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ビッチと呼ばれた純潔乙女令嬢ですが、恋をしたので噂を流した男を断罪して幸せになります!
4.兄として
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「どの部屋だ、グズグズするな!!」
唐突に、扉の外側から声が聞こえきた。
この声は……!
「鍵はどこだ!! くそ、ここにいるのか?! キカ!!」
私は一瞬緩んだニッケルの手を振り切って、力の限り叫んだ。
「イアン様ーーっ!! イアン様、助け……っ」
「このアマッ」
「っうぐ」
ドシンと胸ぐらを押さえつけられて、まともに息もできない。
「キカ!! すぐ行く!!」
そんなイアン様声が聞こえた直後、ドシンという激しい振動が室内に広がった。
二度目、そして三度目に振動が響いた時には、バキッという音とともに扉が上からバタンと倒される。
ニッケルの向こう側に見えたのは……必死の形相をした、イアン様。
「貴様、キカになにをした!!!!」
そういうやいなや、イアン様は飛ぶようにやってきて、ニッケルをあっという間に投げ倒した。
目の前から消えたニッケルは床に叩きつけられて、悶絶している音がする。
「キカ!! 大丈夫か!!」
イアン様は動けない私に優しく触れて、抱き起こしてくれた。
「キカ……」
「イアン様……っ」
助けに来てくれた。
ああ、イアン様のヘーゼルの瞳を見ると安心する。
「痛いところは」
「大丈夫ですわ……」
「……間に合ったか?」
「はい……ありがとうございます……っ」
イアン様がぎゅうっと私を抱きしめてくれる。
「よかった……!!」
兄として心配してくれていたのだとしても、イアン様の言葉は嬉しすぎて──。
私の気持ちがどんどんと膨らんでいくのがわかる。
「っく、なにしてんだ、この騎士野郎が!」
ニッケルは腰を抑えながら立ち上がり、イアン様に罵声を浴びた。
騎士野郎って……イアン様はあなたより上の階級である、侯爵家の方なのに!
イアン様は抱きしめていた私の体を放すと、ニッケルを睨みつけた。
「女性に乱暴していたのだから、当然の報いだろう」
「ッハ、乱暴? 違うね! 知らねぇのか? こいつはビッチなんだ、俺は誘われた方! 裁くなら、こいつを裁くべきだろうが」
ニッケルの言葉で、私の頭に血が昇ってくるのがわかる。
この男は、よくもぬけぬけと……!!
でも、こう言い訳されるとわかっていたからこそ、証人となる目撃者が必要だった。いつもなんのかんのと相手を言いくるめて捕まらずにここまできた男だから。
私が証人となって言い訳させないつもりだったのに、完全にしてやられてしまった。
「今、彼女が泣いていたことはどう説明する」
イアン様の怒り声。こんな低い言葉使いもできる人だったのね……。
「演技だろ、演技! 俺を罠に嵌める気だったんじゃないか? 町の奴に聞いてみろよ、このビッチと俺の無実、どっちを信じるかってな。みーんなこう言うだろうぜ。『ビッチ令嬢が誘ったに違いない』ってよ!」
悔しいけど、その通りだ。
個室で男と二人でいる時点で、私から誘ったと思われるに決まっている。私の方が断然不利な状態。
「……そうか、では町の者に聞くことにしよう」
「そんな、イアン様……」
やっぱりイアン様も、私が誘ったと思ってしまったの……?
好きな人に信じてもらえないのが、一番つらい……!!
「ただし聞くのは男ではなく、女性にだ」
「へ?」
「……え?」
マヌケなニッケルの声が部屋に響く。私もだけれど。
「お前の要望通り、町の者にも聞いてみてやろう。この町の女性に匿名のアンケートをとる。性被害に遭ったことはないか、あるなら相手の名前はわかるかとな」
「なん……だと」
「被害者の数が多い時には覚悟しておけ。投獄ではすまないぞ。強姦魔には、処刑が待っている」
「──っ!!」
他の騎士が集まってきて、イアン様が事情を説明している。結局連行されたニッケルは、青ざめた顔をしていた。
処刑が怖いのなら、強姦なんてするんじゃないわよ。
誰もいなくなると、イアン様が私の背中をそっと手で温めてくれる。
「つらかったな……よく、頑張った」
「イアン様……ありがとうございます。私が無事だったのは、イアン様のおかげですわ」
「間に合って本当に良かった……」
「あの、どうしてここに私がいるってわかったんですの?」
イアン様はホッと息を吐いた後、配属した覚えのない騎士が一人うろついていたと教えてくれた。
どうやらあの男は偽物の騎士だったらしい。
私が給仕にワインをかけられていたという情報も同時に入って、いよいよ怪しく思ったのだとか。
休憩室の場所を言おうとしない騎士と給仕に、イアン様は少々強引に聞き出してくれたみたい。
「……必死だったよ。ずっとキカのそばにいてやればと後悔した」
「そんな! 助けに来てくださっただけで十分ですわ!」
「けど、遅くなった」
「間に合いましたわ」
「その間、怖い思いをしただろう」
「それは……」
怖かった。そう改めて認識すると、急に手が震えるくらいに。
震えを止めようとしても、恐怖がこびりついたように止まってくれない。
「ごめ、なさ……情けないですわね……」
「当然の反応だ」
「被害に遭われた方はもっと怖い思いをしたっていうのに……私程度が、こんな……」
「どちらも心に傷を負ったのは同じで、つらさなど比べるものじゃない。つらいと思ったなら、我慢しなくていい」
「イアン様……」
ポロッと涙が溢れ出てくる。
世の中にはもっとつらい思いをした人がいるんだから……って思ってた。
でも……苦しいって、つらいって、言ってよかったのね……。
「イアン様……苦しいです……悔しいですっ! あいつのことを裁けても、このつらさは、怒りは、いつまでも私の心に残りそうで怖い……っ」
「キカ」
私の手を包んだまま、イアン様に顔を覗き込まれる。
端正な顔立ちに優しいヘーゼルの瞳。張り詰めていた心が弛緩する。
「俺なら、抱きしめても大丈夫か?」
「それは……兄としてですか? 男としてですか?」
「……兄としての方が落ち着くだろう」
イアン様の言葉に、私はこくりと頷いた。
妹と思われたくはなくても、今だけは女として見られるのはつらかったから。
大きな手にゆっくりと体ごと包まれて……私はイアン様の胸に顔をうずめた。
「つらい時にはそばにいる。何度だってこうして抱きしめる。キカは……俺の大事な人だから」
「イアン様……」
「キカ、愛してる」
兄として、私を愛してくれている。
優しい優しいイアン様……あったかくて、安心できるの。
私が落ち着くまで、イアン様はずっとずっと抱きしめていてくれた。
唐突に、扉の外側から声が聞こえきた。
この声は……!
「鍵はどこだ!! くそ、ここにいるのか?! キカ!!」
私は一瞬緩んだニッケルの手を振り切って、力の限り叫んだ。
「イアン様ーーっ!! イアン様、助け……っ」
「このアマッ」
「っうぐ」
ドシンと胸ぐらを押さえつけられて、まともに息もできない。
「キカ!! すぐ行く!!」
そんなイアン様声が聞こえた直後、ドシンという激しい振動が室内に広がった。
二度目、そして三度目に振動が響いた時には、バキッという音とともに扉が上からバタンと倒される。
ニッケルの向こう側に見えたのは……必死の形相をした、イアン様。
「貴様、キカになにをした!!!!」
そういうやいなや、イアン様は飛ぶようにやってきて、ニッケルをあっという間に投げ倒した。
目の前から消えたニッケルは床に叩きつけられて、悶絶している音がする。
「キカ!! 大丈夫か!!」
イアン様は動けない私に優しく触れて、抱き起こしてくれた。
「キカ……」
「イアン様……っ」
助けに来てくれた。
ああ、イアン様のヘーゼルの瞳を見ると安心する。
「痛いところは」
「大丈夫ですわ……」
「……間に合ったか?」
「はい……ありがとうございます……っ」
イアン様がぎゅうっと私を抱きしめてくれる。
「よかった……!!」
兄として心配してくれていたのだとしても、イアン様の言葉は嬉しすぎて──。
私の気持ちがどんどんと膨らんでいくのがわかる。
「っく、なにしてんだ、この騎士野郎が!」
ニッケルは腰を抑えながら立ち上がり、イアン様に罵声を浴びた。
騎士野郎って……イアン様はあなたより上の階級である、侯爵家の方なのに!
イアン様は抱きしめていた私の体を放すと、ニッケルを睨みつけた。
「女性に乱暴していたのだから、当然の報いだろう」
「ッハ、乱暴? 違うね! 知らねぇのか? こいつはビッチなんだ、俺は誘われた方! 裁くなら、こいつを裁くべきだろうが」
ニッケルの言葉で、私の頭に血が昇ってくるのがわかる。
この男は、よくもぬけぬけと……!!
