53 / 116
第53話 だから、ずっとお傍に置いてください
しおりを挟む
一面の月見草を見て、サビーナは震えた。
月明かりに照らされたそれらは、浮かび上がるようにそよそよと揺らめいている。
「デニスはここまでで結構です。帰りなさい」
「いや、レイスリーフェ様が来るまでは……」
「誰がレイスリーフェに会うと言いました? 誰と密会しようと、私の勝手でしょう」
「……え?」
デニスは不思議そうな顔をセヴェリに向けている。そしてデニスの視線は次に、サビーナに向けられた。思わずサビーナはデニスの真っ直ぐな視線から目を逸らす。
「……サビーナと?」
「他言無用に願いますよ」
ちらりと目だけでデニスを盗み見ると、彼は一瞬眉間に皺を寄せ、視線をセヴェリに戻している。
「……もちろんです」
「では行って下さい」
「……っは」
デニスはセヴェリに命令されるまま、この場を去って行く。
止める事も言い訳も出来ぬ中、サビーナは彼を見送るしか出来なかった。
そんな姿をジッと見つめているセヴェリに気付いて、サビーナは曖昧な笑顔を彼に向ける。
「追いかけたいなら、止めませんが」
「何を……セヴェリ様一人を置いて行ける訳がありません」
そう言うと、腕を引き寄せられて抱き締められた。丘を一人下って行くデニスが一瞬こちらを振り返るのが見える。しかし、その姿もすぐに闇に消えていった。
セヴェリはそれからすぐにサビーナを拘束から解き、にっこりと笑みを見せた。
「小腹が空きましたね。私もサンドイッチを貰ってよろしいですか?」
セヴェリの言葉に、サビーナは急いでバスケットからサンドイッチを取り出す。
そして腰を下ろすと、二人で目の前に広がるの月見草を見ながらそれを口に入れた。
「月を見ながら月見草を愛でるなんて……贅沢ですね」
「あの本を読んだ時から、サビーナをここに連れて来たいと思っていたのですよ。花が終わる前に連れてこられて良かった」
それからしばらくは、無言でサンドイッチを食べ進めながら風景を楽しむ。
お腹が満たされると、いつの間にか幸福な気分に満たされていた。先程宿へと戻って行ったデニスの姿も、記憶から消し去られるかのように。
「もう少し奥へ行ってみましょう」
そう言って彼は立ち上がり、差し出された手をサビーナは取った。
セヴェリに手を引かれるままに、花畑の中央へと足を進める。彼の足はだんだんと緩やかに止まり、そっとこちらを振り向いた。
その目は優しく穏やかで、口元は笑みをたたえている。そして彼は大きな月を背に言った。
「まだ仕切り直しは有効ですか」
「仕切り……直し?」
そう言われて思い出すのは、あの日の夜の事。
サビーナが下着姿というとんでもない格好で椅子から崩れ落ち、助けようとしてくれたセヴェリと起こした接触事故の事だ。
「何のことでしょうか。忘れました」
確かセヴェリはあの後、『あれは事故です。忘れなさい』と言っていた。ならばそう振る舞うのが妥当というものだろう。
「あなたのファーストキスのやり直しですよ。それとももう、誰かと済ませてしまいましたか……?」
若干寂しそうになった口調のセヴェリに、サビーナはフルフルと首を横に振る。それを見てセヴェリはホッとしたように息を吐き出している。
「良かった。この日が来るまでに誰かに奪われるのではないかと……気が気ではありませんでしたよ」
「セヴェリ様……?」
セヴェリの手がサビーナの頬に触れ、思わずビクリと体が跳ねるように震える。それを見たセヴェリは、少し苦笑いを見せた。
「大丈夫、無理にする気はありませんよ。それでは幸せなキスにはならないでしょう。少しお話でもしましょうか」
そっと肩を下に押されて、サビーナはそのままペタンと花畑の真ん中へと座り込んだ。セヴェリもしゃがむが、お尻は付けずに膝を立てている。
「ずっと聞きたかったんです。どうしてあなたは、私に尽くしてくれるのかを」
「どうしてって言われても……」
「あなたは私の全てを受け入れてくれる気がする。私の黒い部分も、歪んだ部分も、全て……」
熱い視線を向けられ、サビーナの顔は上気した。そして鼓動がトクントクンと波打ってくる。
確かにセヴェリの言う通りだ。彼の事は全て受け入れてあげられる。
この気持ちは恐らくだが、母性に近い。
いつだったか、アデラオレンジの種を握りしめて誓った『セヴェリを生かす』という気持ち。
セヴェリという存在を否定せず、全てを受け止め、そして包んであげたい。
サビーナは、己の胸の内から溢れ出る愛情に気付いた。
見返りなど期待しないその気持ちは本当に純粋で、自分にこんな崇高な感情があったのかと、頭の片隅で驚く。
そんな慈愛の心で満たされたサビーナは、セヴェリの緑青色の瞳を見つめながら、そっと頷いた。
「私はきっと、セヴェリ様を生かすために生まれてきたんです。セヴェリ様がセヴェリ様らしく生きられるようにと」
「サビーナ……」
セヴェリは感動したかのように言葉を詰まらせている。嬉しそうに。でも、どこかほんの少し苦しそうに。
サビーナがセヴェリにしてあげられる事など、ほとんどない。彼の思い通りに生かせてあげたいとは思っても、サビーナにはレイスリーフェの心を変える事は不可能だし、マウリッツのセヴェリへの期待を遮る事も出来ないのだ。
やれる事は少ない。けれど、きっと何かあるはずだ。セヴェリらしく生きる事を、助ける方法が。
「だから、ずっとお傍に置いてください。私は、私だけは、何があってもセヴェリ様の味方でいますから」
そう伝えると、セヴェリは今にも泣きそうになりながら目を細めている。
「ありがとう……私が信用できるのは、あなた一人です……」
セヴェリの言葉をサビーナは重く受け止める。きっと、これは彼の本心だ。
サビーナが首肯すると、セヴェリはホッとしたように笑って少しずつ近づいてくる。
そして、コツンと額と額がぶつかった。
サビーナの目には、セヴェリの瞳しか映らない。
「セヴェリ様……」
サビーナはそう呟き、無意識のうちに目を閉じる。
「サビーナ……」
その瞬間、唇同士が重なった。
柔らかく、しっとりとした感触がサビーナの唇を優しく刺激する。
ほのかにレモンの香りがした。先程食べた、サンドイッチのジャムの味かもしれない。
一面の月見草と大きな月を背景に、二人はシルエットを作り出していた。
一瞬だけくっ付いて離れた影は、名残惜しそうに互いを見つめ合っている。
そのセヴェリの瞳はとても穏やかだった。そしてサビーナも、何故かとても落ち着いていた。
彼はサビーナの隣に腰を下ろすと、花を愛でながら問いかけてくる。
「サビーナ。月見草の花言葉を覚えていますか?」
その問いに、サビーナは頷くようにゆっくり瞬いてみせた。
セヴェリはその答えに満足したかのように、地の上に乗せていたサビーナの手を、そっと握ってくれる。
「どうか朝までこのままでいさせてください……明け方になると白かった月見草がほのかにピンクに色づき、とても綺麗なのですよ」
被せられた手が温かく、そしてどこか切ない。
二人は手を繋いだまま、一面の月見草が色づくまで一言も話さずに見ていた。
無言の恋。
それが月見草の花言葉だった。
月明かりに照らされたそれらは、浮かび上がるようにそよそよと揺らめいている。
「デニスはここまでで結構です。帰りなさい」
「いや、レイスリーフェ様が来るまでは……」
「誰がレイスリーフェに会うと言いました? 誰と密会しようと、私の勝手でしょう」
「……え?」
デニスは不思議そうな顔をセヴェリに向けている。そしてデニスの視線は次に、サビーナに向けられた。思わずサビーナはデニスの真っ直ぐな視線から目を逸らす。
「……サビーナと?」
「他言無用に願いますよ」
ちらりと目だけでデニスを盗み見ると、彼は一瞬眉間に皺を寄せ、視線をセヴェリに戻している。
「……もちろんです」
「では行って下さい」
「……っは」
デニスはセヴェリに命令されるまま、この場を去って行く。
止める事も言い訳も出来ぬ中、サビーナは彼を見送るしか出来なかった。
そんな姿をジッと見つめているセヴェリに気付いて、サビーナは曖昧な笑顔を彼に向ける。
「追いかけたいなら、止めませんが」
「何を……セヴェリ様一人を置いて行ける訳がありません」
そう言うと、腕を引き寄せられて抱き締められた。丘を一人下って行くデニスが一瞬こちらを振り返るのが見える。しかし、その姿もすぐに闇に消えていった。
セヴェリはそれからすぐにサビーナを拘束から解き、にっこりと笑みを見せた。
「小腹が空きましたね。私もサンドイッチを貰ってよろしいですか?」
セヴェリの言葉に、サビーナは急いでバスケットからサンドイッチを取り出す。
そして腰を下ろすと、二人で目の前に広がるの月見草を見ながらそれを口に入れた。
「月を見ながら月見草を愛でるなんて……贅沢ですね」
「あの本を読んだ時から、サビーナをここに連れて来たいと思っていたのですよ。花が終わる前に連れてこられて良かった」
それからしばらくは、無言でサンドイッチを食べ進めながら風景を楽しむ。
お腹が満たされると、いつの間にか幸福な気分に満たされていた。先程宿へと戻って行ったデニスの姿も、記憶から消し去られるかのように。
「もう少し奥へ行ってみましょう」
そう言って彼は立ち上がり、差し出された手をサビーナは取った。
セヴェリに手を引かれるままに、花畑の中央へと足を進める。彼の足はだんだんと緩やかに止まり、そっとこちらを振り向いた。
その目は優しく穏やかで、口元は笑みをたたえている。そして彼は大きな月を背に言った。
「まだ仕切り直しは有効ですか」
「仕切り……直し?」
そう言われて思い出すのは、あの日の夜の事。
サビーナが下着姿というとんでもない格好で椅子から崩れ落ち、助けようとしてくれたセヴェリと起こした接触事故の事だ。
「何のことでしょうか。忘れました」
確かセヴェリはあの後、『あれは事故です。忘れなさい』と言っていた。ならばそう振る舞うのが妥当というものだろう。
「あなたのファーストキスのやり直しですよ。それとももう、誰かと済ませてしまいましたか……?」
若干寂しそうになった口調のセヴェリに、サビーナはフルフルと首を横に振る。それを見てセヴェリはホッとしたように息を吐き出している。
「良かった。この日が来るまでに誰かに奪われるのではないかと……気が気ではありませんでしたよ」
「セヴェリ様……?」
セヴェリの手がサビーナの頬に触れ、思わずビクリと体が跳ねるように震える。それを見たセヴェリは、少し苦笑いを見せた。
「大丈夫、無理にする気はありませんよ。それでは幸せなキスにはならないでしょう。少しお話でもしましょうか」
そっと肩を下に押されて、サビーナはそのままペタンと花畑の真ん中へと座り込んだ。セヴェリもしゃがむが、お尻は付けずに膝を立てている。
「ずっと聞きたかったんです。どうしてあなたは、私に尽くしてくれるのかを」
「どうしてって言われても……」
「あなたは私の全てを受け入れてくれる気がする。私の黒い部分も、歪んだ部分も、全て……」
熱い視線を向けられ、サビーナの顔は上気した。そして鼓動がトクントクンと波打ってくる。
確かにセヴェリの言う通りだ。彼の事は全て受け入れてあげられる。
この気持ちは恐らくだが、母性に近い。
いつだったか、アデラオレンジの種を握りしめて誓った『セヴェリを生かす』という気持ち。
セヴェリという存在を否定せず、全てを受け止め、そして包んであげたい。
サビーナは、己の胸の内から溢れ出る愛情に気付いた。
見返りなど期待しないその気持ちは本当に純粋で、自分にこんな崇高な感情があったのかと、頭の片隅で驚く。
そんな慈愛の心で満たされたサビーナは、セヴェリの緑青色の瞳を見つめながら、そっと頷いた。
「私はきっと、セヴェリ様を生かすために生まれてきたんです。セヴェリ様がセヴェリ様らしく生きられるようにと」
「サビーナ……」
セヴェリは感動したかのように言葉を詰まらせている。嬉しそうに。でも、どこかほんの少し苦しそうに。
サビーナがセヴェリにしてあげられる事など、ほとんどない。彼の思い通りに生かせてあげたいとは思っても、サビーナにはレイスリーフェの心を変える事は不可能だし、マウリッツのセヴェリへの期待を遮る事も出来ないのだ。
やれる事は少ない。けれど、きっと何かあるはずだ。セヴェリらしく生きる事を、助ける方法が。
「だから、ずっとお傍に置いてください。私は、私だけは、何があってもセヴェリ様の味方でいますから」
そう伝えると、セヴェリは今にも泣きそうになりながら目を細めている。
「ありがとう……私が信用できるのは、あなた一人です……」
セヴェリの言葉をサビーナは重く受け止める。きっと、これは彼の本心だ。
サビーナが首肯すると、セヴェリはホッとしたように笑って少しずつ近づいてくる。
そして、コツンと額と額がぶつかった。
サビーナの目には、セヴェリの瞳しか映らない。
「セヴェリ様……」
サビーナはそう呟き、無意識のうちに目を閉じる。
「サビーナ……」
その瞬間、唇同士が重なった。
柔らかく、しっとりとした感触がサビーナの唇を優しく刺激する。
ほのかにレモンの香りがした。先程食べた、サンドイッチのジャムの味かもしれない。
一面の月見草と大きな月を背景に、二人はシルエットを作り出していた。
一瞬だけくっ付いて離れた影は、名残惜しそうに互いを見つめ合っている。
そのセヴェリの瞳はとても穏やかだった。そしてサビーナも、何故かとても落ち着いていた。
彼はサビーナの隣に腰を下ろすと、花を愛でながら問いかけてくる。
「サビーナ。月見草の花言葉を覚えていますか?」
その問いに、サビーナは頷くようにゆっくり瞬いてみせた。
セヴェリはその答えに満足したかのように、地の上に乗せていたサビーナの手を、そっと握ってくれる。
「どうか朝までこのままでいさせてください……明け方になると白かった月見草がほのかにピンクに色づき、とても綺麗なのですよ」
被せられた手が温かく、そしてどこか切ない。
二人は手を繋いだまま、一面の月見草が色づくまで一言も話さずに見ていた。
無言の恋。
それが月見草の花言葉だった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる