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第83話 必ず兄と一緒に伺います
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翌日、セヴェリは保育と授業があり、サビーナは仕事が休みの日だ。
昨日セヴェリが摘み取った茶葉の三分の二は、紅茶にする事にした。納屋から大きな丸いザルをいくつも出して、そこに並べて裏の日陰に干して置いておく。
その後は昼までずっとお茶を摘んで過ごした。昼からはセヴェリの授業を受けに来た村人達に、この地域で飲まれているお茶の作り方を教わる。
先に日陰干しする紅茶とは違い、先ずは大きな釜で炒るのだそうだ。
「火が小さすぎじゃ。時間をかけ過ぎると水分が抜けて揉めんようになるぞ」
「ああ、今度は火が強すぎ、焦げちゃうわよ。ほら、手早く混ぜて」
「ひぃーっ」
薪を入れたり抜いたり、周りにやんややんやと言われながら、サビーナは言われた通りにこなした。
色々言われると焦るが、炒る時の茶葉の良い香りは心を癒してくれる。
「それくらいでいいよ。ザルに上げて、揉んで」
「あちちちちちっ」
「私もやりますよ」
セヴェリが炒った茶葉を半分持って行って揉み始めた。サビーナもそれを真似て揉み始めるも、熱くて熱くてまともに揉む事が出来ない。
「あつ、あっつぅ!」
「ほれほれサビーナ、さっさと揉まんか」
「そんな事言われたって……っ」
隣を見ると、セヴェリは懸命に茶葉を揉み込んでいる。
「あ、熱くないんですか?」
「いいえ、とても熱いですよ」
そう言いながらも平然と作業を続けているセヴェリ。サビーナも負けじと茶葉と格闘する。しばらくすると熱さも少しましになり、少しまとまり始めた。
「どれどれ、見せてみろ。うん、セヴェリ先生は綺麗に揉めとるな。サビーナは……全然だ、もっと力を入れてやらんか」
「やってますっ」
村人にダメ出しを受け、ムキになって茶葉を揉もうとすると、隣から手が伸びてきた。
「私がやりますよ」
セヴェリがサビーナの分の茶葉を奪うように持って行ってしまった。
「ああ、冷めると中々上手く揉めなくなるんですね」
「そうそう、そうなると力技になってくるから、熱いうちが勝負なんだよ」
「成程」
セヴェリと村人との会話に、サビーナは身の置き所がなくて縮こまる。その間にセヴェリは上手く揉み上げてくれていた。
今度はそれを綺麗に解(ほぐ)し大きなザルの上に広げて天日干しにする。
「サビーナ、もっと丁寧に解してね。こういう塊があると、中から腐ったりカビたりするから」
「は、はい」
サビーナとセヴェリの作業を、十人ほどの村人が見守っている。いつもは生徒である村人が先生となり、今日のセヴェリとサビーナはその生徒となっていた。
このお茶は何日も干して、最後に炒り直すと完成らしい。とりあえずの作業を終了して、村人達の授業は終わった。
セヴェリの授業の時間が削られてしまった事を謝ると、村人達は気にするなと笑ってくれている。その内の一人の村人がセヴェリに声を掛けていた。
「ああ、そう言えば、サーフィトさんの畑を売るんだって?」
「ええ、一部を残して売る事に決めました」
「俺、サーフィトさんとこの柿の木なら欲しいな」
「本当ですか?」
結局、柿畑はその村人に売る事となった。
その他の茶畑、イチジクは欲しがる村人がいて比較的早く売れたのだが、荒地化しようとしている何も植えられていない畑は、誰にも売れなさそうだった。
元々過疎化が進んでいる村だ。土地は有り余っているし、畑を耕す村民がいないのである。この村には既に荒っぱなしになっている畑がいくらもあった。
「立派な土地だというのに、売れないのは悲しいですね……」
ある日、セヴェリは売れ残ってしまった畑を見て、溜息をついていた。このまま買い手がつかずに荒地になって行く様子を見なければいけないのは、サビーナももちろん寂しい。
「でも、仕方のない事ですから……」
「荒地にさせてしまうくらいなら、花でも植えませんか?」
「お花、ですか?」
「ひまわりとか、コスモスとか。月見草でも構いませんし」
月見草と言われて心が揺れる。しかししばらく考えた後で首を横に振った。
「夜に咲いても見る人は居ないでしょうし、手間も考えるとコスモスの方が良い気がします」
「では昼咲きの月見草はどうでしょう」
「昼……咲き? そんなのがあるんですか?」
「ありますよ。こちらの方が夜咲きよりも開花時期が早いので、今すぐ植えないと今年の開花には間に合わないと思いますが。溢れ種で群生しますし、やせ地でも育つので手間も掛からず、背も高くならない。それに昼間に咲いているのを見る事も出来る。どうですか?」
その説明に、反論する余地も意味もなかった。良い事づくめだというなら、大いに賛成である。
丁度街に出るというジェレイに昼咲き月見草の種を買ってきて貰い、その日のうちに植える事が出来た。
どうやらジェレイによると、土が肥えているので最初のうちは葉ばかりで花は咲かないのではないかという話ではあったが、それでも楽しみだ。もしかすると、セヴェリとは一緒に見られないかもしれない。それでも将来一人で過ごす日々の中で、良い思い出として残るものとなるだろう。
サビーナはそんな風に考えを巡らし、ほんの少し胸を痛めながら、いつか咲くであろう花を想像して微笑んでいた。
セヴェリとは、告白されたあの日以降も特に変わりなく過ごしている。もう好きだとも言われないし、ただの気紛れか、いつものからかいだったのだろう。あまりあの時の事は気にせずにいようと決めていた。
街に働きに行くたび、サビーナは足繁く業者の所に訪れ、令嬢の情報を仕入れている。
本人同士に気取(けど)られず会わせる事は出来ないかと尋ねた所、それも可能だと言ってもらえた。
息子もしくは娘を貴族と結婚させたい時に、画策している事を本人には知らせずに事を運んで欲しいという親がいるらしい。理由は、本人に知られて反発されては困る、思惑に嵌ったとは知らずに結婚した方が幸せだという考えがあるからのようだ。
画策するべき本人が何も知らない状態なので難易度は上がり、成功率は下がるのだが、その親達の気持ちは痛いほど分かる。サビーナにしても同じ気持ちだ。
一度セヴェリに貴族との結婚を勧めてしまっているので、作戦途中でばれてしまう可能性はあったが、それでも出来れば業者が噛んでいる事は隠したかった。
ある日の事。
いつものようにキクレー邸の前を通り過ぎると、偶然にもクリスタがどこからか帰って来る所に出くわした。
あちらもサビーナに気付いた様子だったので、会釈をしてみる。すると彼女はにっこりと笑って、サビーナの方に近付いてきた。
「お久しぶりです、クリスタ様」
「サーフィトさんのお孫さんの……サビーナさん、でしたわね?」
「はい、覚えて頂いていて、光栄です」
「お兄様のセヴェリさんはお元気ですか?」
サビーナはその言葉を聞いて、しめたと思った。
セヴェリと己の関係を、どう説明しようかと思案していた所である。有難いことにクリスタが勘違いしてくれているなら、無理して他の設定を考える必要もない。
「はい、兄もとても元気で。またキクレー卿や、クリスタ様にお会いしたいと申しておりました」
「セヴェリさんはこの街にはあまり来られないんですか?」
「村で教師をしていまして」
「まぁ、教師を?」
「ええ。ですからあまり出てくる機会はないのですが、今度は連れて参りますので!」
サビーナが断言するように言うと、クリスタの顔はパッと花が咲いたように明るくなる。
「まぁ、本当ですか? お爺様が喜びますわ」
「その時には是非、クリスタ様もご同席頂けますか?」
「ええ、もちろんです」
「ああ良かった! 兄は、クリスタ様の事を……あ、いえ、何でもありません」
少し演技が過ぎただろうかとドキドキしながらクリスタの方を見ると、彼女は身を乗り出して続きを聞きたそうにしていた。
セヴェリは人を惹きつけるのが上手な人間だ。もしかしたらと思ったが、案の定だった。断定するのは早計だが、クリスタがセヴェリを気にしている事は間違いない。
「では……もし良ければ、来月始めの日曜にでもお越しください。わたくしもお爺様も、予定を空けて待っていますわ」
「ありがとうございます。必ず兄と一緒に伺います」
嬉しそうに頷くクリスタを見て、心の中で密かにガッツポーズをする。
上手くいきそうな気がしてきた。
少しずつでも交流を増やしていこう。そうすれば、業者に頼んだときでもスムーズに事が進むはずだ。
クリスタに家に来るよう言われた事をセヴェリに告げると、彼も二つ返事で了承してくれた。こちらもクリスタに対しては好印象のようで、来月を楽しみにしてくれているようだ。
「ちょうど街で買い物をしたかったので、嬉しいですよ」
「買い物を? 言ってくだされば買って来たのに……何を買うんですか?」
「それは秘密です」
クスクスと笑うセヴェリを見て、深くは聞かずに首だけ傾げた。
人に教えられない、代わりに買いに行かせられないというと、春画の類いだろうか。そうだとすると、あまり突っ込まれたくはないだろう。
サビーナはセヴェリに「そうですか」と返しただけで、何も聞く事はしなかった。
昨日セヴェリが摘み取った茶葉の三分の二は、紅茶にする事にした。納屋から大きな丸いザルをいくつも出して、そこに並べて裏の日陰に干して置いておく。
その後は昼までずっとお茶を摘んで過ごした。昼からはセヴェリの授業を受けに来た村人達に、この地域で飲まれているお茶の作り方を教わる。
先に日陰干しする紅茶とは違い、先ずは大きな釜で炒るのだそうだ。
「火が小さすぎじゃ。時間をかけ過ぎると水分が抜けて揉めんようになるぞ」
「ああ、今度は火が強すぎ、焦げちゃうわよ。ほら、手早く混ぜて」
「ひぃーっ」
薪を入れたり抜いたり、周りにやんややんやと言われながら、サビーナは言われた通りにこなした。
色々言われると焦るが、炒る時の茶葉の良い香りは心を癒してくれる。
「それくらいでいいよ。ザルに上げて、揉んで」
「あちちちちちっ」
「私もやりますよ」
セヴェリが炒った茶葉を半分持って行って揉み始めた。サビーナもそれを真似て揉み始めるも、熱くて熱くてまともに揉む事が出来ない。
「あつ、あっつぅ!」
「ほれほれサビーナ、さっさと揉まんか」
「そんな事言われたって……っ」
隣を見ると、セヴェリは懸命に茶葉を揉み込んでいる。
「あ、熱くないんですか?」
「いいえ、とても熱いですよ」
そう言いながらも平然と作業を続けているセヴェリ。サビーナも負けじと茶葉と格闘する。しばらくすると熱さも少しましになり、少しまとまり始めた。
「どれどれ、見せてみろ。うん、セヴェリ先生は綺麗に揉めとるな。サビーナは……全然だ、もっと力を入れてやらんか」
「やってますっ」
村人にダメ出しを受け、ムキになって茶葉を揉もうとすると、隣から手が伸びてきた。
「私がやりますよ」
セヴェリがサビーナの分の茶葉を奪うように持って行ってしまった。
「ああ、冷めると中々上手く揉めなくなるんですね」
「そうそう、そうなると力技になってくるから、熱いうちが勝負なんだよ」
「成程」
セヴェリと村人との会話に、サビーナは身の置き所がなくて縮こまる。その間にセヴェリは上手く揉み上げてくれていた。
今度はそれを綺麗に解(ほぐ)し大きなザルの上に広げて天日干しにする。
「サビーナ、もっと丁寧に解してね。こういう塊があると、中から腐ったりカビたりするから」
「は、はい」
サビーナとセヴェリの作業を、十人ほどの村人が見守っている。いつもは生徒である村人が先生となり、今日のセヴェリとサビーナはその生徒となっていた。
このお茶は何日も干して、最後に炒り直すと完成らしい。とりあえずの作業を終了して、村人達の授業は終わった。
セヴェリの授業の時間が削られてしまった事を謝ると、村人達は気にするなと笑ってくれている。その内の一人の村人がセヴェリに声を掛けていた。
「ああ、そう言えば、サーフィトさんの畑を売るんだって?」
「ええ、一部を残して売る事に決めました」
「俺、サーフィトさんとこの柿の木なら欲しいな」
「本当ですか?」
結局、柿畑はその村人に売る事となった。
その他の茶畑、イチジクは欲しがる村人がいて比較的早く売れたのだが、荒地化しようとしている何も植えられていない畑は、誰にも売れなさそうだった。
元々過疎化が進んでいる村だ。土地は有り余っているし、畑を耕す村民がいないのである。この村には既に荒っぱなしになっている畑がいくらもあった。
「立派な土地だというのに、売れないのは悲しいですね……」
ある日、セヴェリは売れ残ってしまった畑を見て、溜息をついていた。このまま買い手がつかずに荒地になって行く様子を見なければいけないのは、サビーナももちろん寂しい。
「でも、仕方のない事ですから……」
「荒地にさせてしまうくらいなら、花でも植えませんか?」
「お花、ですか?」
「ひまわりとか、コスモスとか。月見草でも構いませんし」
月見草と言われて心が揺れる。しかししばらく考えた後で首を横に振った。
「夜に咲いても見る人は居ないでしょうし、手間も考えるとコスモスの方が良い気がします」
「では昼咲きの月見草はどうでしょう」
「昼……咲き? そんなのがあるんですか?」
「ありますよ。こちらの方が夜咲きよりも開花時期が早いので、今すぐ植えないと今年の開花には間に合わないと思いますが。溢れ種で群生しますし、やせ地でも育つので手間も掛からず、背も高くならない。それに昼間に咲いているのを見る事も出来る。どうですか?」
その説明に、反論する余地も意味もなかった。良い事づくめだというなら、大いに賛成である。
丁度街に出るというジェレイに昼咲き月見草の種を買ってきて貰い、その日のうちに植える事が出来た。
どうやらジェレイによると、土が肥えているので最初のうちは葉ばかりで花は咲かないのではないかという話ではあったが、それでも楽しみだ。もしかすると、セヴェリとは一緒に見られないかもしれない。それでも将来一人で過ごす日々の中で、良い思い出として残るものとなるだろう。
サビーナはそんな風に考えを巡らし、ほんの少し胸を痛めながら、いつか咲くであろう花を想像して微笑んでいた。
セヴェリとは、告白されたあの日以降も特に変わりなく過ごしている。もう好きだとも言われないし、ただの気紛れか、いつものからかいだったのだろう。あまりあの時の事は気にせずにいようと決めていた。
街に働きに行くたび、サビーナは足繁く業者の所に訪れ、令嬢の情報を仕入れている。
本人同士に気取(けど)られず会わせる事は出来ないかと尋ねた所、それも可能だと言ってもらえた。
息子もしくは娘を貴族と結婚させたい時に、画策している事を本人には知らせずに事を運んで欲しいという親がいるらしい。理由は、本人に知られて反発されては困る、思惑に嵌ったとは知らずに結婚した方が幸せだという考えがあるからのようだ。
画策するべき本人が何も知らない状態なので難易度は上がり、成功率は下がるのだが、その親達の気持ちは痛いほど分かる。サビーナにしても同じ気持ちだ。
一度セヴェリに貴族との結婚を勧めてしまっているので、作戦途中でばれてしまう可能性はあったが、それでも出来れば業者が噛んでいる事は隠したかった。
ある日の事。
いつものようにキクレー邸の前を通り過ぎると、偶然にもクリスタがどこからか帰って来る所に出くわした。
あちらもサビーナに気付いた様子だったので、会釈をしてみる。すると彼女はにっこりと笑って、サビーナの方に近付いてきた。
「お久しぶりです、クリスタ様」
「サーフィトさんのお孫さんの……サビーナさん、でしたわね?」
「はい、覚えて頂いていて、光栄です」
「お兄様のセヴェリさんはお元気ですか?」
サビーナはその言葉を聞いて、しめたと思った。
セヴェリと己の関係を、どう説明しようかと思案していた所である。有難いことにクリスタが勘違いしてくれているなら、無理して他の設定を考える必要もない。
「はい、兄もとても元気で。またキクレー卿や、クリスタ様にお会いしたいと申しておりました」
「セヴェリさんはこの街にはあまり来られないんですか?」
「村で教師をしていまして」
「まぁ、教師を?」
「ええ。ですからあまり出てくる機会はないのですが、今度は連れて参りますので!」
サビーナが断言するように言うと、クリスタの顔はパッと花が咲いたように明るくなる。
「まぁ、本当ですか? お爺様が喜びますわ」
「その時には是非、クリスタ様もご同席頂けますか?」
「ええ、もちろんです」
「ああ良かった! 兄は、クリスタ様の事を……あ、いえ、何でもありません」
少し演技が過ぎただろうかとドキドキしながらクリスタの方を見ると、彼女は身を乗り出して続きを聞きたそうにしていた。
セヴェリは人を惹きつけるのが上手な人間だ。もしかしたらと思ったが、案の定だった。断定するのは早計だが、クリスタがセヴェリを気にしている事は間違いない。
「では……もし良ければ、来月始めの日曜にでもお越しください。わたくしもお爺様も、予定を空けて待っていますわ」
「ありがとうございます。必ず兄と一緒に伺います」
嬉しそうに頷くクリスタを見て、心の中で密かにガッツポーズをする。
上手くいきそうな気がしてきた。
少しずつでも交流を増やしていこう。そうすれば、業者に頼んだときでもスムーズに事が進むはずだ。
クリスタに家に来るよう言われた事をセヴェリに告げると、彼も二つ返事で了承してくれた。こちらもクリスタに対しては好印象のようで、来月を楽しみにしてくれているようだ。
「ちょうど街で買い物をしたかったので、嬉しいですよ」
「買い物を? 言ってくだされば買って来たのに……何を買うんですか?」
「それは秘密です」
クスクスと笑うセヴェリを見て、深くは聞かずに首だけ傾げた。
人に教えられない、代わりに買いに行かせられないというと、春画の類いだろうか。そうだとすると、あまり突っ込まれたくはないだろう。
サビーナはセヴェリに「そうですか」と返しただけで、何も聞く事はしなかった。
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