でも、こう言い訳されるとわかっていたからこそ、証人となる目撃者が必要だった。いつもなんのかんのと相手を言いくるめて捕まらずにここまできた男だから。
私が証人となって言い訳させないつもりだったのに、完全にしてやられてしまった。
「今、彼女が泣いていたことはどう説明する」
イアン様の怒り声。こんな低い言葉使いもできる人だったのね……。
「演技だろ、演技! 俺を罠に嵌める気だったんじゃないか? 町の奴に聞いてみろよ、このビッチと俺の無実、どっちを信じるかってな。みーんなこう言うだろうぜ。『ビッチ令嬢が誘ったに違いない』ってよ!」
悔しいけど、その通りだ。
個室で男と二人でいる時点で、私から誘ったと思われるに決まっている。私の方が断然不利な状態。
「……そうか、では町の者に聞くことにしよう」
「そんな、イアン様……」
やっぱりイアン様も、私が誘ったと思ってしまったの……?
好きな人に信じてもらえないのが、一番つらい……!!
「ただし聞くのは男ではなく、女性にだ」
「へ?」
「……え?」
マヌケなニッケルの声が部屋に響く。私もだけれど。
「お前の要望通り、町の者にも聞いてみてやろう。この町の女性に匿名のアンケートをとる。性被害に遭ったことはないか、あるなら相手の名前はわかるかとな」
「なん……だと」
「被害者の数が多い時には覚悟しておけ。投獄ではすまないぞ。強姦魔には、処刑が待っている」
「──っ!!」
他の騎士が集まってきて、イアン様が事情を説明している。結局連行されたニッケルは、青ざめた顔をしていた。
処刑が怖いのなら、強姦なんてするんじゃないわよ。
誰もいなくなると、イアン様が私の背中をそっと手で温めてくれる。
「つらかったな……よく、頑張った」
「イアン様……ありがとうございます。私が無事だったのは、イアン様のおかげですわ」
「間に合って本当に良かった……」
「あの、どうしてここに私がいるってわかったんですの?」
イアン様はホッと息を吐いた後、配属した覚えのない騎士が一人うろついていたと教えてくれた。
どうやらあの男は偽物の騎士だったらしい。
私が給仕にワインをかけられていたという情報も同時に入って、いよいよ怪しく思ったのだとか。
休憩室の場所を言おうとしない騎士と給仕に、イアン様は少々強引に聞き出してくれたみたい。
「……必死だったよ。ずっとキカのそばにいてやればと後悔した」
「そんな! 助けに来てくださっただけで十分ですわ!」
「けど、遅くなった」
「間に合いましたわ」
「その間、怖い思いをしただろう」
「それは……」
怖かった。そう改めて認識すると、急に手が震えるくらいに。
震えを止めようとしても、恐怖がこびりついたように止まってくれない。
「ごめ、なさ……情けないですわね……」
「当然の反応だ」
「被害に遭われた方はもっと怖い思いをしたっていうのに……私程度が、こんな……」
「どちらも心に傷を負ったのは同じで、つらさなど比べるものじゃない。つらいと思ったなら、我慢しなくていい」
「イアン様……」
ポロッと涙が溢れ出てくる。
世の中にはもっとつらい思いをした人がいるんだから……って思ってた。
でも……苦しいって、つらいって、言ってよかったのね……。
「イアン様……苦しいです……悔しいですっ! あいつのことを裁けても、このつらさは、怒りは、いつまでも私の心に残りそうで怖い……っ」
「キカ」
私の手を包んだまま、イアン様に顔を覗き込まれる。
端正な顔立ちに優しいヘーゼルの瞳。張り詰めていた心が弛緩する。
「俺なら、抱きしめても大丈夫か?」
「それは……兄としてですか? 男としてですか?」
「……兄としての方が落ち着くだろう」
イアン様の言葉に、私はこくりと頷いた。
妹と思われたくはなくても、今だけは女として見られるのはつらかったから。
大きな手にゆっくりと体ごと包まれて……私はイアン様の胸に顔をうずめた。
「つらい時にはそばにいる。何度だってこうして抱きしめる。キカは……俺の大事な人だから」
「イアン様……」
「キカ、愛してる」
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優しい優しいイアン様……あったかくて、安心できるの。
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