵抗少なくウルフを切り裂いた。
同時に各所でもウルフと対峙。各々の方法でウルフに少なくない傷を与えていく。
「ははっ! こりゃすげぇわ!」
そのあまりの切れ味に、青年は思わずそう声を漏らす。そしてその勢いのままに、皆に発破をかけるように強く声を上げた。
「いける! いけるぞー!」
あるものは盾で、あるものは剣にてウルフの攻撃を防ぎ、隙を見ては切り付ける。
時には1人が防ぎ、1人が攻撃をするなど日頃の狩りで培った連携を発揮しながら、どんどんとウルフの数を減らしていく。
こうして戦闘開始からわずか15分。
ボッケの一撃により、ついにリーダーらしき最後の1匹を仕留め──こうしてウルフの群れと村人との戦いは村人の圧倒的勝利で幕を閉じた。
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