15 / 22
第15話 ヨハナ家とクララック家
しおりを挟む
次の日の夕方、レリアはアクセルに呼び出された。
急な呼び出しというのは珍しい。『降臨と誕生』の前で待ち合わせ、そして館内レストランのビップルームに入って行く。直ぐに食事でテーブルが満たされたが、アクセルはそれに手を付けようとはしなかった。
彼の表情は出会ってからずっと、小難しいままだ。
「アクセル様、今日はどうされたのですか?」
「……聞きたい事がある」
「何でしょう……あの、クロードからはまだ話を聞き出せてなくって」
「そうじゃない。レリアがヨハナ家に嫁ぐという噂は、本当か?」
レリアは体が固まった。
アクセルはレリアを、クララック家の令嬢だと思っている。当主などとは、露ほどにも思っていないのだ。故にレリアがヨハナ家に嫁ぐと聞かされれば、当然の様に恋人であるレリアの方を思い浮かべた事だろう。
なのでこのアクセルの質問は、至極当然の事である。しかしレリアは、あまりに突然の事で何と答えて良いのか悩んだ。
自分ではなく娘のレリアが嫁ぐのだと答えれば、ロベナーの妻だという事がばれてしまう。彼の潔癖さは、この何ヶ月かでよく分かっている。きっと蔑まれ、意図せず不義を働いてしまった自分を責めるに違いない。
物言わぬレリアを、アクセルはじっと見つめてくる。
別れなきゃ、いけないのね……。
とうとうレリアは決意した。いつか来ると覚悟していた別れ。このままずるずると関係を続けられはしない。だがそれでも、出来るだけ綺麗に別れたかった。既に結婚している事を伝えて、愛する者に蔑みの目で見られるのだけはどうしても嫌だった。
「本当です。私は近く、ヨハナ家に嫁がなければなりません」
アクセルの顔に哀惜と憤怒の色が入り混じる。きっと彼には、何故こうなっているのか理解できてはいまい。
「俺は、レリアと結婚したいと伝えた! なのに、何故……」
「ごめんなさい……もう決まった事なんです」
「どうしてだ!? レリアは俺の気持ちを知っているはずだろう!」
「……とてもいい縁談で、断れないんです……断りたく、ないんです」
娘の努力が実を結んだ縁談だ。絶対にご破算にしてはならない。
アクセルの顔は義憤に満ちた。彼にすれば、理不尽な事この上ない話だ。怒るのも当然である。
「レリアだけは俺を選んでくれる……そう信じていたのに……!!」
「……ごめんなさい……」
レリアはもう頭を下げるしかなかった。いくら頭を下げても、アクセルの怒りがそうやすやすと収まるわけがない事は分かっていたが。レリアは自責の念に押し潰されそうになりながらも、謝罪し続ける。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
「レリア……レリア!」
謝り続けるレリアを、アクセルは席を立って強く抱き締めた。
「アクセル様……」
「ヨハナ家に断りを入れてくれ」
「それだけは、許して下さい」
「何故だ!? こういう言い方はしたくないが、ヨハナ家よりもユーバシャールの方が利があるだろう!?」
そうだ。ヨハナ家も高貴な貴族だが、ユーバシャール家の方が遥かに格上だ。婚姻を結んで利があるのはユーバシャール家の方である。しかし娘のレリアが恋しているのはユーバシャールのアクセルではなく、ヨハナのラファエルなのだ。利がどうという問題ではない。ロベナーなら何と言うか分からないが。
「ヨハナ家の方が先に話が進んでいたんです。今更断れませんわ」
「俺がどうにかする」
「やめて下さい!!」
「レリア……」
「お願いします! お願いします! ヨハナ家との縁談が無くなっては、一生を後悔する事になります!」
「後悔なんかさせない! 俺は、貴女を……」
「駄目なんです! ごめんなさい、許して……下さい……」
涙を流さんばかりに訴えると、アクセルは言葉を詰まらせた。その悲壮感漂う表情に、レリアの胸もまた、張り裂けそうになる。
「何を言っても無駄なのか……? 俺を選ぶと言ってくれた言葉は、嘘だったのか!?」
「ごめん……なさい……っ」
「…………っ」
アクセルは悔しそうに、納得の行かぬ表情のまま、食事にはひとつも手を付けずに部屋を出て行った。バタンと閉じられる荒々しい扉の音が、彼の怒りを表しているかの様だ。
テーブルの真ん中に活けられた花が、レリアを見て嘲笑っている様に感じる。誠実、貞節という意味を司るその白い花。マーガレットが嫌いになりそうだった。
レリアはうなだれたまま、クスクスと可笑しそうに笑う花を眺めていた。
***
ヨハナ家のラファエルと娘のレリアが婚約をする、という一日前の出来事だった。その婚約に待ったが掛かったのは。
一日も早く娘に結婚して貰いたいレリアとクロードにとって、これは思惑違いの出来事だ。それも、待ったをかけたのが彼なのだから、レリアは動揺した。
「ユーバシャール家の坊ちゃんが、レリアを嫁に貰いたいと言ってきた」
ロベナーがそう家族に説明をする。レリアは青ざめ、娘のレリアはきょとんとし、息子クロードは苦い顔をした。
「ユーバシャール家の坊ちゃんって、アクセル様? どうしてアクセル様が私なんかを?」
娘のレリアが不思議そうに問い、皆がレリアを見た。アクセルと繋がりのある人物と言えば、レリアしかいない。
「ど、どうしてかしらね……あなたが良い子だと言い過ぎたから、興味を持ってくれたのかしら」
レリアが空惚けてみせると、娘レリアは興味無さそうに「ふーん」と呟いた。
「でももうラファエル様と婚約するんだし、関係無い話よね」
「そうはいかん。あのユーバシャール家の求婚を断ったとなれば、我がクララック家の損失だ」
ロベナーの言葉に、二人のレリアは眉を寄せた。それでなくともアクセルは、娘の方のレリアではなく母親の方のレリアの事を言っているのだから、慌てざるを得ない。
「ロベナー、レリアが愛しているのはラファエル様なのよ! アクセル様にはお断り差し上げて!」
「そうよ、お父様! いきなりアクセル様と結婚しろと言われて、納得出来るわけないわ!」
「お前達こそ分かっていない! あんなに高貴な方の求婚を、無下に断れるとでも思っているのか!? 折角取り付けたヨハナ家との縁談だったが、そちらを断るしかなかろう」
「そ、そんな……」
娘の顔が絶望に変わった。危惧していた事が、現実に変わる。
「どうして、こんな事に……?」
事態を理解した娘が、にわかに瞳から雫を降らせた。何と贖罪していいか分からない。娘の幸せを、母である自分が奪ってしまった。
「アクセル様が今日、職務が終わり次第こちらに挨拶に来てくれるそうだ。皆、きちんと礼服に着替えておけ。急だが、あちらは婚約を希望しておられる」
「ロベナー、どうにかならないの? ヨハナ家だって面子があるんだから、このままでは亀裂が出来るわ」
「その点は大丈夫だ。ユーバシャール家の力で何とかすると仰って下さったからな」
「……」
クリーンなアクセルが、権力を振りかざす様な真似をするとは思っていなかった。そうさせてしまったのは、紛れもなくレリア自身であったが。
「私……ラファエル様と、結婚出来ないの……?」
誰に言うでもなく、一人呟いた娘レリアを、クロードは慰める様にぎゅっと抱き締めている。レリアは自分には抱き締めてあげる権利さえない事に気付いて、一人唇を噛み締めていた。
急な呼び出しというのは珍しい。『降臨と誕生』の前で待ち合わせ、そして館内レストランのビップルームに入って行く。直ぐに食事でテーブルが満たされたが、アクセルはそれに手を付けようとはしなかった。
彼の表情は出会ってからずっと、小難しいままだ。
「アクセル様、今日はどうされたのですか?」
「……聞きたい事がある」
「何でしょう……あの、クロードからはまだ話を聞き出せてなくって」
「そうじゃない。レリアがヨハナ家に嫁ぐという噂は、本当か?」
レリアは体が固まった。
アクセルはレリアを、クララック家の令嬢だと思っている。当主などとは、露ほどにも思っていないのだ。故にレリアがヨハナ家に嫁ぐと聞かされれば、当然の様に恋人であるレリアの方を思い浮かべた事だろう。
なのでこのアクセルの質問は、至極当然の事である。しかしレリアは、あまりに突然の事で何と答えて良いのか悩んだ。
自分ではなく娘のレリアが嫁ぐのだと答えれば、ロベナーの妻だという事がばれてしまう。彼の潔癖さは、この何ヶ月かでよく分かっている。きっと蔑まれ、意図せず不義を働いてしまった自分を責めるに違いない。
物言わぬレリアを、アクセルはじっと見つめてくる。
別れなきゃ、いけないのね……。
とうとうレリアは決意した。いつか来ると覚悟していた別れ。このままずるずると関係を続けられはしない。だがそれでも、出来るだけ綺麗に別れたかった。既に結婚している事を伝えて、愛する者に蔑みの目で見られるのだけはどうしても嫌だった。
「本当です。私は近く、ヨハナ家に嫁がなければなりません」
アクセルの顔に哀惜と憤怒の色が入り混じる。きっと彼には、何故こうなっているのか理解できてはいまい。
「俺は、レリアと結婚したいと伝えた! なのに、何故……」
「ごめんなさい……もう決まった事なんです」
「どうしてだ!? レリアは俺の気持ちを知っているはずだろう!」
「……とてもいい縁談で、断れないんです……断りたく、ないんです」
娘の努力が実を結んだ縁談だ。絶対にご破算にしてはならない。
アクセルの顔は義憤に満ちた。彼にすれば、理不尽な事この上ない話だ。怒るのも当然である。
「レリアだけは俺を選んでくれる……そう信じていたのに……!!」
「……ごめんなさい……」
レリアはもう頭を下げるしかなかった。いくら頭を下げても、アクセルの怒りがそうやすやすと収まるわけがない事は分かっていたが。レリアは自責の念に押し潰されそうになりながらも、謝罪し続ける。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
「レリア……レリア!」
謝り続けるレリアを、アクセルは席を立って強く抱き締めた。
「アクセル様……」
「ヨハナ家に断りを入れてくれ」
「それだけは、許して下さい」
「何故だ!? こういう言い方はしたくないが、ヨハナ家よりもユーバシャールの方が利があるだろう!?」
そうだ。ヨハナ家も高貴な貴族だが、ユーバシャール家の方が遥かに格上だ。婚姻を結んで利があるのはユーバシャール家の方である。しかし娘のレリアが恋しているのはユーバシャールのアクセルではなく、ヨハナのラファエルなのだ。利がどうという問題ではない。ロベナーなら何と言うか分からないが。
「ヨハナ家の方が先に話が進んでいたんです。今更断れませんわ」
「俺がどうにかする」
「やめて下さい!!」
「レリア……」
「お願いします! お願いします! ヨハナ家との縁談が無くなっては、一生を後悔する事になります!」
「後悔なんかさせない! 俺は、貴女を……」
「駄目なんです! ごめんなさい、許して……下さい……」
涙を流さんばかりに訴えると、アクセルは言葉を詰まらせた。その悲壮感漂う表情に、レリアの胸もまた、張り裂けそうになる。
「何を言っても無駄なのか……? 俺を選ぶと言ってくれた言葉は、嘘だったのか!?」
「ごめん……なさい……っ」
「…………っ」
アクセルは悔しそうに、納得の行かぬ表情のまま、食事にはひとつも手を付けずに部屋を出て行った。バタンと閉じられる荒々しい扉の音が、彼の怒りを表しているかの様だ。
テーブルの真ん中に活けられた花が、レリアを見て嘲笑っている様に感じる。誠実、貞節という意味を司るその白い花。マーガレットが嫌いになりそうだった。
レリアはうなだれたまま、クスクスと可笑しそうに笑う花を眺めていた。
***
ヨハナ家のラファエルと娘のレリアが婚約をする、という一日前の出来事だった。その婚約に待ったが掛かったのは。
一日も早く娘に結婚して貰いたいレリアとクロードにとって、これは思惑違いの出来事だ。それも、待ったをかけたのが彼なのだから、レリアは動揺した。
「ユーバシャール家の坊ちゃんが、レリアを嫁に貰いたいと言ってきた」
ロベナーがそう家族に説明をする。レリアは青ざめ、娘のレリアはきょとんとし、息子クロードは苦い顔をした。
「ユーバシャール家の坊ちゃんって、アクセル様? どうしてアクセル様が私なんかを?」
娘のレリアが不思議そうに問い、皆がレリアを見た。アクセルと繋がりのある人物と言えば、レリアしかいない。
「ど、どうしてかしらね……あなたが良い子だと言い過ぎたから、興味を持ってくれたのかしら」
レリアが空惚けてみせると、娘レリアは興味無さそうに「ふーん」と呟いた。
「でももうラファエル様と婚約するんだし、関係無い話よね」
「そうはいかん。あのユーバシャール家の求婚を断ったとなれば、我がクララック家の損失だ」
ロベナーの言葉に、二人のレリアは眉を寄せた。それでなくともアクセルは、娘の方のレリアではなく母親の方のレリアの事を言っているのだから、慌てざるを得ない。
「ロベナー、レリアが愛しているのはラファエル様なのよ! アクセル様にはお断り差し上げて!」
「そうよ、お父様! いきなりアクセル様と結婚しろと言われて、納得出来るわけないわ!」
「お前達こそ分かっていない! あんなに高貴な方の求婚を、無下に断れるとでも思っているのか!? 折角取り付けたヨハナ家との縁談だったが、そちらを断るしかなかろう」
「そ、そんな……」
娘の顔が絶望に変わった。危惧していた事が、現実に変わる。
「どうして、こんな事に……?」
事態を理解した娘が、にわかに瞳から雫を降らせた。何と贖罪していいか分からない。娘の幸せを、母である自分が奪ってしまった。
「アクセル様が今日、職務が終わり次第こちらに挨拶に来てくれるそうだ。皆、きちんと礼服に着替えておけ。急だが、あちらは婚約を希望しておられる」
「ロベナー、どうにかならないの? ヨハナ家だって面子があるんだから、このままでは亀裂が出来るわ」
「その点は大丈夫だ。ユーバシャール家の力で何とかすると仰って下さったからな」
「……」
クリーンなアクセルが、権力を振りかざす様な真似をするとは思っていなかった。そうさせてしまったのは、紛れもなくレリア自身であったが。
「私……ラファエル様と、結婚出来ないの……?」
誰に言うでもなく、一人呟いた娘レリアを、クロードは慰める様にぎゅっと抱き締めている。レリアは自分には抱き締めてあげる権利さえない事に気付いて、一人唇を噛み締めていた。
0
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された皇后を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる