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もしも令嬢が○○○だったら
しおりを挟む「もう君との婚約は破棄させてもらう!」
学園主催の披露宴でのそれに、場に集まる人々はざわめきの声を上げた。
そんな中、王子はなんかもう目線が泳ぎまくりながらも、賢明に相手を睨め付けている。
「今まで君が行った……あ~その、その狼藉、すでに調べはついている! ……えっと、その……これ以上、無様な姿を晒すのならば……」
王子は汗だらだらで、眼前の令嬢へ指を突きつけた。突きつけたが、令嬢は気もせずにご飯を食べていた。手づかみでわっしゃわっしゃ掻き込む姿は、まさに大食漢。
もはや野性に返っているそれに、王子は涙目で王様へ泣きついた。
「父上!! アレをどうにかしてくださいっ!!」
「……あ~そうじゃのぅ」
ふんふんっ、とダンベルで筋肉強化に励んでいた筋骨隆々な王様は、白い歯を見せて親指立てた。
「ま、頑張れ」
「いやいや! 頑張れじゃなくって!!」
「なんじゃ、その娘の何が不満じゃ?」
「全てですよ全部!! 存在そのものが何もかも不満!!」
「わがままじゃの~」
「わがままとかそういう次元を超えてますって!! だいたい……」
王子はもう我慢が出来ない様子で叫んだ。
「ゴリラじゃないですかっ!!!」
「うほっ?」
名前を呼ばれて振り向いた、それはゴリラであった。
ちゃんとドレスは着ているし可愛いおさげもある。だがゴリラであった。
うっほうっほしながら飯をかっ食らうその様は、実にワイルドなゴリラであった。
それへ指さし、王子は言いつのる。
「なんでゴリラ!? よりにもよってゴリラ!? もうちょっと人選をしっかしてくださいよ!! 僕だってね! 普通の人間がいいんですよ人間!!!」
「仕方なかろうに。だいたい、ええじゃないかゴリラ。強いぞゴリラ。リンゴぱーんって出来るし」
「うっほ」
ゴリラは持っていたリンゴをパーンッした。
言外に「これが数秒後のお前の姿だ」と言ったのだろうか、王子は死の恐怖に震えた。
「由緒正しきゴララーヌ国のウホウホホーヌ姫じゃぞ、何が不満なんじゃ」
「全てが不満だって言ってんだろ糞親父ぃ!? せめてこう~……母上みたいなね! ギリギリ人間と言えるくらいの女性が好みの最低ラインなんですよ!! ゴリラじゃ無くて!!」
「それ王妃の前で言うなよ、頭がぱーんってなるから」
「父上はいいですよね! 母上で!! 僕だって代われる物なら代わりたいですよ父上と!!」
「これこれ、そういう事ばっかり言ってるから王妃の筋トレに付き合わされるんじゃろうに。なあウホウホホーヌ姫?」
「うほっ」
ゴリラは王子へ「食うか?」とバナナを差し出した。
これは言外に「バナナの皮に滑って頭を強打して死ね」と言われているのだろうか、王子は死の恐怖に絶望した。
あまりに震える婚約者が哀れになったのか、ウホウホホーヌ姫は王子を抱え上げた。
あわや想像が現実になる5秒前かと王子が恐怖の悲鳴を上げた時、ウホウホホーヌ姫は、
「うほっ」
「あっ……///」
優しく王子の頭を撫で、
「うっほ」
そのまま流れるようにリンゴをパーンッした。
途端、蒼白になる王子。
「いやだあぁぁぁ~~~!! ゴリラの餌になって死ぬのはいやぁぁぁ~~~!!」
「頑張れ王子ー! 国のためだ~!」
「お似合いですよ王子~!!」
「いいいやぁだああぁぁぁ~~~!!!!」
王子の悲鳴が響く披露宴。
王様はダンベル片手に頷いた。
「うむ! 一件落着!!」
「何も解決してねぇよっ!?」
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