30 / 73
2章 町と仲間と成長と
10話 添い寝と語らい
しおりを挟む
お風呂から上がり、各々身体を拭き──一部拭いてあげたりはしたが──宿が用意してくれた服に着替える。
当然シュムは下着の替えなどないため、ノーパンである。しかし本人は「スースーするにゃ~」と楽しげであった。
こうして清潔な服を纏った僕らはドライヤーのような魔道具で髪を乾かす。
シュムは相変わらず「乾かしてにゃ~」と甘えてきたため、僕が乾かしてあげた。
出会ったばかりで甘やかしすぎかと自分でも思うが、彼女の境遇を考えるとどうも断ることなどできなかった。
シーツは風呂に入る前にすでに交換済みである。
こうして全てが完了し寝る準備が整ったところで、僕とシュムは同じベッドへと寝転がった。
「フカフカにゃ~」
「ね~気持ちいいよね……」
「にゃ~」
しばらく寝具のフカフカ感を堪能していると、少しして「えいにゃ!」と言いながらシュムが僕の腕に抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと」
「にゃはは~」
「まったく……」
そのまま無言の時間を過ごしていると、シュムが天井を見上げながら唐突に口を開く。
「今日は人生で1番幸せな日にゃ~」
「1番って大袈裟じゃない?」
「そんなことにゃいにゃ。たくさん美味しいものを食べられて、こんにゃすごい宿に泊まれて、なによりもいい人のファンと出会えたにゃ~だから1番幸せにゃ~」
言葉の後、シュムは僕へと視線をやると満面の笑みを浮かべる。その可愛らしい表情を目にし、僕も微笑みを返す。
「シュム……僕も天真爛漫で、思わずこっちまで笑顔になっちゃうような、そんな太陽みたいな君と出会えて幸せだよ」
「にゃにゃ! それって愛の告白にゃ!?」
「そこまでではないかな」
「ふーん。まぁ、いいにゃ」
言葉の後、僕たちの間を静寂が支配する。しかし出会ったばかりだというのに不思議と気まずさはなく、むしろこの静けさが心地良くもあった。
……これが波長が合うとか相性が良いってことなのかな。
そんなことを考えつつ、ここで僕はふと思いついたことを彼女に問うた。
「……シュムはこれから予定とかあるの?」
「にゃーんもにゃいにゃ。ただ生きるだけ。それだけにゃ」
そう言った後、シュムはどこか遠くを見つめるような表情で言葉を続ける。
「あ、できれば獣人にも優しい場所に行きたいって目標はあるにゃ~」
「獣人にか……」
この国にはやはり獣人に対する差別がある。たまたま宿のオーナーさんがいい人だったからこうして彼女を迎え入れることができているが、町および国全体を見れば彼女にとって生きにくい場所であることは変わりない。
……となるとシュムはいつか隣国を目指すのかな。
そう漠然と考えていると、ここでシュムが再び僕へと視線を向けてくる。
「そう言うファンはにゃにか予定あるにゃ?」
「うーん、直近だとまず紫電一閃のみなさんに頼らなくて済むように冒険者として活動しながら生活の基盤を整えること。で、そのあとは露店を開きたいってのが予定というより目標かな」
「にゃ~ファンには目標がたくさんにゃ。羨ましいにゃ~」
「シュムも……」
一緒に活動しないかと提案しようとし、僕は途中で言葉を止めた。
他人にお世話になっている僕が言えたことではない上、差別の多いこの国に彼女をとどめる要因になってしまうかもしれないとそう思ったからだ。
「にゃ? どうしたにゃ?」
「……なんでもないよ。そろそろ寝ようか」
「はいにゃ。ファン、おやすみにゃ~」
「うん。おやすみ、シュム」
言葉の後、僕たちはお互いの存在を感じるようにくっついて眠りについた。
当然シュムは下着の替えなどないため、ノーパンである。しかし本人は「スースーするにゃ~」と楽しげであった。
こうして清潔な服を纏った僕らはドライヤーのような魔道具で髪を乾かす。
シュムは相変わらず「乾かしてにゃ~」と甘えてきたため、僕が乾かしてあげた。
出会ったばかりで甘やかしすぎかと自分でも思うが、彼女の境遇を考えるとどうも断ることなどできなかった。
シーツは風呂に入る前にすでに交換済みである。
こうして全てが完了し寝る準備が整ったところで、僕とシュムは同じベッドへと寝転がった。
「フカフカにゃ~」
「ね~気持ちいいよね……」
「にゃ~」
しばらく寝具のフカフカ感を堪能していると、少しして「えいにゃ!」と言いながらシュムが僕の腕に抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと」
「にゃはは~」
「まったく……」
そのまま無言の時間を過ごしていると、シュムが天井を見上げながら唐突に口を開く。
「今日は人生で1番幸せな日にゃ~」
「1番って大袈裟じゃない?」
「そんなことにゃいにゃ。たくさん美味しいものを食べられて、こんにゃすごい宿に泊まれて、なによりもいい人のファンと出会えたにゃ~だから1番幸せにゃ~」
言葉の後、シュムは僕へと視線をやると満面の笑みを浮かべる。その可愛らしい表情を目にし、僕も微笑みを返す。
「シュム……僕も天真爛漫で、思わずこっちまで笑顔になっちゃうような、そんな太陽みたいな君と出会えて幸せだよ」
「にゃにゃ! それって愛の告白にゃ!?」
「そこまでではないかな」
「ふーん。まぁ、いいにゃ」
言葉の後、僕たちの間を静寂が支配する。しかし出会ったばかりだというのに不思議と気まずさはなく、むしろこの静けさが心地良くもあった。
……これが波長が合うとか相性が良いってことなのかな。
そんなことを考えつつ、ここで僕はふと思いついたことを彼女に問うた。
「……シュムはこれから予定とかあるの?」
「にゃーんもにゃいにゃ。ただ生きるだけ。それだけにゃ」
そう言った後、シュムはどこか遠くを見つめるような表情で言葉を続ける。
「あ、できれば獣人にも優しい場所に行きたいって目標はあるにゃ~」
「獣人にか……」
この国にはやはり獣人に対する差別がある。たまたま宿のオーナーさんがいい人だったからこうして彼女を迎え入れることができているが、町および国全体を見れば彼女にとって生きにくい場所であることは変わりない。
……となるとシュムはいつか隣国を目指すのかな。
そう漠然と考えていると、ここでシュムが再び僕へと視線を向けてくる。
「そう言うファンはにゃにか予定あるにゃ?」
「うーん、直近だとまず紫電一閃のみなさんに頼らなくて済むように冒険者として活動しながら生活の基盤を整えること。で、そのあとは露店を開きたいってのが予定というより目標かな」
「にゃ~ファンには目標がたくさんにゃ。羨ましいにゃ~」
「シュムも……」
一緒に活動しないかと提案しようとし、僕は途中で言葉を止めた。
他人にお世話になっている僕が言えたことではない上、差別の多いこの国に彼女をとどめる要因になってしまうかもしれないとそう思ったからだ。
「にゃ? どうしたにゃ?」
「……なんでもないよ。そろそろ寝ようか」
「はいにゃ。ファン、おやすみにゃ~」
「うん。おやすみ、シュム」
言葉の後、僕たちはお互いの存在を感じるようにくっついて眠りについた。
109
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる