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ロレンツォ編
第24話 夜這いをしないのは
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その日の内にロレンツォとコリーンはノルト村へと戻って来ていた。
ジョージから良い種馬を借りて連れ帰ってきたのだ。結局コリーンは競馬には出場しなかった。
「俺のベッドだが使ってくれ。他に無くて、すまないな」
「いいけど、ロレンツォは?」
「適当に寝るさ」
そう言ってロレンツォは時計を見る。まだ夜這いには早い時間だ。
「ねぇ、ロレンツォ」
「ん? 何だ?」
コリーンは疑問を口にし、ロレンツォはそれに答えた。
そしてその会話が終わった頃には、丁度良い時間になっていた。ロレンツォは自室の窓を開け放つ。
「どこ行くの?」
「決めてない。用が済んだら戻ってくる」
ロレンツォは窓枠に足を掛けて、外に飛び出した。
久々のノルトだ。トレインチェの様に気遣いなく楽しめる、この村の風習が好きだ。
ロレンツォは昔馴染みの女の家へ行き、コンコンと窓を叩く。そしてしばらく会話を楽しんだ後、中に入れて貰った。
今頃、コリーンもノートンと会話をしてるかな。
そう思いながら、久々の女の感触を楽しむ。最近は面倒臭さが先立ってしまって、トレインチェで楽しむ事は少なくなった。
俺も年かな。適当に結婚しないと。
ふと、コリーンの顔が浮かんで、ロレンツォは苦笑いした。何を考えているんだか、と自分で一笑に付す。
ユーファも年頃なのに、結婚する気配がないな。
誰かいい奴がいれば紹介してやるか。
コリーンといい、手の掛かる妹達だ。
そんな事を思いながら、もう一軒ハシゴする。その家から出て来ると既に十二時を回っていて、ルールに抵触するため三件目は行けなかった。
仕方無くロレンツォは家に戻って来る。外から室内を見ると、コリーンが一人眠っていた。窓から入ろうとするも、鍵が掛かっている。こういう事は想定していなかった。玄関も鍵が掛かっているだろう。
「おい、コリーン。開けてくれ」
コンコンと窓を鳴らし続けると、コリーンが目を掻きながらのっそり起き上がる。
ここがどこだか確認しているようで、部屋をキョロキョロと見回していた。
「コリーン!」
再度呼びかけると、コリーンは急にシャキッとして、窓の鍵を開けてくれる。
「何、ロレンツォ。私に夜這い?」
「馬鹿言え」
ロレンツォは窓枠に足を掛け、ヒョイと入り込んだ。
「この暑いのに、窓を閉めて寝てたのか? 汗だくじゃないか」
「だって、もう寝たかったから、開けてると不安で」
「誰もノックして来なかったのか?」
「来たから閉めてたんだよ」
「へぇ、誰と寝た?」
「お断りしたよ、全員」
「全員? 何人来たんだ」
「十人くらい」
「……」
予想以上の人数に、ロレンツォは唸った。好き者が多いこの村の男でも、一晩に十人もの男が来るとは相当だ。
「思ったんだけど、もしさ、最初の人を受け入れた後に他の人が来たら、その……見られちゃわない?」
「成功したら、窓枠に木の枝を立て掛けるんだよ。それがあるうちは誰も覗いたりしない」
「ふーん」
「何だ。見られるのが気になって、誰とも出来なかったのか?」
「違うよ! そんなじゃない、ただどうなのかなって思っただけ!」
コリーンが躍起になって否定している。ここでは性行為は自由なのだから、少しでも良いと思える男がいたならばすればいいのだが。
「もしかして……今日、アクセルを見たからか?」
そう言葉に出すと、コリーンの体はびくりと震えた。どうやら図星だった様である。
「まだ、好きだったのか? だったら悪かったな、勝ってやれなくて」
もしもロレンツォが勝っていたら、アクセルはレリア・クララックと別れていたのである。そうなれば、コリーンだって希望を持てたはずだ。
「違うよ、関係ない」
ロレンツォから視線を逸らすコリーン。嘘が下手だ。そんな態度で関係ないはずはないだろう。
「とり持ってやろうか?」
「やめてよ、違うったら」
「アクセルが今付き合っているのは、人妻だ。今ならお前の方が理がある」
「……え?」
驚いた様にロレンツォを見上げている。しかし、コリーンは首を横に振った。
「か、関係ないよ。アクセルがどんな人と付き合ってても」
「いいのか?」
「いいも何も……アクセルが好きになった人なんだから、邪魔したくないよ……」
「……そうか」
ロレンツォはコリーンへの説得は諦めた。椅子に腰掛けて片足を立て、腕と頬をその上に置いて目を瞑る。
「ちょっとロレンツォ、そんな所で寝るつもり?」
「生憎うちには来客用の部屋もベッドもないからな」
「ここに寝ればいいじゃない」
コリーンに己のベッドを指差され、ロレンツォは眉を寄せる。
「お前はどうするんだ、コリーン」
「一緒にここで寝るよ」
「何を言って……出来るわけないだろう?」
「どうして?」
どうしてと問われ、言葉を詰まらせる。そんなロレンツォにコリーンは続けた。
「昔は一緒に眠ってたじゃない」
「お前がまだ小さかったからだ。それに部屋を別々にしたいと言ってきたのは、コリーンの方だろう」
「私が部屋を別にしたいって言わなきゃ、今も一緒に寝てたって事だよね」
「さあ、どうだろうな」
「私はロレンツォにとって、ユーファさんみたいなものでしょ?」
「ああ」
「じゃあ問題ないよ。一緒に寝よう」
コリーンはさっさとベッドに寝転んでいる。一つ嘆息すると、ロレンツォは言われるがままそのベッドに潜り込んでしまった。
「ふふ、久しぶりだね。ロレンツォとこうして眠るの」
「そう、だな」
落ち着かない。普段なら何という事は無いが、ベッドの上というのがいけない。
コリーンは石鹸の香りを漂わせてくる。息を吸うたび、動悸が激しくなる。
くっそ。同じ状況でも、ユーファだったなら同じベッドに入らなかったぞ。
俺はどうかしてるな。
「ロレンツォ」
「……ん?」
「……ロレンツォ」
「どうした?」
「私、おかしいのかな」
「何がだ?」
問い掛けるも、コリーンからの返事は無い。
「コリーン、今日、十人もの男が来たんだろ? 誰か良いと思える奴はいなかったか? もう一度話してみたい奴とか」
「……いない」
「こんな農村の男より、貴族の方が良いか? アクセルの様な」
「別に、貴族に拘る気はないよ……アクセルと付き合ってた時は、どうしても価値観にズレがあったし」
「だからアクセルと別れたのか?」
「それもあったかもね……私、お酒を美味しいとは思えなかった。マーガレットも好きになれなかった。あんな広い屋敷じゃ、気後れしちゃったよ」
「……そうか」
元々農村の生まれのコリーンである。金持ちになりたくてアクセルと付き合い始めたわけでもないのだろう。
コリーンがモゾモゾと動き、ロレンツォの方へと顔を向けて来るのが分かった。天井に顔を向けていたロレンツォは、目だけでコリーンを見る。
一晩で十人来るだけの事はある。
元々可愛かったが、綺麗になったんだな。コリーンは。
コリーンの流れるような長い金色の髪は、今ベッドの上でゆるいうねりを見せている。
「誰か良い男がいたら、紹介してやるからな」
「いらないよ。自分で見つける」
「お前はそう言って、一生結婚しなさそうな予感がする」
「そう? 私、これでも結婚願望は強い方だよ」
「本当か? そうは見えないが」
「私はロレンツォの方が心配だよ。遊んでばかりいると、婚期を逃すよ?」
「そうだな。俺もいい加減に結婚しないとな」
昔は一生独身でも構わないと思っていた。一人の女に縛られるくらいならば、自由でいたいと。そう思っていたのは、やはり若かった為だろう。今は少し、憧れている。イオスやウェルスの、幸せそうな顔を見ていると。
「ロレンツォ」
「何だ?」
「相手が居ない時は、言ってね」
「誰か紹介でもしてくれるのか?」
「私が相手になるよ」
「……」
ロレンツォは首ごとコリーンに向いた。目の前には真剣な表情のコリーンの顔がある。
どういう意味で言ったのだろうか。恩返しのつもりか。ただ単にからかわれているのか。それとも、本気か。
手を伸ばせば簡単に抱きしめられる位置にコリーンはいて、ロレンツォは己を諌めるのに苦労する。
「ね?」
コリーンの方から手を伸ばされ、肩に触れられる。荒くなりそうな息を、必死に抑える。
「……俺は、女に不自由しないさ」
「そだね。でも、結婚となると別でしょ」
「そうだな……そうかもな」
確かにコリーンとなら、上手くやっていけるだろう。今までの様に。
「だが、大丈夫だ。俺も自分で相手を見つけるよ」
「……うん」
コリーンの手が、ロレンツォの肩から離れて行く。その憂いを湛えた瞳に色気が生じていて、ロレンツォは息を飲んだ。
そして彼女は天井に向き直ると、消え入るような声でこう呟く。
「夜這い、しないの?」
「……馬鹿言え」
「っぷ! ふふっ」
突如笑い声が聞こえ、やはり試されていたのかと深く息を吐く。
「はぁ。もう寝ろ」
「はぁーい。おやすみなさい、ロレンツォ」
「おやすみ、コリーン」
何故だか胸が痛んだ。目を瞑り、今にも寝入りそうなコリーンの目元に軽くキスする。まだ一緒に寝ていた頃、こうしてやるとコリーンは落ち着いて眠っていた。
目元に唇が当たったコリーンは、一度驚いた様に目を広げる。そして少し微笑むと、また目を瞑って寝入ってしまった。
今日は二件回ったというのに、己の状態に呆れる。
「お前のせいだぞ、コリーン……。俺を、試すなよ……」
またも息を吐くと、ロレンツォは無理矢理眠った。
ジョージから良い種馬を借りて連れ帰ってきたのだ。結局コリーンは競馬には出場しなかった。
「俺のベッドだが使ってくれ。他に無くて、すまないな」
「いいけど、ロレンツォは?」
「適当に寝るさ」
そう言ってロレンツォは時計を見る。まだ夜這いには早い時間だ。
「ねぇ、ロレンツォ」
「ん? 何だ?」
コリーンは疑問を口にし、ロレンツォはそれに答えた。
そしてその会話が終わった頃には、丁度良い時間になっていた。ロレンツォは自室の窓を開け放つ。
「どこ行くの?」
「決めてない。用が済んだら戻ってくる」
ロレンツォは窓枠に足を掛けて、外に飛び出した。
久々のノルトだ。トレインチェの様に気遣いなく楽しめる、この村の風習が好きだ。
ロレンツォは昔馴染みの女の家へ行き、コンコンと窓を叩く。そしてしばらく会話を楽しんだ後、中に入れて貰った。
今頃、コリーンもノートンと会話をしてるかな。
そう思いながら、久々の女の感触を楽しむ。最近は面倒臭さが先立ってしまって、トレインチェで楽しむ事は少なくなった。
俺も年かな。適当に結婚しないと。
ふと、コリーンの顔が浮かんで、ロレンツォは苦笑いした。何を考えているんだか、と自分で一笑に付す。
ユーファも年頃なのに、結婚する気配がないな。
誰かいい奴がいれば紹介してやるか。
コリーンといい、手の掛かる妹達だ。
そんな事を思いながら、もう一軒ハシゴする。その家から出て来ると既に十二時を回っていて、ルールに抵触するため三件目は行けなかった。
仕方無くロレンツォは家に戻って来る。外から室内を見ると、コリーンが一人眠っていた。窓から入ろうとするも、鍵が掛かっている。こういう事は想定していなかった。玄関も鍵が掛かっているだろう。
「おい、コリーン。開けてくれ」
コンコンと窓を鳴らし続けると、コリーンが目を掻きながらのっそり起き上がる。
ここがどこだか確認しているようで、部屋をキョロキョロと見回していた。
「コリーン!」
再度呼びかけると、コリーンは急にシャキッとして、窓の鍵を開けてくれる。
「何、ロレンツォ。私に夜這い?」
「馬鹿言え」
ロレンツォは窓枠に足を掛け、ヒョイと入り込んだ。
「この暑いのに、窓を閉めて寝てたのか? 汗だくじゃないか」
「だって、もう寝たかったから、開けてると不安で」
「誰もノックして来なかったのか?」
「来たから閉めてたんだよ」
「へぇ、誰と寝た?」
「お断りしたよ、全員」
「全員? 何人来たんだ」
「十人くらい」
「……」
予想以上の人数に、ロレンツォは唸った。好き者が多いこの村の男でも、一晩に十人もの男が来るとは相当だ。
「思ったんだけど、もしさ、最初の人を受け入れた後に他の人が来たら、その……見られちゃわない?」
「成功したら、窓枠に木の枝を立て掛けるんだよ。それがあるうちは誰も覗いたりしない」
「ふーん」
「何だ。見られるのが気になって、誰とも出来なかったのか?」
「違うよ! そんなじゃない、ただどうなのかなって思っただけ!」
コリーンが躍起になって否定している。ここでは性行為は自由なのだから、少しでも良いと思える男がいたならばすればいいのだが。
「もしかして……今日、アクセルを見たからか?」
そう言葉に出すと、コリーンの体はびくりと震えた。どうやら図星だった様である。
「まだ、好きだったのか? だったら悪かったな、勝ってやれなくて」
もしもロレンツォが勝っていたら、アクセルはレリア・クララックと別れていたのである。そうなれば、コリーンだって希望を持てたはずだ。
「違うよ、関係ない」
ロレンツォから視線を逸らすコリーン。嘘が下手だ。そんな態度で関係ないはずはないだろう。
「とり持ってやろうか?」
「やめてよ、違うったら」
「アクセルが今付き合っているのは、人妻だ。今ならお前の方が理がある」
「……え?」
驚いた様にロレンツォを見上げている。しかし、コリーンは首を横に振った。
「か、関係ないよ。アクセルがどんな人と付き合ってても」
「いいのか?」
「いいも何も……アクセルが好きになった人なんだから、邪魔したくないよ……」
「……そうか」
ロレンツォはコリーンへの説得は諦めた。椅子に腰掛けて片足を立て、腕と頬をその上に置いて目を瞑る。
「ちょっとロレンツォ、そんな所で寝るつもり?」
「生憎うちには来客用の部屋もベッドもないからな」
「ここに寝ればいいじゃない」
コリーンに己のベッドを指差され、ロレンツォは眉を寄せる。
「お前はどうするんだ、コリーン」
「一緒にここで寝るよ」
「何を言って……出来るわけないだろう?」
「どうして?」
どうしてと問われ、言葉を詰まらせる。そんなロレンツォにコリーンは続けた。
「昔は一緒に眠ってたじゃない」
「お前がまだ小さかったからだ。それに部屋を別々にしたいと言ってきたのは、コリーンの方だろう」
「私が部屋を別にしたいって言わなきゃ、今も一緒に寝てたって事だよね」
「さあ、どうだろうな」
「私はロレンツォにとって、ユーファさんみたいなものでしょ?」
「ああ」
「じゃあ問題ないよ。一緒に寝よう」
コリーンはさっさとベッドに寝転んでいる。一つ嘆息すると、ロレンツォは言われるがままそのベッドに潜り込んでしまった。
「ふふ、久しぶりだね。ロレンツォとこうして眠るの」
「そう、だな」
落ち着かない。普段なら何という事は無いが、ベッドの上というのがいけない。
コリーンは石鹸の香りを漂わせてくる。息を吸うたび、動悸が激しくなる。
くっそ。同じ状況でも、ユーファだったなら同じベッドに入らなかったぞ。
俺はどうかしてるな。
「ロレンツォ」
「……ん?」
「……ロレンツォ」
「どうした?」
「私、おかしいのかな」
「何がだ?」
問い掛けるも、コリーンからの返事は無い。
「コリーン、今日、十人もの男が来たんだろ? 誰か良いと思える奴はいなかったか? もう一度話してみたい奴とか」
「……いない」
「こんな農村の男より、貴族の方が良いか? アクセルの様な」
「別に、貴族に拘る気はないよ……アクセルと付き合ってた時は、どうしても価値観にズレがあったし」
「だからアクセルと別れたのか?」
「それもあったかもね……私、お酒を美味しいとは思えなかった。マーガレットも好きになれなかった。あんな広い屋敷じゃ、気後れしちゃったよ」
「……そうか」
元々農村の生まれのコリーンである。金持ちになりたくてアクセルと付き合い始めたわけでもないのだろう。
コリーンがモゾモゾと動き、ロレンツォの方へと顔を向けて来るのが分かった。天井に顔を向けていたロレンツォは、目だけでコリーンを見る。
一晩で十人来るだけの事はある。
元々可愛かったが、綺麗になったんだな。コリーンは。
コリーンの流れるような長い金色の髪は、今ベッドの上でゆるいうねりを見せている。
「誰か良い男がいたら、紹介してやるからな」
「いらないよ。自分で見つける」
「お前はそう言って、一生結婚しなさそうな予感がする」
「そう? 私、これでも結婚願望は強い方だよ」
「本当か? そうは見えないが」
「私はロレンツォの方が心配だよ。遊んでばかりいると、婚期を逃すよ?」
「そうだな。俺もいい加減に結婚しないとな」
昔は一生独身でも構わないと思っていた。一人の女に縛られるくらいならば、自由でいたいと。そう思っていたのは、やはり若かった為だろう。今は少し、憧れている。イオスやウェルスの、幸せそうな顔を見ていると。
「ロレンツォ」
「何だ?」
「相手が居ない時は、言ってね」
「誰か紹介でもしてくれるのか?」
「私が相手になるよ」
「……」
ロレンツォは首ごとコリーンに向いた。目の前には真剣な表情のコリーンの顔がある。
どういう意味で言ったのだろうか。恩返しのつもりか。ただ単にからかわれているのか。それとも、本気か。
手を伸ばせば簡単に抱きしめられる位置にコリーンはいて、ロレンツォは己を諌めるのに苦労する。
「ね?」
コリーンの方から手を伸ばされ、肩に触れられる。荒くなりそうな息を、必死に抑える。
「……俺は、女に不自由しないさ」
「そだね。でも、結婚となると別でしょ」
「そうだな……そうかもな」
確かにコリーンとなら、上手くやっていけるだろう。今までの様に。
「だが、大丈夫だ。俺も自分で相手を見つけるよ」
「……うん」
コリーンの手が、ロレンツォの肩から離れて行く。その憂いを湛えた瞳に色気が生じていて、ロレンツォは息を飲んだ。
そして彼女は天井に向き直ると、消え入るような声でこう呟く。
「夜這い、しないの?」
「……馬鹿言え」
「っぷ! ふふっ」
突如笑い声が聞こえ、やはり試されていたのかと深く息を吐く。
「はぁ。もう寝ろ」
「はぁーい。おやすみなさい、ロレンツォ」
「おやすみ、コリーン」
何故だか胸が痛んだ。目を瞑り、今にも寝入りそうなコリーンの目元に軽くキスする。まだ一緒に寝ていた頃、こうしてやるとコリーンは落ち着いて眠っていた。
目元に唇が当たったコリーンは、一度驚いた様に目を広げる。そして少し微笑むと、また目を瞑って寝入ってしまった。
今日は二件回ったというのに、己の状態に呆れる。
「お前のせいだぞ、コリーン……。俺を、試すなよ……」
またも息を吐くと、ロレンツォは無理矢理眠った。
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