「僕が望んだのは、あなたではありません」と婚約破棄をされたのに、どうしてそんなに大切にするのでしょう。【短編集】

長岡更紗

文字の大きさ
85 / 173
婚約破棄を言い渡した貧乏令嬢は、ニヒルな悪役メガネ騎士に恋をする

5.愛しています

しおりを挟む
 全てが終わった……というには早計だろうが、とりあえずユリフォード家が潰れることはなくなったと言っていいだろう。それだけで肩の荷が下りた気分である。
 ルティアが控え室でぼんやりしていると、後片付けの終わったリカルドが戻ってきた。

「待たせたな。気分はどうだ?」
「あの……なんだかぼうっとしてます。色々とあり過ぎて……」

 そう言いながら先ほどの舞台上でのことを思い出し、勝手に頬が紅潮していく。
 それを隠すために俯くと、リカルドはルティアが疲れていると思ったのだろう。優しい口調で語りかけてくる。

「もうなにも心配する必要はない。憲兵隊に任せておけば、奴らの悪事は明るみに出る。婚約破棄に関しても相手の誘導だったということで、金を支払う必要もなくなるだろう。それどころか、むしろルティアの方が慰謝料を取れる。思う存分ふんだくってやるといい」
「いえ、そこまでは……きっとガルシア家は推薦状を求めた家とも争わなくてはいけないでしょうし、そこまでするつもりはありません」
「そうか。優しいのだな、ルティアは」

 そう言ってリカルドはルティアの頭をそっと撫でてくれた。
 実際は優しいのではなく、もうフルックと関わり合いを持ちたくなかっただけなのだが。

「まぁあっちは放っておいても自滅するだろう。ノーラも準貴族の地位を剥奪されるだろうし、そのために使った金の支払いを押し付け合うに違いない。悪事に加担した者も全員失脚だ」

 当たり前だがちっとも可哀想などとは思わなかった。ざまあみろとはまで思わないが、そんな人達が泥沼の争いになろうが、知ったこっちゃない気分である。

「その人達はともかく……私はこれから平穏に暮らせそうでホッとしています」
「悪いが、平穏になど暮らさせはしない」

 リカルドの言葉にルティアは目を剥いた。それはどういう意味だろうか。何故、平穏には暮らせられないのだろうか。

「どうして、ですか?」
「約束を果たしてもらおうか」
「約束……」

 ゴクリと唾を飲み込み、ルティアはゆっくりと頷いた。
 なにを言われるのだろうか。平穏には暮らせられないほどのことを要求されると思うと、心臓の音と共に体がどんどん硬直する。
 そんなルティアに、リカルドは懇願するかのように言った。

「私の要求を飲んでほしい。でなくば……」
「でなくば?」
「脅す必要性も出てしまう。私はそれをしたくはない」

 能面でありながらも真っ直ぐ伝えられた言葉に、ルティアはむしろ好感すら持った。

「わかりました。どんな要求でも飲むと、約束しましょう」

 元々そのつもりだったのだ。どんな要求でも飲むと。
 嫌な想像ばかりしてしまっていたが、もしかすると……とルティアの胸は高鳴っていた。
 ひょっとするとリカルドは自分のことが好きで、結婚を申し込むつもりなのかもしれない、と。
 それなら文句などなく、首を縦に振るつもりだ。
 ずっと憧れていた舞台俳優にファーストキスを奪われ、既にルティアはリカルドに骨抜きにされている。

「ルティア。よく聞いてほしい」
「はい」

 リカルドはルティアの両手をギュッと握ってくる。嫌が応にも期待は高まった。

「私は……実は、ルティアのことを前々から知っていた」
「は、はい」
「言いたかったが、ずっと言い出せなかったことがあるのだ」
「どうぞ、仰ってください」
「ルティア。私は、貴女に……」

 爆発しそうなほどの鼓動が胸で打ち鳴らされる。頭が真っ白に吹き飛びそうになりながらも耐えていると、彼はとうとう次の言葉を解き放った。

「劇団タントールの、太陽組に入ってもらいたいと思っている!!」
「…………へ?」

 二人だけの控え室に、ルティアの素っ頓狂な声が響いたのだった──



 ***



 あの事件から一年。
 ルティアはタントールの太陽組に入団し、舞台女優として活躍している。

「やはり、私の目に狂いはなかったな。ルティアは根っからの女優だと思っていたのだ」

 リカルドが満足そうに声を上げる。あれからルティアは一から演劇の基礎を学び、舞台に立つようになっていた。
 舞台に立った時の爽快感というのは、なんとも形容し難い高揚がある。ルティアはいまやその虜となってしまっていた。

「アンケートでもルティアのファンが多くいることがわかる。初々しくも実力があるから、当然と言えば当然なのだが……」

 そう言ってリカルドは能面顏に皺を寄せた。そんな彼に、ルティアはクスリと笑って後ろから抱きついた。
 彼の背中は大きくて温かくて、とても居心地がいい。

「嫉妬、ですか? リカルド様」
「かもしれんな。ルティアの演技力にではなく、お前のファンに対してだが」

 そう言ってリカルドは首を後ろに向けて、ルティアにキスをしてくれた。それが嬉しくて、ルティアはウフフと笑みを漏らす。
 その後、リカルドは何事もなかったかのように忙しなく手を動かしていた。今日はリカルドの部屋の片付けを手伝いに来ているのだ。

 来月、二人は結婚する。

 小さいが新居も構えた。ユリフォード家は、今年ルティアの弟となる男子が生まれたので、そちらに丸投げするつもりだ。
 ルティアは貴族ではなってしまうのだが、それでもよかった。二人で慎ましくも幸せに暮らせるのならば、貴族という肩書きなど必要ない。
 そんな風に思いながら片付けを進めていると、小さな箱を見つけたので開けてみる。

「あら、これは……アンケート用紙?」

 箱の中からは、記入済みのアンケート用紙が出てきた。それも一枚や二枚ではない。百枚近くはあるだろうか。

「ああ、大事な物だ。新居に持って行く方に入れておいてくれ」
「わかりました」

 ふと気になってその内容を走り読む。そこにはリカルドの演技を褒め称えた言葉が、無記名で寄せられていた。

「リカルド様、これって……」
「ルティアの字ではなかったか?」
「そ、そうです! ずっと持ってたんですか?!」

 よくよく見ると、字を書けるようになったばかりのものからタントールに入団する直前のものまである。
 それを読んでいて、ルティアは恥ずかしくなった。これはアンケートというよりも、ファンレター……いや、それよりももっと──

「恋文のようだろう?」

 そう言ってリカルドが笑った。プライベートで能面顏を崩すのは、ルティアの前でだけだ。

「私、こんなことを書いてましたか……? は、恥ずかしい……っ」
「恥ずかしがることはない。私はこの手紙に、随分と励まされた。端役ばかりだった頃、どれだけ救われたことか」

 優しい目を向けてくれるリカルドに、ルティアは睫毛を上げる。

「私が、リカルド様を救った……?」
「ああ、何度も挫折仕掛けた。この顔もあって、中々良い役は回って来なかったしな。劇団をやめようと思う度に、これを書いてくれた少女を思い出して乗り切ってきた」
「そう……だったのですか……でも、私だと分からなかったのでは? 無記名ですし」
「ある程度の目星はつく。特に子供はアンケートなど滅多に書かないしな。ルティアが必死に字を書く姿は、今でも心に焼きついている」

 その話を聞いて、ルティアの胸は熱くなった。アンケートなどを書いても手が届かないと思っていた人物が、ずっとルティアの言葉に救われていたと知って。

「だから……ルティアが窮地に立たされた時、必ず助けると心に誓った。今度は俺が救う番だと」

 リカルドは己の言葉を真剣に紡ぐ時、『私』から『俺』に一人称が変わる。これは付き合い始めてから気付いたことだ。

「その割には、助ける義理もないとか言ってませんでしたか?」
「それはルティアを劇団に引き込むための策だった。無償で助けては、劇団になど入ってくれないと思ったからな」
「でもどうして私を? 私はそれまで劇なんてしたことがなかったのに……」

 その問いに、リカルドはルティアに少しの苦笑いを向ける。

「まぁ……実を言えば、ルティアに才能があると気付いたのは、あの日約束を交わした後だ。ルティアは私にギラつかせた目を向けてきただろう。中々あんな目ができる女はいない」
「ああ……あれは、リカルド様を真似たんですよ」

 そう言うとリカルドはクッと声を上げて「なるほどな」と納得していた。

「けれど才能があると気付いたのが約束を交わした後だというなら、私を劇団に入れようと考えた理由がわからなくなるのですが」

 ルティアが小首を傾げると、リカルドは自嘲するように言った。

「ただ、ルティアをそばに置いておきたかっただけかもしれんな。自信を持たせてくれる女性が、そばにいてほしかった」
「それって、つまり……」
「ああ。その時には既にルティアに心を奪われていたのだろう」

 その言葉を聞いて、ルティアは大きく目を広げた。
 一年前、タントールに入団を促された日。ルティアは確実に己の恋心を悟っていた。しかしリカルドの方に全くそんな様子はなかったのだ。
 ルティアはアタックにアタックを重ね、最終的にはファーストキスの責任を取れと脅すようにして付き合い始めた。既にあの時リカルドがルティアのことを好きになっていたのだとしたら。あの恥ずかしいほどのアタックは一体なんだったというのか。

「リカルド様? 私をずーっと好きだったってことですか?」
「そうなるな」
「私がリカルド様をお慕いして、奮闘しているのを見て、楽しんでいたんですか?!」
「ああ、俺を好きで頑張っているルティアは可愛かった。いつまでも見ていたくなるくらいにな」
「も、もうーっ!!」

 ルティアは顔を真っ赤にして怒るも、リカルドは悪どい顔を向けてニヤリと笑ってくる。
 けれど、それすらも愛おしく感じてしまうから困ったものだ。ルティアは悔しくてリカルドの肩口をバシバシと叩いた。

「そんなに怒るな。許してくれ」
「じゃあ今度は、リカルド様が私のことを好きでいてください!」
「当然だ。今までと変わらんな」
「ずっとですよ?!」
「ああ、ずっと……一生だ」

 言い終わると同時に腰を引き寄せられた。
 そして唇が重ね合わされる。こうやってしたい時にできるキスは幸せだ。互いにその唇を堪能し合う。
 幾度も角度を変えたキスを終えると、ルティアは頬を紅潮させたまま微笑んだ。
 リカルドはそんなルティアの頬を優しくなぞってくれる。

「……早く結婚したいな」
「もう来月に結婚式ではありませんか」
「一刻も早くルティアを俺のものにしたい」
「奮闘する私を見て、楽しんでいた時間の代償ですね?」

 クスクスと笑うと、リカルドは困ったように眉を下げ……しかしとても愛おしいものを見るように目を細めている。
 舞台外ではいつも能面なこの男の、こんな顔を見られるのは自分だけだ。
 眼鏡の奥の優しい瞳を独り占めにして、ルティアはリカルドを強く抱き締めた。

 一生愛し続けてくれるであろう男を、一生支え続けようと心に決めて。

「リカルド様、愛しています」

 彼は「俺もだ」と痺れる様な低音ボイスを、ルティアの体に響かせてくれていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹に婚約者を奪われた上に断罪されていたのですが、それが公爵様からの溺愛と逆転劇の始まりでした

水上
恋愛
濡れ衣を着せられ婚約破棄を宣言された裁縫好きの地味令嬢ソフィア。 絶望する彼女を救ったのは、偏屈で有名な公爵のアレックスだった。 「君の嘘は、安物のレースのように穴だらけだね」 彼は圧倒的な知識と論理で、ソフィアを陥れた悪役たちの嘘を次々と暴いていく。 これが、彼からの溺愛と逆転劇の始まりだった……。

元カレの今カノは聖女様

abang
恋愛
「イブリア……私と別れて欲しい」 公爵令嬢 イブリア・バロウズは聖女と王太子の愛を妨げる悪女で社交界の嫌われ者。 婚約者である王太子 ルシアン・ランベールの関心は、品行方正、心優しく美人で慈悲深い聖女、セリエ・ジェスランに奪われ王太子ルシアンはついにイブリアに別れを切り出す。 極め付けには、王妃から嫉妬に狂うただの公爵令嬢よりも、聖女が婚約者に適任だと「ルシアンと別れて頂戴」と多額の手切れ金。 社交会では嫉妬に狂った憐れな令嬢に"仕立てあげられ"周りの人間はどんどんと距離を取っていくばかり。 けれども当の本人は… 「悲しいけれど、過ぎればもう過去のことよ」 と、噂とは違いあっさりとした様子のイブリア。 それどころか自由を謳歌する彼女はとても楽しげな様子。 そんなイブリアの態度がルシアンは何故か気に入らない様子で… 更には婚約破棄されたイブリアの婚約者の座を狙う王太子の側近達。 「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む

綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」 婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。 婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。 ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/10/01  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過 2022/07/29  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過 2022/02/15  小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位 2022/02/12  完結 2021/11/30  小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位 2021/11/29  アルファポリス HOT2位 2021/12/03  カクヨム 恋愛(週間)6位

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい

宇水涼麻
恋愛
 ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。 「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」  呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。  王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。  その意味することとは?  慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?  なぜこのような状況になったのだろうか?  ご指摘いただき一部変更いたしました。  みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。 今後ともよろしくお願いします。 たくさんのお気に入り嬉しいです! 大変励みになります。 ありがとうございます。 おかげさまで160万pt達成! ↓これよりネタバレあらすじ 第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。 親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。 ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。

さようなら、私の愛したあなた。

希猫 ゆうみ
恋愛
オースルンド伯爵家の令嬢カタリーナは、幼馴染であるロヴネル伯爵家の令息ステファンを心から愛していた。いつか結婚するものと信じて生きてきた。 ところが、ステファンは爵位継承と同時にカールシュテイン侯爵家の令嬢ロヴィーサとの婚約を発表。 「君の恋心には気づいていた。だが、私は違うんだ。さようなら、カタリーナ」 ステファンとの未来を失い茫然自失のカタリーナに接近してきたのは、社交界で知り合ったドグラス。 ドグラスは王族に連なるノルディーン公爵の末子でありマルムフォーシュ伯爵でもある超上流貴族だったが、不埒な噂の絶えない人物だった。 「あなたと遊ぶほど落ちぶれてはいません」 凛とした態度を崩さないカタリーナに、ドグラスがある秘密を打ち明ける。 なんとドグラスは王家の密偵であり、偽装として遊び人のように振舞っているのだという。 「俺に協力してくれたら、ロヴィーサ嬢の真実を教えてあげよう」 こうして密偵助手となったカタリーナは、幾つかの真実に触れながら本当の愛に辿り着く。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

ジェリー・ベケットは愛を信じられない

砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。 母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。 それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。 しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。 だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。 学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。 そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。 ※世界観はゆるゆる ※ざまぁはちょっぴり ※他サイトにも掲載

処理中です...