どうも、邪神です

満月丸

文字の大きさ
86 / 120
冒険者編

意外と真面目です

しおりを挟む

その後も、捜索は続けて行われた。探索中に罠が発動するというハプニングがあったが、幸いなことに数名の魔法士が大怪我を負う程度で済んだ。死者が出なかったのはまさしく僥倖であろうか。
一同は細心の注意を払いながら、カルヴァン中に仕掛けられていた魔法陣の羊皮紙を集めた。しかし、羊皮紙にはフェイクの魔法陣と、トラップの魔法陣しか仕掛けられておらず、儀式の横入りを可能とするような何かは見つからなかったのだ。

…そして、夕刻。

メルを始めとした主要な者達は議事堂に集まり、現況を報告し合っていた。
ラーツェルは報告を元に、大机の上の地図に☓印を刻み、羽ペンを置いた。

「…魔法陣が隠されていた場所は以上となります、姫」
「…なるほど、巧妙ですわね」

カルヴァンの地図に記されたバツ印を見て、一同はそれに首を傾げた。
どだい、規則性のある印だとは思わなかったからだ。

「各地区に点在してますが、法則性は見受けられませんね」
「むむむ、殺人鬼は適当に配置したんじゃないかね?これじゃ陣とも言えない配置じゃないか」
「コルショー教授、ではこれほどまでの事態にしておきながら、これが本命ではないと?」
「じゃないのかね?私には人殺しの考えなんてわからんよ!」

投げっぱなしなコルショーとは裏腹に、メルはじっと地図を見つめている。

「…皆様、回収した魔法陣が張られていた場所に、何かありませんでした?」
「何か?何かと言われても…」

顔を見合わせる一行の中で、ラーツェルがそういえば、と顔を上げる。

「そういえば、紙は血で貼り付けられていましたね」
「な、なに?血で?そ、そんな不気味な物があったのかね?!」
「そう言えば、剥がす時に軽い手応えじゃったが…パリッとした感触だったのぅ」

魔法士達も口々に言い出し、メルが集められた羊皮紙の裏を捲って見れば、確かに黒いシミが出来ていた。誰かの血によって付けられたそれに、一同は形容し難い気味の悪さを感じ取っていた。

「な、なんとも気持ち悪い…!件の虚無教ってのはイカれてるんじゃないかね!?」
「狂気的行動なのは確かですわね。…しかし、血、ですのね」
「メルさん、何か心当たりが?」
「そうですわね、明日の血盟決議もありますし、導士クレイビーは血について執着しているようですわね」
「血に…」

残されていた魔法陣と、付けられた血。
ケルトはひょっとして、と声を上げる。

「まさかとは思いますが、敵の本命は魔法陣ではなく、血を残すことですか?」
「な、なに、血が!?」

コルショーからの問いに、ケルトは頷く。

「血には「道」と「繋がり」があるのは、皆さんご存知ですね?それは魔術の流れ、つまりヴァルの道にも成りうる。クレイビーは血の点と点を繋げて、何か別の魔法儀式を作り上げようとしているのではないでしょうか?」
「ふ、ふん!落ちこぼれの君が何を言い出すかと思えば…!」
「ええ、アタクシもそう思っていましたわ」
「メル教授!?」

カーマスを無視しながら、メルは地図をなぞりつつ目を細めて呟く。

「クレイビーは魔物に近しい存在ですわ。心身を傷つけようと、気にせず再生するそうです。血に関してもそれは同じこと。あの老人にとって、血は最も簡単に手に入る魔法触媒なのですわ。そして血を拭っても、繋がりはしばらくその場に残り続ける。そして血で魔法陣を記せば…既に見えない陣を作り上げている可能性は高い」
「ならば、この張り紙があった場所は、魔法陣の点に位置すると?」
「かもしれませんわ」

二人の会話に、魔法士たちはあーでもないこーでもないと顔を合わせて議論を始める。

「血の位置を繋げれば魔法陣となる…ならば、これらの頂点から、魔法陣はいったいどんな形か想像できれば、相手の狙いも見えるんじゃ…」
「だが、これだけでは…我らやカルヴァンの知る魔法陣とは合致しないようだが…」
「しかし何もしないよりはマシじゃろう。とにかく、似たような魔法陣を書庫から見つけ出してこようぞ」
「あと、血がこれだけとは限らないのではないかね?まだ隠された血の陣が残っている可能性も」
「それを探るにしても、カルヴァンはあまりにも広大ですぞ?どれだけかかるか…明日までには絶対に終わりませんな」

「…難解ですね」

講師たちの議論を耳に、ケルトはため息を吐く。
と、そこで真横のカーマスが腕組みしながら、含み笑いを始めた。

「ふっふっふ!やはり君はまだまだのようだね!この程度の事もわからないなんて、程度が知れると言うもんだよ!」
「はぁ、そうですか。それではその高尚なご意見をお伺いしたいものですがね」

流れるように右から左へ流すケルトへ、カーマスはムッとしたように地図を指さす。

「いいかい!?この血の位置には、規則性があるんだ!」
「規則性?」
「そうだとも!」

そう言うなり、カーマスは地図上に次々と印を入れ始めた。
皆が何事かと注目する場は、カーマスが刻んでいくそれに、徐々に驚愕に包まれていく。
最後に、カーマスは出来上がった印を線として繋げて、顔を上げた。

「ほら、出来た!」
「これは…なんてこと!錬金陣ですわ!?」
「………カーマス殿、これは」
「ふふん!僕くらいになれば、これくらいすぐにわかるってものさ!いいかい?今回の騒動よりずっと前から敵は動いていたに違いないよ。だって一年前からずっとこれを書き続けてきたんだろうからね!」
「一年前?!」
「どういうことですの?カーマス様」

メルにも驚いた顔をされて、カーマスは鼻高々に胸を張った。

「僕はここ一年間、このカルヴァンで起きた重犯罪事件を調べてきたんだよ!」
「重犯罪事件?なぜそんなことを…いえ、なるほど。カーマス家は魔法騎士の家系として、帝都に籍を置いている。ならば、カーマス殿がこれらを探っていたのは」
「そうだとも!以前、帝都で起きていた断ち切り男事件、犯行には魔法道具が使用されていたのさ。ならば、その横流し品はカルヴァンからではないか、とね。姉上の依頼で、僕は密かにカルヴァン中で起こっていた傷害事件をまとめていたのだよ!だって犯人がカルヴァン在住ならば、帝都で使う前にカルヴァンでも試験的に使用していた可能性が高いからね!」
「な、なに!?帝国はわ、私達の中に、凶器を横領した者がいると思っているのかね!?」
「え、ええ!そうですともコルショー教授!」

胸張ってどーんと言ってしまってから、カーマスは内心で「あれ、これ言ってよかったんだっけ?」と冷や汗を流していたりする。
一方、冷や汗まみれなコルショーとは対象的に、シオルは至って普通に述べる。

「妥当な懸念でしょうな。この帝国でもっとも魔法道具に近しいのは、我々カルヴァンの魔法士なのですから」
「ぬ、ぐぐぐ…!こ、これ以上の信用の失墜はなんとしても防がねば…!」
「それで、カーマス君。このバツ印がここ一年で重犯罪事件が起こった場所だと?」
「も、もちろん!殺人とは行かずとも、強盗や傷害事件は細々と起こっているからね!まとめる際に地図に位置を書き起こしてたんだけど、城壁を魔法円として見立てれば、なんとなくゆるーく魔法陣のようにも見えるなーとか思ってたのさ!」
「…素晴らしいですわ!カーマス様!」
「わ、め、メル教授!?」

メルは両手を合わせてカーマスへ微笑みを向けた。
そんな勇者の眼差しに、若きカーマスは真っ赤になってドキドキしていた。

「貴方の情報で進展がありそうですわ!本当に、よく気づいてくださいましたわね!」
「え、い、いやぁ、そんな大したことじゃ…」
「いえ、これらの情報を見逃さずに覚えていられたのは、素晴らしいです、カーマス殿。それにしっかりと記憶していたということは、ちゃんと独自で捜査されていたということ。見事な見識です」
「な、き、君に言われずともわかっているさ!」

ケルトの称賛には、ぷいっとそっぽを向くのだが、満更でも無さそうである。
口端がニヤけて鼻高々なカーマスは置いといて、メルは再び地図に向き直る。

「…ともあれ、これではっきりしましたわね。導士クレイビーは一年前から、カルヴァン各地で密かに流血事件を起こし、それに乗じて自らの血をバラ撒いていた。きっとアタクシ達が来ることを予見して…ひょっとしたら、城壁にも血の痕跡があるかもしれませんわね。明日のためだけに、こんなまだるっこしい策を弄して、何かを起こそうとしている…一年も前から」
「気の遠くなるような話しだねぇ…」
「この錬金陣は、いったい何の効果なのでしょうか?」
「…アタクシの錬金術とは、全く違う形態の錬金陣です。けれども、ある程度はわかります」

メルは鋭い瞳で錬金陣を見渡し、そこに隠された呪文式を読み解いていく。

「おそらく…血で道を作り、指定の場所にある「何か」へ、魔法を付与する術…とても威力のある、攻撃性の高い魔法を付与するつもりですわね。けれども、これだけ巨大な陣を行使するための、ヴァルタイトがありませんわ」

錬金術を行使するには、術者と魔法陣、そしてエネルギータンクとなるヴァルタイトが必要となる。つまり、今のままではこの陣は発動しない。
ケルトは考え込みながら、思ったことを尋ねる。

「虚無魔法で補うつもりでしょうか?」
「おじい様曰く、あれはそうポンポンと放てるものではないそうですわ。だとすれば、自然と巨大な魔力タンクを用いる必要があるのですが…」
「なんだね!つまりこれは不完全な魔法ということではないのかい?!」

コルショーの言葉に、メルは怪訝な様子で顎に手をやった。

「見た感じは不完全ですわ。でも、それだけとも思えません。…まだ何かを用意している可能性もありますけど」
「あの兵器のヴァルタイトでは…いえ、あまりに規格が違い過ぎますね。容量が全然足らない」

脳裏に過ぎった大砲だが、この巨大過ぎる錬金術を行使するには、特大の…それこそ、小屋レベルの大きさのヴァルタイトが必要になるだろう。小さなヴァルタイトを山ほど集める、という手もあるが、それはそれで小屋以上の量が必要になる。
クレイビーはこれを解決する手段を、既に用意しているのだろうか?

「………ともあれ、気にはなりますが保留にするしかありませんわ。解呪の印は…解読まで時間がかかりすぎて、明日まで間に合いませんもの。念の為、都市を防衛する結界法陣を張り巡らせ、この魔法陣の効果の横入りを行うことで不発を狙いますわ。そしてアタクシ達が出来るのは、明日、議事堂に姿を現すクレイビーを捕らえる事ですわね」

メルの言う通り、この血の錬金陣に関しては保留となった。現状、これらを解体するには数日では足らない。
意外なお手柄を得たカーマスが適当に称賛されるのを横目で見つつ、ケルトは地図を眺めた。

「…血の錬金陣に血盟決議…血の魔法、ですか」

そう呟き、一人ひっそりと思索に耽っていた。


※※※


…夜。

カルヴァンでも夜通し、明日の儀式の準備を行う者が多い中、次期議長になると目されている二人の候補もまた、休むこと無くこの危難を避けようと奔走していた。

「あぁ、厄介事が増えて頭が痛いねえ。これ以上、帝都との信頼を失うのだけは避けたいんだがねぇ…まったく、誰の陰謀だか」

書類片手にボヤくコルショーへ、助手の魔法士は書類を積み上げながら言う。

「ですが、コルショー教授にとってはチャンスですよね?これで議長の座が近くなったのも事実ですし」
「こらこら、大層なことを言うもんじゃないよ。私だってね、好き好んで人殺しを起こしてまで得たいなんて思っちゃいないんだよ。だいたい、議長の座だって厄介ごとの塊だよ?なんといっても、皇帝陛下はせっかちでおられるし……戦争も近いしねぇ」
「戦争になれば、我々もヴェシレアへ向かうことになるんでしょうか?」
「なるだろうねぇ。カルヴァンは魔法都市として自治権を与えられたんだけど、実際の運営は他の貴族が行っていて、私たち魔法士は子供たちの教育を中心に行ってる。独立してるのも、カルヴァンが何か厄介な実験をしても、帝都のお偉いさん達に火の粉が降りかからないようにっていう配慮みたいなもんだし」

実際、カルヴァンの戦力は一目、置かれている。現在、帝都に常駐する魔法騎士の大半はカルヴァン一期生であるし、魔法における戦時での有益性も認められつつある。今まで運用されてこなかったのは、魔法士達が独自のネットワークを共有し、一つのところに集まらなかったからだ。
しかしカルヴァンの設立によって、たくさんの技師や研究者、そして魔法士が集うようになり、それに伴って新参の魔法士見習いも増えてきた。

「戦時に運用されるってわかってても、ここでの境遇は魅力的だしねぇ。魔法はいろいろと入り用になることが多いからね」

ヴァルタイトだけでなく、独自の触媒を使用することで魔法を安定化させる事もできるため、通常の魔法士は術を安定させるまでは何かと金がかかるのだ。
そんな、ため息混じりのコルショーに労いをかけつつ、助手は苦笑しつつ部屋を出ていった。
一人になったコルショーは、冷めきったお茶を啜りながら書類を眺める。

…ふと、ドアがノックされた。

「はいはい、どうぞ」

見もせずに返事をすれば、入ってきたのは予想外の人物で、コルショーは思わず書類から顔を上げた。

「…おやぁ?君はたしかメル教授と一緒に居た」
「どうも、ケルティオと申します、コルショー教授」

一礼して入ってきたケルトは、手土産代わりのクロネパンを片手に、首を傾げた。

「お時間がよろしければ、少しお話を伺っても良いでしょうか」


・・・・


 休憩も兼ねて了承したコルショーは、来客にお茶を振る舞うことにする。貴族とは言え、ここでの生活はそれとは縁遠いもので、自然と雑用も苦もなく行ってしまう。
暖炉の傍で煮える鍋から鉄製の柄杓で湯を掬い、銀製ポットにそれを注ぐ。中に入った茶っ葉が仄かな風味をもたらすが、それを嗅ぐこともなく蓋をして閉じ込める。
ケルトが持ってきたクロネパンを適当に切り分け、机の真ん中に置きながら、ポットの中身をゆっくりとティーカップに注ぐ。湯気とスッキリした匂いにケルトが目を瞬かせている間に、コルショーはソファに座って話を促した。

「で、私に聞きたいこととはなんだね?」
「…卑賤ながら魔法士ですので、後学のために皆さんからお聞きしているのですが。コルショー教授、貴方にとって魔法士とは、どのような存在なのでしょうか?」
「ふぅん?ずいぶんとまぁ…曖昧な問いかけだねぇ」

カップを優雅な所作で持ち上げ、風味を楽しんでから一口。
その仕草はケルトよりもずっと貴族らしかった。

「まあそうだねぇ、……私は、魔法士というのは世界を導く存在だと思っているよ」
「世界を導く…王侯貴族のように、ですか?」
「違う違う。我々魔法士の仕事というのが、いうなれば世界の調和を保つことだと古来から言われているのは、知っているね?」

それはよく耳にした言葉だったので、ケルトは頷く。

「精霊とヴァルには、密接な関係があるとされている。そしてその調和が崩れれば、災害が発生するとも。ならば、それらと共にある我々魔法士は精霊をあるべき場所へ戻し、ヴァルの調律を整えることこそを生業としている。それが本来の役目だ」
「…そのとおりです」
「だがね、人の世となれば話は別だ。人は欲を掻いて森を切り倒し、湖を干上がらせ、山を削る。それによって精霊は移動を余儀なくされ、ヴァルの調和が崩され、災害が起きやすくなる。それが人の世の業なのだよ」

一口カップに口をつけてから、コルショーは続ける。

「只人はヴァルを感じられず、精霊を知覚できない。どれほど自然を崩そうとも、自らの利益にならなければ構わないとすら思っている。だから、我々の言葉に素直に頷くことはないだろうね。…例えば、ネーンパルラだけど、あそこはかつてエルフの集落が点在していたんだが、人が良質の木材を求めて切り倒すうちに森は開かれ、精霊が去り、エルフもそれに伴って消えていった。そのせいか、ネーンパルラの一部では時折、竜巻のような突風がよく吹くようになったんだ」

木々が消えていく内に領域が狭まり、風の精霊が密集し始めたのだろう。だから竜巻が発生する。このまま森が消えれば、精霊も去って落ち着くだろうが…同じく、植物も消えて荒野と化す。
エルフはそんな森を守り、精霊との調和を保つ種族なのだが、人との争いに嫌気が差したのか奥深くへ引っ込んでいった為、結果としてその弊害が出始めているのだ。
その例を持ち出しながら、コルショーは持論を展開した。

「だから私は、魔法士とは世界を調律する存在であり、人の世で精霊のあり方を唱えるべき存在であるべきだ、と思っているよ。そのためにも帝都…我々を保護する後ろ盾を獲得し、連携を深めて発言権を得ていかなければならない。聞く耳も持たれない魔法士は、あまりにも無力だからね」
「…つまり、教授にとって魔法士とは、人と精霊と共にある存在、だと?」
「私はそう思っているよ」

とは言ったものの、一部では建前なのだが。
資金繰りをしなくても良いのは嬉しいことだし、バックボーンを得ることで自由に動けるようになり、ついでに魔法士という事で奇異の目で見られなくなったという利点も大きい。
カルヴァンが出来てまだ15年程度、魔法士の社会的地位は高いとは言えない。それにヴェシレアが戦争を仕掛けて帝国とやりあった際に、貴族であった若き日のコルショーもそれに参加させられたのだが、そこでの魔法士の扱いはとにかく便利屋であった。傷を治せ、防壁を作れ、結界を貼れ、空を飛んで偵察をしてこい、最前線に送られることはなかったが、その扱いはまさに使い捨ての道具に等しかった。

「魔法士同士で魔法を統一し、ちゃんとした命令機関を設けるつもりだから、次の戦争では私たち魔法士の扱いも全く変わるだろうねぇ。ラドリオンの侯爵閣下は独自の魔法騎士団を創設してるけど、帝都では魔法騎士の認知度はまだまだ低いから」
「…コルショー教授は、魔法士の為にも行動を起こされているのですね」
「まあ、こっ恥ずかしいし言いたくないんだけどねぇ。ああ、でも君が明日までに広めてくれるのなら、良いかもね」

悪戯げに笑うそれは、どこか子供のようだった。
しかし一転して、コルショーは過去を思い出すように渋い顔をした。

「…戦争は嫌なもんだよ。後方に居た私でさえそう思う。若い子が死んでしまうのを見るのは流石に応えるから、できるだけ被害を少なくしたいんだよ」
「そのために、帝都と交渉を?」
「そう。…まあ、それもうまくいくかどうかは、わからないけどね。皇帝陛下は元老院とベッタリだし、元老院内でも戦争への機運が高まってるそうじゃないか。いい噂をあまり聞かないから、出来るだけ早く交渉すべきだって議長にも言ってたんだけどねぇ」

もっとも、優柔不断な議長は消極的なようだったが。
コルショーの話しを聞いたケルトは、何かを考えるように俯きながら、カップをゆっくりと持ち上げる。

「…調和と未来の為」

噛みしめるように呟き、ゆっくりと中身を飲み干した…。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...