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第1話 ダニエラの夢想
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ファレンテイン貴族共和国のトレインチェという街には、ミハエル騎士団がある。
その騎士団の団長の部屋に向かっている少女がいた。団長であるアーダルベルトの付き人だ。
「おはよう」
「あ、おはようございます!ダニエラさん!」
彼女はあどけない笑顔でダニエラに挨拶し、団長の部屋へと消えていった。
付き人とは、どういう事をしているのだろうか。
ふとした疑問がダニエラの脳裏をよぎる。
普通の付き人は紅茶を淹れたり、着替えを手伝ったり、周りの細々とした雑用を手伝ったりするのかもしれない。しかしダニエラには、普通の付き人というものがどういうものであるのか分からなかった。
ダニエラは己が仕える騎士隊長兼参謀軍師のイオスの執務室の前に着くと、ひとつ大きく息を吸う。そしてゆっくりと息を吐き出してから、その扉を規則正しくノックした。
「誰です?」
中から彼の声が聞こえてきて、ダニエラはいつものように自身の名を告げる。
「ダニエラです」
「五分後に入ってくれ」
いつものようにすぐには許可をもらえず、扉の前で五分待つこととなった。その五分が結構長い。他の騎士達が目の前を通り過ぎて行く。何も悪いことはしていないのだが、廊下に立たされる学生のような気分になり、少し憂鬱になるのだ。
「イオス殿は今日も重要機密を扱っているようですね」
クスクスと話しかけてきたのは、流し目がこの上なく色っぽい騎士、ロレンツォ。
「おはようございます、ロレンツォ様」
「おはよう、ダニエラ殿。イオス殿も困ったものですが、そのおかげで毎朝貴女に会うことができる」
「……はぁ」
「だからそんな顔はしないで下さい。ね?」
ロレンツォに言われ、仕方なく笑みを返して見せると、彼は聞くに耐えぬほどの歯の浮くような言葉を次々と口にして去っていった。ロレンツォの女好きと言ったら、団内では有名である。
しかし彼のおかげで難なく五分を過ごす事が出来たダニエラは、気持ちをもう一度作り直してから再度扉をノックした。
「イオス様、よろしいですか?」
中から「ああ」という簡潔な返事が返ってきて、今度は遠慮なく扉を開ける。
今日のイオスの機嫌はいかがだろうかと、ちらりと顔を確認するのは、もう癖のようなものだ。
その顔はなんてこともない、ただのいつもの無愛想。表情豊かとは縁遠い顔である。それは軍師という立場であるからかもしれなかったが。
それにしても、恋人に笑顔のひとつくらい見せてくれていいじゃないの。
ダニエラは心の中でひとりごちる。
ミハエル騎士団参謀軍師のイオス・リントスと付き合い始めたのは一ヶ月前のことだ。ダニエラは、士官学校に通っている時からイオスに憧れを抱いていた。年は十ほども違うが、騎士団を影で取り仕切るその姿に魅了されたのだ。
士官学校を出る際、思い切って教官に相談してみた。イオスの付き人になれないか、と。
教官は、ダニエラの剣の腕前が良くない事を知っていて、親身に相談に乗ってくれた。そしてその口利きで付き人になることができたのである。
彼の付き人になって、かれこれ四年経つ。
その間に、憧れは恋へと変わっていた。そして一ヶ月前、思い切って告白したのだ。好きです、付き合って下さい、と。
玉砕覚悟だった。でも、振られたとしてもイオスの態度はいつもと変わらぬだろうし、居心地が悪くなることもないだろう。そう思って告白したのである。
すると、イオスの反応はダニエラが想像するものとは違っていた。
彼は一瞬驚いたような顔をした後、「ダニエラが告白するとは思わなかった」とポソリと言った。つまり彼は、ダニエラが自分に恋心を抱いているという事実を知っていたのだ。
ダニエラはその時の事を思い出す。イオスに「別に構わない」と了承を得た時。彼が作戦中に見せるような悪どい笑みを浮かべた事を。ちなみにそんなイオスの悪どい笑顔も、ダニエラにはツボである。
「ダニエラ、この書類を中央官庁へ。それが済んだらこちらの書類をアルバンの街まで持って行ってもらう」
ダニエラは紙の束を受け取った。きっとこの書類は何の不備もなく、完璧なものなのだろう。
ダニエラはイオスに気付かれぬように、そっと息を吐いた。イオスの付き人は、イオスの近くにいられることが少ない。
本来ならば主が外に行っている間、付き人は部屋の掃除なりなんなりするのだろう。帰ってきた主に「いかがでしたか?」「お疲れでしょう、紅茶をどうぞ」などと勧めるのかもしれない。いや、そうすることを夢見ていた。
しかし実際はどうだ。この主従は、常にイオスが留守番。外回りがダニエラの役なのである。
「どうした、ダニエラ。早く行って欲しいのだが」
「は、はい。今すぐ」
この恋人を追い出すかのような発言。いつもの事ではあるが、やはり息を吐きそうになり、慌ててそれを飲み込んで部屋を出た。
そういえば、おはようすら言ってもらえてない。ああ、私も言ってなかったか。
そんな事を考えつつ、中央官庁へと足を運ぶ。
「こちら、イオス様から預かりました書類です。お目通しをお願いします」
ジルクという名の男に渡すと、彼は厳しい目でそれを受け取った。
「わかった、今日中に目を通しておこう」
返事をもらったダニエラは、早くイオスのところに戻ろうと、踵を返したその時。
「待て、ダニエラ」
ジルクに呼び止められてしまった。
「はい、なんでしょうか」
「イオスが誰かと付き合い始めたというのは本当か?」
誰か、とは私の事だ。そう思ったが、わざわざ知らせるのは小っ恥ずかしい。少しだけ顔を赤らめつつもコクコクと頷くと、ジルクは大袈裟なほど溜め息をついて見せた。
「そうか、あの計画はおじゃんだな……」
「あの計画?」
「何でもない、こっちの話だ。早く行け」
「……はい」
こちらでも追い出されるように扉を後にしようとする。
「これではいつまで立っても……」
「放っておいて問題はないでしょう。彼は昔、婚約までしていた女と別れていますし、今回も……」
「そうだな、では計画はそのまま……」
ジルクが他の官吏らと話をしている。扉越しのためよく聞き取れなかったが、今のは何の話だろうかと、ダニエラは何やら不穏な空気を感じながらもイオスの部屋に戻って来た。
「ダニエラか、入ってくれ」
ノックをするとイオスの声がし、ダニエラは足を踏み入れる。そしてイオスに別の紙の束を渡された。
「ではすぐにアルバンまで行ってくれ」
「この書類はどういう物なんですか?」
「知る必要はない」
イオスが必要ないと言っているのだから、それ以上詮索することはしなかった。少しくらい会話が弾めば良いと思って聞いただけだ。本当は中身に興味なんかない。
トレインチェからアルバンまでは、途中ノルト村を越えて徒歩で半日以上かかる。今から出発すれば、アルバンに着くのは夕刻だろう。
「それから、行きは馬に乗って行くように」
「え、よろしいんですか?」
ダニエラは自分の馬を持っていない。イオスの馬を貸してくれるのかと喜んだ瞬間、疑問が浮かんだ。
「行き、は?」
そう聞き返すと、イオスはさも当然のように頷いた。
「ああ。先日アルバンで馬を一頭借りていてな。それをついでに返して来て欲しい」
つまり、やっぱり帰りは徒歩ってことね……とイオスの悪どい笑顔を見ながら、ダニエラも仕方なく笑った。
ダニエラが書類を地方官庁へと渡した時には昼を少し過ぎていた。借りていた馬を返し、どうしようかと悩む。
「今から帰ったら、トレインチェに着くのは夜中ね……」
夜になると魔物が強くなる。街道沿いはそんなに強い魔物は現れないが、夜行性の物が多いため、戦闘は避けられないだろう。
ダニエラは、あまり剣の腕に自信がなかった。かと言って、一泊ここに泊まるとなれば暇を持て余してしまう。さらに明日は日曜だ。せっかくの休みの日を、徒歩で帰るためだけに潰したくはなかった。
「仕方ない、帰るか」
ダニエラは肩まである栗色の髪を結って、魔物との戦闘に備えた。
携帯食としてケバブを購入し、ひとつは食べてひとつは夜食のために鞄に突っ込む。
「あれ、おかえりになるんですか? 部屋を用意しましたが……」
アルバン地方官庁の官吏のケビンが声をかけてくれたが、ダニエラは首を振って答えた。
「いえ、今日中に帰らないと仕事が溜まっていますので」
嘘も方便。こんな何もないつまらないところにいても仕方ない。
「そうですか……では、馬を用意してきます」
「いえ、結構です。急がなければいけないわけでもないので」
「え? そうですか?」
我ながら言っていることが矛盾してるなぁと思いつつも、笑顔で誤魔化す。馬を返しにきたというのに、また馬を借りていったらイオスになんと言われるやらだ。
ダニエラはケビンの見送りを辞退し、アルバンの街を後にした。
アルバンの外は、しばらく草原が続く。
「こんな所にイオス様とピクニックに来られればな」
来る時は馬で突っ切ってきた草原を見回し、なんとなくちょこんと腰を降ろした。
そして夢想する。
もしもイオス様と来られる事があるなら、サンドイッチを用意してこよう。
アルバンの街が近いから、そこで何か買ってもいいかもしれない。さっきのケバブは美味しかったし。
明日はイオス様は仕事お休みかしら。なら、誘ってみて……
ああ、でもここじゃぁトレインチェから遠すぎるなぁ。ゆっくりする間もなく帰らなきゃいけなくなっちゃう。
かと言って、トレインチェの周りは森だらけだし。
そこまで考えて、ダニエラはすっくと立ち上がった。ぼうっとしている暇などない。明日デートに誘うつもりなら、今日中に帰らなくてはいけないのだ。
ダニエラは装備を確認し、帰途に着くため街道を急いだ。
その騎士団の団長の部屋に向かっている少女がいた。団長であるアーダルベルトの付き人だ。
「おはよう」
「あ、おはようございます!ダニエラさん!」
彼女はあどけない笑顔でダニエラに挨拶し、団長の部屋へと消えていった。
付き人とは、どういう事をしているのだろうか。
ふとした疑問がダニエラの脳裏をよぎる。
普通の付き人は紅茶を淹れたり、着替えを手伝ったり、周りの細々とした雑用を手伝ったりするのかもしれない。しかしダニエラには、普通の付き人というものがどういうものであるのか分からなかった。
ダニエラは己が仕える騎士隊長兼参謀軍師のイオスの執務室の前に着くと、ひとつ大きく息を吸う。そしてゆっくりと息を吐き出してから、その扉を規則正しくノックした。
「誰です?」
中から彼の声が聞こえてきて、ダニエラはいつものように自身の名を告げる。
「ダニエラです」
「五分後に入ってくれ」
いつものようにすぐには許可をもらえず、扉の前で五分待つこととなった。その五分が結構長い。他の騎士達が目の前を通り過ぎて行く。何も悪いことはしていないのだが、廊下に立たされる学生のような気分になり、少し憂鬱になるのだ。
「イオス殿は今日も重要機密を扱っているようですね」
クスクスと話しかけてきたのは、流し目がこの上なく色っぽい騎士、ロレンツォ。
「おはようございます、ロレンツォ様」
「おはよう、ダニエラ殿。イオス殿も困ったものですが、そのおかげで毎朝貴女に会うことができる」
「……はぁ」
「だからそんな顔はしないで下さい。ね?」
ロレンツォに言われ、仕方なく笑みを返して見せると、彼は聞くに耐えぬほどの歯の浮くような言葉を次々と口にして去っていった。ロレンツォの女好きと言ったら、団内では有名である。
しかし彼のおかげで難なく五分を過ごす事が出来たダニエラは、気持ちをもう一度作り直してから再度扉をノックした。
「イオス様、よろしいですか?」
中から「ああ」という簡潔な返事が返ってきて、今度は遠慮なく扉を開ける。
今日のイオスの機嫌はいかがだろうかと、ちらりと顔を確認するのは、もう癖のようなものだ。
その顔はなんてこともない、ただのいつもの無愛想。表情豊かとは縁遠い顔である。それは軍師という立場であるからかもしれなかったが。
それにしても、恋人に笑顔のひとつくらい見せてくれていいじゃないの。
ダニエラは心の中でひとりごちる。
ミハエル騎士団参謀軍師のイオス・リントスと付き合い始めたのは一ヶ月前のことだ。ダニエラは、士官学校に通っている時からイオスに憧れを抱いていた。年は十ほども違うが、騎士団を影で取り仕切るその姿に魅了されたのだ。
士官学校を出る際、思い切って教官に相談してみた。イオスの付き人になれないか、と。
教官は、ダニエラの剣の腕前が良くない事を知っていて、親身に相談に乗ってくれた。そしてその口利きで付き人になることができたのである。
彼の付き人になって、かれこれ四年経つ。
その間に、憧れは恋へと変わっていた。そして一ヶ月前、思い切って告白したのだ。好きです、付き合って下さい、と。
玉砕覚悟だった。でも、振られたとしてもイオスの態度はいつもと変わらぬだろうし、居心地が悪くなることもないだろう。そう思って告白したのである。
すると、イオスの反応はダニエラが想像するものとは違っていた。
彼は一瞬驚いたような顔をした後、「ダニエラが告白するとは思わなかった」とポソリと言った。つまり彼は、ダニエラが自分に恋心を抱いているという事実を知っていたのだ。
ダニエラはその時の事を思い出す。イオスに「別に構わない」と了承を得た時。彼が作戦中に見せるような悪どい笑みを浮かべた事を。ちなみにそんなイオスの悪どい笑顔も、ダニエラにはツボである。
「ダニエラ、この書類を中央官庁へ。それが済んだらこちらの書類をアルバンの街まで持って行ってもらう」
ダニエラは紙の束を受け取った。きっとこの書類は何の不備もなく、完璧なものなのだろう。
ダニエラはイオスに気付かれぬように、そっと息を吐いた。イオスの付き人は、イオスの近くにいられることが少ない。
本来ならば主が外に行っている間、付き人は部屋の掃除なりなんなりするのだろう。帰ってきた主に「いかがでしたか?」「お疲れでしょう、紅茶をどうぞ」などと勧めるのかもしれない。いや、そうすることを夢見ていた。
しかし実際はどうだ。この主従は、常にイオスが留守番。外回りがダニエラの役なのである。
「どうした、ダニエラ。早く行って欲しいのだが」
「は、はい。今すぐ」
この恋人を追い出すかのような発言。いつもの事ではあるが、やはり息を吐きそうになり、慌ててそれを飲み込んで部屋を出た。
そういえば、おはようすら言ってもらえてない。ああ、私も言ってなかったか。
そんな事を考えつつ、中央官庁へと足を運ぶ。
「こちら、イオス様から預かりました書類です。お目通しをお願いします」
ジルクという名の男に渡すと、彼は厳しい目でそれを受け取った。
「わかった、今日中に目を通しておこう」
返事をもらったダニエラは、早くイオスのところに戻ろうと、踵を返したその時。
「待て、ダニエラ」
ジルクに呼び止められてしまった。
「はい、なんでしょうか」
「イオスが誰かと付き合い始めたというのは本当か?」
誰か、とは私の事だ。そう思ったが、わざわざ知らせるのは小っ恥ずかしい。少しだけ顔を赤らめつつもコクコクと頷くと、ジルクは大袈裟なほど溜め息をついて見せた。
「そうか、あの計画はおじゃんだな……」
「あの計画?」
「何でもない、こっちの話だ。早く行け」
「……はい」
こちらでも追い出されるように扉を後にしようとする。
「これではいつまで立っても……」
「放っておいて問題はないでしょう。彼は昔、婚約までしていた女と別れていますし、今回も……」
「そうだな、では計画はそのまま……」
ジルクが他の官吏らと話をしている。扉越しのためよく聞き取れなかったが、今のは何の話だろうかと、ダニエラは何やら不穏な空気を感じながらもイオスの部屋に戻って来た。
「ダニエラか、入ってくれ」
ノックをするとイオスの声がし、ダニエラは足を踏み入れる。そしてイオスに別の紙の束を渡された。
「ではすぐにアルバンまで行ってくれ」
「この書類はどういう物なんですか?」
「知る必要はない」
イオスが必要ないと言っているのだから、それ以上詮索することはしなかった。少しくらい会話が弾めば良いと思って聞いただけだ。本当は中身に興味なんかない。
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「それから、行きは馬に乗って行くように」
「え、よろしいんですか?」
ダニエラは自分の馬を持っていない。イオスの馬を貸してくれるのかと喜んだ瞬間、疑問が浮かんだ。
「行き、は?」
そう聞き返すと、イオスはさも当然のように頷いた。
「ああ。先日アルバンで馬を一頭借りていてな。それをついでに返して来て欲しい」
つまり、やっぱり帰りは徒歩ってことね……とイオスの悪どい笑顔を見ながら、ダニエラも仕方なく笑った。
ダニエラが書類を地方官庁へと渡した時には昼を少し過ぎていた。借りていた馬を返し、どうしようかと悩む。
「今から帰ったら、トレインチェに着くのは夜中ね……」
夜になると魔物が強くなる。街道沿いはそんなに強い魔物は現れないが、夜行性の物が多いため、戦闘は避けられないだろう。
ダニエラは、あまり剣の腕に自信がなかった。かと言って、一泊ここに泊まるとなれば暇を持て余してしまう。さらに明日は日曜だ。せっかくの休みの日を、徒歩で帰るためだけに潰したくはなかった。
「仕方ない、帰るか」
ダニエラは肩まである栗色の髪を結って、魔物との戦闘に備えた。
携帯食としてケバブを購入し、ひとつは食べてひとつは夜食のために鞄に突っ込む。
「あれ、おかえりになるんですか? 部屋を用意しましたが……」
アルバン地方官庁の官吏のケビンが声をかけてくれたが、ダニエラは首を振って答えた。
「いえ、今日中に帰らないと仕事が溜まっていますので」
嘘も方便。こんな何もないつまらないところにいても仕方ない。
「そうですか……では、馬を用意してきます」
「いえ、結構です。急がなければいけないわけでもないので」
「え? そうですか?」
我ながら言っていることが矛盾してるなぁと思いつつも、笑顔で誤魔化す。馬を返しにきたというのに、また馬を借りていったらイオスになんと言われるやらだ。
ダニエラはケビンの見送りを辞退し、アルバンの街を後にした。
アルバンの外は、しばらく草原が続く。
「こんな所にイオス様とピクニックに来られればな」
来る時は馬で突っ切ってきた草原を見回し、なんとなくちょこんと腰を降ろした。
そして夢想する。
もしもイオス様と来られる事があるなら、サンドイッチを用意してこよう。
アルバンの街が近いから、そこで何か買ってもいいかもしれない。さっきのケバブは美味しかったし。
明日はイオス様は仕事お休みかしら。なら、誘ってみて……
ああ、でもここじゃぁトレインチェから遠すぎるなぁ。ゆっくりする間もなく帰らなきゃいけなくなっちゃう。
かと言って、トレインチェの周りは森だらけだし。
そこまで考えて、ダニエラはすっくと立ち上がった。ぼうっとしている暇などない。明日デートに誘うつもりなら、今日中に帰らなくてはいけないのだ。
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